かの有名な予言者ノストラダムスは言いました。 
1999年7の月、アンゴルモアの大王が…以下略。 
俺はその予言を信じ、小さい頃から貯金をし、死ぬ前にその金でパァ〜っと遊ぶつもりだった… 
なのに、現実はそう世界が滅びることなく、今も平和に時間が流れているじゃないか。 
ぺてん師め、俺は怒ったぞと言いたいところだが、貯金の事などすっかり忘れていた時、ふと貯金箱を発見した。 
で、俺はその貯金で一人旅に出よう、そう考えて駅までの道のりを歩いていた。 
そんな俺に話しかけてくる声がかかり、振り返ると… 

「き、君は… 

1 ノノl∂_∂ル 
2 川*^∇^)|| 
3 ノk|‘−‘) 
4 州´・ v ・) 
5 リl|*´∀`l| 
6 ル ’ー’リ 



み、雅ちゃん」 
「こんなに早くにどこ行くの?そんなに大きなバッグ背負って」 
「ええと、ちょっと旅行にでもと」 
「旅行か〜いきなりだね。でも、何で一人旅しようと思ったの?」 

後ろから突然声をかけてきたのは雅ちゃんだった。 
雅ちゃんとは学校で顔を合わせるが、隣の席のイラン人じゃなかった、梅田先輩が授業も休み時間もやたら話しかけるからなかなか話ができなかった。 
それに土日はバイトはあるし、部活帰りの舞美先輩までくるしで彼女なのに雅ちゃんとは疎遠になっていた。 
だからか、こんな時くらい隠し事するのはやめようと素直に全てを話した。 

「まぁ、話すと笑うから言えないよ…」 

言えるか、ノストラダムスを信じて貯めた金が見つかったから旅行に行くだなんて。 

「言ってよ。笑わないからさ。ジミー君が変わってるのは前からじゃん」 
「笑わない?絶対だね」 
「うぅ〜ん、保証はできないかな。それでもよければ」 

雅ちゃんは久しぶりに俺と話しができるからか、やけに笑顔で話しかけてくる。 
そんな彼女に嘘はよくないよな。 

1 ノストラダムスの予言を信じて…と話す 
2 実は…君ん家まで一人旅しようと思ってさ 
3 無くした記憶を取り戻す為に 



「実は…君ん家まで一人旅しようと思ってさ」 

いや、咄嗟に思い付いた言葉だったから、笑わせようと意識したわけじゃないんだが、雅ちゃんは一瞬キョトンとした後吹き出した。 

「もぉ〜君って奴は。キザなセリフをサラッと言うとこは記憶なくす前と変わらないんだね」 

目の端にためた涙を拭き、落ち着いた雅ちゃんは呆れ気味にまた話し出した。 

「安心した。しばらく話もろくにしてなかったから心配してたんだよ。もう平気なのかなって」 

雅ちゃんはいつも俺を遠目からみては、そんな事を考えていてくれたのか。 
ごめんな、浮気ばっかりして君の事を第一に考えてやれなくて。 

「よかった、そんな下らない事が言えるなら平気だね。で、どうする?」 
「どうする?って」 
「ほら、私の家までの一人旅。行くならついていこうかな。一人じゃなくなっちゃうけど」 

1 よし、夏焼家まで出発 
2 俺の旅に一緒に来ないか? 
3 ストーカーの視線を感じるぞ! 



「俺の旅に一緒に来ないか?」 

卒業旅行として出掛けた時も、雅ちゃんとはあまり二人きりになれなかったし今回丁度いいのかもしれない。 

「え?」 
「彼女なのに二人きりで出掛けたことないかなって。だから、どうかな」 
「…いいの?私なんかがついていってさ」 
「いいって。一人だと寂しいかなって思ってたとこだから」 
「ありがとう。じゃあ、出かける準備するから待っててくれないかな?」 

雅ちゃんの質問には考えるまでもなく、待つと答えた俺は彼女の家まで行くことにした。 
その道中、何故雅ちゃんが俺が朝早くに駅前にいることがわかったのか考えもしなかった… 

「部屋は汚いからこの部屋で待っててね」 
「うん、了解」 

初めて彼女の家に来たがあまりの大きさに驚くわ、中は中で豪華絢爛で身分の違いを思い知らされた気がした。 

「それにしても遅いな〜もう30分は経つぞ」 
1 心配だ、様子を見に行き…迷子に 
2 待つがよし、寝て待つ 
3 執事さん、雅ちゃんの様子は? 



