「…くしゅっ」 あぁ、寒いと思ったら、部屋着のまま出てきちゃったんだ。 両手で身体を抱くところで、手に紙を握り潰してることに気付く。 開くと、ああ、思い出してきた。 卒業式も本当に目の前、そう何度も東京に行ってられないってことで、合格発表通知が来るのを待ってたんだ。 待ちかねたその手紙、私立の第一志望の大学。 ぐしゃぐしゃになった紙を開いて見返しても書いてある内容は同じ、『不合格』。 自信もあっただけに、あんまりにショックで放心状態になったところまでしかハッキリとは覚えてない。 そのまま、着の身着のまま外に出たってことか。 あぁ、もうダメかもしれない俺、あれだけ必死で勉強したのに。 いくらまだ国立が残ってるっていったって。 「ジミー?」 「…え?」 「ジミーどしたの、こんなとこで」 こんなところでこんな俺のことを呼ぶ人なんているはずがない。 なのに振り向くと、俺より背の低いその姿に涙が溢れてきて… 「姉ちゃんっ!」 「きゃ、ちょっとジミー!?」 「姉ちゃんっ、姉ちゃ、ぐすっ、おれ、おれ…!」 小さな姉ちゃんを思い切り抱き締め、感情が爆発する。 ひとしきり泣き喚いて、少し落ち着いたところで改めて何で姉ちゃんがこんなところにいるのか考える。 放心状態のままどこをどう歩いてきたかも全然覚えてない。 ここは… 1.姉ちゃんの家の近く 2.学校の近く 3.何だ、俺んちのすぐそばじゃん 1で 3かな 「落ち着いた?どうしたのこんなカッコでこんなトコにいるし」 「ぐすっ、ぐす、ごめん姉ちゃん、俺、俺…」 「そんなカッコじゃカゼひいちゃうよ、ほら、とりあえずうちおいで」 「うん…」 ひとしきり泣いて、姉ちゃんの肩口から顔を離す。 俺の涙やら鼻水やらで巫女さんの衣装がぐちゃぐちゃになっちゃってる。 姉ちゃんに手を引かれ、すぐそばだった姉ちゃんの家へと連れて行かれる。 「ほら、これで顔拭いて、あったかいお茶淹れたから、飲むと落ち着くよ」 「…ありがと姉ちゃん」 「何があったか、話せる?」 お湯で洗った熱いタオル、そしてお茶を飲ませてもらい、ようやく落ち着く。 握り潰してグチャグチャになってる不合格の通知を渡す、けど言葉がうまく出てこなくて、俯いたまま。 でも姉ちゃんは察してくれたみたいで、小さく「そっか」と呟く。 「もう全部結果出た?まだ国立出てないよね」 「(コクッ」 「卒業式のあとでしょ、もうすぐか」 「………」 ホントにホントにもうすぐ、学校に行くのももうその卒業式の日だけ。 でもこんな結果が戻ってきたんじゃ自信なんてない。 滑り止めは受かってるけど、行くかどうかは未だに決めてないし。 「なら大丈夫だよ、試験ちゃんとできたってメールしてくれたでしょ」 「………」 「大丈夫だって、自信持ちなよ」 「……」 姉ちゃんが励まそうと俺の頭を撫でる。 けど、そんなこと言われても。 1.自信ないよ… 2.姉ちゃんには俺の気持ちなんて分からないよ 3.空元気でも元気なところ見せよう あえての2で 1で 1で 「自信、ないよ…」 「ジミー……」 「俺、浪人するかも、なんて考えたこともなかったし、どうしたらいいか」 確かに、私立も国立も試験は手ごたえあったし、滑り止めもいくつか受かってたから受かった気でいた。 だから志望校に落ちるなんて想像もしてなかったし、そうなったときにどうするかなんて考えてもなかった。 「…分かるよ」 「んっ…」 「私もね、第一志望の学校落ちたときどうしようか本気で悩んだもん」 「ねえ、ちゃん…」 引き寄せられ、姉ちゃんのぬくもりに包まれる。 姉ちゃんも第一志望の学校失敗して今の学校行ってる。 包まれて囁く声は小声だけど、その声には力がある。 