文化祭がおわり、俺たちはいつもの生活を取り戻していた。 あとは期末テストを残して二学期は終了するのみだ。 俺がボケッと黒板を眺めていたら、隣の席の梅田先輩から脇をつつかれた。 「あんたさ、今日は暇?ちょっと放課後付き合ってくれない?」 何だか切羽詰まった表情で梅田先輩はいるから、よほど困っているのだろう。 1 梅田先輩の頼みなら何でも聞きますよ 2 ミスコン優勝者の頼みが聞けないの、と無理やり 3 気が乗らないと断ろう 梅田先輩には悪いが、少し躊躇してしまう。 梅田先輩は演技派だから俺を誘いたくて、わざと切羽詰まったようにしている可能もあるからな。 「少し考えさせて下さい」 「ふぅ〜ん、わかった」 梅田先輩は俺が困ったように考えさせてというと、わかったと引いてくれた… と思ったのだが、放課後に下駄箱にいくと梅田先輩が俺の靴を持って待っていた。 「ハロージミー」 「梅田先輩…そ、それは俺の靴じゃないですか。返して下さい」 「返してほしいならついてきて。断るなら返さないよ」 「そんな〜」 靴をブラブラさせてニヤッと笑う梅田先輩に俺は仕方なくついていくことになった。 「ミスコン優勝者の頼みなんだから聞きなよね、ダーリン」 「はい…」 それを言われると俺も返す言葉がなく、校門まで歩いた。 すると、そこには清水先輩がショボンとした顔で立っていた。 「佐紀ちゃん、お待たせ〜おまけも連れてかたよん」 「久しぶり、姉ちゃん」 「あっ…ひ、久しぶり」 元気なさそうにやっと返事してくれた姉ちゃんは、やはりまだ文化祭のことを引きずっているらしい。 姉ちゃんとは気まずいまま別れただけにどうしようか 1 普段通りに接するのが一番だろ 2 一言くらい慰めてみようかな 3 気まずいままだし、梅田先輩にどこ行くか聞いてからだ 元気がない姉ちゃんをあの時は慰められなかったけど、今なら平気だろう。 「姉ちゃん、ダンスバトル残念だったね。俺には最高のダンスだったよ」 この一言で元気づけられると思っていた。 が、ことはそうもいかず、元気づけるどころかさらに気まずい空気を作ってしまった。 「うん、残念だったよね。はぁ」 「こら、ジミーの馬鹿。佐紀ちゃんがますます落ち込んだじゃん」 「えりかちゃん、いいの。ジミーだって元気づけようとしてくれただけだからさ」 「あんたが佐紀ちゃんにフォローされてどうする。今日は佐紀ちゃんの誕生日なんだからね」 そ、そうだったか。 梅田先輩は慰める意味もかねて誕生日会を開く予定だったらしい。 そこで俺を呼び、三人で明るくパァーっとするはずだったのだ。 「今日は梅さんのおごりで焼き肉屋いこうか。ほら、さっさと行くよ〜」 梅田先輩は微妙な空気の俺と姉ちゃんを連れ、駅前の焼き肉屋まで来た。 さて、どっちの隣に座るかな。 1 川´・_・リ 2 リl|*´∀`l| 3 俺一人でいいかな 隣に座るには何だか申し訳なくて、俺は姉ちゃんたちと向かいの席に座ることにした。 向かい側から焼き肉を渡してあげたりして好感度アップを狙うしかない。 さっきは空気読めないことしただけに頑張らねば。 「注文は佐紀ちゃんにお任せしようか。焼き肉奉行だからね。私とジミーはドリンク取ってくるかな」 「え!?マジっすか。ちょっとちょっと〜俺メニューさえみてない」 ドリンクバーまでくると、梅田先輩に俺は小声で話せと注意をされた。 「佐紀ちゃんの誕生日にあんたはプレゼント用意してた?」 「いえ、全然」 「だと思った。ほれ、これを渡しなさいな」 梅田先輩に俺は小包を渡され、開けてみようとすると、ストップと声がかけられた。 「あんたが見てどうする。見るのは佐紀ちゃんだよ」 「で、この中身は何ですか?」 「知りたい?知りたいなら条件飲んでくれる?」 何だ、その条件ってのは。 1 焼き肉代金あんた持ちね 2 ここでキスして 3 次の休みにデートしよう 「条件飲みます。だから教えて下さい」 「よろしい。ここでキスして」 いくら人気が少ないからってこんな場所でキスしたら不味いよ。 姉ちゃんだって見てるかもと覗いてみたら、姉ちゃんは大人しく椅子に腰かけている。 梅田先輩に意思確認しようと顔をみると、再びニヤッと笑いだした。 「さぁ〜キスして〜ダーリン」 ダメだ、椎名林檎の歌ですかってボケが通じる感じじゃない。 もう破れかぶれだ。 俺は梅田先輩の唇にそっと触れ、キスしたぞと唇を放した。 「これでいいですか?」 「ダーリン、今のはアメリカじゃただの挨拶よ。