卒業式の翌日、俺は朝目覚めトイレに行こうと上半身を起こしかけたその時… 
上半身に走る激痛により再びベッドに倒れるように引き戻された。 
倒れた瞬間に痛いと声を発したものの、ズタズタになった口の中では言葉にすらなっていなかった。 
本当に呻き声しか挙げられないようだ。 
それでも鞭打って体を起き上がらせ、壁伝いに何とかトイレで用を済ませるとヨロヨロした足取りで下に降りていった。 
うちの母親が俺の顔をみるなり開口一番、叫び声をあげたのには驚かされた。 
その叫び声の残響でさえ、今の俺には耐えきれない痛みとして衝撃がある。 

「あんた、だから昨日から言ってるでしょ。何が大事な約束なもんですか。その体で出掛けるっていうなら、うちの子じゃありませんからね」 
「でもさ、萩原の妹だし約束を無視するわけにはいかないよ。俺にとっても大事な人なんだ」 
「馬鹿息子、そんな誰彼構わず大事だ大事だ、ってあんたの父親にそっくり。浮気性は似るなって言ったでしょ」 
「しかしだな、舞ちゃんは今日を楽しみにしてるんだぞ」 
「昨日ケガして帰ってきても理由は言わない、あげくデートしますって…いい、今日は家から出しませんよ」 

母さんは一度こう言い出したら聞かない人だ。 
俺は舞ちゃんをほったらかしにしすぎた、もう待たせられない。 

1 素直に言うことを聞く 
2 舞ちゃんに断りの電話を入れる 
3 隙をついて抜け出す 



母さんの言う通り、あんまり無茶しない方がよさそうだ。 
さっき鏡で見た自分の顔、上半身だけでも何ヵ所も青アザがボールの大きさ程度にあった。 
この状態で行っても舞ちゃんに変に気を使わせてしまうに決まっている。 
確か舞ちゃんの携帯の番号は…女の子のデータが詰まった脳ミソをフル回転させ電話をかけた。 

「舞ちゃん?俺、今日は申し訳ないけど会えそうにないよ」 
「どうして?だって昨日はあんなに連れていってくれるって言ったじゃん。嘘つき」 
「ごめんよ、体が…」 

と、いいかけて俺はハッと気付き、その先は口が裂けても言うまいと口を塞いだ。 

「体がどうかした?ね、ジミーちゃん。昨日あれだけ舞がボールぶつけたからそのせい?」 
「いや、そんなことはないよ。今日急用が出来ちゃってさ」 
「嘘つき、舞のせいなんじゃん。ジミーちゃん、ごめんね…ごめんね」 
「舞ちゃん…」 

そうだ、下手に隠そうとしても舞ちゃんはそういう事には敏感だし気付かないわけはなかったんだ。 
浅はかだ、下手に嘘つくんじゃなかった。 

「いいよ、これから私がお見舞いに行ってあげるね。それでいい?」 

1 よろしくお願いします 
2 だが、断る 
3 兄貴はついてこないでねと注意しておこう 



舞ちゃんが自分からお見舞いに来てくれるらしいし、それも悪くないだろう。 
このケガの原因は舞ちゃんだしな。 

「よろしくお願いします」 
「は〜い。楽しみに待ってて。すぐに行ってあげるね」 

舞ちゃんが俺の家に来るのか〜久々な気がするな。 
あの汚い部屋に歓迎っていうのも悪いな、ってしまった…エロ本やらビデオやら大量に転がってるぞ。 
あの子の目に入れるのは不味いな。 
片付けだけでもしないとだが、降りるのがやっとだったことを考えれば上がるのも厳しいに違いない。 
やれやれ、どうしたもんかな。 
ピンポーン しまった、我が家に響く呼び鈴の音は確実に舞ちゃんが来た合図だろう。 
俺は体を引き摺って玄関を開け、舞ちゃんを招き入れた。 

「こんにちは〜って様子じゃないね。改めてごめん。ジミーちゃん」 
「舞ちゃんをほったらかしにした俺にも原因があるんだから仕方ないよ」 
「ううん、舞が…ご、ごめんね」 

舞ちゃんは玄関口で俺に抱きついてきた。 
震える両手で華奢な舞ちゃんの体を抱き締め返すと、まだわずかに大きい俺と目線が近くなったとわかる。 

「前より大きくなったね」 
「そうかな。そのうちジミーちゃん追い抜いちゃうかもね」 

俺をみつめる瞳はこの年には早熟な色気が発せられている。 
何だ、今の舞ちゃんみてると胸騒ぎがしてくる。 
1 顔が近いよ、と照れる 
2 キスできるかな? 
3 舞ちゃんに傷を撫でられる 



