今、俺とちぃは電車に乗って前回とは別の水族館に行く最中である 
今回は「事前にあんまり勉強しちゃダメ」と注意があった 
何でも一緒に楽しめなくなるのは嫌だから、だそうな 
なので俺の頭には知識は詰まっていない 

「今日は楽しみだねぇ〜ワクワクするよ」 
「着く前からあまりはしゃぐなよ。向こう着いて疲れて全然みてませんじゃ笑い話だからさ」 
「平気だって。今日の為にたっぷり寝てきたからさ」 

ちぃは体力は有り余ってるとばかりに力瘤を作って笑う 
こいつの笑顔をみてたら、心配している自分が馬鹿らしくなってくる 
まぁちぃが平気って言うんだし平気かな 

「今日行くところってまだ出来たばかりなんだよね?」 
「そうらしい。アシカやペンギンのショーが目玉みたいだ」 
「いっぱい楽しもうね、ジミーっち」 

本当に純真無垢というか、無邪気すぎというか 
ふぅ〜 

「ん?今ため息ついたね。何か悩みでもあるのかな、少年」 

1 何でもない、気のせいだ 
2 お前って子供だなと思ってさ 
3 来週に入試が迫ってるな… 
4 緊張してるから深呼吸だよ(汗) 



「お前って子供だなと思ってさ」 

反射的に俺ははしゃぐちぃに向かって本音を溢していた 
しまった、そう思いちぃをみると、プッと吹き出しそうにしている 
あれ、面白いこといったっけな… 

「馬鹿だね〜君は。楽しめるときに楽しまないでどうするのさ」 
「…そうか?」 
「そうだよ。大人になったら今みたいにはしゃげなくなるんだよ」 
「それもそうだな。ごめん、ちぃから教わるとは思わなかった」 
「コラコラ、引っ掛かる言い方しないでよ。素直に喜べないじゃん」 

いやいや、ちぃはちぃなりにというか色々と考えてるんだな 
人間馬鹿になってはしゃげるなんてこの先ないもんだし、今を楽しむか 

「よし、今日は最高のデートにするぞ」 
「それでこそジミーっちだよ。オォ〜!!」 

人目もはばからず俺たちは多いに盛り上がった 
俺も何を畏まっていたんだかな、ちぃ? 

「ん?今度は何だい。ちぃの顔についてるのかな」 

1 幸せがいっぱいついてるぞ、と頬を引っ張る 
2 頬っぺたに肉がなとつねる 
3 茶色いから汚れてるかと思った、地黒か。悪い悪い 



「幸せがいっぱいついてるぞ」 

そう言って俺はちぃの頬っぺたを引っ張る 
のにゅのにゅしてるこの感触たまらないな 

「あ〜!!引っ張るな〜このお馬鹿」 
「ほらほら、もっとタレ目にしちゃうぞ」 
「お返しにジミーっちのもしてやるぅ〜」 

ちぃは俺の頬っぺたを掴み、上下に持ち上げたり引っ張ったりし始めた 

「ジミーっちの頬っぺたのにゅのにゅしてる〜」 
「掴むな、痛いだろ。ちぃ離せよ」 
「やだよ〜。それよりジミーっちの顔にもついてるもん。ホレホレ」 
「何が?」 
「ちぃといられて幸せって」 

