俺は雅ちゃんの姿をした謎の女の子と一緒に教室まで戻ることになった。 女装した男と男装した女の子がカップルを装っているとは思いもしないのか、皆ジミーが側を通っていると気付かない。 乗り気になれないが、うまい作戦だと認めざるをえない。 ゛私に任せとけって言ったでしょ。うまくいってるじゃない゛ 「うるさい。俺は教室につく前に着替えるからな。女装なんて好きじゃないんだ」 ゛残念ね。あなたよく似合ってるのに。私はまだしばらくみていたいな゛ 「お断りだ。さ、あと少しだ。トイレに入って交換だ」 俺たちが高等部の校舎まで入ると、近くのトイレに駆け込むことにした。 ゛さぁあなたのご希望通りに交換しましょうか゛ さて、トイレまできたはいいが俺はこのまま女子トイレに入るしかないか。 雅ちゃんの制服とその場で交換しないとだからな。 女子トイレに入った俺たちは、 1 別々の個室入る方がいいよな 2 同じ個室なら着替えに楽だから同じにしようぜ 3 み、雅ちゃん?待ってこれにはわけが… ゛私と隣の個室にいって。脱いだら上にかけておけばいいわ゛ 「はいはい。最後までお前が仕切るんだな」 ゛何、その態度は。それが恩人に対するものとは思えないわ。謝りなさい゛ 「謝るかよ。今回はたまたまだ。雅ちゃんの頭にカチューシャしてるから、一回不審な目でみられてるんだ」 ゛いい度胸ね。いいわ、もう助けてやらないから゛ 「勝手にしろ。じゃあな」 俺は何でも仕切りたがるあいつが気に入らなくて、つい反抗的な態度をとった。 あいつがこの後、どんな手を使ってくるとも知らずに… 「う…う〜ん…ここは?」 「ここはじゃない。トイレに決まってるだろうが。何言ってるんだ、お前は」 「え?ジミー君怒ってる?しかも何で女の子の制服きてるの?あれ、私が男の子の着てる」 「そりゃ〜うちらが交換したからだって、ウワアアア」 雅ちゃんの体を乗っ取ったあいつかと思いきや、本物の雅ちゃんがそこにいた。 そうとは気付かず、俺は随分と冷たく当たってしまった。 怒ってるのか悲しんでるのかわからない顔で雅ちゃんがみつめてきている。 参った、このままではいかんぞ。 1 雅ちゃんに事情を説明して誤解をとく 2 また出てきてもらうしかない。お願いします 3 今こそあのメガネの真価を発揮するのだ もうここまできたら事情を説明して誤解をとくしかない。 「どうして俺たちが制服交換したかっていうと、雅ちゃんが俺と一緒に逃げる為だっていってたからなんだ」 「わ、私!?そんな記憶ないけど…」 さすがに雅ちゃんは困惑ぎみで、説明を受けてもイマイチピンときていない。 当たり前だ、俺が即興でついた嘘だからな。 何とかこのまま押しきるしか道はなさそうだ。 「覚えてなくても無理ないよ。雅ちゃん夢中で走ってたから」 「おかしいよ、やっぱり。だっていくら馬鹿な私でもさっきまでの事を忘れるわけないもん」 「まぁまぁ。とりあえず交換しよう。俺たちがずっとこのままの方がおかしいよ」 「うん…あ、私隣にいるから着替えを上から渡して。着替えはみられたくないから」 雅ちゃんはワケわかんないと今にもいいそうな顔でトイレに入っていく。 俺も早くトイレに行かないと… 1 このまま普通に着替えるか 2 おや、小さな穴があいてる。田代しておくか 3 げぇ〜か、栞菜ちゃん…どうしてここに? 雅ちゃんの機嫌はあまりよくなさそうだったので、俺は普通に隣で着替えた。 隣の雅ちゃんは淡々と着替えているようで、話しかけてもあまり返事がこない。 あいつを怒らせて、あんなところでいなくなっちゃたからな。 「雅ちゃん、怒ってる?」 「全然。それよりも早く制服脱いで返してね」 怒ってないっていっても、完全に怒ってるとしか思えない。 自分が知らない間に着替えてさせられていたら、怒っても無理ないか。 