「顔近いね、照れちゃうな」 

舞ちゃんが喋る度に動く唇を間近でみていると触れてみたい気がしてくる。 
あの萩原の不謹慎な感情もわからないでもない、そんな気分だ。 
まさかあの変態に共感してしまうとはな、俺も同じ穴のムジナか。 

「ジミーちゃん、何顔紅くしてるの?怪我人のくせに〜」 
「あたっ」 

舞ちゃんは照れる俺をみてニヤリと笑い、鼻をつまんできた。 

「ベッドで寝てなきゃダメだよ。部屋に行って休もう」 
「わかったよ、だから鼻をつまむのはやめてくれ。痛いって」 
「はいはい。なら、早く行くよ」 

舞ちゃんに支えられるように二階に上がっていく。 
こうして肩を並べると背が伸びて顔つきも大人らしくなり成長したな、と兄貴のような心境になる。 
舞ちゃんの成長を見守るつもり兄貴代わりのつもりが、女の子を見る目に変わるとはな〜月日は早い。 

「何、人の顔ジロジロ見ちゃってさ〜舞のこと恨んでるの?」 
「そ、そんなわけないじゃん。舞ちゃん綺麗になったなと思ってさ」 
「あはは、まだ早いよ。だって今度中学生なんだし」 

そうは言ってもな、舞ちゃんは同級生たちより随分と大人びた印象を受ける。 
可愛いより綺麗と言ってしまいたくなる。 

「さぁオネンネしましょうね、ジミーちゃん」 
「こら、人を子供扱いするな」 

よろけながらベッドに寝ようと入りこもうとした瞬間、俺は舞ちゃんをベッドに押し倒していた。 
きゃっと声をあげ、舞ちゃんは俺の下敷きになっている。 

「お、重いよ。ジミーちゃんどいて」 
「ごめん、腕に力が入らないからどこうにも難しいんだ」 
「体を引き摺ってでも何とかならない?」 
「頑張ってみる…」 

体を動かしてみるが、うまくいかない。 
腕を立てどこうとするもすぐに力が抜け、俺はまたもや舞ちゃんの上に被さっていた。 

「ジミーちゃん、息が首筋に当たる。くすぐったいから息とめて」 
「息とめて、って俺を殺す気かい」 
「だったら首だけでも動かしてよ」 

舞ちゃんの体から発せられる匂い、女の子って皆こんないい匂いがしたっけ? 
舞ちゃんの匂いは誰よりも甘い匂いがするんだ。 

「ジミーちゃん、どいて…」 

舞ちゃん… 

1 我慢できない、首筋を舐める 
2 膨らみが感じられるのを確かめてみる 
3 慌ててどく 



俺はたぎる欲望を抑えきれそうになく、舞ちゃんの首筋に舌を這わせた。 
舞ちゃんの肌は今までのどの女の子よりも柔らかく、そして蜜みたいに甘い。 

「じ、ジミーちゃん。くすぐったいよ…」 
「舞ちゃん、舞ちゃん〜。俺、舞ちゃんの事抱きたいよ」 
「ジミーちゃん、怪我させたのは私だし好きにしていいよって言ったらどうする?」 

え、え、えぇぇぇ? 
何て言う甘美な誘いなんだろうか、俺は親友の妹に何をしようとしてるんだよ〜誘いになんか乗るな。 
頭を冷やせ。 

「舞ちゃん本気?」 
「どうする?本気ならさ」 

舞ちゃんの声が急に大人の女性が話しているみたいに変わった。 
心臓がバクバクいって飛び出そうな速さで脈を打つ。 
俺はもう何度も女の子と経験してるはずなのに舞ちゃん相手だといつも通りには自分から責めるようにはいかない。 

「好きにしたいよ」 
「そうか、私でも女の子ってみてくれてるんだね。良かった、安心しちゃった」 

舞ちゃんはさっきまでの大人びた感じがなくなり、普段のそれと変わらないものに戻った。 
…はい? 俺って試されてたのか 

「じゃあどいてくれる?」 

1 素直にどく 
2 渋々どく 
3 舞ちゃん、キスさせてと言ってどく 



舞ちゃんに言われた通り、俺は素直にどくことにした。 
体は傷んだが、いつまでも舞ちゃんの上に乗っかっているわけにもいかないからな。 

「ジミーちゃん、怪我してるんだから無理しないこと」 
「はぁ〜い」 
「私を抱きたいならもっと本気になることだね。まぁちゃんと女の子として見てるなら簡単だよね」 
「はい…」 

舞ちゃんに看病され、俺はこの日一日ベッドで過ごすことになった。 
もう萩原の妹は抜きに、一人の女の子として扱ってあげないとな。 
色気のある魅力を持った成長中の小悪魔は、俺の高鳴りを抑えてくれそうにない。 
舞ちゃん、待っててよ〜俺が抱く日まで。