「だ、だからさ、舞、今はまずいんだよいろいろと」 
「やだ!決めたの。お兄ちゃんとデートするって」 

言いだしたらきかないからな〜舞は・・・ 
どうしても俺とデートがしたいって。つい先日どっかの馬の骨かもわかんない奴に写真とられたばっかりなのに 
何より雅ちゃんに1週間は浮気厳禁だと約束したばっかりなんだよ。 
それは伏せて写真のことを説明しても舞は引き下がってくれない 
「お兄ちゃんは私なんか大事じゃないんだね・・・」 
「ち、ちがうよ。大事だからこそ今はへたに動けないんだよ」 
「・・・」 

やめろぉ舞っ。 
そうやって泣きそうな顔をしないでくれ、ぐらつくよ。 
「大丈夫だよ。写真とってる奴なんか私が追い払うから」 
「そういう問題じゃなくて。舞わかってくれ」 
「い〜〜や〜〜だ〜〜!」 

・・・つらいな、舞の願いをかなえてやりたい。 
でも監視の目がいつ狙ってるのかわからない。 

1 わかった。お兄ちゃんとデートしよう 
2 俺が女装するから舞は男の子になれ 
3 我慢してここでみんなと遊ぼう。な? 



わかった。 
「舞、わかった。お兄ちゃんとデートしよう」 
「ホント?!やったあ!」 
急に顔つきが明るくなった。ついさっきまであんなに泣きそうだったのに 
「・・・でも、ひとつだけお願いがある」 
「え・・・っ」 
「顔をとられたらまずいだろ。かといってサングラスにマスクをしたら怪しまれる。だから」 
突如思いついた案を耳打ちしたら目を丸くして驚く舞。 
「それって余計に怪しまれるんじゃないかなぁ?普通にマスクとサングラスの方が・・・」 
「いいから早くするんだ。ホラ、男の子っぽい服はもう用意してあるから」 
「うん、わかった。終わったら声かけるね」 
舞は更衣室に入っていった。 

さて準備をするか。 
・・・と思ったがなかなかうまくいかない。こないだはそこそこできたつもりだったが 

「う、おぇえっ」 

鏡にうつる自分を見ていたら吐き気がしてきた。なんだこのおぞましいモノノケは・・・ 
「お待たせ〜!ってお兄ちゃんなにそのメイク?!」 
「ああ舞、悪いけど手伝ってくれないか」 

舞のおかげでなんとか見られる程度にはなった。 
「服もちゃんと着なさい。もう・・・いけてないなぁ」 
「だってわかんないんだもん」 

さすがは舞だ。俺の渡した服をしっかり男の子のように着こなしている。 

1 さあいくか。舞の好きなとこに 
2 改めて鏡の前で並んで見てみるか 
3 舞、お姫様だっこして 



「ちょっとポーズとってみようか」 
鏡の前に並ぶ俺と舞。 
・・・うわ、俺って舞とそんなに背丈が変わらないのか。これから成長期なのを考えるとすぐに越されそうだ。 
「お兄ちゃんには金髪より黒とかちょっと茶髪な付け毛の方が似合うんじゃない?」 
「そうか?やってみてくれ」 
「はい」 

おお、見栄えが・・・変わったぞ。 
自分で言うのもなんだがなんというか多少はましになった様な。 
「あははは、もっと女の子らしくなったね」 
肩に手を回してくる舞。なんか、俺より男らしく見えるぞ。千聖とは違ったタイプだが舞も男らしいな。 
「舞、いや舞君。かっこいいわよ」 
「・・・お兄ちゃんヘン。言葉は普通でいいよ」 

言い方もかっこいいぜ。なんだか俺が妹になった気分だ。 
「じゃあいくわよ舞君。車に乗りなさい」 
「だから普通でいいよ。声も作らなくていいから」 

そうやってクールに言うところがかっこいいぜ。舞 

1 どこがいい?好きな場所にいくよ 
2 みんなに見てもらおうか、舞のいけてる姿を 
3 なに?キスするの? 



「お兄ちゃん・・・」 
きりっとした顔から、またいつもの甘える妹に戻った舞。 
「なに?っておい、舞・・・」 
これはあれか、キスのおねだりだな。舞ったら積極的なんだから 
「ん〜♪」 
なんだほっぺか。かっこつけて唇にくるかと思ったけど、かわいらしいキスだ。 
やっぱり舞は妹なんだなってなんだか安心した様な、でも少し寂しい様な変な気持ちだ。 
「歩いていこう」 
「車はいいのか?」 
「うん。たまには歩こう、お兄ちゃん運動不足でしょ?」 
「運動する時間なんてないよ。お前達のために頑張ってるんだから」 

ぎゅっと手を握って外へと歩きだす舞。 
「ほら、いこ。時間あまり無いんだから」 
「うわっ、とと、いきなりひっぱるなってば」 

なんだかいつもと雰囲気が違う・・・ 
積極的なのは変わらないが妹の時はもっと子供っぽかったのに。 
舞、俺の知らない間にどんどん大人になっていくんだな。 

・・・ちょっと寂しいよ。いつまでも、とは言わないがもう少し無邪気な妹のままでいてほしい。 

1 とりあえず歩き続ける 
2 公園に行きたいのか 
3 うわっ犬! 



