「雅ちゃん♪」 
「……………」 

またそうやって聞こえないふりしちゃってぇ。 
俺にさとられない様に食器を洗ってるけど、この後何をしたいのかよく分かるよ。 
あーわかってるって、あれでしょ?あれしかないよね。 

最近ご無沙汰だったし朝までしちゃいたい気分だぜ。 

「雅ちゃん♪」 
「洗うの手伝って」 

なんだよそっけないなぁ。 
ちょっと前までいつも泣いてばかりで…支えてないとダメだったくせに。 
あれからもう1ヶ月以上たつからやっと立ち直ったのはわかるけど、早すぎるよ。 
もうあのツンっとした雅ちゃんに戻っちゃった。 

「したいんだろ?したいって言えよ」 
「早く洗うの手伝って。一人じゃ大変なの」 

1 ここはおとなしく従うか 
2 いやだね。それより…とベッドに連れ込む 
3 俺の愛のキスで逆らえなくなるはずだ、くらえ! 



素直じゃないなぁ。よーし、ならばここはこれで心の声を見抜いてやる。 

「ちょ……なによ?!」 

そのくびれのない胴に腕を回して、顔を近付ける。 

「素直になれよ。ホントはエッチがしたいんだろ?我慢なんてしなくていいんだ」 
「はなして!ち、近寄らないで!!」 
「観念しろよ、ほら。さあ唇を奪ってやる」 

……雅ちゃん、冗談抜きで綺麗だよ。ああ、我慢できない。 
受け取ってくれ!俺の愛の口付けを!! 

「それは駄目ぇええぇっ!!」 

ぐぁあっ?! 

い、いっ……たぁあ〜〜〜〜〜!……! 

は、鼻はやっちゃ駄目でしょ、入ったぞ雅ちゃんの正拳突き! 

「…大丈夫?」 
「やっといて、言うな…」 
「すごい鼻血!」 

1 この鼻血を飲め。責任をとって 
2 死んだふりして誘い込む 
3 ………キスは…こわい? 



「ごめん、痛かったよね。つい力が入っちゃって」 
あの雅ちゃんが俺を殴って謝るとは…考えてみたらほとんど無かったよな、そんな事って。 
「いやぁいいパンチだった。余裕で世界を狙えるぞ」 
冗談を言ってみたが雅ちゃんの様子は泣きそうなまま変わらない 
「おいおい、泣きたいのはこっちだぜ。こんな距離からそのパンチだから」 
「ごめん……く、唇が、近づいてきたから……」 

……唇…まさか…… 

「………キス…怖い?」 

雅ちゃんは目を伏せながら、静かにうなずいた。 

そうか。そう……だよな… 

「…触られるのも…怖い」 

ぽつりとつぶやくその言葉は胸をえぐられる様だった。 

やっと元気になってきたと思ってたのに、それは俺の勘違いだったのか? 
そんなの嫌だよ。嫌だ 

1 明るく笑ってみる 
2 嫌でも抱き締めたい、震えるその体を 
3 慰めるふりをして今度こそ唇を奪う 



「嫌ッ!!」 
「…嫌でもこうしたいんだ」 
「い、嫌だってばぁッ」 

震えるその体を抱き締めたい。 

雅ちゃんは…力は強いけど女の子なんだ。ホントは弱いんだ。 
ここ最近でようやく気付いた。もっと早く気付いていれば… 

…後悔したって何の意味も無いけど、悔やまずにはいられなかった。 

「嫌ぁああ!!」 
「うわぁあっ?!」 

投げ飛ばされる様な勢いで雅ちゃんにはねのけられてしまい、受け身を取れずにそのまま… 

「嫌だよぉ…怖いの。あ、あなたに抱き締められるのが、怖いの……」 

痛たたたた…ま、まともに叩きつけられたぜ。 
床に当たる時に何か体から嫌な音がしたが今はどうだっていい、雅ちゃんを助けなきゃ 

「来ないでぇ……!」 
「どうして…」 
「あなたが好きなのに、触れられると、怖くなるの。つらいよぉ、つら…い…」 

泣くのを我慢してる。いったいどうしたら… 

1 泣き止むまであえて何もしないで待とう 
2 何度はねのけられたって抱き締めてやる 
3 そうか。服を着てるから投げられるんだ、ならば 



「うう、っく……んんっ…」 

泣き止むまで待とう。雅ちゃんの心が軽くなるまで… 

「あっち…むいてて。耳も、ふさいで」 
「…ん。分かったよ」 
見られたくないよな。 
ここ最近ずっと見てきたけど、やっぱり雅ちゃんは誰かに弱い部分を見せたくないみたいだ。 

だから俺に泣き顔を見せるだなんて事はまずない。 

…それに、見ちゃいけないよな。失礼だよな。 


雅ちゃんのお願いを聞いてから少し経ったがまだ振り向けない。だってまだ…許可は出てないし 

…でも、なんだか遅いな。もうそろそろ泣き止むはずだけど… 

1 雅ちゃんがいいと言うまで振り向かない 
2 ごめん向いちゃった 



雅ちゃんがこっちむいてって言うまで我慢するんだ。 

…勝手に振り向いたら雅ちゃんを裏切る様な気がして振り向けなかった。 
あの子を追い詰めたのは俺だ。もうこれ以上ひどい目にはあわせたくないよ。 

ねえ、やっぱり俺を許してくれないよね。こんなバカでスケベで浮気者でどうしようもない奴なんか… 

……なんか急に体があったかくなった。 

「いつまでそっち向いてるの。もういいよ」 

ああ、この声、安心する。 

振り向くとそこには目を赤くしている大切な人が笑っていた。 
「もう大丈夫なの?」 
「……別に泣いてないから」 

こんな時にも強がるんだから。まったく素直じゃないよな 

もう一度キスしようかと聞いてみたけど、首をふってごめんと言われた。 

……どうやら思った以上に事態は軽くは無いらしいな。 
へたをしたら今の雅ちゃんにとってキスするのはトラウマになりかねないぞ。 
あるいはすでにもう…いや、そんなはずは、でも 

「ごめん、また困らせてばかりだね」 
「…お互い様だな」 
「……ごめん、  はエッチ好きなのに、怖くて。ごめんね」 

雅ちゃんがもう一度キスできる時。 
雅ちゃんがもう一度俺と愛を重ねられる様になった時。 

きっとその時に、俺たちはこの壁をこえられるはずだ。 

だけど今は…まだ焦らないで。 


こうやって離れずにいる事がお互いにとって大事なんだよ。 

こんな時だからこそ逃げずに向かい合う事が…… 

「何真面目な顔してるの」 
「雅ちゃんがエッチできる様になったらどんな体位がいいか考えてた」 

…そう、笑ってくれ。 
きっといつかその笑顔は心からのものになる。 


ノk|‘−‘)<雅ちゃんキスが怖くなったの ノk|‘−‘)<かわいそう…つらいよね ノk|*‘ρ‘)<(マネがキスできない今がチャンス!私の味をすりこむかんな)