キスはね、こうするの」 梅田先輩は俺の頭をおさえ、舌を一方的に入れてきた。 絡み合う舌と舌に頭が麻痺してくる。 姉ちゃんのプレゼント、何?… 「すっきりした。あんたとキスするの久々だし濡れちゃった。あとでエッチしようね」 キスをした後、グラスを両手に席に戻る際、アクセサリーと教えてくれた。 ヤバいぜ、キスだけでこっちもビンビンだ。 1 トイレで一発抜く 2 長いこと席あけてると怪しまれるぞ。戻るんだ 3 メガネをかけてキザジミーで誤魔化そう あんまり長い間いないと姉ちゃんたちに怪しまれるからな。 俺はやや前屈みになって、自分の席に戻った。 「ど、どうも〜」 「前屈みであんたどうかした?」 梅田先輩は何で前屈みかわかっているくせに、知らないふりしている。 何て人だよ、俺で遊んでいるとは。 「ジミー、前屈みなのはいいから早く座って。私がお肉焼いてあげるからさ」 姉ちゃんは早く座るようにいい、俺は素直に席についた。 座ったとき、姉ちゃんの顔が若干緩んでいるようにみえたのは気のせいかな? チラッと梅田先輩をみれば、ウィンクをしてきた。 ということは、梅田先輩が何か言ってくれたのかな。 また借りが出来てしまったみたいだな。 「佐紀ちゃんの焼き肉は本当に美味しいからね。ジミー覚悟してなよ」 「姉ちゃん、お願いします」 「は〜い。まずはこの焼き方からいきマス」 姉ちゃんはトングを器用に使い、肉を橋に見立てて焼いている。 料理は苦手って聞いたけど、焼き肉は得意みたいだ。 ここは俺自身で褒めておくべきだろうな。 1 よっ、焼き肉奉行 2 姉ちゃんの誕生日なのに焼いてもらっちゃって悪いな〜姉ちゃんはこれだから大好きさ 3 姉ちゃん美味しいよ〜さすが姉ちゃんの肉だ 肉を焼きだしてから、姉ちゃんの顔に笑顔が戻ったようだ。 本当に焼き肉が大好きなんだな、とわかって、次にデートしたときは焼き肉屋さんだなと思った。 今度は姉ちゃんが薄い肉を箸で取り、ぐるぐる巻いている。 得意げに「これはRRS!!」と、肉の名前なのか焼き方なのかを語った。 「おぉ〜姉ちゃんすげぇ〜」 「でしょでしょ〜私はインターネットで情報を集めたりして、お肉に対するこだわりがあるの」 姉ちゃんはトングに持ち直し、俺と梅田先輩の皿にさっと渡してくれた。 「どうぞ、召し上がれ」 「いただきます」 俺が肉を箸でとって口に運ぶと、みるみるうちに口いっぱいにジューシーな味が広がった。 姉ちゃんは本当に肉を焼くのがうまいみたいだ。 「姉ちゃん美味しいよ〜さすが姉ちゃんの肉だ」 自然と俺は姉ちゃんにそう伝えていた。 姉ちゃんはこう言われて嬉しかったみたいで、ますます得意になって肉を焼きだした。 「まだまだお肉はあるからね。ジミーもいっぱい食べちゃって」 姉ちゃんが元気になってくれるなら、俺はお腹がどれだけ膨れ上がっても構うもんか。 1 大皿を平らげる勢いでいきます・・・げっぷ・・・ 2 ちょ、ちょっと、セーブさせていただきま・・・ぐへ 3 梅田先輩・・・食べすぎじゃないですか?俺の分の肉がないじゃないですか 姉ちゃんが上手に肉を次々に焼いていくものだから、お肉がどんどん小皿にたまっていく。 なのに、梅田先輩はもろともせずに食べていく。 あの華奢な体のどこに肉が消えているのか不思議に思うくらいだ。 「佐紀ちゃん、おかわり。はい、次カモーン」 「はいはい。えりかちゃんは相変わらず食いしん坊だね。おいしそうに食べてくれるから焼く甲斐があるよ」 「ほら、ジミーもどんどん食べていかないとなくなっちゃうぞ」 いや、なくなっちゃうぞじゃなくて、マジにないです。 俺に残されたのは、お皿にあるだけです。 姉ちゃんの分も同様だったりしますけど、これって誰の誕生日祝いでしたっけ・・・ 「えりかちゃんがいっぱい食べるから私の分ってこれだけになっちゃったね。でも、いいの。元気もらっちゃったから」 健気にそう言える姉ちゃんがとても可愛く思えてしまうな。 それにひきかえ、梅田先輩は自分が払うからってほとんど自分が食べるってどうなのよ。 「ジミーもおいしかった?」 「はい。姉ちゃんが焼いたからすげぇ美味しかった。また焼き肉のうんちく聴きながら食べたいよ」 「ありがとう。えへへ」 姉ちゃんが照れ臭そうに笑ってくれた。 よかった、これでようやく元気になってくれたみたいだぞ。 さて、いよいよ 1 プレゼントを渡すときだな 2 とりあえずトイレ行くふりして会計すませておこう。