遅い! 
もう忘れられちゃったかな・・・先輩からデート行こうって誘ってくれたのに、 
いつまでたっても連絡は来ないんだ。 
先輩の事を考えると、また身体もあの部分も熱くなる。ダメって思ってても、 
また手が伸びちゃう。もしかしてこんな事してるから先輩に嫌われるのかな。 
確かに先輩には徳永先輩がいるから、仕方ないんだろうけど。 
でもこの前愛理とで、デートしてたじゃん。だったら千聖としてくれてもいいじゃん。 
ん?あ、メールだ。愛理だ。 
「もうすぐハッピーバースデーだね。」か。 
もう人の気も知らないで、能天気だなぁ。今日は雨だったから気がめいってるのかな。 
よし、明日先輩に会ってみよう。 
でも何の話をしようかな 

1.先輩、デートしてください 
2.実はもうすぐ誕生日なんです 
3.この前愛理と何してたんですか? 



鏡の前でいつもより入念にチェックしてる。今日は絶対会うんだもん。だから、ね。 
そしてあの人に言うんだ。もうすぐ誕生日って。 
「お姉ちゃん、どうしたの?朝ごはんも食べないで」 
「あ、ごめん、今下りるから」 
「あー」 
「何?」 
「今日は気合入ってるね。なんかあるの?」 
「だ、あ、な、なんにも無いってば」 
「ふーん、頑張ってね。後、靴下の左右が違ってるよ」 
意味ありげに笑うと明日菜は部屋を出た。 
あ、ほんとだ・・・もう、何で気づかないんだろう。私は急いで履き替えるとキッチンに下りた。 
歯磨きも入念に、髪の毛もばっちり。大丈夫だよね?かわいいよね? 
「うん、完璧だね。お姉ちゃん」 
「こら!明日菜!」 
いつもよりも早く家を出た。明日菜よりも早く着きたいし。あの子最近生意気よね。 
バス停で待ってると、当然いつもと違うバス。友達も乗ってないし、いつもよりも混んでるみたい。 
やっとの事で乗り込んだ。 
「千聖ちゃん?」 
え?なんで?なんで?先輩が? 

1.お、おはおはははおはようございます 
2.な、だ、あななんで乗ってるんですか? 
3.じ、じつはたんたんたんたん・・・・ 



「せせせせせんぱい?」 
「どうしたの、そんな慌てて」 
「い、いやべつにそのあの」 
言わなくちゃ、あの言葉を・・・ 
「じじじじじつはですね、そのたたたたんたんたん・・・」 
「千聖ちゃんってこのバスだったんだ?」 
あれ、聞いてないのかな?ま、いいか、ちょっと様子見。落ち着け千聖。 
「いつもは違うんですけどぉ、今日はあのなんというか」 
言えない・・・先輩に会うために気合入れて早く出てるとか 
「でもすごいね、バスってこんなに混んでて大変だね」 
「き、き今日はいつもよりも混んでます」 
「そうか、俺なんて久しぶりだから大変だよ」 
「いつもこのバスなんですか?」 
「ううん。昨日自転車のサドル盗まれてさ。」 
自転車泥棒さん、ありがとう。感謝いっぱいです。 
「い、いつなおるんですか?」 
「今週は無理だって、だからあと3日もバスに乗るんだよね」 
私は誓った。明日もこのバスに乗るんだと。 
私は先輩の横に立っていた。混んでるから私の腕が先輩に当たる。痛くないかな? 
先輩はつり革に捕まって私は・・・鞄をぎゅっと握ってた。 
停留所についた。不意に前の席が空いた。 
「千聖ちゃん、座ったら?」 

1.じゃ遠慮なく 
2.先輩こそ座ってください 
3.このまま二人で寄り添って立ってたい 



このまま何とかして二人で立ってたいな。 
「あ、ここ空いてます。どうぞ」 
乗ってきたおばあさんが目に付いたのでとっさに席を譲った。 
ありがとうと軽く会釈をしておばあさんは席に座った 
「やさしいな。千聖ちゃんって」 
「いえいえいえいえいえ」 
だって私が立ってたかったんだもん。ほんとは先輩に勧めた方がよかったのかな? 
「きゃ!」 
突然バスが止まった。私は先輩に向かって体当たり。先輩はつり革を持ってたから身体が 
くるっと回ってた。 
「大丈夫?」 
「だ、大丈夫です」 
大丈夫じゃないです。私は先輩の胸の中に飛び込むような形。先輩の制服が目の前に見える。 
半身の先輩のその横から私は大胆にも抱きついているようになった。どうしよう・・・先輩に 
変な子って思われないかな。 
後ろからぐんぐん押してくる乗客から守ってくれるように先輩は私の背中に手を回してくれた 
やさしいなぁ。こうして私を抱きしめてくれる・・・抱きしめてくれてる?? 
私はようやく状況を把握した。顔がかぁーっと赤くなる。 
「ったく乱暴な運転だなぁ」 
ダメ、先輩の吐息が私の耳元をくすぐる。 
どうしよう。私のドキドキが先輩に聞こえるんじゃないだろうか。 
混雑したバスの中なのに私達の空間だけ別の場所にあるかのように思えた。 

