彼の家、そのベッドの中で眠りにつく私は夢をみていた。 夢なんて久々だから、それが夢だと気付くまで時間がかかっちゃった。 無理もないよ、私はうかつにも路上でキスしてしまうお馬鹿さんだもん。 でも、これはただ開き直ったに過ぎないよね。 そうそう、夢の話の続きをすれば、彼と結婚して幸せな家庭を気付いていた未来をみたんだった。 私が彼の家に入るといつもとは違う感覚があって、おかしいなとは思いつつ中に入っていった。 すると… 「ちょっと、栞菜と浮気したでしょ。これ、栞菜がよくつけてる香水じゃん」 私に似た声で怒鳴る女の人の声がした。 そして、向かいには白髪が目立つようになった彼の姿がある。 「浮気じゃない。俺は本気だ。栞菜ちゃんは俺がいないとダメなんだ。それに一言いわせてもらえば抱いてないから」 「嘘ばっかし。普通こんなに香水の匂いがつくわけないでしょ」 また浮気か、彼は性懲りのない人だから今でも誰が本命かわからず付き合っている。 それがオジサンになってもなんだから酷いにも程があるよ。 「おっ、あの夫婦また恒例の喧嘩か。姉ちゃんもほっとけよ。いつもの事だろ」 いきなり背後から現れた彼と私によく似た男の子。 って、あんた誰? 1 喧嘩が気になる 2 男の子に話しかける 3 何かムカつくあいつを一発殴る 自分には関係ないとクールに自分の部屋に入っていく男の子を追いかけ、私は彼に続いて部屋に入った。 彼は制服姿のまま、ベッドにごろんと寝転がっていた。 「ね、喧嘩止めなくていいの?」 「どうせ親父が昔の彼女と縁が切れないとかいう話だし毎度の事じゃねぇか」 興味もなしとばかりに返事する男の子はどうも彼の子供らしい。 だって親父って言ってたし、顔も似てるもんね。 で、私は姉ちゃんって言ってたよね。 てことは私は彼の娘で、知らない男の子のお姉ちゃん? わけわかんない。 「姉ちゃんさ、雰囲気違うな。しかもダッサイ服着ててさ、それ母ちゃんが若い頃の服じゃん」 だ、ダサい…しかも、古いファッションってことだよね。 何こいつ、うちの弟より生意気じゃん。 「ん?どうしたよ、まさかキレたとか。ダサい服着ててそれはないわ」 ムカッ、こいつ何様よ。 1 殴りかかってやる 2 本題は夫婦喧嘩だ。止めないと 3 まだ大人な対応しないとね もう我慢できないや、こいつ懲らしめてやらなきゃ。 私はギュッと拳を握りしめ、ベッドで眠る男の子に殴りかかった。 まずは一発と頭を殴ると、いてぇと声をあげて私を睨んできた。 あはっ、ざまぁみろ〜私を馬鹿にするからだよ。 あれ、頭をさすって起き上がると男の子はにやっと笑い、いきなり飛びかかってきた。 「姉ちゃん、相変わらずつめが甘いな。これで動けなくなったな」 「ちょっと、離してよ。あんた力強いよ」 「やれやれ、喧嘩はもう俺には勝てないって何度も言わせんなよ。つうか、本当にまな板みたいな胸だな」 こ、こいつ…羽交い締めにしたかと思えば、私の大事な胸を揉んでるなんて、しんじらんない。 しかも揉むのがうまい、って感じてる場合じゃないのに。 「母ちゃんと同じで左側弱いんだな。あはは、ざまぁみろは姉ちゃんだな」 「ば、馬鹿。離してよ」 1 力を振り絞って抵抗 2 男の子が姉ちゃんじゃないと気付く 3 か、感じちゃう… あの馬鹿の子供だからかな、こいつ胸揉むのがうまい。 何でよ、姉ちゃんって呼ぶならエッチな事するのやめてよ。 でも、何でなの?めちゃめちゃ感じてる。 「姉ちゃんさ、彼氏に揉んでもらって感じやすくなってるんじゃないか。ほら、エッチな声だしてさ」 「ば、馬鹿。調子に乗らないで。離しなさいよ」 「やだ。さっき殴っただろ」 反抗的な奴。 私が殴ったお返しにこんな事するなんて、すごい子供っぽい。 だけど、エッチ目的じゃないだけマシかな。 「姉ちゃん、謝れよ。そしたら、許す」 「やだって言ったら?」 「仕方ない。更に揉むか、下触る」 どうする、どうする、この先どうする? 1 愛してますか〜言い切れますかと冗談いって耐える 2 素直に謝る 3 あんたになんか謝らないんだから 調子に乗ってるこんな奴に謝るもんか。 