「わぁ〜〜〜〜〜!」 
心配はいらなかったみたいだな。もうあんなに走り回ってる。 
「お兄ちゃん待て〜!つかまえちゃうぞ〜」 
「舞勘弁してくれ。はぁ、はぁ、おい」 
「つかまえたぁ〜♪」 

ば、化けものか、あれだけ走り回って息一つ切れてないとは。 
「やっぱりお兄ちゃん運動不足だね。もう息ぜえぜえいってるよ。うふふ」 
「む、むちゃ言うな、俺は舞より歳が一回り違うんだぞ」 
それに舞たちは普段からレッスンしてるから基礎体力が違う。女の子といえど同世代の娘よりタフに決まってる。 
まして舞くらいの歳じゃまさしく体力の塊だから簡単には疲れないだろう。 

「あ〜〜〜、楽しいっ!」 
草むらに寝転がる俺の隣にごろんっと倒れこむ。 
「お兄ちゃんと二人きりでデートしたのって初めてだよね」 
「二人きりってのはよくあったよ。でもデートは初めてだな」 
「・・・隣にはいつも千聖がいたからね」 

ぽつりと、呟く舞。 

1 舞、今はお兄ちゃんと二人きりだぞ 
2 舞を抱き寄せる 
3 次は千聖もつれてこようか 



千聖は舞にとって親友でありお姉ちゃんでもある。背丈は小さいが舞にとってはお姉ちゃんなんだよな 
「今はお兄ちゃんと二人だぞ、舞」 
「・・・」 
急におとなしくなっちゃったな舞。千聖のことを気にしてるんだろうか 
「お兄ちゃん」 
「なんだ・・・?」 
舞は、寝ている俺の上にまたがってきた。 
「おいおいここ外だぞ。エッチするなら中で」 
「ちがう。あの・・・あのね・・・」 

何か言いたそうだな舞・・・ 
「千聖がうらやましいの。よくお兄ちゃんとデートしてるから」 
もしかしてやきもちか?舞もそういう年頃になってきたんだ。 
よくわからない。さっきはあんなに走り回ってたから子供だと思いきや、今度は千聖にやきもちやいて。 
「舞だって大切だよ。俺の大事な妹だ」 
「・・・千聖とどっちが大切なの?」 

舞・・・おまえがそんな質問をするなよ・・・ 
やめろ、そんな強い眼差しで俺を見下ろさないでくれ 

1 舞に決まってるじゃないか 
2 ・・・千聖の方が大事だ 
3 寝たふりする 



「・・・わかったよ。ちゃんと言うから、だから目を閉じさせてほしい。開けたら答える」 
「待ってるよ」 

俺にはこうするしかない。こうする・・・しか・・・ 

「お兄ちゃん」 
「ZZZ・・・」 
「お兄ちゃん、寝ちゃだめ。ちゃんと答えて」 
「ZZZ・・・」 
「お兄ちゃん怒るよ!ちゃんと起きて答えなさい!」 

なんてばかげた回避の仕方だ。きちんと答えてやらなきゃいけないが、ごめん。 
「もう、お兄ちゃんて大事な質問だと答えないんだから」 
「おはよう舞。寝る前に何か聞かれたけど忘れちゃった」 

舞は俺から離れ、再び隣に寝転がった。 
「すぐに言わせてあげるから。私の方が大事だって」 
「舞・・・」 

それだけ言うと目を閉じてそのまま寝てしまった。 
・・・ついに本気になってきたのか。気の強い舞らしいな 

「舞〜。起きろ、もう時間になるぞ」 
「やだ〜、まだ寝るの〜」 
「おい起きろ。早くするんだ」 
「おんぶして・・・すぅ・・・すぅ・・・」 
ダメだこりゃ。こうなったら舞は起きてくれない。 
「しょうがないなぁ。よっ・・・と」 
すやすや眠る舞をおんぶしたら、意外と重くなっていて驚いた。 
こないだは軽く感じたのに、な。もう俺の知る舞じゃなくなってるのか 

今までの舞と違って見えるのはただ男の子みたいな格好してるからだと思ってた。 
だが違う、ただ見た目が変わっただけじゃなかったんだ・・・ 

千聖と自分、どっちが大切かなんて聞かれると思わなかったよ。 

もう妹じゃなくなってきてるんだな。夕焼けがやけに寂しくしみるよ・・・ 

「んがっ?!」 
急に痛くなったと思ったら、舞が俺の顔をおさえていた。 
「寝てたと思ったでしょ。残念でした〜!変な顔になれ〜」 
「い、いらい、まひ、やめろ、まひ、やめろっては」 
「いやだ〜♪」 

こ、こいつ・・・人の気も知らないで・・・! 
「お兄ちゃんと同じ寝たふりだもん。えへへ」 

もう妹じゃないかと心配していたけれど、 
違う意味で心配は付きなさそうだな・・・こりゃ 

舞・・・でも、そのままでいてほしい。 
まだ背伸びをするには早すぎるから