今日は女の子が男の子にチョコを渡す一大イベントの日だ。 
朝から男どもは浮足立っている奴らが多い。 
だけど、俺はそんな浮かれた気分でいられはしなかった。 

「ん・・・ん〜ん〜」 
「静かにして下さい。あなたに手荒な真似はしません。あなたはお嬢様のお客様ですから」 

俺はリムジンの後部座席に猿轡をはめられ、手足を縛られた状態でいる。 
そして、運転席と助手席には黒いサングラスに黒いスーツを着た怪しい奴らがいる。 
俺が何でこんなことになっているのかはさっぱりわからない。 
いきなり登校途中で乗せられてしまったのだ。 

俺がどうしてこんな状態になってしまったかといえば、 

「あなたもあんな子供だましな手にひっかかるとは、本当にただのスケベですね」 

黒服の男の一人に苦笑交じりに馬鹿にされてしまう。 
まぁ、笑われても仕方ないんだけど、エロ本が道々落ちていたのを拾っていったら、この有様だ。 

「さて、つきましたよ。あなたにはこのお部屋でお嬢様がいらっしゃるまでお待ちいただけますよう」 
「こら、手足を縛るロープもほどいていけよ。おい、こら、おい」 

悔しいが、俺はこのままでいるしかないみたいだな。 
くそっ、誰だよ、俺をこんなところに連れてきた人間は。 
こうなったら、 

1 ありったけの声で叫ぶ 
2 拾ったエロ本の内容を思い出して、少しでも気を紛らわす 
3 仮面ライダーになった気分だな、やめろ〜ショッカーって言ってみるか 



仕方無い、気分を紛らわそう。 
えぇと、確か拾ったエロ本はどんな女の子がいたっけな〜。 
むふふふ、あぁ〜ああいう感じだったっけ、うへへへ。 

「へぇ〜こんな状態なのに君ってやつは呑気なんだね。面白い」 
「ん?み、雅ちゃん」 
「久しぶりだね。元気そうで何より」 
「ちょ、ちょっと、俺をさらったお嬢様って言うのは・・・」 
「そう、まさかのまさか。私ってわけ。どうにもこうにも二人きりになれないものだから、力づくでやっちゃったw」 

そう言う雅ちゃんはにっこりと笑い、俺が寝かされているベッドの隣に寝転がった。 

「二人きりになりたいならそう言ってくれればよかったのに。俺はいつでも大丈」 
「ストップ」と言うと、俺の口に人差し指をあててきた。 
「君は、いっつも誰かといるから無理に決まってるじゃん。だから、誰もいないときって言ったら、登校する時かなって」 
「だからってこれはちょっと・・・」 
「どうしてこんな目にあったか知りたい?」 

何だろう、雅ちゃんの眼が怪しく光った気がする。 

1 知りたいですぅ〜ととってももの欲しそうな顔で 
2 いえ、知りたくないですと断る 
3 こっちが答える前からそれはないっしょw 



その瞳の輝きはちょっと怖いけど、何だかいつもとは違った魅力があるね。 
うん、大好きさ、そんな君も。 

「知りたいですぅ〜」 
「そんなに知りたい?」 
「はい、とっても〜」 
「へぇ〜知りたいってわけね。なら、体で教えてあげる」 

雅ちゃんはさっきまでのにこやかなムードから一転、一気に怒りモードに切り替わった。 
あ、やっぱり怒ってたのね。 

「このセーラー雅が夏焼さんに代わってお仕置きよ!!」 

立ちあがった雅ちゃんがきていたのは、どこかのアニメで見覚えのあるミニスカセーラー服だった。 
しかも、ピンクのブーツまではいているし、お嬢様はコスプレにも気合が違いますな。 
って、言ってる場合じゃございませんでした。 

「ちょ、ちょっと・・・」 
「なぁに?この物騒なものを踏みつけられて痛いの?」 

そのブーツで踏みつけられてきもち・・・いえ、痛いんです。 
勘弁してもらいたいくらいです。 

「痛いの?なら、どうして元気になってるのかしら」 

1 それはもっとお仕置きしてもらいたいからです 
2 こいつが原因で他の女の子にふらふらしてました、もっといじめてやってください 
3 セーラー雅め、こしゃくな〜俺の真っ白ビームをブーツにくらわせてやる 



そりゃもうね、言葉にしなくてもわかってるくせに。 
相変わらず鈍いんだから、この人ったら。 

「それはもっとお仕置きしてもらいたいからで〜す」 
「そうなの〜なら、もっとお仕置きしてあげなきゃね〜」 
「あ、うぉ〜いいです〜とっても〜」 
「何がいいの?お仕置きされてるのにどうして元気がいいの?この子は」 
「うっひょ〜」 

お仕置きと言う名のプレイですね、わかります。 
雅ちゃん、いつになく責めてきてますけど、これはどういうわけ? 

