うぅ〜…ねむ…。 
今何時だ?携帯、携帯…6時半か…。 
なんか早く目が覚めちゃったな…。 

こないだは早貴ちゃんと会うために早起きしたけど、基本ぐうたらなので起きるのは遅い俺。 
まだこんな時間か…もう一眠りしよ…。 
と思ってたのに。 

〜〜♪ 〜♪〜〜〜♪ 〜♪〜♪♪ 

いきなりけたたましく鳴り出す携帯電話。 
誰だよこんな朝っぱらから…って、だ、誰? 
知らない番号だぞ。 
無視しようと思ったけど、いつまで経っても鳴り止まない携帯電話。 
仕方がないので恐る恐る出てみる。 

「も、もしもし」 
「遅いよジミー!まだ寝てたんじゃないの〜?」 
「ま、舞美先輩!?」 
耳元から大音量で聞こえてくる舞美先輩の声。 
寝起きの頭に若干キンキン響くんですけど。 
「何で俺の電話番号知ってるんですか?」 
「あー、桃子から聞いた」 
ちょっ、勝手に俺の番号人に教えないでくださいよ…。 
「あのさ、今日うちらといっしょにジミーの受験勉強会するから」 
「はぁ?な、何ですかそれ?」 
「ほらこないだバレンタインのときに言ってたじゃん!勉強会やろうって!」 
そういえば言ってたな。舞美先輩と梅田先輩と。口約束だとばっかり思ってた。 
「え、うちらって、舞美先輩のほかに誰かいるんですか?」 
「あーうん、あたしとえりと、桃子と佐紀ちゃん」 
「え、マジっすか!?」 
高等部でも俺が仲良くしてもらってる4人の先輩。まさかその先輩たちが揃い踏みなんて。 

「やります!俺も混ぜてください!」 
「っていうかジミーに選択権はないよ。もし断ろうとしてたら無理やり引っ張っていくつもりだったし」 
うわぁ…それは恐ろしい。 
俊足の舞美先輩に何故か俺の行動を読める梅田先輩、 
バイトしてて校内外で顔の広い桃子先輩、そしてちぃと仲良しの清水先輩。 
絶対逃げ切れないなw 
幸いに今日は予定はないけど… 

「ところで、どこでやるんですか?」 

1.「えりの家だよ」 
2.「佐紀ちゃんち、広いらしいから」 
3.「ジミーんちに決まってんじゃん」 



「ジミーんちに決まってんじゃん」 
「はい…はいぃ!?ちょ、いきなりウチって言われても!」 
「大丈夫大丈夫、ジミーの家の場所は私が知ってるから」 
「いやそうじゃなくて…」 
今日は家族もいるし何より片付いてないし! 
「10時になったらみんなジミーんち行くから」 
「ちょっ、だから何でそんな唐突なんですか!」 
「ゆうべ決まったから、じゃあまたあとでー。…あ、そうそう、忘れるとこだった」 
「ま、まだ何かあるんですか?」 
「一昨日桃子が誕生日だったんだよねー。でさ、誕生会やろうと思うんだよね、ドッキリで」 
「はぁ…」 
な、何かイヤな予感がするぞ。 
「でさ、えりがケーキ焼いてくるっていうから、ジミーもプレゼント用意しといてね」 
「うぇぇ!?ちょ、だからそんないきなり言われても!」 
「大丈夫大丈夫、うちらも持ってくからさ。桃子には内緒でね」 
10時でしょ!?買いにいけるわけないじゃないですか!! 
「そういうわけでヨロシクー!じゃああとでね!」 
「ちょ、待ってください舞美先輩!いきなりそん…プツッ 

  ツー ツー ツー 

…とんでもないことになった。 
起きて5分足らずで全身にとんでもなくイヤな汗をかいちまった…。 
10時!?あと3時間半しかないじゃないか!! 
やばい!やばいやばい!! 

