「頼む、それだけは勘弁してくれ」 
「先輩に近づく邪魔者は私が追い払ってあげます。だから、心配はいらないんですよ」 

土下座までして頼み込んでいるのに彼女は全く聞き入れようとはしてくれない。 
それをバラされると俺はともかくちぃが学校から処分されてしまう。 
自分で蒔いた種とはいえ、こんな展開予想すらしていなかった。 
それだけに対策を練るなんて無理に決まっているじゃないか… 

「先輩、顔をあげて下さい。これは先輩と私の今後の為なんですからね」 
「何でも言うことを聞くよ。だから写真をばらまくなんて真似はやめてくれ…」 
「ダメです。だって先輩はこの人に脅されてこんな所でバイトしてるんでしょ?」 

あぁ、何でそういう解釈をしているんだ。 
その写真の俺たちの表情をみればすぐにわかりそうなものじゃないか…自主的にやっているんだよ。 

「先輩には私が必要です。こんな女より私じゃないとダメなの」 

俺をこうやって追い詰めてくる相手といえば、そうあの子だ。 

1 熊井ちゃん 
2 栞菜ちゃん 
3 早貴ちゃん 
4 岡井ちゃん 



「栞菜ちゃん、君が俺を好きなのはわかったからやめてくれ」 
「先輩は私がどれだけ好きかわかってません」 

栞菜ちゃんはにこやかに笑ってくれるが、今は悪魔にしかみえないよ。 
俺とちぃが秘密のバイトをしている、これは愛理ちゃんにしか知られていないと思っていた。 
だがその読みは甘く、あろうことか一番バレたくなかった相手に知られてしまった。 
栞菜ちゃんは思い込んだら一直線でストーカー行為も何のそので、休みの日もこうやって後をつけていたみたいだ。 
俺たちも許可なくバイトしていて、君は間違っていると声を大にして批判できない辛い立場だ。 

「どうすれば写真は処分してもらえるのかな?」 
「私がいいって言う女の子以外近づかないでくれたらいいですよ」 

…そんな、そんな事されたら皆と話せなくなるし、エッチなこともできなくなっちまう… 

「まずぅ、舞美ちゃんでしょ。愛理、早貴ちゃん、あとは熊井ちゃんです」 
「それだけ?」 
「はい。今言った女の子たちは私も仲良くしたいし、先輩なら仲良くしてもいいですよ」 

これはキツい、何とかならないかな… 

1 クラスメイトはいいだろ? 
2 舞ちゃんなら問題ないと思うな 
3 条件をのむから許してくれ 



「く、クラスメイトはいいだろ?どうしても会わないわけにはいかないからさ」 
「うぅ〜ん、仕方ないですね。クラスメイトの人たちは特別に許可してあげます」 

よかった、彼女たちまで近づくなと言われた日にはどうなるかと思ったよ… 
俺が安心感から気の抜けた顔をした時、蒼天の霹靂とばかりに栞菜ちゃんから待ったがかかった。 

「この写真の人、クラスメイトでしたね。そうなるとこの人は近づかせたらいけないですね」 
「ま、待ってくれ。ちぃは、千奈美は特別なんだ。初めての彼女だし、それに…千奈美とは」 
「だぁめですぅ。この人が先輩を悪い道にひきずりこんでるんですから」 

栞菜ちゃんは俺からちぃを奪おうというのか…俺にとってちぃは大事な存在で思い出を数えたらきりがない。 
茉麻、雅ちゃん、梅田先輩、クラスメイトは大事だ。 
でも、でも、ちぃは… 

「だのむ、ちぃを俺から奪わないでぐれ。ぢぃは、ぢなみば俺になくちゃならないだ」 

俺は言葉として聞き取れないような言葉を発し、栞菜ちゃんにすがりついた。 
みっともない顔して泣きつき、それはもう百年の恋も冷めるに違いない醜態だったはずなのだが… 
逆に栞菜ちゃんには弱い姿をみせた事で想いに火をつけたようだ。 

「大丈夫、私がいるから。ね、先輩」 

1 ちぃだけは許可してよ、頼むから 
2 前向きに栞菜ちゃんを好きになればいいか 
3 ちぃは諦める 



「ちぃだけは許可してよ、頼むから」 
「そんなにあの人が大事ですか?」 
「うん、ちぃがいなくなったら俺は…」 

栞菜ちゃんはすがりつく俺を離し、目線をあわせると悲しそうな瞳を向けてきた。 
それは彼女からしたら理解に苦しむという表れなんだろう。 

「どうして私の言う事をわかってくれないんですか。あなたに必要なのは私ですよ」 
「君が俺を大事に思ってくれるのはありがたいよ。でも、千奈美がいなくなったら俺は生きていけないよ」 

俺はようやく落ち着きを取り戻し、いかに千奈美が大事かを説明した。 
それだけが俺に残されたできることだからだ。 

「わかりました。先輩、そんなに言うなら他の子はちゃんと諦められるんですね?」 

究極の選択になりそうだ 

1 諦めるよ 
2 それは無理だ 
3 栞菜ちゃんの奴隷になる代わり、それも勘弁してほしい 
4 リクエスト 



俺は皆好きだ、簡単に諦められるはずがないんだ。 
どの子も思い出は数えきれないし、数の問題じゃないくらい大事なんだ。 
だから、俺の出す答えは決まっている。 

「そ、それは無理だ。俺には皆を諦めることはできない」 
「なのにバイトをさせるこの人も大事で、しかも誰よりも大事そうでしたよ?」 
「…大事さ、すごくね。いつもあいつが隣にいてくれたから俺は頑張れたんだからさ」 

栞菜ちゃんは溜め息をつき、じっと俺の顔をしばらく眺めていた。 
そして、 
「想いの強さは私が先輩を思うくらい強いみたいですね。はぁ〜先輩ってどうしようもない人」 
「ごめん…」 
「気にしないで下さい。私もすぐにバイトできるようになって、一緒に働きますから」 

別に諦めたわけじゃないのね…前よりも気持ちは強くなってるみたいだし… 

「クラスメイトのあの人は許可してあげます。まぁ〜あの人も先輩を大事に思ってるみたいですよ」 
「何だって?」 

あの人もってすごく気になる言い方だよ、まるで君が既に接触を果たしたような… 

「相思相愛なんですね。でも、先輩は無くしたものもあるんで気を抜いたらダメですよ」 

栞菜ちゃんという台風は過ぎ去った、が、無くしたものがあると言い残された言葉にはどんな意味があるのか。 
まだ俺にはその意味がわからなかった…