こんなデカイ家だ、下手に動けば、雅ちゃんの部屋に行けるか怪しいし、この部屋に戻れるかすらわからない。 
待つのが一番だろう、こういう時は。 
俺はソファーに横になり、すぐに瞼が落ちてきて寝てしまった。 

「もうっ、お母さんの馬鹿。何でダメなの」 
「男の子と一緒なんて早いわよ。あなたはまだ高校生よ」 
「デートくらいするよ、私だって。一泊くらい許してくれてもいいじゃない」 
「雅、あなたがなんと言おうとダメよ。茉麻ちゃんたちは行くわけじゃないんでしょ」 
「私は彼と行きたいの。好きなんだからいいじゃない」 

寝ぼけた頭にもガンガン響く大きな声が廊下から聞こえる。 
一人は雅ちゃんだが、一人は聞き覚えがないが話の様子から雅ちゃんのお母さんだろう。 
旅行に行く相手が俺じゃあ許しはしないよな、普通。 
年頃の男女が一緒なら何が起こるか大体想像がつきそうなもんだし。 
俺がゆっくりソファーから体を起こすと、でかい音を立てて部屋のドアが開き雅ちゃんが入ってきた。 
泣いてる?間違いない、泣いてる… 

「ごめんね、頑固な親でさ…行くなって」 
「雅ちゃん」 

気にするな、そんな安っぽい言葉がかけられる状況じゃない事くらい俺でもわかる。 
旅行はいつでも行ける、でも傷ついた君を慰めるのは今しかない。 

1 何も言わず抱き締める 
2 お母さんに土下座して行かせてと言う 
3 雅ちゃん、大きくなっちゃったで笑わせる 



芸がないと言えば芸がないよな、俺。 
困った事があると女の子を抱き締める。 
今回も自然と体が動いていた、雅ちゃんを抱き締める為に。 

「ジミー君…」 
「力になれなくてごめん。俺、ガキだからこんな事しか出来ないよ」 
「私こそこんな家じゃなかったら普通に君とデートできたのにね」 

ガッカリした様子の雅ちゃんを慰める事が出来たかな…こんな事で。 

「ジミー君、私をうんと遠くに連れて逃げて。君と二人になれる所に」 
「あぁ、約束する。雅ちゃんを連れていくよ」 
「絶対だからね」 

雅ちゃんは力なくともやっと笑ってくれた。 
俺は改めて雅ちゃんと自分の身分の違いを考えさせられた。 
一方は令嬢、一方は庶民。 
釣り合うはずがない、彼女の親はきっとそう言いたいんだ。 
俺が茉麻たちみたいに女の子じゃないから、品定めされるのは当然の事。 
俺と雅ちゃんの前に広がる壁、それは大きい。 
だけど、いつかそれを乗り越えてみせる。 
その日まで俺は雅ちゃんに悲しい涙を流させまいと誓った。 

1 普通に後日談 
2 雅ちゃんの親が廊下にいるかも知れないがエッチしたい 
3 スネイク、夜にミッションだ 



「スネイク、夜にミッションだ。いいか、有無を言わずに夏焼邸前に集合だ」 
「おい、お前は友人に電話するのに指令口調なのか」 
「スネイク萩原、お前に断る権利はない。舞ちゃんに何かあってからでは遅いぞ」 
「そうかそうか、お前は俺を脅すのか。何て奴だ」 

俺は雅ちゃんに夜、窓を開けておくように伝え、家を出た。 
そして、夜… 

「スネイク、遅いぞ。待たされた俺の身にもなれ」 
「お前な、俺が何で夏焼さん家に来なきゃならないんだ」 
「お前に言い渡すミッションは家に侵入し、これを渡すことだ。頼んだぞ」 
「お前、自分がやれ。どこまで人をこき使う気だよ」 

渋々ながらスネイク萩原は雅ちゃんの家のでかい門を越える為、近くの電柱によじ登りだした。 
そんなスネイク萩原を元気づけようと、俺は尻を軽く叩いた。 
あるものを塗りたくった手で。 

「頼んだぞ、スネイク萩原」 
「はいはい。今度もちゃんと報酬に舞のコレクションを渡せよ」 
「あぁ、渡すさ」 

生きて帰れたらな。 
さて、俺も侵入する準備に取りかかるか。 
悪いな、スネイク萩原よ…お前は囮だ。 

「ギャアアアア〜犬が…でっかい犬が…」 

そう、そいつらがいるから俺は自分だけで侵入するのは断念したんだよ。 

雅ちゃんの部屋の場所をあらかじめ聞いていた俺は、窓が開けられているのを確認して壁を登り出す。 

「雅ちゃん、お待たせ〜お迎えに参りました」 
「ジミー君、嘘〜」 

雅ちゃんが驚くのも無理はない。 
スネイク萩原があれだけの騒ぎを起こしているんだ、俺が無事につくとは思ってもみなかったろう。 

「さぁ、上着を着て。今から星空を眺めにでかけよう」 
「今から?」 
「うん、今から。早くしないと星が消えちゃうよ」 
「う、うん。あっ、着替えは覗いたらダメだからね」 

