今日は登校する男子の手に何やら見掛けない紙袋の束がある。 
どいつもこいつも一体どうしたって言うんだ。 
おっ、あそこにいるのは萩原じゃないか。 

「おはよう、お前両手に大量の荷物抱えてどうしたんだ?」 
「おお、おはよう。お前こそ手ぶらでどうしたんだよ。今日はホワイトデーだぞ」 

し、しまった…ホワイトデーかよ… 
あれだけ大量にチョコもらっておいて何もお返し用意してなかったな。 
どうしよう…ま、なるようになるかな。 

「ジミーっち、おはよう。今日はいい日だね〜」 
「おはよう…確かにいい天気だね」 

何だよ、その笑顔は。 
お返し用意してないとは言い出せないだろ、そんな空気だ。 

「ジミーっち、今日は何の日でしょうか?」 
「今日はね…」 
「うんうん、なぁに」 

1 今日は何の日ふっふっふ〜♪ 
2 忘れるわけないよ、お返しはちゃんとここに 
3 そうだ、卒業式の予行最終日だ 



「卒業式の予行最終日だ」 
「えっと、そうだっけ。茉麻〜今日って卒業式の予行最終日なの?」 

いきなり話をふられた須藤さんは一瞬わからないようだったが、すぐに思い出したようだ。 

「そうね、卒業式の予行最終日。明日は本番なんだから気合い入れないとね」 
「へぇ〜そうだったんだ。頑張らないとね」 

ちぃは須藤さんに卒業式の予行最終日と言われ、すっかりホワイトデーだと忘れかかっているな。 
このまましらを切り通すか、いやしかし… 

1 そうそう、明日は本番なんだ。頑張ろう 
2 ごめんごめん、ホワイトデーだろ 
3 え?男子が皆紙袋持ってるのは何故かって? 



「明日は本番なんだ。今日の予行は頑張ろう」 
「うん、だね。そっか〜もう卒業なんだね。もうこの教室ともお別れか。寂しいな」 
「来月からは高校生だもんな。高校生になっても同じクラスになれるといいな」 
「平気だよ。ちぃとジミーっちは運命の赤い糸ってやつで結ばれてるからさ〜」 

話はうまく誤魔化せ、今日がホワイトデーだと忘れたようだ。 
だけど、俺がお返し忘れたばかりに悪いことしたかな… 
いつかお返しはしてやらないとだよな。 

「ジミー君、ちょっといいかな?」 

ん?俺を呼び出し、先に彼女は階段の踊り場で待っていた。 
神妙な顔つきでいる。 
さっきのちぃとの会話を聞かれたようだ。 

「さっきの話だけど聞こえたよ。あのさ」 
「うん」 
「ちぃ、ジミー君からのお返し期待してたと思うよ。忘れたからってあれは酷いんじゃないかな」 

既に俺の苦し紛れの言い訳を見抜いてるのか… 
ちぃには悪いことしたな、ごめんよ… 

1 後でお返しはちゃんとするから雅ちゃん 
2 後でお返しはちゃんとするから須藤さん 



「後でお返しはちゃんとするから須藤さん」 
「ならいいけど。あの子、チョコ作る時は散々のろけ話しかしなかったんだから」 
「そうなんだ」 
「だから返すなら早くちゃんとね」 

ちぃの奴、そこまでこんな俺のことを。 
なのに忙しいからってこんな大事な事をわすれてたなんて酷い男だな、俺… 
それに三人でチョコ作ったって言ってたし、須藤さんに雅ちゃんにも悪いことしたな。 

「須藤さんにもちゃんとお返しするから待っててよ」 
「あ、私は別にいいんだって。たかが友チョコじゃない。気にしないで」 
「いや、しかし。俺須藤さんのチョコすげぇ美味しかったんだ。お返しはして当たり前だよ」 

俺があまりに美味しかったと褒めたからか、須藤さんは顔を紅くして俯いてしまった。 
ただ感想を言ったつもりだったんだが。 

「あ、ありがとう。友チョコだから本当にお返しなんていいんだから」 

今度は急にツンとした感じで返された。 
お返しはするべきか 

1 ツンとしてるならお返しなんていいよね? 
2 んじゃ雅ちゃんだけにはお返しするね 
3 コナンの格好してあげてもいいよ笑 



「わかった。んじゃ雅ちゃんだけにはお返しするね」 

そう言うと俺は教室に戻ろうとする。 
単純に引っかけなんだけど、さぁどうかな。 

「い、いいわよ。みやには返してあげなさいよ。私は別にいいから」 
「そうだね、いいって言う人に無理に渡すことないよね」 
「そ、そうね」 
「本当は欲しいんじゃないの?」 
「なわけ…ないじゃない…私はあんたなんか好きに…なりたくなかった…」 

