<chisato side> 「もー!あいつらどこ行ったんだよ!ほんとに!」 うちの町の神社の夏祭りは夏休み中の大きなイベントなんだけど、 結構町の外からも人がたくさん来て大賑わい。きっと小さいながらも花火が上がるのが いいのかもしれない。 例にもれずうちら3人、愛理と梨沙子と一緒にお祭りに来てた 「先輩呼べばよかったのにね。」 「でもきっとあの先輩達が離さないゆー」 「仕方ないか。よし食べよう。食べて食べて食べまくろう」 屋台でいろいろ買って、境内に向かって3人で歩いてた。 真面目にお参りして、おみくじも買って、いろいろ買って、来た道を戻って、町の真ん中にある 大きな公園(そこから花火を見るんだけど)に向かって確かに3人で歩いてたんだけど・・・ 最初いなくなったのは愛理。多分その辺の屋台に引っかかってるんじゃないかって探そうとしたら 今度は梨沙子の姿も見えなくなった。 立ち止まろうにも人があちこちからやって来て、どんどん流されてく。 私・・・小さいから見えないんだってば。仕方なく道の脇に外れて携帯してみた 「おかけになった電話番号は・・・」 つながらない・・・ アンテナ3つ立ってるんだけどな。どうしよう。 1.先に公園に行こう 2.もう少しここで様子を見よう 3.神社の方に探しに行こう <Jimmy side> 「ジミーっち・・・元気でね。体壊しちゃだめよ。生水飲んだらアウトだから」 「あのさ。たかだか1週間里帰りするだけで大げさなんだよ」 「だって心配だもん。あ、そうそう今年こそ行こうと思ってたお祭りどうする?」 「どうするも・・・」 「あのさ、夏祭りの時だけ売られる水晶のストラップがあるんだ。それ買っておいて」 「え?ああいいけど」 「それをお揃いで持ってると、この夏その二人にとって忘れられない夏になるって噂があるんだ」 「そうなんだ。知らなかった」 「だからさ、2つ。2つ買っておくように」 それだけ言い残して、千奈美は田舎へと帰っていった。なんでも初盆だとかで断れなかったみたい。 茉麻ちゃんも雅ちゃんも旅行でいないし、清水先輩は多分忙しくて大変だし。桃子先輩は・・・ね。 仕方ない。一人で行くか。しかしすごい人だな・・・なんとか参道へたどり着いた。 「あ、ジミー君」 「清水先輩。どうも」 「どうしたの?」 巫女さん姿で社務所につめる先輩はいつもよりも神秘的に見えるなぁ・・・ 「あの・・・水晶のストラップ?頼まれたんですよ」 「え?ああ、あれか。ふぅん・・・いくつ?」 「2つって」 「ごめんねぇ・・・あと一つしか置いてないんだ。どうする?」 「じゃあ一つ貰います」 先輩が後ろの商品棚を向いた時、手前にあった携帯が目に付いた 「先輩、これって・・・」 「ああ、それ?そうそれがこの水晶のストラップだよ。はいこれ。500円」 「あ、どうもです。」 「ジミーがつけなよ。それは買った人じゃないと効果ないってことだから」 「ええ。どうしよう。でもそうすると怒るかな」 「ふうん、やっぱり女の子に頼まれたのか」 「え?」 「あ、いやなんでも。じゃあ頑張ってください」 先輩が笑顔で手を振ってくれた。まあ売り切れなら仕方ないな。 さて 1.めんどくさいしバスで戻るか 2.せっかくだし参道を降りるか 3.千奈美にメールで謝っておくか <chisato side> いつまでも待ってたけど、全然来ないし。電話も来ないし。ちょっと探してみようかな。私は公園に向けて歩き出した。 愛理とか寄りそうな屋台とか、きょろきょろしながら歩いてく。やっぱりまだ神社にいるのかなぁ・・・ ドン 「あ、ごめんなさい・・・」 「わ!」 考え事してたから人にぶつかったみたい・・・しかも柄の悪いのに 「おいおい、ビールでびちょびちょなんだけど」 「あ、すみません。」 「すみません・・・じゃすまねえよな?」「な?」 「え?」 「クリーニング代・・・貰うとこだが・・・」 「な」 「ちょっと付き合ってもらおうかな」 「え、いやです。ちょっと!」 柄の悪いお兄ちゃん達は私の手を取ると、引っ張っていきそうになる。 私は踏ん張って抵抗したけど、後ろからもう一人に押されてぐんぐん参道を登ってった 「ちょっと、離してください」 「一人かい?じゃあいいじゃん。