「あの〜俺は・・・こんなんじゃなくて、普通に君とぉ〜」 
「君と?」 
「君とぉ〜あは、や、やめて、ブーツのかかとで玉を転がすのは反則っす」 
「先を言ってくれなきゃダメだよ。これもやめてあげない。私がどれだけほったらかしにされて寂しかったかわかるまではやめならいから」 

1 愛し合いたいです 
2 話したいです 



俺はもっと普通に話しあいたいよ。 
今まで放置しすぎていたから、君ともっと色んな話がしたい。 

「俺はき、君と話がしたいよ。俺、雅ちゃんと話したいことがいっぱいあるんだ」 
「話ならこの状態でも聞けるけど、縄をとかないとできないことなの?」 
「うん」 

一瞬迷ったみたいだったが、雅ちゃんは仕方ないとばかりに縄をほどいてくれた。 
縄を解き終わると、今度はちょっと寂しそうな顔で俺をみつめてきた。 

「ごめんよ、本当に。俺、君とも一緒にいたかったんだけど」 
「他の子もほっとけなかったでしょ。わかってる」 
「ごめん・・・」と、それ以上は心から反省しているからか言えなかった。 

雅ちゃんが瞳を潤ませているなんて、初めてみた気がする。 
こんな顔をするんだな、雅ちゃんって・・・ 

「寂しかったんだよ。とってもさ」 
「うん、もうほったらかしになんてしないからさ。約束する。ずっと一緒にいる」 
「嘘つきの君が言った言葉でも嬉しいよ」 
「あははは・・・」 

嬉しいと言いながらも、俺のほっぺたをつねって離さないあたり、まだ怒ってるんだろうな。 

「今日は何の日か知ってる?」 
「バレンタインデーじゃないの?だよね」 
「ううん・・・ 

1 今日は君が私にプレゼントくれる日だよ 
2 と、言いながらチョコを渡してくれた何か天の邪鬼な雅ちゃん 
3 君をお仕置きする日だって言ったでしょ 



「今日って2月14日じゃなかったっけ?」 
「そうだっけ?違うと思ったけど」 

俺が首をかしげ、絶対そうだったはずだと思っていると、横から小さな箱を手渡された。 

「よくわかんないけど、とりあえず持ってたからあげるね。べ、別に手作りってわけじゃないんだからね」 
「手作りなんだ」 
「もぉ〜いいから受け取っておいて。箱はすぐに開けたらダメだよ」 
「今開けるね」 

俺は心の準備が出来ないまま、横から雅ちゃんにじっとみつめられるまま、箱のリボンをといた。 
綺麗にラッピングされた箱は、まさにプレゼントするための物だ。 
それをすんなり渡せず、素直に気持ちを表現しないあたり、雅ちゃんらしいな。 
ま、そこが可愛いんだけどさ。 

「うぉ〜すげぇ〜うまそう」 
「ほ、本当に?」 
「うん、これは力入ってるね〜じゃあ今すぐに食べてみるね」 
「う、うん」 

一口食べただけで、ただチョコを溶かしただけで手作りと名乗るチョコとは大違いだとわかった。 
これ、かなり美味しいよ、雅ちゃん。 

「おいしいよ」 
「ありがとう。あ、べ、別にね、君に喜んでもらいたくて作ったわけじゃないの。弟にあげ忘れたのがあっただけ・・・」 
「あげ忘れただけのおこぼれでも俺は大好きだよ。ありがとう」 
「ちょっと」と言った雅ちゃんが、 

1 俺の口の横についたチョコを舐めてきて、そのまま 
2 もっと味わってもいいんじゃない、高いチョコなんだしと文句を言ってきた 
3 何でもないとまたチョコをおいしそうに食べる俺をみつめてくる 



「何でもない。気にしないで、そのまま食べて」 
「う、うん」 

俺はペースを乱されっぱなしのまま、チョコをぱくぱくと口の中へ放り込む。 
美味しいからついつい手が止まらない。 
う〜ん、実に美味しいな。 

「これ、俺が今まで食べてきた中で最高のチョコだよ」 
「へぇ〜君は男だし、あんまりいいチョコ食べてないからだよ。もっと美味しいチョコはいくらでもあるって」 
「そんなことないって、最高のチョコだよ」 
「まぁいいけど。あとちょっとだし、最後まで食べちゃって」 