あれ? 
振り返ると踊り場に泣きながら座り込む須藤さんがいた。 
え〜俺が泣かしてしまったのか? 
俺しかいないよな… 

「泣かないでよ。お返しはちゃんとするからさ。ね」 
「嘘つき。さっきはみやにしか返さないって言ったじゃない」 
「それはわざと。本当は返すつもりだったの。嘘つけば君が素直になるかなって」 
「も〜何であんたなんか…あんたなんか好きになったの?」 

俺に聞かれても… 
つうか、今の須藤さん滅茶苦茶可愛いな。 
ずっと泣かせてるわけにもいかない。 
ここは 

1 何も言うなと抱き締める 
2 須藤さんキャラ変わったね…何かあった? 
3 え?俺を何だってよく聞こえないな 



「え〜俺を何だってよく聞こえないな」 
「この大嘘つき。聞こえてるくせに。私に好きって言わせて楽しんでる。あんたなんか死んじゃえ」 

はい、楽しんでます。 
つくづく趣味悪いと自覚してますが、楽しんでま〜す。 

「俺、死んじゃっていいの?本当に死んじゃっていいの?」 
「人の気持ちで弄ぶ馬鹿は死んじゃえ〜」 
「さようなら。君に最後に会えてよかった。それじゃ」 

道半ばに先を断たれるのは辛いな〜。 
俺は再び教室目指して階段を降りようとした時、裾をギュッと掴まれた。 

「やだ…死んじゃ嫌。いなくなったら嫌」 
「だってさっきは死んじゃえって言ってたじゃん」 
「嘘よ。あんたみたいに嘘ついたの。本当は…」 
「本当は?」 
「先はわかるでしょ。言わせないで」 

言わせたいよ、こうなったらさ。 
初めてみる須藤さんの女の子らしい一面に俺はドキドキしっぱなしなんだからさ。 

1 こうして欲しかった?とキス 
2 言わないなら死んじゃおうかな〜 
3 本気でわからないな…教えて 



他の女の子ならいくらでもどうすればいいか思い付く。 
だけど、須藤さんは今までどっちかというと俺を嫌っていた。 
そんな相手だとどうしたらいいか。 

「こんな時はどうしてほしい?」 
「あんた女の子にそれ聞くの?馬鹿、あんだけ振り回していればわかりそうじゃない」 
「抱き締めるとか?」 
「わかるならそうしてよ。鈍感」 
「傷ついた。もうこっちこそいいや」 
「そうですか。こちらもそんな人はお断りです」 

お断りね〜それが数分後… 

「お断りなんだから、あんたなんか」 
「わかったわかった。だから、今だけはこうさせて」 

俺は素直にならない須藤さんを勝手に抱き締めることにした。 
もう抵抗などなく、すんなり受け入れてくれた。 
こんな馬鹿を好きにさせてごめんよ、須藤さん。 
俺たちは予行の時間となり、教室に戻った。皆は既に体育館に行った後だったが、俺と須藤さんが同時に行くと怪しまれる。 
なので、別行動になった俺は寄り道していくことに。 

1 特待生はこんな時も勉強とな 
2 高等部まできたか 
3 小学生ばかりだな 



いつしか歩いていくうちに特待生の教室まで来ていた。 
こんな上級生の卒業式が明日というにも関わらず、まだ勉強している…ある意味さすがだ… 
愛理ちゃんや菅谷は卒業式見送ってくれないのかな、寂しいな。 

「あれ、先輩〜どうしたんですか?」 
「愛理ちゃん。フラフラ歩いているうちにここまでね」 
「卒業式の予行なんじゃないですか?」 
「そう固いこと言わないでさ。これから行くんだから」 