せめて着替えが終わってからならまだいいわけも通じたのにな。 「これからどうする気なの?まだ君を捕まえようと追っかけてる人いっぱいいるよ」 「そうだね。どうしようかな」 1 雅ちゃんに捕まったことにして教室に戻ろう 2 今戻ってもちぃたちに怒られるだけだし、ミスコン会場にでもいこう 3 トイレを出て、すぐに誰かに声をかけられる 「雅ちゃんにお願いがあるんだ。俺を捕まえたことにして、教室まで戻ってくれないかな」 「最初はそのつもりだったんだけど、君がおかしなことするから・・・ううん、いい。やってあげるね」 「ありがとう。本当に恩にきるよ」 トイレから出るなり、俺は雅ちゃんに捕まったかのように振るまうことになった。 雅ちゃんは俺の腕をギュッと強く握って、あたかも私は許してないのと言っているようだった。 「おっ、ジミーのやつが発見されたらしいぞ」 「マジ?あの馬鹿ジミーめ。こらしめてやらなくちゃ」 俺が雅ちゃんに捕まったことをクラスメイトがみつけると、再び全校放送が流された。 『皆様に捜索の協力をお願いしていたジミーはおかげさまでみつかりました。皆さん、お騒がせしました』 ちぃたちは放送が終わると、俺を今日はサボった罰として出歩くのを禁止にするといってきた。 確かに舞ちゃん送るっていったきり、出て行った俺が悪いんだけどさ。 だからってこれはやりすぎな気がするんですよ。 「なぁ、許せよ。片付けは絶対に手伝うからミスコンだけは見に行かせてよ」 「だぁめ。梅さん応援しにいくっていったきり、また逃げるのが目に見えてるもん。ね、茉麻」 「そうだね。 がまた逃げないようにしなきゃね。私たちも遊びにいきたいの我慢してたんだし」 ちぃと茉麻に囲まれ逃げ場を失ったものの、まだ俺はミスコンは諦めちゃいない。 だって、桃子先輩に梅田先輩も出るとあっては応援せねばなるまいよ。 しかし、どうやって行くかが問題なんだ。 1 ちぃに土下座しまくって頼む 2 茉麻を最近はかまってなかったし、そこからいくか 3 ここは応援を呼ぶしかない(呼びたい人の名前も一緒に) ちぃはもう逃がさないって顔からしてわかるし、雅ちゃんは論外だ。 だとしたら、茉麻を説得すればミスコン会場までいけそうな気がする。 いや、気がするじゃない。 落とすんだよ、茉麻を。 「なぁ、茉麻。最近、かまってやれなくてごめんな。本当にごめん」 「な、何よ。そうやって謝ったからって許しませんから」 「そう言うなって。俺さ、茉麻のことを誰よりもかまってやれなくて悪く思ってたんだ」 涙目で見上げるように俺は茉麻に訴えかけた。 そんな俺をみつめ、茉麻は少し心が揺れ動いたような気がした。 茉麻って母性が強いからな、ああいう風に謝られたら許してしまおうってなるんだよな。 いけるかな、この手。 「茉麻、ジミーっちをこれで許したらダメだからね。ちぃたちトイレいってくるけど、ちゃんと見張っててね」 「わかってるわよ。一番この男をバシッと如かれるのは私だと思ってるし」 ちぃたちはずっと見張っていたからか、トイレに行くと言って席を立った。 二人きりになったのはまさに好都合だ。 茉麻を絶対に落とすぞ。 1 このまま泣きついていけばいいんじゃないか? 2 茉麻はメガネ萌えなんだし、メガネつければいけるんじゃ 3 後夜祭で二人きりで星空でもみにいこう。だから、ここはお願いします 茉麻を落とすなら、方法はこれしかない。 胸ポケットから俺はメガネを取り出すと、素早くかけた。 「ちょっと、あんたメガネかけて私のご機嫌とろうなんて甘いんだからね」 茉麻は俺を警戒しているのか、メガネをかけた顔をみないようにしている。 ふふっ、自分でも弱点に関してはよくご存じのようだな。 ここでメガネをかけた俺に「通して」って言われたら、簡単に通してしまうだろう。 