1.まずは部屋を片付けないと! 
2.桃子先輩のプレゼント!?こんな時間にどうしよう… 
3.忘れろ、逃亡するんだ! 



桃子先輩へのプレゼントっていってもなぁ…。 
今の時間が6時半、先輩たちが来るのが10時。 
店なんて開いてるわけないじゃん! 
だとしたら家にあるもの…? 

とはいっても、俺の家にあるものでそんな先輩の喜びそうなモノがあるとは思えない。 
だとしたら、何かを作る…? 
といっても今からじゃ材料も時間も足りないし。 
待て待て、梅田先輩がケーキ…俺もそれでもいいんじゃないか!? 
男がケーキ、ってのも案外とウケるかもしれないぞ。 
カタチには残らないけど、思い出としては抜群だし。 
問題は俺はお菓子を作ったことなんてもちろんあるわけないことだけどw 
ま、親に手伝ってもらったら、何とかなるかな…? 

カタチに残らないんだったら…キスとかもアリだな。 
ただ、ほかの3人の目をどうやってごまかすか、だけど…。 
あー難しい!! 

1.インパクトのありそうなケーキ作りに挑戦してみようか 
2.プレゼントがキス、ってロマンチックじゃんw 
3.家にあるもの…何かないか何か!?(「何か贈れそうな物」も書いてください) 
4.やっぱダメだろ、何か買いに行こう 



考えてみたらプレゼントがキス、ってのもいい感じなんじゃないか? 
インパクトあるだろw 
よし、プレゼントはこれでいいかな。ほかの先輩たちの目をごまかす方法はあとで考えるとして…。 

とにかく、部屋を片付けないとな。 
考えてみたら部屋の中は散らかり放題だ。 
そんなわけで部屋を片付け始めた。 
掃除機もかけないといけないし、参考書も出しとかないと。 
ホントにウチの高校の試験ももうすぐだからな。 

そんなわけで片付けやら、掃除機やら、カーペットについてるヘンな毛を 
ガムテープでペッタンしてたらあっという間に時計の針は10時に近づいていた。 

そろそろ来るよな…。 
ゴミもない、AVもビデオから出した。お茶の用意も親に頼んだ。 
バッチリだ!先輩たち、来るなら来い! 

チャイムが鳴って一番最初に来たのは… 

1.舞美先輩 
2.梅田先輩 
3.桃子先輩 
4.清水先輩 



10時よりも少し早い時間にチャイムが鳴った。 
「舞美先輩!おはようございます」 
「お、ちゃんと起きてたなジミー、感心感心」 
玄関を開けると、そこに立っていたのは舞美先輩。 
考えてみたら舞美先輩の私服姿って初めてだな。 
「当たり前じゃないですか。あんな時間に電話してきて…」 
「ごめんごめんwホント急に決めちゃったからさぁ」 
屈託のない笑顔。この笑顔を見てたらどんなことも許せちゃいそうな不思議な雰囲気なんだよね。 

「あー!ジミーの部屋久しぶりだねー」 
「確かに、前に舞美先輩来たのけっこう前ですからね」 
「ジミーのベッドだー!」 
「ちょっ、何やってるんですかw」 
いきなり俺のベッドにダイブする舞美先輩w 
ぶっちゃけ、前にそこでシたから寝たことあるじゃないですかw 
「なんかいいね、ジミーの部屋、同じ男の子の部屋なのにお兄ちゃんの部屋とは違う感じ」 
「そうですか?全然普通だと思うんですけど」 
漫画が少しあって、勉強道具が正直あまり多くない、それくらいであんまり特徴ない部屋だと思うけど。 
あ、まぁ隠してるエロ本とかAVはちょっと人より多いかもしれないけどw 

「先輩、あんまりベッドでゴロゴロしてたらパンツ見えますよw」 
「やっ!どこ見てるのよぉ!相変わらずジミーはエッチなんだから!」 
慌てて起き上がってスカートを抑える舞美先輩w 
「もう、今日はエッチなことはしないんだからね!」 
「分かってますよw」 

そろそろ10時になるし、誰か来るかな…。 

1.梅田先輩 
2.桃子先輩 
3.清水先輩から電話、道に迷ったぁ!? 



