すっかり真夜中、歩いている人もほとんどいない住宅街。 
こっそり家を抜け出した俺は人目につかないように足音を忍ばせてゆっくり歩く。 
暑いなぁ…。 
蒸し暑くけだるい夏の空気。 
真夏の夜の空気はそれでいて不快な感じじゃない。 
ぶら下げたコンビニのビニール袋だけがほんの少しカサカサ鳴っていた。 

「ジミーっち!遅いよ!おそいー!」 
「悪い悪い、なかなか親が寝ないから抜け出せなくってさ」 
「こんばんはジミー先輩!なんだかドキドキしますね!」 
「シーッ!ちょっと岡井ちゃん声が大きいよ!」 
3人してシーッ、と人差し指を口に当てて、クスクス笑う。 
これはコドモだけの、小さな小さな悪だくみ。 

ちぃはこないだのあの1件からだいぶ立ち直ってきたようで、ようやく少し元気を取り戻してきた。 
とはいっても、まだ急にテンションが落ちたり、思いつめた表情を見せたりすることがある。 
どうにか元気付けてあげたいと思って、こうして真夜中にこっそり待ち合わせ。 
2人きりでもよかったんだけど、事情を知ってる俺とだとどうしてもそっち系の話題になるから 
岡井ちゃんを連れ出してみた。 
岡井ちゃんも俺やちぃの前では素直だけど元はけっこうわんぱくでいたずらっ子。 
ましてやちぃと俺といっしょに遊ぶってことで、一も二もなく食いついてきた。 
今日はこれから夜中の学校に忍び込んで、プチ花火大会だ。 

「当たり前だけど、校門閉まってるね」 
「乗り越えるの?けっこう高いよ」 
「まぁまぁ、ここは俺に任せたまえ」 
カッコいいことを言って颯爽と前に出る。 

1.先に乗り越えて、後から来る2人を受け止める 
2.2人のお尻を押して先に昇らせる 
3.俺が踏み台になるからよじ登るんだ! 



「任せろったってどうやって昇るのさ」 
「俺が下から押すから、それで昇って」 
「んなこと言ったって〜」 
「ほらいくぞ、せーのっ!」 
勢いをつけてよじ登ったちぃのお尻を下から押す。 
「こ、こらジミーっち、どこ触ってんのさ」 
「ほら頑張れって、俺が下から押してやるから」 
ちぃのすらりと伸びた長い足に続くお尻は引き締まってるけど、それでいて柔らかい。 
ぐいぐい押すと、柔らかい弾力が指に跳ね返ってくる。 
四苦八苦しながらだけど、ようやく校門を乗り越えることができた。 
「次は岡井ちゃんね」 
「はーい、じゃあいきますよ、せー…のっ!」 
身軽な岡井ちゃんはちぃよりも高い位置までよじ登ったけど、背が低いからやっぱり策を超えられない。 
「ほら岡井ちゃんも頑張って」 
「はい…んっ…しょ!」 
岡井ちゃんのお尻は柔らかいな。ちぃみたいな引き締まったのもいいけど、こっちもいいな。 
岡井ちゃんが乗り越えたのを確認して、俺も校門をよじ登って乗り越えた。 

「ありがとジミーっち。でもホントは押すとか言ってお尻触りたかっただけだろw このスケベw」 
「もぉ、ジミー先輩のエッチw」 
「あはは、バレたかw まぁまぁ、それより花火しようぜ!」 
軽く小突いてくるちぃをかわしながら岡井ちゃんの背中を軽く叩いて歩き出した。 
学校といっても広いからな。どこがいいかな。 

1.エッチで御用達の中庭 
2.広いグラウンド 
3.校舎に忍び込んで屋上 



校舎の窓を掴んでガタガタ揺らす。 
ドアの鍵も古いひねる形のだから、窓枠をこうして揺らすと鍵が外れるんだよねw 
思ったより簡単に窓が開いたので、そこから校舎に忍び込む。 
もちろん、校舎に入るときにまた2人のお尻を押したことは言うまでもないwww 

階段を上って屋上のドアを開ける。 
見下ろした街はすっかり眠っているようで、わずかに街灯や家の明かりが見えるだけだった。 
ようやく袋の中身を開ける。 
「へぇー、けっこう色んなの買ってきたんだねぇ」 
「分けましょ分けましょ!」 
夜中なのと人目につかないように、小声ではあるけど、2人ともかなりテンション高くなってるな。 
「よっ…蝋燭つけてっと」 
「ジミーっち、そのライターどしたの?もしかしてタバコ?やー不良だ不良ー」 
「なわけないだろ、親のタバコのライター失敬してきたw」 
「それよりも早くやりましょやりましょ!」 
3人分に分けた花火をそれぞれ持って、ささやかなパーティが始まった。 