せっかくの祭りなんだし、いいことしようぜ」 「ヤダって・・・」 手を振り解いたら、あっけなく外れた。私は振り向いて逃げる 「待てよ・・・」 前と後ろで挟まれたので、横に逃げた。そいつらはニヤニヤ歩きながら追ってくる もう、なんで浴衣って、草履って走りにくいの! 参道の脇道に入って少し逃げたけど、結局追いつかれる。なんかの建物の壁に追い詰められた 「逃げるなよ」「それともこういうとこがすきなのかい?」 どうしよう・・・ 1.はだしで走ったらなんとかなるかな 2.大声を出してみる 3.あきらめた。もうどうにでもなれ <jimmy side> 失敗した・・・あまりにも人が多いので近道をしようと思ったら、全然わからないところに 来てしまった。とたんに人がいなくなる。幸い灯りだけはついてるから助かるけど。 引き返す?でもなあ、どこをどう曲がったか覚えてないからな 多分このまま進めば、運がよければ参道に戻れるだろうし、運が悪くてもふもとまで降りれるだろう。 しかし・・・ついてないな。 すると・・・ 「たすけてー!」「うるせーな。」「押さえるか」 「やだー!ふがふが」 なんだ?なんか? どうやら何か起こってるみたいだ。影が三つ。どうやら女の子に乱暴しようとしてるみたいに見える。 どうしよう 1.ここは警察に電話を 2.足元の木の棒もって飛び掛る 3.見てみぬ振りが最善だろう・・・ <chisato side> 二人に体を抑えられ、一人に口をふさがれた。もう声も出ない。どんだけ暴れても表情一つ変えない お願い・・・だれか助けて・・・ ドン「うぇあ!」 私をつかんでた一人が何かにぶつかって、そしてもう一人と絡まって、 2,3歩歩いたら何かに躓いて転んだ。 「大丈夫?」 「はい・・・え?」 「あ?」 私はどうやらショックでおかしくなったのかな? そこにいるのってもしかして 「千聖ちゃん?」 「先輩!どうしてここへ」 「今はいいよ、ほら逃げよう」 「はい」 先輩は私の手を取って、逃げる。私が来たのとは反対方向だけど 「まて!」「こら!」後ろでようやく起き上がった二人が叫んでる。 軽い坂なんでかなり転がったみたいだけど、ようやく起きてこっちに向かってくる。 ごめんなさい・・・先輩。私今日は上手く走れません。 <jimmy side> ここは逃げるしかない・・・そう思って走ろうとしたけど、よく見ると千聖ちゃん 浴衣に草履。走りにくそうだ。いつもなら俺よりも早く走れそうなのに。 どうしよう・・・ 1.どこかに身を隠してやり過ごす 2.千聖ちゃんだけ逃がして俺はとどまる 3.おんぶして走る <chisato side> 「こっち」 不意に先輩が立ち止まった。獣道みたいな小さな道。笹がざわざわ絡んでくるけど。 「そっちにいって!」「え?」 「いいから早く!」「でも」 「必ず迎えに行くから」 私は先輩の言うまま藪の中に身を躍らせた。 先輩の足音が、そしてあの二人の足音が近くを通って、あっちへと消えてった。 そしてしばらく静かになった。真っ暗な中、ただじっと <jimmy side> 俺は千聖ちゃんが隠れるのを見て道に戻った 「こら!」「まて!」 待ってられませんよ。俺はゆっくりと逃げ出す。千聖ちゃんが隠れた場所を過ぎるまで。 相手は酔っ払ってるせいもあって意外と足が遅かった。やがていいところにくると俺は奴らに向き直った。 相手の息は完全に上がってる。これなら勝てるかも。 俺は木の棒を構えた。覚悟しろ、このチンピラ! ・・・その後しばらく俺の記憶は途絶えたようだ・・・ <yaji-ani side> ジミーも無茶するな。けんかが弱いくせに。 まああいつがボコボコになるのは勝手だが、舞美が悲しむのはいかんな。 仕方ないか 「誰だ!てめえは!」 「お前らは俺の愛する妹の大好きな彼氏と、俺の愛する妹がかわいがってる後輩に 手を出そうとするバカを退治しに来た」 「・・・???} 「おまえらの頭では理解できんだろう。さ、さっさと帰った」 「てめー、やっちまえ!」 ------(中略)---- 「口ほどにもないな」 「すみません・・・」 「今から2つ選択できるぞ。このままおとなしく引き返してそのままお家に帰るのが一つ このまま祭りに参加すると言うのが一つだ。