次にやってきたのは梅田先輩だった。 
「時間通りかな、セーフ!!」 
「大丈夫ですよ、まだ舞美先輩しか来てませんし」 
「あちゃ〜1番かと思ってたのに、残念なんだよ」 
はにかみながら頭をかく梅田先輩。 
「あ、これ冷蔵庫に入れといてくれる?舞美から聞いてると思うけど、ケーキなんだよ」 
「あ、分かりました〜」 
でも舞美先輩、電話で切り際まで忘れてましたよw 

「あっ、えり〜!」 
「舞美おはよ〜」 
部屋に入るなり何故かいきなりハグする舞美先輩と梅田先輩。 
ホントに梅田先輩は舞美先輩大好きだなw 

「ここがジミーの部屋かぁ…思ってたより普通なんだよ」 
「あはは、えり私と同じこと言ってる〜w」 
っていうか、梅田先輩の部屋が、というか家が広すぎるんですよw 
「エッチな本とか隠してないかな?」 
「な、ないですよそんなの!」 
「今どもったね、怪しいんだよ。この辺とか…」 
「ちょ、やめてくださいよ!梅田先輩!」 
いきなり俺のベッドの下に潜り込もうとする梅田先輩を慌てて止める。 
「ちょっとジミー、そんなところ引っ張ったら脱げちゃうんだよ!」 
「ジミーえりに何してるのぉ〜!!」 
「痛い!痛いです舞美先輩!」 
「手〜を〜は〜な〜し〜て〜!!」 
2人だけでも既に手がつけられない…。 

「ごっめぇ〜ん、遅れちゃったぁ〜!」 
「ちょっと迷っちゃった、ごめんナサイ…」 
舞美先輩と梅田先輩だけでも大騒ぎだったのにさらにこの2人が増えると…。 

「佐紀ちゃんってボーイッシュなんだ、いが〜い!」 
「そ、そうかな?なんかスカートって苦手なんだ…」 
こっちでは舞美先輩と清水先輩がファッション談義を始めそうだ。 
舞美先輩は何かお嬢様、って感じだし、清水先輩は意外にもボーイッシュ。 
梅田先輩はラフだけどクールって感じでカッコいいし、桃子先輩はラメが入ったミニスカート。 
ロリータまではいかないけど、けっこう派手な感じ。 
ちょっと意外な人が多いけど、みんなすごく似合ってる。 

「あ〜この漫画、新刊出てるんだ〜!」 
「あ、桃子けっこういけるクチ?うちもこの漫画読んでるんだよ」 
桃子先輩と梅田先輩は漫画談義を始めてる。っていうか、勝手に漫画を読み出してる。 
この2人が漫画好きってのは意外だな。特に桃子先輩が漫画読むのは知らなかったし。 
梅田先輩はレディコミだけかと思ってたw 

とはいえ、この状況は収拾つかないぞw 

1.ちょっと皆さん!勉強しに来たんじゃなかったんですか!? 
2.少しくらいはいいか、お茶でも淹れてこよう 
3.会話に混ぜて♪舞美先輩、清水先輩! 
4.会話に混ぜて♪桃子先輩、梅田先輩! 