1.チャンスだからもっと密着したい 
2.恥かしいから身体を離したい 
3.あれ?誰か私のお尻を・・・ 



これ以上くっついているとどうにかなっちゃいそう。 
私はちょっと身体を引いてみた。 
ドン! 
またもや後ろの方から押されてしまう。これだとほんと身動きが取れないんだけど 
私はまたしても揺れたバスの動きにあわせてもがいていた 
「わっ!」 
今度は発車したらしくフラフラっと揺れてしまった。 
「ほんとよく揺れるね」 
え?先輩の声が近い・・・っていうか、先輩の正面にいた。先輩の顔が下から見える。 
「大丈夫?」 
ああ、こっちを見ないでください。恥かしいです。 
私はうつむきながら照れていた。多分頬は真っ赤になってるな。 

1.そういえば言いたい事あったような 
2.先輩・・・その腕が私の胸に 
3.先輩の足が私の足の間に 



いつの間にか先輩にしがみついてた。だって運転がひどいんだもん。 
先輩も必死で踏ん張ってくれている。やっぱり先輩って頼れる人なんですね。 
「多分渋滞してるからこんな変な感じなんだろうね」 
「そうなんですかぁ」 
さすが先輩だ。なんでも知ってるんだなぁ 
感心してるとまた揺れた。 
「っとぉ」 
また先輩に密着してしまう。いいのかなぁ・・・こんなに・・・ 
ん? 
あれ、私の足の間になにか・・・って先輩の足を私が挟んでる!? 
いつの間にか私の足が先輩の間、先輩の足が私の足の間に互い違いになってた 
「まあもう少しの我慢だな」 
先輩は冷静に言うけど私は冷静になれない。 
だだだだって先輩の足が私の太ももに。微妙にスカートがめくれてるのか直接足に 
触ってるんですよ?先輩? 
先輩はどうやら踏ん張ってるみたいだった。先輩の後ろで携帯見てるおばさんが先輩を押すみたい 
だから先輩は必死で踏ん張ってる。どうやら私を守ってくれてるみたい 
だけど先輩が足に力を入れると私の・・・その・・・太ももをスリスリスリスリするんですよ? 
先輩気付かないんですか? 

1.ここに足があるって教えるために挟んでみる 
2.先輩の足を手で押さえよう 
3.やっぱりちゃんと先輩に足が・・・って言おうかな 



このままだとなんか変な気持ちになりそう。でもどうしたら、口に出してなんていえないし 
そうだ・・・ 
私は先輩の太ももをぐっと挟んだ。一生懸命力をこめて 
「千聖ちゃん?」 
先輩は困ったように私を見た 
「わかってるけど、今動けないんだよ」 
「そ、そうなんですか?」 
「ゴメン」 
「いいえ・・・」 
そんな困った顔しないでください。先輩。仕方ないです。事故ですよね。事故。 
その時私はある事を思い出した。 
そういえばこの先で確か道路工事ですごい路面がひどいところがあったような・・・ 
私は急いで身体を離そうとした 
間に合わなかった 
ガクガクガクガク 
車は細かい隆起の上を小刻みに揺れながら通過した 
「ごめん・・・なんか蹴っちゃったかも・・・痛かった?」 
先輩が優しく聞いてくれた。私はゆっくり首を横に振った 
痛くはなかったです。でも先輩の膝が私の・・・いつも私がそのいけないことをする・・・その場所に・・・ 
なんか身体が熱いです。もしかして千聖ははしたない子ですか? 

そのまま無言で私達は乗ってました。 
バスを降りた時、先輩が一言、ゴメンね。痛くなかった?って何度も聞いてくれました。 
「大丈夫です。はい」 
「よかった。ほんとに」 
「あの!」 
「なに?」 
「実はもうすぐ・・・あの私の・・・」 
私は息をすった 
「誕生日なんです」 
言えた・・・よかった。 
「そうかあ。じゃあお祝いしないと」 
「ほんとですか?」 
「何がいいかな」 
「じゃ、あのそのどこか遊びに。その・・・」 
「わかった、じゃあまたどこがいいか考えるよ」 
「はい」 

先輩はそう言って高等部へと走っていきました。 
私は・・・ただじっと立ってただけでした。デートの約束しちゃったし。 

明日もまたあのバス乗ってみようかな 



リ* ・一・リ<せんぱい・・・ハァハァ・・・じみーせんぱぁい・・・アッ・・・ リ* ・一・リ<とうとう学校でしちゃった・・・