愛理ちゃんは俺を発見するなり、不思議そうな顔でみつめてくる。 
本来は卒業式の予行だからな。 
さてここで会えたことだし愛理ちゃんとどうしようか。 

1 チョコのお返しにラーメン食べない? 
2 菅谷はどこだ?いないならエッチなことを… 
3 予行一緒に行こう 



せっかく会えたんだし一緒に予行に行くか。 

「愛理ちゃん、一緒に予行行こうか」 
「はい。ちょうど体育館に行くところだったんです」 

丸い目を八の字にして笑う顔が可愛い。 
この子は見ていて癒されるな〜本当に。 

「先輩、ちょっと早いけど卒業おめでとうございます」 
「ありがとう。まだ高等部でこの学校には残るからいつでも会えるね」 
「はい。それが何より嬉しいです」 

そんな輝いた瞳でみつめないでくれよ、抱き締めたくなるだろ。 

「何がそんなに嬉しいゆ?」 
「うわ〜びっくりした〜菅谷、お前驚かすな。いたならもっと前に声かけるか後にしてくれ」 

俺と愛理ちゃんのいい所を邪魔してほしくないな、もう。 
相変わらず空気読めないな〜。 

「そうだよ、梨沙子。いたならもっと後に声かけてほしかったな」 
「む〜二人してまたのけ者にする。いいもん、ジミーに今日ラーメン奢らせちゃうもん」 

急だな、おい。 

1 ラーメンラーメンて太るぞ、またにしなさい 
2 ラーメンね、いいよ。食べにいこう 
3 明日が楽しみだね〜卒業式なんだよ。ね、愛理ちゃん 



菅谷も悪気はないんだし、ラーメン食べに連れていくか。 
予行後なら時間あるしな。 

「約束だし、予行終わったら連れていくよ。ホワイトデーってことで」 
「やった〜ジミー大好き」 

菅谷はラーメン食べに行けるのがよっぽど嬉しかったか俺に抱きついてきた。 
おいおい、腕にくっつくとお前の巨乳が当たりまくってヤバいんだよ… 
それに愛理ちゃんもみてるし。 

「離れろ離れろ。ラーメン食べに連れていかないぞ」 
「やだ〜離れたくない。だってラーメン食べに行くのは決まってるし問題ないゆ」 

(いいな、梨沙子みたいに素直になりたいな…そうすれば私だって) 

ふと、愛理ちゃんの寂しそうな視線が気になった。 
愛理ちゃんも寂しいのかな… 

1 愛理ちゃんもおいで。反対側に抱き寄せる 
2 後でメールする 
3 それどころじゃないぞ。もう体育館だ 



「愛理ちゃんもおいで。反対側ならあいてるよ」 
「はい。先輩」 

愛理ちゃんは八の字みたいな目の笑顔で抱きついてきた。 
ごめんよ、放置したりなんかしてさ。 

「愛理だからジミーの半分はあげるぅ〜。でも半分はりぃのだよ」 
「いいよ、半分でも貰えたら先輩とずっと一緒だから」 

おいおい、俺は半分にしたら危険だろ。 
パンじゃないんだぞ、パンじゃ。 
愛理ちゃん、菅谷のサラサラした髪を撫でているうち、あっという間に体育館まで着いた。 
こっから先はさすがに別行動だな。 
次はラーメン食べに行く時か。 

「さぁ好きなの選べよ。俺の奢りだ」 
「りぃは味噌ラーメン」 
「私はとんこつラーメンで。先輩はどれにしますか?」 
「俺は…醤油で」 

俺たちは予行の後、約束通りにラーメン屋まで来ていた。 
二人とも行く途中もずっと抱きついてきたから歩きづらいわ、人の視線が痛いわだった。 

「ジミー、やっぱり優しいね。りぃの約束守ってくれたし」 
「よせやい。照れるだろ」 

今は愛理ちゃんはトイレで席を立っている。 
目の前には無垢だが色気満々の後輩をどうする? 