「すごーい!たのしー!」 
「花火とか久しぶりだなー、あんまり家族とやんないしさ」 
「俺なんてホントこういう花火何年ぶりだろ、一人っ子だから家族とやるとかないし」 
赤に黄色、緑に青と色とりどりの火花が俺たちの持っている花火から吹き出す。 
久々にやるとやっぱ楽しいな。こういうのって大人数のほうが楽しいしな。 
くるくると持っている花火を回すちぃ。 
俺の花火に自分の花火から点火してくる岡井ちゃん。 
火が消えると、次々と花火を持ち替えてまた花火を楽しんでいく。 
2人とも楽しんでくれてるみたいで、こういうのを見ると夜中に抜け出させてやった甲斐があるってもんだ。 
でも、俺が手持ちの花火だけを買ってきたと思ったら大間違いだよ。 
2人が手持ち花火に夢中になってる間に、こっそりと他の花火に火をつけた。 

1.ロケット花火 
2.パラシュート花火 
3.釣竿形の人魂花火 



火をつけたのは釣竿型の人魂花火。 
釣竿からぶら下げた糸の先に緑色の火の玉が浮かぶ。 
夜で花火以外の明かりがないこの屋上だったら、糸や釣竿になってる針金も暗くて見えないな。 
これを使って…ニヤリ 

「岡井ちゃん岡井ちゃん、ちょっとこっち向いてー」 
「何ですかー…うわぁぁぁぁぁっ!!」 
突然目の前に現れた緑色の火の玉によほどびっくりしたのか、岡井ちゃんは一目散に逃げ出したw 
「あはははは、こういうのもあるんだねぇw」 
「何だ、ちぃは驚かないのか、つまんないな」 
「ちぃはこういうのけっこう平気だからねw ってか岡井ちゃんびっくりしすぎーw」 
「もう、心臓止まるかと思いましたよぉ、ちさとオバケとヘビだけダメなんですよ」 
ちょっと意外だな。岡井ちゃんオバケとか脅かす役とか好きそうなのに。 

ちょっぴり膨れてた岡井ちゃんだったけど、花火を再開するとまた元通りの笑顔が戻ってきた。 
打ち上げ花火を上げたり、吹き上げる花火を見て3人で歓声を上げたり。 
それぞれに夜中に家を抜け出しての秘密の悪巧みだったけど、これはやって正解だったな。 

長いようであっという間だったけど、花火の本数はどんどん減っていく。 
気付いたら残っているのは、小さな線香花火だけになっていた。 
花火の終わりの定番だよね。 

1.3人で誰が一番長く落ちないか競争だ 
2.3人で1本の線香花火を… 
3.いつまでもちぃと居れるように、ちぃと2人で 



線香花火も本数があるうちは3人でバラバラにやってたんだけど、こっちも当然どんどん本数は減っていく。 
気付いたら最後の1本になっていた。 
「岡井ちゃん、最後の1本やりなよ」 
「えー、徳永先輩こそやってくださいよー」 
「じゃあ3人でやる?」 
3人輪になって寄り添って、1本の線香花火に火をつける。 
ジジジ…と小さな音を立てながら、先端の小さな火の玉が膨らんでいく。 

「またこうやって、花火やれたらいいね」 
「ホンット今日は楽しかったです。またやりたいですね」 
「そうだな…またやれたらいいな」 
パリッ、パリパリと火花が散っていく。 
無性に切なくなる。 
ちぃや岡井ちゃん、他にも色んな女の子がいて。 
いつまでもこうして過ごせたらいいのに…。 
線香の先の火の玉は、落ちることなく、小さくなって、消えていった。 

「あーあ、終わっちゃった」 
「終わっちゃったね…」 
花火は終わった。けど、何だかこの余韻が心地いい。 
このままバイバイして帰るのは勿体無いし、何だかさびしいな。 
2人も顔には出さないけど、そう表情には出てるし。 