「どうしようって本気で悩んだけど、試験は終わってるからどうしようもないもん、だったら悩んでたって意味ないよ」 「………」 「先のこと考えなきゃ、受からなかったのは残念だけど、今しか見えないこと、できないことはあるはずだよ」 「……姉ちゃん」 多分姉ちゃんも去年、同じように悩んだんだ。 悔しくて悔しくて、でも姉ちゃんは今の大学行ってるし、楽しんでる。 落ちても、自分で納得できてるんだ。 1.ありがとう姉ちゃん、もう大丈夫 2.もう少しだけこうさせて 3.俺は姉ちゃんみたいにできないし強くないよ 2で 2かなあ 2ですよね 「姉ちゃん……ありがと」 「どういたしましてw」 「でも…もう少しこうしてていい?」 「もう……しょうがないなぁ」 姉ちゃんに抱き寄せられたまま、背中に手を回して思い切り抱きつく。 パリッと洗濯された巫女さんの服は、着て時間が経ってるのにきっちりしてる。 けど、姉ちゃんの柔らかい感触、姉ちゃんの匂いがする気がする。 「ジミーはこの1年、いっぱい勉強頑張ったんだもんね、舞美から聞いてるよ」 「……うん」 「いっぱい走ってきたから、少しだけ休んでもいいんじゃないかな、少し休んだら、また走れるよね?」 「…頑張る」 姉ちゃんが背中に片手を回し、片手で頭を撫でてくれる。 あぁ、こんな風に甘えられることってこれまでなかったからすごい安心する。 ありがとう姉ちゃん、大好き。 「ねぇジミー、もういい?」 「まだ、もうちょっとだけ…」 「んもう…ちょっとだけだよ」 「はぁーい」 姉ちゃんに包まれたまま、姉ちゃんのぬくもりを感じながらそのままでいること数分。 姉ちゃんがこつん、と軽く俺の頭を小突いてくるけど、されるがままに俺を抱いててくれる。 抱き寄せられた頭が姉ちゃんの柔らかい胸の谷間に包まれてて、もうこのまま離れたくない感じ… 1.やらせろ姉ちゃん! 2.…姉ちゃんのおっぱい、生で触りたい 3.从・ゥ・从пモ烽オもしジミー?合格発表どうだった? 3も気になるなw 2にしとくか 3でw 「あ、あのさ姉ちゃん、姉ちゃんのおっぱい、生で触りたいんだけど…」 「何言ってるの、さっきまであーんな泣いてたくせに、ダーメ」 「お願い、姉ちゃんのおっぱい触ってたら安心するんだ、さっきまでもそうだったから、お願い!」 「やーだぁ、そんな風に思って抱きついてたの!?」 姉ちゃんの柔らかい胸にもっと触ってたい、そう思ったらもう止まらない。 拝み倒して姉ちゃんの生乳に触れるようにおねだり開始。 照れて恥ずかしがる姉ちゃんも食い下がる俺に、数分の押し問答の末、ついに折れてくれる。 「もうしょうがないなぁ…ちょっとだけだよ、恥ずかしいから向こう向いてて」 「分かった姉ちゃん、ホント嬉しい」 「んもう…こっちは恥ずかしいんだよ…見ちゃダメだからね!」 「分かってるってば、あれ、電話だ…舞美先輩?」 聞いてくれても恥ずかしがる姉ちゃんに後ろを向かされ、そのまま待たされる。 衣擦れの音が妄想を掻き立てていい感じ…でもやっぱ気になるし振り向いちゃおうか… って、マナーモードになってる携帯が震える。 舞美先輩からの電話、そう深く考えずに通話ボタンを押して電話に出る。 「もしもしジミー?今大丈夫?」 「えーっと…少しだったら」 「どうだった?私立今日合否出るんだよね?」 「あー…ダメでした、すいません…」 いつもどおりのテンションの舞美先輩、カテキョモードで俺の私立の合格発表が気になってたみたいで。 さっきまではこの世の終わりみたいに凹んでたから、まともに話すのもできなそうだったけど。 立ち直らせてくれた姉ちゃんに感謝だ。 「そっかぁ、国立は卒業式のあとだよね、そっちは大丈夫そう?」 「えぇまぁ、ベストは尽くしてるんで…」 「そっかそっか、でもよかった、ダメだったっていうけど、案外元気そうだしね」 「お陰さまでw」 卒業式のあとは第一志望の国立の合格発表。 