周りの目も何のその、我々バカップル二人は幸せを満喫中だ 
ちぃもテンションの高さで照れるでもなくサラッと恥ずかしい言葉をいってのける 

『次は〇〇〜♪』と、車内に目的の駅が近づいたことを知らせるアナウンスが流れる 

「ちぃ、次で降りるぞ」 
「アイアイサー」 

俺たちは電車を降り、歩いて10分ほどで前の水族館の倍近い大きさの水族館に着いた 

さて、まずは 
1 チケットを買いにいく 
2 案内板を確認 
3 記念撮影でもするか 



案内板をみて、施設全体がどうなっているのかを確認しよう 
案内板をみる目が一際輝いているちぃにはあれこれ行きたい場所があるらしい 

「お前、まずはどこ行きたいんだ?」 
「最初は360度見渡せますがウリのこれでしょ」 

ちぃが指差したのは案の定予想したものだった 
そこを抜けないとショーがやっている広場までは遠回りになるからな 

「チケット買って中に入るか」 
「うん、早く早く」 

自然と俺たちはどちらからともなく手を繋いでいた 
自然すぎて魚をみて興奮して思わず握ったとき、ちぃに「痛い」と言われるまで気付かなかった 

「頭の上をお魚が泳いでるのって不思議〜♪」 
「まぁな。俺は前にこういうの見ちゃったから新鮮さないかも」 
「岡井ちゃんとのデート飛んでけ〜」 

そっけない反応したばかりにちぃから頭を掴まれ揺さぶられた 

「こら、やめろ。頭が痛くなるだろ」 
「他の女の子とのデート思い出すの禁止〜」 

あらあら、ちょっと怒ったか 
一緒に楽しそうにした方がいいかな 

1 やっぱり子供みたいで嫌だな 
2 一緒にはしゃぐ 
3 はしゃぐちぃに微笑む 



「これに懲りたらデート中は他の女の子の話は禁止だよ」 
「わかりました。反省します」 
「よろしい。気持ち切り替えてお魚いっぱいみなきゃね」 

ちぃは再び頭上に広がる神秘的な光景にみいっている 
これ面白い魚だよ、あれは可愛いね、と心の底から楽しんでいる様子だ 
隣で見ていて顔を綻んでしまう 

「なぁに、やらしい顔しちゃってさ。まさかHな妄想してたんじゃなかろうね」 
「それこそまさかだ。ちぃが可愛いなぁって思って」 
「や、やだなぁ〜お魚みなきゃダメだよ。ちぃはいつでもみられるんだから」 
「お魚みて笑うちぃは今しかみられないじゃん。貴重なショットだよ」 
「もぉ〜後でお魚みておけばよかったなんて言っても知らないぞ」 

とは言いつつ、その顔には見つめられるのも悪くないって書いてある 
可愛い奴め 
エスカレーター式の天井型水槽はいよいよ二階に入り、ショーのある広場に近づいてきた 
さっきまでが人気の花形なら、こっちは深海だから日の射さない日陰者か 

「何だか薄暗くなったね…」 
「あぁ、どうやら深海の魚コーナーみたいだな」 
「ねぇ、あのお魚何かな?」 

近づいてくるアイツは1 提灯アンコウ 
2 シーラカンス 
3 鮫 



暗闇からゆっくりとだが近づく小さな光が何かと顔を近づけた俺たちの前に、ギザギザとした牙の不細工な顔の魚現れた 

「うわっ…提灯アンコウか…びっくりした〜」 
「怖い顔してるよ〜食べられちゃいそうなくらい口が大きいよ」 
「そんなに驚いた?W」 
「驚いたよ〜ジミーっちは平気なの?」 
「ま、まぁ」 

なんて強がったが、正直な話驚いたさ、ビビったけど強がってみた 
「嘘つき〜ちょっと驚いた顔してたよ〜」 
「く〜みてやがったか」 
「へへ〜ん、ちゃんと見てました〜。これであの鮫が突然来たらどうなったかな」 