1.このまま校舎で肝試しだ 
2.この時間なら涼しいだろうしプールに行ってみようか 
3.コンビニでアイスでも食べて帰ろう 



屋上は風があって涼しかったんだけど、校舎の中に戻るとやっぱり蒸し暑い。 
なんか涼む方法はないか、と考えたときに、ちょっといい方法を思いついた。 
「せっかく夜の学校に忍び込んだんだからさ、ちょっと探検しようぜ」 
「あははー、なんか面白そうーやろやろ!」 
「えーっ!やだやだやだやです!怖いですもん!」 
すぐさま賛成してきたちぃと、全力で否定してきた岡井ちゃん。ホントにオバケとかダメなんだな。 
「岡井ちゃんも行こうよ。何かあっても俺とちぃがいるから大丈夫だって」 
「うー…ちょっとだけですよ。ホントにちょっとだけですからね!」 
腕にしっかりしがみついてくる岡井ちゃんと、反対の手を繋ぐちぃ。 
両手に花なんだけど、2人のテンションはホント対照的。 
「なんか怖いっていうかドキドキするね。夜の学校ってちぃ初めてだよ」 
「ナニモデマセンヨウニナニモデマセンヨウニ……」 
肝試しだっていうのに夜の学校探検でテンション上がってるちぃ、ブツブツなにか呟いてる岡井ちゃん。 
岡井ちゃーん、真横でそんなの呟かれたらこっちのほうが怖いよw 

さて、どこに行ってみようかな。 
やっぱ定番なところがいいな。 

1.理科室 
2.音楽室 
3.保健室 
4.女子トイレ 



やっぱここは定番といえば定番だよね。 
女子トイレの3番目の個室をノックすると、花子さんが返事をする…。 
昔からよく言われてる怪談だけど、ホントなのかね? 
「…ってなわけで女子トイレに行ってみようと思うんだけど」 
「やですやですやです!!うぅ…怖いよぉ…」 
「だーいじょうぶだって!そんなの絶対ウソだし!」 
相変わらず怖がる岡井ちゃんと元気なちぃ。 
それにしてもちぃはホントに怖くないのか? 
普段からやかましいから、こういう大声出したりできない状況だと余計に沈黙が重い。 
こっそり横顔を覗くと、けっこう凛々しい顔してるんだな。 
重い足取りの岡井ちゃんの歩調に合わせてゆっくり歩く。 

ようやく近くの女子トイレに入った。 
なんか男子トイレと匂いが違う気がする。オンナのフェロモンの匂いか? 
バカなことを言うとちぃにひっぱたかれそうなので黙っておく。 
「3番目…だよな……」 
「…ぅぅぅ……」 
「ここ、だよね…」 
3人で少し強張った顔を見合わせ、小さくうなずくと、裏拳にした拳でそっとドアを叩く。 

 "コンコン" 

「…ほら、やっぱ誰もいるわけ…」 
と、言いかけたときだった。 

 "コツ コツ コツ …" 

…う、ウソだろ!? 
廊下を誰かが歩いてくる足音が聞こえた。 
「ウソ、ウソ、ウソ!?」 
「コワイコワイコワイコワイ…!!」 
引き攣った顔のちぃ、ギュッと俺にしがみついて顔を埋める岡井ちゃん。きっと俺の顔も強張ってる。 

1.個室に隠れよう! 
2.俺が見てくるよ、2人は個室に隠れて 
3.見に行くなら、3人いっしょだよ 




 "コツ コツ コツ コツ …" 

足音はどんどん近づいてくる。まさかホントにオバケが…!? 
こういうとき、ホラー番組とかだと、どこかへ逃げても追いかけてきて、最後には…。 
バカな考えを頭から追い払い、どうするかを冷静に考える。 
岡井ちゃんのこの怯えっぷりを見ると、外へ足音の確認なんて行けるとは思えない。 
とすると、仕方ない。 
「個室入って、ほら早く!」 
3人して1つの個室に入る。 
トイレは狭かったけど、他に隠れる場所がないから仕方ない。 
岡井ちゃんをかき抱き、ちぃとしっかり手を繋いで、近づいてくる足音がどこかへ行くよう強く念じた。 
ホラー番組だったら、こういう風に追い込まれた末路は…。 
どうでもいいことを考えていると、足音がトイレの前で止まった。 
思わず両手に力が入る。 

懐中電灯が個室の上の仕切りのない場所やら床を照らした。 
…ということは、これはオバケでもなんでもなくて、警備員さん…? 
だからといって危機が去ったわけじゃない。こんな夜中に学校に忍び込んでるところを見つかったらヘタしたら停学だ。 
早く立ち去ってくれるのを祈りながら、時間が過ぎるのをじっと待った。 