俺は雅ちゃんにみつめられたまま、残りわずかのチョコを食べていく。 
しかし、食べづらいったらありゃしないな〜こう落ち着かないんだよな。 

「どうしたの?」 
「いや、ちょっと落ち着かないなって」 
「ふぅ〜ん。あ、動かないで。いい?絶対だからね、動いたら殺すよ?」 
「う、うん・・・殺されるのは嫌だな」 
「じゃあ目を瞑ってください」 

俺は仕方なしに目を瞑ると、じっと動かずにいる。 
そこへ、雅ちゃんの息使いが鼻のあたりにあたるのを感じ、これは何だ?と思う。 
ど、どうしよう、こ、これは 

1 キスしたいってことだな、顔を動かそうっとw 
2 じっと我慢するんだ、約束だしな 
3 あえて殺さないでとふざけてみる 



これってさ、どう考えてもキスしようってことだよな。 
なら、雅ちゃんには悪いがこうせざるをえないようだ。 

「え、ちょ、ちょっと・・・ん〜」 

顔をちょっと動かし、俺は見事目を瞑ったまま、雅ちゃんとのキスに成功。 
もちろん、頭をぶっ叩かれたわけだが、それでも俺はキスをやめようとはしなかった。 
しまいには舌を入れてしまったし、ここまできたら突っ走るしかないよ。 

「ごめん、ちょっと調子に乗りました」 
「ちょっと?すんごいあったまきた。あれがちょっとだなんて信じられない」 
「でも、でも、雅ちゃんだってキスはしたかったわけでしょ?」 
「そ、そんなことないよ。君とキスしたかったら、普通にキスしてって言うし」 

う〜ん、素直じゃないのな、本当に。 

「あの〜もうちょっとさ、素直になろうよ。俺、雅ちゃんの気持ち知りたいな」 
「・・・素直にって?」 
「ほら、俺みたいにとは言わないけど、自分がしたいことをした方がいいってこと。キスするにしても」 
「そ、それは」 

自分でも恥ずかしいくせに、こんな格好までしちゃってさ。 
いつもの自分じゃ素直になれないからこんな格好したんだろうに、それでも素直になれないってとことん不器用だな。 

1 自分の胸に雅ちゃんの頭をおしつけ、ホントのじぶんになっていいんだよ? 
2 もうお互いにいい顔しあうのはよそうとスカートめくりする 
3 もう一回チューしようと顔を近づける 



俺は自然と雅ちゃんの頭を自分の胸におしつけていた。 
なんつうか、俺なりに男らしい姿をみせようと頑張ってやったつもりだ。 
俺の胸の中でもがく雅ちゃんは、今までみせてくれなかった雅ちゃんのホントのじぶんがみられた気がする。 
今までだったら、お嬢様らしくおしとやかになろうとしていたじゃん。 
それがないんだよ、今は。 

「こら、離せ〜」 
「だぁめ。ホントのじぶんになってよ。俺となら、もっとおてんばでじゃじゃ馬な雅ちゃんでいいんだ」 
「いいの、私は夏焼家のお嬢様としておしとやかに育てられたんだから」 
「よくない。今までの君はちょっと息がしづらそうな感じだった。でも、今はとっても気持ちよさそうじゃん」 
「そ、そんなことないから。私は、君みたいなおバカとは違うんだから」 
「おバカはそっちもだろう。万年赤点のくせにw」 

さすがに本当のことを言われて凹んだのか、ちょっと黙る。 
ぷっ、馬鹿なのはさすがに気にしているみたいだな。 

「いてぇ〜」 

急にお腹が痛いと思って、雅ちゃんを離してみると俺のお腹をつねっていやがった。 
うわぁ〜徐々にだけど、気の強い雅ちゃんの一面がみられているな。 

「べぇ〜だ。そっちだって馬鹿でしょう」 
「俺は君ほどじゃないね。だって、俺は赤点は一教科だけど、雅ちゃんは全般じゃん。この間だって」 
「いいの、私はお金もちなんだから。将来はこの家を継ぐの」 
「馬鹿じゃ無理っしょ。うん、勉強しようぜ」 
「うるさ〜い」 

好きな男の前だと静かになってしまう彼女の意外な一面。 
これがみられただけで、今日拉致られた甲斐があるってものかな。 
さてさて、これから俺たちがエッチするかどうかはまたのお楽しみ。 
俺の選択によって変わることもある運命だしな。 
さぁ、久々にスレ復活したことだし、大暴れすっか。 



(教師)<本命か・・・