ちぃはからかう材料が出来たからか、ここぞとばかりに攻めてくる 
くそ、何か言い返せない状況が悔しいぞ 

「悔しいの?ちぃに言い返せないのが悔しいの」 

ん、あれは…ニヤリ 

「おい、またアンコウがきたよ」 
「へ?…キャー」 

ざまぁみろ、お前の言っていた鮫だよん 

「嘘つき〜」 

1 嘘つきですよ〜 
2 ごめんよ、と素直に謝る 
3 さっきのお返しだと笑う 



「さっきのお返しだよ」 
「ひっど〜い、ちぃは驚かせてなんかないのに〜」 
「悪い悪い、悔しかったからついw」 

繋いだ手は離さないまま、ちぃは俺の胸を叩いてきた 

「この、この、このぉ〜」 
「怒るなよ〜お前だって俺がビビって笑ってたろ」 
「怒ったもんに〜」 

怒ったといって、ちぃはタレ目をわざわざツリ目にしてみせた 
下から無理やり引っ張っているから、もはや変顔にしかみえない 

「おぉ〜怖い怖いwちぃは怒らせないようにしないとなw」 
「ふぅ〜んだ、ジミーっちほっといてショーに行っちゃうんだから」 
「おい、待てよ」 

一人先を歩くちぃを追いかけ、俺はショーの行われる広場までやってきた 
さて、場所はどこにしようかな 

1 奥 
2 中央 
3 手前 



中央で見れば、ショーが間近でみられるはずだ 

「ちぃ、中央でみようよ。そうすれば、ペンギンがよく見られるぞ」 
「ふぅんだ、中央にいってペンギンと悪巧みしてるんだ。ちぃを驚かそうと」 
「ペンギンとどうやってそんな話し合いができるんだよ」 
「いいよ、中央で。ちぃはジミーっちに騙されても信じるけなげな子だから」 

まだ怒ってるのか、全く・・・ 
頬を膨らませてはいるが、隣の席に座ってくれるだけマシか 

「機嫌直せよ、なぁ」 
「そりゃ〜デートが終わるまでには直るかもね〜」 
「俺のタレ目なちぃちゃんはどこ行っちゃったんだよ。俺の好きなちぃはいっつも笑顔だぞ」 
「あんな怖い目にあわせるからです。ジミーっちなんか鮫に食べられちゃえばいいもんに〜」 

なんて物騒な言葉を吐くんだ、と俺がちょっとムスっとするといつもの笑顔をちぃがみせた 

「まだ怒ってると思った?w」 
「べ、別に〜反省しそうになって損した。今度はもっとビックリするの用意してやる」 
「そうはいかないよぉ〜だ。今度はちぃが驚かせてやるんだから」 

2人の間で妙な対抗心が芽生えたところで、ショー開始のアナウンスが流れる 
ステージ上にぞろぞろとペンギンたちがよちよち歩きで登場する 
その様子に俺とちぃ、他のお客さんたちも盛大な拍手で迎えた 
ペンギンたちは飼育員の人の笛を合図に輪をくぐったりと芸達者だ 

「中央にきてよかったろ?」 
「だね。よく見れるね〜ペンギンさんも可愛いしさ」 

1 ペンギンも可愛いが、お前も可愛いぞw 
2 次のイルカがメインだ、水しぶきがくるぞぉ〜ウシシ 
3 餌あげられる人に立候補したら? 



ペンギンを見て、微笑む姿はいつもよりも断然女の子らしい 
横顔を眺めているだけで、何だか寒さも吹き飛ぶな 

「ペンギンも可愛いが、お前も可愛いぞw」 
「あぁ〜そうやってまたちぃをからかおうとしてるでしょ〜」 
「してないって。本心から言ってるんだ。さっきみたいな嘘とは違うんだって」 
「ホントに〜」 

ちぃがじっと冷たい目で俺の様子を探ってくる 
さっき鮫の件でからかいすぎたからか、少しは疑り深くなっているようだ 
やりすぎたかな・・・ 

「おい、俺はちぃを可愛いって嘘で言うわけないだろ。どんな嘘ついても、それだけは本当だ」 
「ば、馬鹿・・・こんなところでマジ告白することないじゃん・・・」 

本心であることを伝える為、ちぃの肩を掴んで目を離さないように話した 
俺の瞳を覗き込むちぃの瞳がキラキラと輝いてみえる 
次第に赤くなった顔を俯かせ、ちぃは黙り込んでしまった 
もう世界には俺と千奈美だけと思い込んでいた矢先、飼育員のお姉さんの声が響いてきた 

「はいは〜い、中央最前に座るお兄さんとお姉さんもさっきのペンギンの大技みてくれましたか?」 
「え?」 

明らかに俺とちぃを指摘したアナウンスだ 

「ジミーっちのせいで恥ずかしい思いしちゃったじゃん・・・このお馬鹿」 

もう何度目かわからないちぃの馬鹿が聞けて、俺はつい嬉しくなってしまった 

周りからの『何、惚気てやがるんだ』という視線も痛くも痒くもない 
それだけ俺たちが周りにも幸せそうにみえてるってことだからな 

「馬鹿はやめろっていうの」 
「馬鹿に馬鹿っていって何が悪いんだか」 
「俺だってたまには頭を働かせることだってあるんだ。たまには」 
「でもでも、馬鹿につれる薬はないっていうじゃん」 