もし通してくれなくても、今日のメガネは特別だぞっと。 「そんな風に考えてなんかいないさ。裸眼だと君の可愛い顔がみられないって思ってただけだよ」 「ちょ、ちょっと・・・馴れ馴れしく肩に触れないで。それとあんたのその話し方キモイんですけど」 メガネスマイルを向けてみるも、顔を見るまいと避けられてしまう。 肩に触れれば触れたで、今度は力ずくでどかそうとしてくるわで、これは結構強敵か? 「馴れ馴れしくしたらダメ?僕は君とは深い関係だと思ってただけに残念だな」 「ふ、深い?あんたね〜そういっておきながら、ずっと放置してたじゃない。嘘つき」 「放置してたわけじゃなくて、君に会うのにかっこ悪いままじゃ会えないと思ってたから会わなかったんだ」 「じゃあ今はかっこいいとでも思ってるわけ?」 「たとえかっこ悪かったとしても、僕は君に会いたかった。だから、二人きりになれて嬉しいよ」 さぁ、ちぃたちが戻ってくる前に最後の仕上げだ。 1 顎をもちあげ、キスを 2 耳元で「可愛いよ、茉麻」と囁く 3 茉麻の手をとり、自分の頬に触れさせ、「茉麻の手あったかいね。すごく落ち着くよ」とほほ笑む 俺はそっと茉麻の顎をもちあげ、メガネをかけた俺がよく見えるようにした。 これで俺の顔がみられないはずはない。 「どうして僕と顔をあわせてもくれないかな?僕はずっと君の顔がみたかったのに」 「や、やめてっていってるでしょ。あんたの顔なんてみたくないんだから」 「そんなこと言わずにみてよ。君がメガネ似合うっていうから買ってみたんだ。似合うかみてほしいんだ」 「や、やめて・・・」 俺は弱い力でせいいっぱい暴れる茉麻の顎をもって、再び俺に振り向かせた。 「似合う?」 「こ、こ、これは客観的な判断だから参考にしないでよ。似合う方じゃないの」 「君にそう言ってもらえるなら、ずっとメガネでもいいかなって思うよ。嬉しいな」 「何が嬉しいよ。そうやって他の子にもメガネ姿みせて、どうかなって言ってるんじゃないの?」 「やだな〜君だけにしか言ってないよ。僕を信じてほしいな。とんだ嘘つきだけど、君への気持ちは嘘じゃないから」 (桃子先輩には似合うかどうかなんて聞いてないし、嘘じゃないだろう) 「 ・・・」 「茉麻、今日はメガネかけてよかった。君の可愛い顔がじっくりみられたから」 茉麻の顔がみるみる赤くなり、ぷるぷると体が小刻みに震えている。 そこをすかさず軽くキスをしてみると、これが決め手になり、茉麻見事撃沈。 「じゃあ、僕は忘れものを取りにでかけてくるね。帰りには君へのプレゼントをいっぱい持って帰ってくるから」 「うん。いってらっしゃい。二人にはうまく言っておくね」 こうして隙をみつけて抜け出した俺は、ミスコン会場へと足を運べることになった。 そこでは既に選考がはじまっており、選ばれた女の子たちが壇上にあがってポージング中だ。 梅田先輩はかなりの人気みたいでそこら中から応援の声があがっている。 桃子先輩は男人気が高いのか、野太い声で桃子コールがやまない。 本命は梅田先輩か、という声があちらこちらから聞こえてくる中、何と中等部からの参加者がいることが明らかになった。 何でもとびっきりのスタイルだったので、ミスコンの実行委員から声がかけられたそうだ。 はて、誰なんだろうか、と俺が壇上をみあげると、そこには熊井ちゃんの姿があった。 熊井ちゃんが登場するや、いきなり女の子たちと思われる黄色い声援が響き渡った。 「ゆりな〜♪きゃ〜」 熊井ちゃんを応援する女の子たちが一斉に立ち上がる。 こんなにも人気だったとは知らなかったな、って感心してる場合じゃない。 俺が圧倒されてどうするんだ。 「あの、熊井ちゃんすごい人気ですね。これどういうことですか?」 