ただし祭りにでるなら、その腕を折らせてもらうが どうだ?」 「帰ります。帰ります。」 「よしいい子だな。じゃあさっさと帰るがいい。」 「はい」 「いいか・・・ちょっとでも変なそぶりを見せたら、腕が二本とも折れることになるが」 「わ、わかりました!」 さてさてここでのびてるジミーを起こしてもらわんといかんな・・・ <jimmy side> 「先輩?先輩?」 ん?誰? 「あ、よかった・・・気付いてくれて・・・」 「あれ?俺?」 「えっと誰かわからないんですけど、先輩がこの先で倒れてるから迎えに行ってくれって頼まれて」 なんだろう。何があったんだろう・・・確か・・・ 「とにかく先輩が無事でよかったです」 確かにそうだ。なんとかここを離れないと。 <chisato side> 「よし、とにかく降りよう」 私たちは立ち上がって歩き出した。先輩は私の手をしっかりと握ってくれてる。 なんか先輩の背中が頼もしい・・・私はついていけばいいだけ。 「あ」 私の草履の鼻緒が切れたらしい・・・ 「あーこれはちょっと無理かなぁ・・・」 「ごめんなさい。もう、ほんとに私がドジなばっかりに・・・」 「いいよいいよ。それより歩ける?」 「大丈夫です。裸足には慣れてますから」 私ったらなんでこんな変な事言ったのかわからない。 「ほら遠慮しないで」 私はほんとに遠慮なく先輩の背中に乗っかった。あの先輩の背中に。 「よいしょっと」 先輩が立ち上がる。視界が急に広がった。とたんにいろんな事が頭をよぎる ・・・み、みんなに見られてる・・・恥ずかしい・・・お、重くないかな・・・どうしよう・・・私の顔が先輩の顔のすぐ側に・・・ 「さて、どこいけばいいの?」 そんな近くで言われても困ります・・・ 1.公園に愛理たちがいると思うんで・・・ 2.近くのコンビニでビーサン買いますので・・・ 3.ずっとこのままが・・・ <jimmy side> 「ずっとこのままで」 え? 「あ、いやなんでもないです」 なんだ冗談か、びっくりした。しかし千聖ちゃんって着やせするんだなぁ 背中に柔らかいものがずっしり当たる。困るなぁ 「じゃあとにかく公園の方行くよ。行き先あったら言ってね」 「はい」 ようやく千聖ちゃんはいろいろ話してくれた 3人で来たのにはぐれた事 探してうろうろしてうっかりぶつかった事 「じゃあ公園にいるかもしれないんだね」 「はい・・・でもどこにいるのか・・・携帯も繋がらないし」 「まあいいよ。その辺着いてから考えよう」 やっぱり目を引くらしい。そりゃそうか。 少し道の端によっては見たけどね。 するとコンビニが見えた・・・あ、あそこなら 「ちょっと待ってて」 千聖ちゃんを下ろすとコンビニでビーサンを購入。ついでにお茶とか買って届けた 「どうかな?」 「ありがとうございます。これで歩けます」 1.じゃあここで。気をつけて帰ってね 2.愛理ちゃんたちを一緒に探そうか 3.危ないから送っていこうか <chisato side> 先輩に変な事言っっちゃったんで、私はごまかすためにいろいろと話をした。 すると先輩が突然私をおろし、コンビニでサンダルを買ってきてくれた。 「ありがとうございます」 でも少し残念な感じがするけど。 「じゃあ一緒に愛理ちゃんたちを探そうか」 「・・・はい」 そうか、すっかり忘れてた。愛理たちと合流しないとね。きっと合流したらみんな喜ぶだろうな 私が後からついていくと、先輩は私の手をしっかり握ってくれた 「またはぐれるといけないから」 ほんとはもっと近くで歩きたいけど・・・でも・・でもいいか 私もグッと力を込めて離れないようにしっかりと握り返した。 公園の真ん中についても、愛理たちは見当たらなかった。 というよりも人がたくさんいて、どこにいていいかもわからない。 「みつからないね」 「はい・・・」 なんか見つからないほうがいいかもなんて、悪い事想像しちゃった 1.少しこの辺で待ってみます 2.ちょっと携帯見てみます 3.今日は帰ります <jimmiy side> 確かにここにいるとは思うけど、コレだけ人が多いと見つけるの大変だな 「そうだ・・・ここなら繋がるかも」 千聖ちゃんは携帯を取り出した。 「あ、メールが」 千聖ちゃんはじっと携帯に見入ってた 「どう?」 「はい。