祈りが通じたのか、懐中電灯の明かりが消え、足音が遠ざかっていく。 
良かった…バレなかったみたいだ。 
ふぅ、と大きくため息をつく。 
「危なかったねw」 
「ホントに怖かったぁ…」 
ようやく安堵のため息をついた3人からは笑みがこぼれつつも、そのまましばらく3人でぴったり密着していた。 

「そろそろ大丈夫かな?警備員さんも行ったでしょ」 
「そうだな、そろそろ帰らないと、けっこう時間経っちゃったし」 
「そうですね。…その前に、あの、ちさとおトイレしたいです…」 
警備員さんが遠ざかるのを待って、そろそろ校舎から出ようかという話をし始めた頃。 
岡井ちゃんがこんなことを言い出した。 
「そういえばちぃもちょっとしたいかも。トイレしてから帰ろっか。ちぃ隣に入るから」 
言うや否や、俺はちぃに個室から引っ張り出され、入っていた個室に岡井ちゃんが鍵をかける。 
「ここで待ってて。どっか行っちゃイヤだからね!」 
ちぃもそう言い残して隣の個室に入っていく。 
でもねぇ、俺がそんな素直な男に見えますか?素直な男だったらちぃは俺に惚れてましたか?w 

1.ちぃについて個室に入ってイタズラだw 
2.個室に耳を当てると音が聞こえるかもw 
3.トイレの出口で待ち伏せして脅かしてやれ 



何食わぬ顔でちぃについてトイレの個室に入るw 
振り向いたちぃのちょっと驚いた顔が見えたが、そのままちょっと強引に個室に押し入って、後ろ手で鍵をかけた。 
「ちょっとジミーっち!」 
「シッ!岡井ちゃんに聞こえるよ」 
抗議しかけたちぃの口を押さえて小声で囁く。 
「徳永センパーイ?どうかしましたー?」 
「え、な、何でもないよ!何でもない!」 
岡井ちゃんに隣から声をかけられ、ビックリしたちぃが慌てて答える。 
でもこれで分かったよね、大きな声出したら隣に聞こえちゃうよ〜w 

「ジミーっち…んっ」 
ちぃを抱きしめてキスをする。やば、イタズラのつもりだったのに、本気でシたくなってきたw 
そのまま舌を出すとちぃのほうから絡めてきた。 
「ンっ…ちょ、じ、ミーっち…」 
Tシャツの上から胸をゆっくりと揉むと、さっきのお尻同様に柔らかい感触で押し返してきた。 
ずっと揉んでいたいけど時間もあんまりない。そのまま手を下に滑らせて、ホットパンツのボタンとチャックを外す。 
「ちょっと!い、今はダメだってばぁ!」 
小声で抗議してくるちぃの言葉を無視してパンツの中に手を入れる。 
「マジでヤバいって!岡井ちゃんいるし、お、お、おしっこ…したいから…」 
そういえばそうでした、そもそもおしっこしたくて個室に入ったんだった。 

1.流石にまずいか、外に出よう 
2.まず漏らせ、話はそれからだ 
3.おしっこさせながら胸を揉んだりキスしたり 



「いいよ、しても」 
「ば、バカなこと言わないでよ!で、できるわけないじゃん!」 
「そうだな、パンツ脱がなきゃできないよな」 
「脱がすなってばぁ!」 
流石に恥ずかしいのか抵抗してくるが、ちぃのパンツを下ろすことに成功したw 
「ジミーっち、いいから出てってばぁ…ンッ」 
立ち上がってちぃと向かい合ってキスをする。 
そのまま抱き締めながらゆっくりと2人で腰を下ろしていく。 
ちぃが便器をまたいで、俺と抱き合ったままの格好で用を足す体制だ。 

「ジミーっち、ホント恥ずかしいから、やだ、音とか聞かれたくない」 
「ならこれでいいだろ」 
後ろ手に、水を流すレバーを倒す。 
激しい水音が個室を包み、他の音は聞こえなくなった。 

「んっ…ハァ…」 
「んんん…っ」 
キスをして、舌を絡ませながら胸を揉む。 
心なしかちぃの身体の力が抜けているのは、用を足しているからか。 
上半身はキスをして、身体に触っているのに下半身はおしっこをしている。 
そんな行為がちぃと俺をますます興奮させてるみたいだった。 
さて、ちゃんとおしっこしたなら拭かなきゃな。 