それもカテキョだった舞美先輩にとっては気になるよね。 色んな先輩に気にかけてもらえて俺ホント幸せ者だよね♪ 舞美先輩との会話が盛り上がり、うっかり俺は背後のことを忘れかけ… 1.あっ姉ちゃん、携帯返して! 2.あれ姉ちゃん、何で脱いでないのさ 3.今からデートですか!? 3でw あえての3→1で 1かな 1で姉ちゃんから舞美先輩への挑戦状とかw 『じゃあさジミー、いまヒマ?ヒマだったらどっか遊び行かない?』 「今からですか?えーっと…」 『残念会じゃないけどさ、美味しいゴハン食べたら忘れるって、たまにはおごってあげるからさ!』 「ホントですか!?」 俺ってば現金w 舞美先輩と今からっていうかこのあとデートってのも悪くないなぁ。 姉ちゃんに励ましてもらったし、舞美先輩にも励ましてもらえたら俺もうフル勃起…じゃなくてフル充電だよ。 じゃあ後で…って!? 「ちょ、姉ちゃん!?返して!」 「ごめん舞美、ジミー今ちょっと取り込んでるんだ、後で掛け直させるから」 『えっ…佐紀!?もしもし、え、ジm(プツッ』 姉ちゃんが俺から携帯を奪い取り、ものすごい事務口調で一方的に話して、電話を切ってしまう。 押し付けるように携帯を突き返された姉ちゃんはこの上ないくらいに不機嫌で仏頂面。 もちろん、さっきまでの衣擦れどころか、さっきまで以上にカッチリ巫女さんの服も着なおしてる。 「姉ちゃ、何すんのさ!」 「知らない、そんなに舞美がいいなら舞美のトコ最初から行けばよかったのに」 「姉ちゃん、俺そんなつもりじゃ」 「私じゃなくても怒るよ、こんな…ふんっ」 姉ちゃんに甘えて甘えて、いいムードだったところに舞美先輩からの電話、しかも俺がそっちに夢中になって。 姉ちゃんからしたらそりゃ面白くないかもしれない。 けど舞美先輩だって俺のこと心配して電話してきてくれたのに… 1.ごめん姉ちゃん、反省してる 2.じゃあ舞美先輩のとこ行く前に揉ませて 3.…姉ちゃん、電話鳴ってるよ…… 3でAV定番のアレですなww 3で 3で 「ほら、舞美とデートなんでしょ?行けばいいじゃん」 「待ってってば姉ちゃん、俺別に今すぐ行くとは」 「いいんじゃない?長くいたほうが楽しいでしょ」 「姉ちゃんってばぁ〜…」 完全に怒っちゃってる姉ちゃん、いや、悪いのは俺なんだけど。 話どころかまともに謝らせてさえくれない。 俺の話なんて聞きたくないとばかりに身体を横向けちゃって、俺のことを完全無視体制。 ♪〜♪♪〜〜〜♪ 「……」 「………」 「…姉ちゃん、電話鳴ってるけど…」 「………もしもし?」 重い沈黙を切り裂く軽快な着信音。 清楚な巫女さんの持ち物としてはちょっとギャップのあるイマドキの曲。 俺の言葉に渋々ながら電話に出る姉ちゃん。 『あ、もしもし佐紀!?あのさ、さっきその…私ジミーの電話にかけたんだけどさ、もしかして佐紀いっしょにいた?』 「ん…まぁ…」 『なんかごめんね、私空気読めないからさ、なんか勘違いさせちゃってたら悪いなと思って』 「別にそんなんじゃないから、それに気にしてないから」 俺に怒った手前、舞美先輩にどういう態度で接していいのか戸惑ってる姉ちゃん。 テンション的にはそれほど長電話する気はなさそうだけど、舞美先輩の話が途切れず、なかなか切るタイミングが掴めないでいるみたいだ。 1.姉ちゃん、電話代わって 2.舞美先輩だけじゃなく俺も誠意を見せて土下座謝罪 3.じゃあ約束したし今乳見せてください 選択ミスったぽいですね 2で 難しいね 1だと何故か舞美先輩にも怒られたりして 『佐紀のほうも春休みだよね?何してんの?』 「何って…普通かなぁ、ほらウチ神社だからさ、手伝いとか」 『あーそっか、私どうしようかなぁ、ジミーが卒業したらバイトもなくなるしさぁ、もう一人してほしいって子いるんだけどさぁ』 「そういえば相変わらず走ってるの?」 