愛理たちもずっと探してくれてたみたいです。ちょっと連絡します」 少し俺から離れると携帯を耳に当てた 「もしもし?あ。愛理?ゴメン・・・いまどこ?」 ひとしきり話して携帯を畳むとこっちに戻ってきた 「今愛理たち、境内の方まで探してくれてたみたいで・・・」 「そう、じゃあここで待ってればいいんだね」 「はい。ほんとありがとうございました」 「いやいやいいよ。」 すると人の波が止まる。アナウンスが流れ出す。そして灯りが落ちた 「あ、花火が始まっちゃう」 千聖ちゃんが立ち上がって周りを見る やがて大きな音と共に闇夜に大きな光の輪が弾けだした。 俺も思わず立ち上がった。 「きれいですねぇ・・・」 「うん、これほどとは思わなかった」 花火は次々と上がり、目の前の人が大きな歓声を上げる。 隣を見ると千聖ちゃんは笑顔で花火を見上げてる。光の明滅に顔が照らされて 暗いのにくっきりと顔の形がわかる 心なしか千聖ちゃんの体が俺に寄り添っていた 1.手をしっかりと握る 2.肩を抱く 3.気にしないで上をみる <chisato side> 灯りが落ちた公園は真っ暗闇だった。だけど隣には先輩がいる。花火がどんどん上がる。 私は見上げる先輩の顔を見て、そして空を見上げた。少しだけ先輩と楽しんでもいいよね 私は先輩の体に寄り添った。できるだけ自然な感じで すると不意に先輩が私の肩を抱いた。ぐっと引き寄せるように。 私は先輩の手をぐっと握った。先輩も握り返してくれた。 ふと思い出した。梨沙子が神社の境内で言った事 「この水晶にはすごいパワーがあるんだゆ。お揃いで持ってる男女にとって忘れられない夏になるって」 まさかね。私も自分の分を持ってるけど、先輩が持ってるなんて思えないし。 だけど、こんなに不思議で、素敵なことが起こるのはもしかしたら・・・ <jimmy side> 思わず肩を抱き寄せた。千聖ちゃんはしっかりともう片方の手を握った。 多分恋人どおしみたいに肩寄せあって花火を見てる。まさか千聖ちゃんに会うなんて 想像もできなかったもんな。 ひときわ大きな花火があがる。おおきな轟音とともに 「きゃ・・」 千聖ちゃんは俺にしがみついた。 「大丈夫?」 「はい、すみません」 お互い顔をあわせて笑った。また小さな花火が辺りを照らす。 千聖ちゃんの顔がまた花火に浮かび上がる。 でも千聖ちゃんは花火を見ないでじっと俺の顔を見てた 1.抱きしめる 2.花火を見る 3.キスをする <chisato side> ビックリした。ものすごい音がして思わず・・・ 「大丈夫」 「はいすみません」 先輩の優しい声。二人顔を見合わせて笑った。 先輩の顔が近い。時々暗くなるけど、花火が上がると見える先輩の顔 もう私は先輩の顔から目が離せなかった 「ん・・・」 先輩は私の頬に手をあてゆっくりと近づいてきた 私は・・・ゆっくりと目を閉じた こんなにたくさんの人がいるのに・・・ 唇が離れると私は先輩に頬を寄せた もしかして世界で一番幸せなんじゃないかな・・・ するとアナウンスが最後の連発花火である事を告げた もう終わっちゃうのかな・・・ 私は思わず・・・ 1.帰りたくない 2.忘れたくない 3.終わって欲しくない <jimmy side> 花火大会が終わるというアナウンスが流れた。こんな花火大会は初めてだった。 「帰りたくないな・・・」 千聖ちゃんが呟いた。 俺も正直に答えた。だってそんな夜だったんだ 「俺も」「え?」 不意に上がった千聖ちゃんの顔。そしてもう一度・・・ 今度はもっと深い深いキス。 最後の大連発花火と歓声の中で、俺達だけ違う世界にいるみたいだった <chisato side> 私は結構大胆な子だったのかもしれない。だって・・・帰りたくないとか。 でも先輩も同じ気持ちだったなんて。 私は先輩の方を向いて、また目を閉じた。先輩の唇の感触が、私の中に入ってくるみたいで。 どれくらい経ったかわからないけど。 キスを解いて先輩と最後の名残の花火を見ていた。 「メールがきたぞー!メールが来たぞー!」 現実に戻るその着信音 「公園に着いた。いまどこ? りさこ」 ほどなく2人がやってきた。案の定先輩を見つけて嬉しそうだった。 4人でご飯を食べた。今日起こったいろんな事を話した。 花火の時以外は。