1.早く拭いて続き続き♪ 
2.俺が拭いてやるよ 
3.俺が舐めてやるよ 



「さ、ちゃんとおしっこしたなら拭かなきゃな」 
「い、いいってジミーっち、自分でするから」 
「まぁそう遠慮すんなってw」 
ちぃの言葉を半ば無視してトイレットペーパーを巻き取り、ちぃの股間に手を伸ばす。 
ホントは舐めてやりたいところだけど、それはさすがに殴られそうだw 
「痛いよジミーっち、そんなグリッってやったら」 
「わ、悪い、こうそーっとやればいいのか…」 
「そ、そんなトコまで拭かなくていいから!」 
うまいこと感触が分からないな。他のトコまで触ろうとしたらちぃに止められてしまった。 
まぁいい。キレイになったところで続きを… 

 "ジャァァーーー" 

と、思ったんだけど、隣の個室から水を流す音が聞こえた。 
岡井ちゃんが出てくるな。残念だけどタイムアップだ。 
「やべ、俺出るから、ちゃんと履き直して出てこいよ」 
「ふーんだ、バカジミーっち」 
慌てて個室から出る俺に悪態をつくのを忘れず、俺が出るとすぐにまたちぃは個室に鍵をかけた。 
ま、パンツ履き直して流して出てくるだけだからそう時間はかからないだろう。 

俺が出て程なくして、岡井ちゃんが隣の個室から出てきた。 
「あ、よかったぁ、ジミー先輩ちゃんといて。いなかったらどうしようかと思いましたよ」 
「そんなわけないだろ、隠れて脅かしたりするわけないしw」 
「ですよねw えへへw」 
手を洗いに行った岡井ちゃんを見送ると、ちぃが個室から出てきた。 
若干赤くなった顔で一瞬俺のほうを睨んでたのは気のせいだろうか。 
さて、ひと騒動あったけど今度こそ帰らないとな。 

1.岡井ちゃん→ちぃの順に送ってから帰る 
2.ちぃ→岡井ちゃんの順に送ってから帰る 



トイレから抜け出して、適当な入り口から校舎の外に出た。 
警備員さんがいないか用心深く注意しながらだったけど、見つからずに済んだみたいだ。 
夜の学校っていい遊び場だったんだけど、やっぱちょっと危ないな。 
学校から出て、来たときと同じようにのんびりと帰り道を3人手を繋いで歩いていく。 

「ホントにでも今日は楽しかったです!また遊んでくださいね!」 
「岡井ちゃんもありがとね、ちぃもすっごい楽しかった!」 
「親御さんに見つからないようにね。今日はありがと、おやすみ」 
岡井ちゃんを家まで送り、音を立てないように家に入ったのを見届ける。 
これで岡井ちゃんは大丈夫だな。次はちぃか。 

「ジミーっちの変態」 
「そう言うなよw ちぃだって興奮してたじゃんw」 
さっきのトイレでの未遂事件。正直あれはものすごく興奮したw 
「まぁしてないって言ったらウソだけどさ…ああいう変態なのはやなの!」 
まぁそりゃそうだろうな。女の子がトイレしてるの見られるなんて普通じゃありえないだろうし。 
「決めた。今度ジミーっちのも見せてもらおw」 
「何でそうなるんだよ。大体男のなんて見ても面白くないぞ」 
射精とそう変わらないんだから。出るモノが違うだけで。 

「まぁでも少しだけジミーっちのこと見直したよ。岡井ちゃんに手出さなかったし」 
「お尻は触ったけどなw」 
「あーそうだ!このエロジミーっちめ!この!」 
「こら叩くな!」 
俺の尻を叩いてくるちぃから逃げ出す。そのままキャイキャイ言いながら追いかけっこをしているうちに 
あっという間にちぃの家まで着いていた。 
「今日はありがとねジミーっち、ホント楽しかった」 
「俺も楽しかったよ。またやろうな」 
「うん。今度は……やっぱ何でもない!おやすみ!」 
「あっおい!」 
「ジミーっちも気をつけてね!」 
何か言いかけたちぃは真っ赤になってそのまま裏口に回っていってしまった。 
でも多分、俺はちぃが何を言いたかったのか分かるよ。 
ちぃも元気付けられたし、楽しかったし、いい夜だったな。 
いい気分で寝られそうだ。 

新聞配達らしいバイクの音が遠くで聞こえだして、俺は少し駆け足で家に向かって歩き出した。