もともと舞美先輩と姉ちゃんはタイプは違えど親友同士。 姉ちゃんも舞美先輩に矛先向けて怒ったりはできなくて、それどころか話してるうちにどんどん盛り上がって機嫌も直ってきたみたい。 でもやっぱり俺としては姉ちゃんの機嫌損ねたのは少し後味が悪い。 ちゃんと謝らなきゃ。 「あーいいねぇ、えっとね…火曜日とかだったら空いてるけど」 『いいじゃん!私も火曜バイトなくなったし空いてるよ』 「じゃあ今度遊びに行こっか、うわーすごい久しぶり!」 『だねぇ、うん、じゃあ近づいたらまた連絡するね』 すっかり盛り上がってガールズトークになっちゃってる姉ちゃんと舞美先輩。 さっきまで俺と舞美先輩で盛り上がってたときは怒ってた姉ちゃんだけど、同じ立場だとほったらかされるのやっぱり面白くない。 姉ちゃんの機嫌が直ってくれたからまぁ、いいんだけど。 「ごめん姉ちゃん、さっきは調子に乗りました」 「え、えっ!?ちょ、何してんの!?」 「これからは姉ちゃんの目の前で浮気とかそういうのしないようにするから、ホントごめんなさい」 電話を切ってこっちを振り向いた姉ちゃんが目を丸くする。 まぁ俺が土下座で姉ちゃんに頭を下げてるからなんだけど。 これくらいしないと気が済まない、安い土下座だけど、誠意は込めてるつもり。 「もう…次から気をつけなよ」 「姉ちゃん…!」 「もう怒ってないから」 よかった、本当によかった。 姉ちゃんの機嫌が直ってくれたし。 1.じゃあ仲直りエッチとしゃれ込もうか 2.服着たままでいいから甘えさせて 3.じゃあ俺、舞美先輩と約束したんでw いきなり1とか チッ、電話させたままエッチできると思ったのに・・・w 1で 「ありがとう姉ちゃん!」 「キャ!ちょっとジミー!?」 「仲直りのしるしに…ね、いいでしょ?」 「だーめっ、こらっ、いい加減にする!」 許してもらえた喜びを態度で表そうと抱きついて押し倒し、衣装の胸元を開こうとしたところで後頭部をはたかれる。 仲直りエッチしようと思ったのに… 「いたた…そんな思いっきり叩かなくていいじゃん!」 「普通叩くでしょ、ホントにエッチのことしか考えてないんだから…」 「そんなことないよ、姉ちゃんと仲良くする方法はいつだって考えてるし!」 「も、もう、そんなこと言ってもダメなものはダメっ!//」 胸元かき合わせて、俺の言葉に照れた姉ちゃんがそっぽを向く。 横向いた姉ちゃんのほっぺたが、薄化粧のおしろいの上からでも分かるくらい赤くなってる。 「…もう……ジミー、ちょっとだけ手貸して」 「? はい」 「ちょっとだけだからね……ンッ…//」 「ぁ……//」 姉ちゃんに言われるままに手を差し出すと、その手を引っ張って、衣装の中へと導かれる。 巫女さんの衣装の内側、柔らかいくてあったかい膨らみの感触。 「今日はこれでおしまい!元気出た?」 「出た出た、でもまだまだ元気出したいからもっと…」 「だーめ、今日はもうおしまい!」 「そんなぁ〜…」 さっきよりもっと赤くなった姉ちゃんが抱き締めようとする俺の身体を押し返してくる。 胸の感触の余韻に浸るように手のひらを見ながらグーパーと手を動かすと、両手で膝を掴むように自分の脚に押し付けられた。 「もう…国立に受かったら、ぉ、お祝い…してあげるから」 「ホントに!?」 「う、受かったらだからね、落ちたらダメだよ!」 「大丈夫大丈夫、絶対受かるから!」 耳元で囁かれた言葉に飛び上がって喜ぶ俺も単純なんだけど、姉ちゃんも俺をノセる方法をよく分かってる。 そんなこと聞いたら、楽しみにしないわけにいかないじゃないですか。 卒業式の次の日に迫った本当本命第一志望の国立大学の合格発表。 大好きな姉ちゃん、優しい姉ちゃんとのお祝いを夢見つつ、姉ちゃんに貰った元気で足取り軽く帰路についた。