雅ちゃんに後ろを向くように言われ、外を眺めるとドーベルマンみたいな犬に追いかけられるスネイク萩原が一人。 
アイツ、よく持ちこたえるな。 
さすが文武両道の萩原君だ。 
そんな賑やかな外の喧騒とうってかわって、中は吐息とわずかな衣擦れの音がするばかり。 
雅ちゃんが着替えしてる事を考える、それだけでやたらに緊張してしまう。 
きっと下着とか大人っぽいんだろうな、とか馬鹿な事しか考えつかない。 
馬鹿馬鹿、せっかくのロマンチックな雰囲気にするのが台無しだ。 
冷静になれ。 

「お待たせ、って顔紅いけど…覗いてた?」 
1 さ、さぁととぼける 
2 見るわけないよ、信じて 
3 下着が赤なんて知らないよ 



「見てないよ、信じて」
「本当に〜?」
「本当だよ。誓って言いますが見てません」
「見てもよかったのに…だって…ううん、何でもない」
「何何〜今、見てもいいって言わなかった?」
「さぁ、どうでしょう。それより星見に行くんでしょ」

そうでした、本来の目的はそっちだ。
雅ちゃんが含み笑いした気がしたが、気のせいだろう。
雅ちゃんの手を引き、壁を乗り越えて俺の自転車の後ろに乗せる。
雅ちゃんは「ジミー君の背中あったかい」とポツリと溢した。
俺に絡む腕が少し強くなった気がする。

「寒くない?寒かったらもっとくっついていいよ」
「やだぁ〜エッチな事考えてるでしょ」
「なわけないじゃん。雅ちゃんに悪いよ」
「ちょっとくらいならいいのに。だって彼氏じゃん」

゛彼氏゛と雅ちゃんから言われた瞬間、胸がドキッとした。
彼氏、その響きがすごく心地よい。
雅ちゃんが俺を彼氏って言ってくれた、それだけで嬉しい。

「そうだね、雅ちゃんは俺の彼女だもんな〜ちょっとならいいよね」
「ふふっ、ちょっとならね。あんまりエッチすぎるのはダメだぞ」

雅ちゃんの声にいつもの調子が戻った気がする。
今日あんな事あったから心配してたんだ。
君がまだ落ち込んでないかって。

前にも誰かを連れてきた気がする、この展望台。
今日は人気がなく、シーンと静まり返っていた。
まぁおかげで二人きりで星をゆっくり見られそうだ。

「ここね、俺が好きな場所なんだ。この町で一番空に近い場所」
「なかなかロマンチックじゃん。ジミー君やっぱり面白い」
「何で?」
「だってこんな場所知ってるなんて意外だなと思って」
「そんなに意外?」
「意外かな。だってそんなイメージないんだもん」

俺はここでようやくある事に気付く。
そうだ、俺がこういう事した相手って、ちぃと桃子先輩、舞美先輩、あとは岡井ちゃんに舞ちゃんくらいか。
雅ちゃんにはデートすら誘ったことなかったんだ。

「ねぇ、急に落ち込んでない?」
「だって…考えたら君には彼女らしい事してあげてなかったなと思って」
「それなら気にしないでよ…って言いたいけど、本音言うとすごく寂しかった」

ここで顔をあげた雅ちゃんに今日二度目の涙が浮かんだ。
ごめんよ、俺が馬鹿なばっかりに。

「目を瞑って。頭に星を浮かべて」
「いきなり何?こんな状態で?」

1 こんな状態でも
2 いきなりは無理かな
3 いいからいいからジミーを信じてと冗談まじりに



「いいからいいからジミーを信じて」

俺はお得意のジョークで雅ちゃんを笑わせようとした。
結果は「君って奴は…もぉ〜」と呆れられたような感じだったが、目を瞑ってくれた。
そして、雅ちゃんに悟られまいと俺は首だけを雅ちゃんの口元まで動かす。
だけど、雅ちゃんも何をされるか想像できていたのか、ちょっと緊張気味にみえた。
そんな雅ちゃんに唇だけが触れるキスをした。
雅ちゃんは俺が唇をはなすと触れた部分を確かめるように撫でていた。
久しぶりだもんな、キスも。

「彼女に相応しい演出をしてみました」
「うん、いい演出」

雅ちゃんは照れながらも嬉しそうだった。
俺たちはその後、星空を眺めるのにベンチに腰掛けた。
手を繋ぎあい、二人で微笑みあう。

「雅ちゃん、ずっと一緒にいたいね。たとえ君の親に認められなくとも」
「うん、一緒にいたい。こうしていたい」

寄り添う俺たちは夜空を眺めながら眠りこけ、起きると朝日が昇る時間になっていた。

「初めての朝帰り。親にも内緒でこんな事するのも初めて」

初めて、それを言う彼女は解放感に満ちていた。
自転車の後ろに再び雅ちゃんを乗せ、俺はまた走り出した。
朝日を背に受けながら…
雅ちゃん、君に満足してもらえるようなデートしたい。
だからずっと一緒にいて、ね、約束だ。