俺は車を走らせてた。横にはすやすや眠る女の子が一人。 いや…一見男の子?と見間違うかもしれないが、それは見る目が足りないね。 とびきりのかわいい女の子なんだよ。この子はね。 夕方、明日は休みって事もあって目の前の仕事を片付けていた。 来月はいよいよ夏のハローも始まるし、いろんなイベントもあるし、一番忙しい 夏休みの時期だしね。そこを上手く乗り切らないといけないってさっき後輩の℃-ute担当にも お説教したところだ。その手前必死になるわけだが・・・ 「おーっす!」 その乱入者は前触れもなくやってきた。乱入者だから当たり前か 「な、何しに来たんだ?」 「あー随分冷たい言い方だなぁ。今日は打ち合わせだよ、今度のイベントの」 ああそう言えばソロイベントも近かったよね。 「で。千聖君、何の用かな?」 「せっかくかわいい女の子が声をかけてるってのに、何が不満なの?」 「こっちも仕事中なんで」 「あ、ひどい。これが栞菜とかならすぐに御飯に行こうとか誘うくせに〜」 「こら、声が大きい」 「栞菜とか舞美ちゃんには御飯おごってくれてるのにぃ〜!」 慌てて口を押さえた。回りの視線を軽く会釈で流しながら。 「で、要求はなんだ?」 「私お腹が空いたから何か食べたいなあって思うんですけど、どうでしょう?」 回らない口調で、ニコニコ笑顔で要求を述べた。給料日前の俺には悪魔に見えるな。 「ちょ、ちょっと財布が厳しいんだけど」 「りーちゃんとか愛理にはご馳走できても私にはできないっていうのかなぁ…」 「わかった…ラーメンで手を打たないか?」 「いいよ。早くしてね」 勝ち誇った顔をしたそのかわいい悪魔は、隣の空き椅子に腰掛けるとふへへって笑いやがった。 「終わり!」最後のメールを送り終わると俺はPCをシャットダウンにかかった。 「んもー遅い!」待ちきれない子悪魔は俺のカバンと上着を手に持って立っている。 「はいはい、お待たせしました」俺は苦笑いで、周りの注目する中、その子悪魔と一緒に部屋を出た。 きっとまた後で小言言われそうだな… 「でもさ・・・以外。結構真面目に仕事してるんだね」 エレベーターの中で千聖が言った。 「そりゃね。」 「見直した。うん」 細い目をより一層細くして千聖が俺に笑った。まあこの笑顔には勝てないかなぁ Tシャツジーパンと本当に女の子らしくないようなスタイルのその子は助手席にすっぽり収まった。 「じゃあ、いくかぁ!」「おぉ!」 俺も軽くテンション上げながら、気勢を上げてみた。うん、乗りもいいな。 1.じゃ予定通りラーメンで 2.ちょっと張り込むか明日休みだし 3.先にドライブでもするか? 「じゃあドライブ行くか!」 「え?」 っとちょっとテンションがあわないな 「だって千聖はお腹が空いてるんだってば」 「そんな事言うなよ。楽しいぞドライブは?」 「そりゃそうだけどさぁ」 しばらく千聖は考えてた 「じゃあ、アイス買ってきてもいい?」 「いいよ。先に地下で待ってるから」 「ほーい」 すごい勢いで俺からお金も受け取らずに駆けて行った。相変わらずだな。 俺はカバンを持って、周囲を見た 「お先にしつ・・・」その時俺は衆目に晒されてた事に気付いたのだった。 「・・・れいしまーす」 そそくさと部屋を出て地下に降りると、千聖はもう待ってた 「おそーい」 両手には2つのソフトクリームを持って。 助手席に座ると 「はい、これ」 と言って渡してくれた。 さてまだ時間も早いし、どこ行こうかな 1.大きな河川敷にある公園 2.海辺にある賑やかな町 3.イベントもやったあの遊園地 「で、どこ行くの?」 アイスを舐めながら千聖が聞いてくる。俺だって食べきらないと運転できないからご相伴に預かってるわけだが。 「内緒」 「えー」 少しむくれた感じでアイスを舐めてる。豪快にいくもんだから唇の端にクリーム残ってんぞ。 俺がハンカチでちょいっと取ってやった。 「あ、ありがと」 少し照れたように窓の外を見た。 「じゃあ行くよ」 車をスタートさせた。行く先は決めてる。あの遊園地。飛ばせばなんとか間に合うかな・・・ 高速に入った 「ねねね、遠くに行くの?」 「そんな遠くないよ」 「ならいいけど・・・」 「そのかわり着くまでご飯は待ってな」 「ほーい」 いつの間に買ってたのかかお菓子の箱を空けると食べ始める千聖。 道は幸いにも空いてた。これなら30分くらいは遊べるかな その時千聖が 1.お菓子を俺に食べさせた 2.飲もうとしたペットのお茶をこぼした 3.CDをかけようとデッキに手を伸ばした 「はい。あーんして」 「あ、あーん?」 千聖はそのチョコ菓子を俺の口に運んでくれた。 「おいしい?」 「おぉ」 なんか嬉しそうに笑いながら自分もお菓子を食べている。 