俺は大人の男だ 3 梅田先輩、いくら自分の家が経営してるからってお酒はダメっすよ。え、姉ちゃんも飲むの? 俺は梅田先輩が用意してくれていたプレゼントを渡すことにした。 食事も終わったことだし、ここらへんで渡さないと渡しそびれる気がした。 「姉ちゃん、今日が誕生日だっていうんでこれ」 俺が小包を差し出すと、姉ちゃんは信じられないという顔で口を両手でおさえた。 梅田先輩は知らないふりして、「やるじゃん、ジミー」なんて言い出した。 すみません、この恩はいつか必ず返しますから、と心の中でそう誓った。 「開けてみてもいい?」 「もちろんです」 姉ちゃんが包みをあけ中をみてみると、そこにはネックレスが入っていた。 いくらするのかはわからないが、こういうのって高いんじゃないのかな。 そうなると、梅田先輩には何から何まで世話になりすぎな気がするな。 「あのさ、今つけてみてもいい?」 「はい」 1 ここは俺が後ろにまわってつけてあげよう 2 梅田先輩に足を踏まれ、自分がつけるって言うように仕向けられる 3 姉ちゃん器用に自分でつけだしたぞ 姉ちゃんが嬉しそうにネックレスを手にとっているのが微笑ましくて、ついじっとみてしまう。 可愛いな、ああいうのを普段つけられないだろうから、つけられるのを楽しみにしていたんじゃないだろうか。 「姉ちゃんがつけたら絶対似合うと思うよ」 「そうかな。えりかちゃんみたいに綺麗な人なら似合うだろうけど、私なんかじゃ似合わないかも」 「いやいや、絶対に似合うって」 ネックレスを弄っている姿を俺がじっと眺めているだけだから、それが許せなかったんだろう。 突如、俺の足を何者かがふんづけてきた。 かかとから思いっきりふんづけてきたものだから、俺の足にかかった衝撃は結構なものだった。 「ぎゃああああ」 「え、え、何何?ジミーどうしたの?」 「いててて・・・いきなり足が、足が」 あまりの痛みに視線をあちこちに彷徨わせていると、梅田先輩の眼と目あう。 そして、声を出さずに梅田先輩が俺にあることを伝えてきた。 ”ジミー、佐紀ちゃんに自分からつけてあげるって言え” それもそうだった、俺としたことが気がきかなすぎだ。 俺は「姉ちゃん、俺がつけてあげるよ」とあたかも自分が思いついたように言いだすことになった。 「足はいいの?さっき痛いとか言ってたけどさ」 「平気だよ。気のせいだったからさ。あはは」 姉ちゃんの後ろにまわると、姉ちゃんの白くて細い首筋にまた股間がうずきだす。 襟足をあげ、うなじがみえるとますます股間がうずいてしまう。 姉ちゃん、綺麗だよ。 「じゃあ、お願いね」 「う、うん・・・」 しまったな、ここが焼き肉屋さんでなく、しかも梅田先輩がいなけりゃ抱きしめていたのに。 仕方なく俺は姉ちゃんにネックレスを普通にしてあげることにした。 手鏡を出して、自分に似合うかどうかチェックする姉ちゃんの表情は姉ちゃんでも先輩でもなく、女の子の顔だった。 「ジミー似合う?」 「ばっちり似合ってるよ。姉ちゃんなら何をつけても可愛いんだからさ。自信もって」 「うん。自信もたないとね。ダンスのことでもぐじぐじ言ってたってしょうがないしね。うん、頑張ろう」 「よかった、元気を取り戻してくれて」 「ありがとう、ジミー」 梅田先輩の粋な計らいで、俺と姉ちゃんは焼き肉をすっかりごちそうになって店を出た。 夕方で暗くなった道を俺は姉ちゃんと手を繋いで帰る。 「今日はありがとうね、ジミー。えりかちゃんに聞いたよ、私の為を思ってあそこに行こうって言ったのもジミーだって」 「え、えぇ〜まぁそうなんですよ。いきなり俺から言うと来てくれないと思って、梅田先輩に頼んだのでした」 「そうなんだ。私もつまらないことで悩んでたみたい。あんたの顔みてすっかり元気になったっぽいよ」 よかった、姉ちゃんが笑顔になってくれた。 こうして梅田先輩の協力のもと、俺は姉ちゃんの17歳の誕生日を無事に祝ってあげることができた。 ただし、梅田先輩には大きな借りが出来てしまったけれど・・・ 「今度、クリスマスパーティーが高校であるから、その時はなっきぃには負けないから」 そう宣言した姉ちゃんは以前よりもダンスのことだけじゃなく、大きく成長したようにみえた。
ノソ*^ o゚)<おはようございます ノソ*^ o゚)<出番がほしいですキュフフフ 川*^∇^)||<却下 ノソ*^ o゚)<お互い様だろw 川#^∇^)|| 川;^∇^)||<言わないで・・・ ノソ;^ o゚)<ごめん