1 まずは落ち着け 
2 皆みてない。よし、キスだ 
3 チャーシューくれ 



まずは落ち着け。 
覗き込んでくる顔をまともに見たら負けだ。 

「どうしたゆ?」 
「何でもない。お前せっかく奢るんだから残すなよ」 
「わかってるゆ〜それにもうスープだけだもん」 

早いな、ラーメンとなると通常の倍以上のはやい。 
俺も負けじと早食いを試みるも失敗し、喉につまらせる。 

「先輩大丈夫ですか?」 
「平気〜ちょっと喉に…」 

俺がむせているとちょうど愛理ちゃんが戻ってきた。 
そこで背中をさすってもらった。 

「変な勝負はやめて下さい。こういう事になるんですから」 
「うん、ありがとう」 

こうしてラーメンを奢り、俺たちは解散した。 
菅谷は今度はジミーの入学祝いに奢ってもらおうとか言っていた。 
おい、それ逆だろうが〜笑。 
今日は色々あったな〜いい1日だったし、もう帰るか。 

1 本命の彼女を忘れてないか? 
2 先輩たちに挨拶すればよかったかな 
3 お返しは済んだし帰ろう 



今日は大事なあの子を忘れていたな… 
彼女になってからまともにデートすらしてないよ。 
あちゃ〜どうしようか… 

「ジミー君、遅いぞ。待ったんだよ」 
「雅ちゃん…」 
「そんなに驚かないでよ。まるでお化けみたみたいな顔しちゃって」 

俺は行くあてもなく、家に帰ると門の前に雅ちゃんがいた。 

「ごめん。今、雅ちゃんの事考えてたから、まさか会えるとは思ってなくて」 
「本当に?」 
「本当だよ。バレンタインのお返しどうしようかなってさ」 
「それなら気にしないで。だって好きだからあげたんだし。ジミー君が美味しかったならそれでいいの」 

雅ちゃんは本当に言葉のとおりな顔をしている。 
意外と尽くすタイプだもんな、雅ちゃんは。 
だけど、甘えてばかりもな。 

「寒いし家に入れてもらっていい?」 
「うん」 

俺は汚いと前置きし、雅ちゃんを初めて家に入れた。 

「ここがジミー君の部屋なんだね。片付いてる」 

そんなにジロジロ見ないでくれ…本とかみられたくない 

1 明日が楽しみだねと会話 
2 お茶持ってくるね 
3 俺の小学校のアルバムみる? 



「明日が楽しみだね。卒業式」 
「うん…楽しみ」 

楽しみ、そう言う割にはあまり嬉しそうではない。 
むしろ少し悲しげで、中学を卒業してしまう悲しさとは違うみたいだ。 

「あまり嬉しそうじゃないね。やっぱり高校が…」 

それ以上は言えないし、言いたくない。 
雅ちゃんが… 

「うん、その事が話したくて今日は来たんだ。あのね、私高校違う学校も受験したんだ」 
「そうだったんだ…」 
やはり、あの日話しかけていたのはそういう内容か。 
じゃあ高校は違うのかな、そうなるとなかなか会えなくなってしまう… 

「その高校から封筒がきたんだ。でも、まだ中は見てないの。ジミー君、一緒にみてくれない?」 
「もちろんいいよ。是非見させて」 

俺は勝手にも不合格ならと思っている。 
雅ちゃんは恐る恐る封筒を俺に渡してきた。 
俺も隣に座り、震える手で封筒を破った。 
そして、中にあったのは… 

1 おめでとう、合格だよ 
2 よかった…いや、ごめん。不合格 
3 やっぱり見られない 



俺は中にあった一枚の書類を取り、中を開いた。 
たった何秒間が何時間にも感じられる中、瞳に移った文字は不合格だった。 

「よかった…いや、ごめん。残念だったね、不合格だ」 
「あっ…不合格…」 

その文字にショックを受けたか、雅ちゃんは俯いてしまう。 
肩まで震えだしたし、これは慰めてあげないとか俺がそう思っていると… 

「やったね、これで晴れて同じ高校だよ。テストは頑張ったけど、その結果なんだし納得してくれる」 

雅ちゃんは泣いていた、正確には嬉し涙でだったが。 
彼女は顔をあげ、綺麗な顔をくしゃくしゃにして微笑んだ。 
その顔もまた綺麗だったけど… 

「嬉しくないの?」 
「嬉しいに決まってるさ。だってまた同じ学校に行けるから。嬉しくないはずないよ」 
「うん、よかった。離れ離れになったら、君はまたちぃのとこにいっちゃう…だから、ずっと一緒にいたい」 

確かにまだちぃと雅ちゃん、どちらを取るかと言われると決められない。 
どちらも同じくらい大事だ。 
だから、俺は明日は苦渋の決断を迫られることになる。 
隣に座る雅ちゃんかまだ好きなちぃか… 
伝説の樹の下で俺の中学最後の大イベントが始まる。