そういや久しぶりにこういう感じだよな。車も順調だし、天気も晴れだし。 「でさぁ。どこなの?ここ」 「目的地までもう少しかな」 「ナビつけたらいいのに」 「じゃあ答えがわかるからつまらないでしょ?」 「そっかぁ・・・」 何かに納得したかのようにお茶を一口飲んだ 「もう一ついく?」 「うん」 「はいあーん」 ちょっと意地悪してみたくなった 1.口をあけない 2.指ごとパクッと 3.その口にこっちの指を まだだ・・・まだだ・・・ 少し顔を遠く離しているから千聖も手をすっと伸ばしてきてる 様子を見て、しくじるなよ。 「きゃっ!」 タイミング完璧。千聖の右手は見事に俺につかまったのだ 「ちょっと!ビックリするじゃない!」 あれ?怒ったの? 「もう知らない!」そういうと、拗ねてあっちを向いてしまった。 はははちょっとやっちゃたかな? そうこうしているといよいよ目指す場所が見えてきた。そろそろ看板も出てるな 「あれ?」 千聖も気付いたようだ。 「もしかして・・・あれ?」 時計は16時をちょっと回ったところ。 「ギリギリ間に合ったかな。結構慌てたけど」 「え、遊べるの?」 「ちょっとだけな」 「やったー!」 さっき怒ったのにもう笑ってる。かわいいもんだな。 山道を駆け上がり、ガラガラの駐車場に車を止めると、俺は千聖に引っ張られるように 園内に入っていった。 「ほんとに?ほんとにいいの?」 「いいよ、あんまり時間無いけど、何乗りたい?」 「えっとね 1.バンデット! 2.わんデット! 3.SLコースター! 「あれがいい」 「あれか、あれか・・・」 「一緒に乗るんだからね!」 おいおい、返事をする前から千聖は俺を引っ張っていった。 空いてるから並ぶ事も無く次の便をまった。もうすごい轟音があっちから聞こえてくるぞ 「あれ、乗ってみたかったんだよねぇ」 「はい、じゃあどうぞ?」 今更後にもひけない。俺だって男だ。やる時はやるんだ 「楽しかったねぇ・・・って大丈夫?」 「あ。ああ・・・」 覚えてない。何がどうだったか全く。ただ横できゃあきゃあ騒いでたのはわかる 「でもさー、すっごい変な叫びだったね。キャーって女の子みたい」 けたけた笑う千聖。 「次はホワイトキャニ・・・あ、いいよ私独りで行ってくるから、下で待ってて」 元気だなぁ。待機のホームからこっちに手振ってるし。 せっかくだから 1.飲み物でも買っておくか 2.食べ物なんか買っておくか 3.写真撮ってみるか よし折角だからと携帯を取り出した。カメラにして構えると気付いたのか 満面の笑みでピースサインしてる。俺は片手を上げて合図した。 OKサインを出したらピョンピョン飛ぶように消えていった。 やがて白い怪物が動き出しけたたましく駆け抜けていく。よくわかんなかったけど、なんか言ってた気もする。 駆け寄ってくると 「ねねね?聞こえた?聞こえた?」と聞いてくる 1.聞こえたよ。バッチリ 2.よく聞き取れなかった 3.なんか言ってたの? 「なんか言ってたの?」 「えー聞いてなかったの?じゃあもういいよ」 「教えてくれよ」 「なんか千聖が馬鹿みたいじゃん。せっかく大好きって・・・あ!」 「え?なんだって」 「もういいの!」 千聖は拗ねた振りして次の獲物を狙ってる。照れくさいから顔あわせたくないのか。 結局最後にフリーフォール乗ったところでタイムアップ。 「もっと遊びたかったなぁ」 「そういうなよ。時間ギリギリだったんだし」 「あ、ここだよね?ここでほらイベントやったんだよ。2回も」 「2回?今年で2回もやったの?」 「違うよ。今年と後2年前かな」 「そうかぁ。2年前はまだ知らないからなぁ」 「そういえばそうだね。まだBerryz工房の担当じゃなかったもんね」 「それよりももっと前のこととか。ほんとに知らないからなぁ」 「うちらも、明日だよ」 「何が?」 「℃-uteって名前がついたの」 「そうなんだ?」 「そうなんだよ」 やがてはき出される様に駐車場へ戻ってきた。 「あ!」 「どうした?」 「お腹すいた・・・」 「すっかりご飯忘れてたもんな」 「ねーご飯、食べるー」 「わかったわかった」 確かどこかにファミレスあったはずだから・・・ 「あとさ、お願い」 「なに?」 「さっき撮った写真見せてよ。」 「いいよ。ほら」 「おお・・・ちっちゃ」 「まあ望遠だからな」 「ねねここで撮ってもいい?」 「写真?」 「そう。ほら行くよ」 千聖は手を一杯に伸ばして写真を撮った 「ほら、良く撮れてるるでしょ?」 「うん、まあまあかな。じゃあご飯いくか」 「待ってました!」 後で聞いた話だけど、千聖の携帯の待ち受けが変わってるって栞菜ちゃんから聞いた。 「千聖とデートしたんですって?」と散々つねられながら