・・・馬鹿につける薬だって・・・ 
本当、ちぃはことわざに限らずどこかしら間違えるな 
バカップル街道をひた走る俺たちは、ショーに目もくれず話してばかりで、 
その後は当然近くの席の人から注意が飛ぶ、と毎度おなじみの光景 
やっぱり、ちぃといる時ってハプニングはつきものだしな 

「ん〜最高のショーだったね〜ホント」 
「楽しかったな、イルカが特にさ。あの大ジャンプは間近でみると迫力あったな」 
「だね、迫力満点だったね」 

俺たちがショーを見終え、館内をウロチョロする内に外はもう夕方らしい 
そろそろ、次の場所にいくか 

1 お土産は買っていかないと・・・でも、買っていくとデートってバレるな 
2 夕飯食べに行くか 
3 ちぃに任せよう 



夕飯食べに行こう 
丁度電車に乗って、地元に戻ればいい時間だろうしな 

「ちぃ、夕飯食べに行こうか」 
「うん、そうしようか。夕飯は豪勢にいこうよ」 
「そうだな、ちょっとくらいなら奮発するぞ」 
「いいっていいって。あんまり出してもらっちゃうと悪いじゃん」 
「気にするな。ちょっとバイトしてお給料入ったからさ」 
「う〜ん・・・了解。君がいいならおごってもらうことにするよ」 

渋い顔をしていたが、ちぃは俺がおごるのを了承してくれた 
最近、桃子先輩のとこでバイトして出たお金なんだし、気持ちよくおごれる 
自分で稼いだお金で好きな子におごれる事とそんな自分が誇らしかった 
電車で地元に戻ってきたはいいが、駅前はいろいろとお店があってどんなところがいいんだろう 

「ちぃ、希望のお店や食べたいものないの?」 
「食べたいもの?またまた〜君は準備いいから行くお店決めてるんじゃないの?」 

そういうのは計画に入れてなかったんだけどな・・・ 
どんな店がいいのかな 

1 魚料理のお店 
2 パスタのお店 
3 見栄なんて張るな、牛丼だ 



パスタのあるお店に行くことにしよう 
女の子ってなぜかパスタが好きなんだよな、理由はよくわからないけど 

「確か、この辺に美味しいパスタのお店があったんだ。そこに行こう」 

俺はうろ覚えながら、ちぃを案内することになり、何とか目的のお店までたどりついた 
店内は女の子がいかにも喜びそうなアンティークの品物で埋め尽くされている 
要は雰囲気がとてもいい、らしいのだ 
入ったとたん、ちぃもお洒落なお店だとお気に召したようだ 

「こんなお店よく知ってたね。偉い偉い」 
「えっへんw」 
「今だけね。普段はエロいエロいw」 
「一字違いでだいぶ変わるもんだな・・・」 

2人して顔を見あせて多いに笑っている間に、食卓にはパスタが運ばれてきた 
美味しそうなのは匂いからだけでもすぐにわかる 
俺たちは言葉数も減り、皿を空にするまであまり会話らしい会話はなかった 
それくらい料理に夢中になっていた 

「ジミーっち、最高に美味しいよ〜これ、本当に美味しい〜」 
「だな。来てよかったよ」 
「うん、バッチリです!!」 

お前と一緒だから余計に美味しいんだ、とはいえやしなかったけど 

お腹が満腹になったところで、俺たちはお店を後にした 
デートも終わってみれば、あっという間だったとしか言いようがない 
水族館デートも満足してもらえたし、よかったよかった 

「ジミーっち、今日は100点中・・・99点です」 
「えぇ〜いきなり採点するなよ。あと1点足りなかったのは何で?」 
「大満足したけど、もうちっとトキメキをちぃにおくれよ。知り合ったばかりの頃のさ」 
「よっしゃ〜次は100点目指してがんばるか」 
「そうそう、次回はもっと楽しくなくっちゃね」 

俺たちは間近に迫った入試のことなぞ、頭の中から忘れて多いに盛り上がった 
先輩4人組による強制勉強会がなかったら、俺はちょっとヤバかったかも 
今日の採点のおかげで、次のデートのプランを練るばかりだったから 
ちぃ、次回楽しみにしてろよ