「何も知らないの?熊井ちゃんっていえば、中等部をはじめあらゆる学年にファンがいるほど人気なんだから。 ファンクラブもあって、”エンジョイベアーズ”っていうの」 「へぇ〜ありがとうございました・・・」 何とファンクラブが存在していたのか・・・そりゃ人気が高いよな。 熊井ちゃん、あのスタイルにあの子供っぽさのギャップが激しいから、お姉さん受けもいいのか。 俺は手元に配られた投票用紙に誰と書こうか 1 川*^∇^)|| 2 リl|*´∀`l| 3 ル*’ー’リ 何でも俺が来たのが遅かったらしく、水着審査は終わってしまったとのこと。 最後の審査として、ミスコンに選ばれた女の子たちの自己アピールをかねたスピーチが始まった。 熊井ちゃんは「私がミスコンになったら、ちび電を消して寝て大人になりたい」らしい。 桃子先輩は「皆さん投票をお願いしま〜す」とやけにあっさりしたものだった。 一部生徒の話だと、事前にどこぞで握手会を行い、そこですでに自己アピールしていたらしい。 で、最後に残った梅田先輩は・・・ 「全国700万の梅田ファンの皆様お待たせしました〜えりかでございま〜す」 と、笑いをかっさらうところからスピーチを始めた。 「私、今日はある殿方のために何としてもミスコンの称号がほしいのであります。聞いておくんなまし、私の悲しい片思いを」 まるで舞台でもやっているかのような大袈裟な身振り手振りでスピーチは続く。 「ダーリンったら、私のことを好きだ好きだと言っておきながら、散々無視しているんです。それでも好きな馬鹿な私」 すみません、事実なのですが、これ以上人前で話すのはやめてもらえないでしょうか。 「あぁ〜愛しいあの人、今頃何してるんだろう。ダーリン、みてくれてる?私、ミスコンになってあなたを振りむかせてみせるわ」 放置するのはやめますから、今投票をするから、どうかどうか許して下さい・・・Orz ここで梅田先輩は 1 俺をみつけてダーリン♪と手をふってきた 2 誘惑ポーズで最後をしめた 3 会場中に投げキッスの嵐 会場中をみまわしながらスピーチをする梅田先輩。 その先輩ととうとう目があってしまった瞬間に、先輩は俺に向かって「ダーリン♪」と手をふってきた。 唖然とする俺をおいてけぼりにして、先輩はぶんぶん振りまわしている。 ここで一斉に生徒たちが俺に振り向いてきた。 「ダーリン♪みててね、私が絶対にミスコンになるからね〜」 壇上の熊井ちゃんと桃子先輩も俺をしっかりとみた。 熊井ちゃんなんぞは俺をみたあと、梅田先輩に殺し屋の眼を向けていた。 桃子先輩は不気味なくらにスマイルのままだった。 この二人、あとが怖いなぁ〜。 「みなさ〜ん、それでは梅田えりかをよろしくお願いしま〜す。次回はミスコンになった私とお会いしましょう」 梅田先輩は腰をくいっともちあげ、尻をつきだして、桃子先輩に対抗するように誘惑ポーズをとる。 締めには会場中に投げキッスを嵐のようにふらせ、去って行った。 この後、俺は居心地の悪い状態を味わいながら、ミスコンの優勝者の決定を待った。 しばらくは梅田先輩との変な噂がたちそうで怖いな・・・ 「皆さん、おまたせしました〜優勝は・・・高等部一年の梅田えりかさんで〜す」 梅田先輩は優勝者の発表があると、とびはねて喜んだ。 そして、俺のところにかけつけ抱きついてきた。 もう逃げられるはずがなかった。 俺は梅田先輩のダーリン♪ということで、優勝パーティーにつきあうことになり、クラスにはとうとう戻ることができなかった。 俺の一年目の文化祭はこうして終わってしまったとさ。 「ダーリン♪優勝しちゃった〜」 「よ、よかったすね・・・」
リl|*´∀`l|<BGMはオリーヴのくヴぃかざり リl|*´∀`l|<シャバダバダバン、シャバダバダバン、ウメダン