私はちょっと気持ちよかったのを我慢して、こいつに抵抗した。 「あんたなんかに絶対に謝らないから」 「いいのか、そんな事言っても。下触るぞ。いいのか?」 「それでも私は謝らないから」 「わかったわかった。頑固者め」 羽交い締めをやめると男の子はベッドにまた寝転がってしまった。 あれ、下触られるかと思って身構えてたのに損した。 「本当に触るわけないだろ。って、何その顔は。もしかして触ってほしかった?」 「なわけないでしょ」 「安心したよ。また触ってって顔するのかと思った」 あんたの姉ちゃんおかしいんじゃないの?と言おうかと思った。 どんな姉弟よ。 「あっ、夫婦喧嘩もやんだみたいだな」 そういえば、声が静かになってる。 私はさっきまでいた部屋に行き、二人の様子を確認してみた。 テーブルに向き合ってるくせに顔をあわせようともしない。 「何だ、 か。どうした?」 「あなたはあっちに行ってなさい。こんな奴と話する事ないからさ」 私に似た声の女の人は私にそっくりっていうか、私? 1 素直に部屋に戻る 2 もうちょっとここにいる 3 頬っぺたをつねってみる 私はこの光景が信じられず、頬っぺたをつねってみる。 痛い、当たり前だけど痛い。 結婚式の未来はみたけど、これはさすがに夢な気がした。 だって子供が大きいし、見たくない自分のオバサンになった姿まで見てしまったから。 「何つねってるんだよ。どうかしたのか?」 頬っぺたをつねる私をゲラゲラ笑う彼と、笑う彼を睨む未来の私。 「ちょっと娘が変わった事したからって笑いすぎでしょ」 「いきなりこんな事されたら笑うだろ」 「笑わない」 「笑う」 まただ、すぐに喧嘩を始める。 私も彼も成長してなさすぎる。 「大体な〜」 私はため息をつきながらベランダに出て、一人外の景色を眺めだした。 他にする事ないし、たとえ息子の部屋で退屈しのぐにしてもセクハラはもう嫌。 はぁ〜あの人と結婚して幸せになれるのかな〜 そんな心配をする私は外が暗くなったので、中に入った。 ちょうどお腹も減ったし、いい匂いがするからご馳走になろうかな。 テーブルをみるとハンバーグが人数分並んでいて、何故か彼が座るところのだけやけに大きい。 これ、私なりの仲直りの仕方だ。 「ほら、あなたも座りなさい」 未来の私に言われ、私は席につく。 皆が仲良く座ったところで夕飯になった。 彼は満足げにハンバーグをたいらげ、ちょっとでっぱったお腹を撫でている。 やっぱり太るか、歳だからかな。 ちょっとショック… 「雅、手伝うよ。お前たちも皿運んで」 「ふぅ〜ハンバーグ大きくしてあげたんだからそれくらいしてね」 「はいはい」 彼は皿を洗いはじめ、未来の私はソファーでくつろいでいる。 我ながらふてぶてしいな。 皿を洗い終わると彼はマグカップを持って、未来の私の隣に座った。 「ほら」 「ふん、せっかくなんで飲んであげる」 未来の私はやっぱり私が今も言いそうな言葉を使う。 呆れるくらいに私は私なんだ。 「ねぇ、さっきはさ〜ごめんね。怒り過ぎたかも」 「別にいいよ。俺も悪かった」 彼は私たちが見てる前でキスをした。 ポカンと見ていると、息子がやれやれと部屋に戻っていった。 「結局いつもあの通りなんだよ。あの夫婦はさ。この前なんかあそこでやりだしてさ」 子供が見てる前でそんな事するなっ!!とゆいたい気分だ。 私はそうならないようにしなきゃだよ。 私は何となく娘のベッドにそのまま寝てしまった。 で、おきたらいつもの部屋だったというわけだ。 だから、頬っぺたをつねっても夢見てる気がするのだ。 あれはあれで幸せそうだな、私たち。 でも、浮気は許せない。 ガツンと言ってやらなきゃね。 「雅ちゃん、ただいま」 「おかえり」 「あれ、お前人が仕事でいない間に寝てたな。ヨダレ垂れてるぞ。ここ」 彼は笑いながら口を触ってきた。 近づく彼にドキドキして、抱きつきたいと思った時。 彼から栞菜の香水の匂いが… 「あんた〜仕事は栞菜と寝ること?馬鹿にしないで」 「違うわい。栞菜ちゃんは俺がいないとダメなんだ」 知らない知らない、こんな奴と思いつつ、私は夢でみた未来を楽しみにした。