すっかり漫画を読みながらトークモードに入ってしまった梅田先輩と桃子先輩。 
「先輩たちもこれ読んでるんですか?」 
「うん、もぉコミックス全部持ってるし」 
「うちもけっこう家では漫画読んでるんだよ。あ、こっちは読んだことないなぁ」 
「あー、あんまりメジャーじゃないですからね、そっちは」 
とかいいつつ梅田先輩はパラパラ別な漫画を開き始めた。 
…と、とあるページでその手が止まる。 

「ねぇちょっと桃子、こんなページありえなくない?」 
「何々?…うわー、ホントありえなーい!こんなカッコとかありえないって!w」 
先輩たちが目を留めたのはちょっとエッチなカッコをした女の子のコマ割りのページ。 
ま、正直そのページに興味惹かれて買ったし、何度かお世話にもなってるわけだが。 

「なんかこっちのページもエロいしさぁ、ジミーこういうのが好きなわけ?w」 
「普通の女の子絶対こんなカッコしないってーwジミーはエッチなんだよw」 
「ち、違いますって!そんなページだけ見てるわけじゃないですから!」 
「正直に言いなよ、こういうのが好きなんだ?w」 
「ほらほら、正直に言っちゃいなよ?w」 
そもそもにエロ目的でこの本を買ったの前提に話しを進められてるしw 
ま、あながち間違ってはないんだけど。 
答えてもいいものか。舞美先輩と清水先輩には聞こえなさそうだけど…。 

1.正直に言う 
2.違うとシラを切り通す 
3.勉強の話しに戻そう、と誤魔化す 



ここはシラをきり続けても、誤魔化しても決め付けられそうだな。 
正直に言ったほうがいいかもしれない。 
「ま、まぁ、ちょっとそういう風な含みもありましたけど…」 
「やっぱりそうだったんだよ!」 
「やーだー!ジミーのエッチぃ!w」 
何でそこで盛り上がるんですか、お2人とも!w 
あんまり大騒ぎするとあっちの先輩たちにも聞こえちゃいますって! 

「もう、なぁにぃ、こんなありえないシチュエーションとかいいわけ?」 
「あでもさっきさ、うちジミーに脱がされかけたんだよ」 
「はぁ!?何やってんのえり?っていうか何やってんのジミー!!?」 
「ちが、あれは梅田先輩が…!」 
それは冤罪だぁ〜!もとはといえばあれは梅田先輩が悪いんじゃないか! 
そ、そんな目で見ないでくださいよ桃子先輩…ってあれ?笑ってる? 
「ほらジミー捕まえたぁ!」 
桃子先輩?何で俺を羽交い絞めにするんですか? 
っていうか、胸が当たってるんですけど。服越しでも分かるこのボリューム! 
「えり、お返ししちゃっていいよー」 
「桃子ナーイス!前にクラスの男子がメチャメチャ痛がってたんだよ、これ」 
う、梅田先輩!? 
な、なんで俺の両足を抱えるんですか?何故俺の股間に脚を!? 
ま、まさかこれわぁぁ…!! 

「電気アンマ、なんだよ!!」 
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアッーーーーー!!!」 


うっ、梅田先輩の脚がっ!俺の股間に!! 
ちょっ!マジ!こ、こんな刺激はっっっっっ!! 



…ちょっと、イイ、かも… 



でもやっぱ無理!ギブギブギブッ!! 
やめて、マジで!使い物にならなくなるぅ!! 

「何やってんのあんたたち…? アンタたち何やってるの!!?」 
俺が叫び声を上げたせいで、というかお陰で舞美先輩と清水先輩も気付いたみたいだ。 
舞美先輩のよく通る声でピタリと梅田先輩の俺への刺激も止まった。 
「あぁ、さっき脱がされかけたお返しなんだよ」 
「なんだそうなんだ、それならいいや」 
いやいや良くないですって!ホントに潰れちゃいますから! 
「えりもっとやっちゃう?」 
マジで勘弁してください桃子先輩も!もうエッチできなくなっちゃいますよ!? 
「いや、あの…そろそろ勉強、しまセンか?」 
両手で口を押さえながら赤い顔の清水先輩が小声で止めてくれる。 
あぁ、流石は俺の姉ちゃんだよ〜。 

と、事前に大騒ぎはあったものの、ようやく勉強会にとりかかることになった。 
準備をする間、俺は股間を押さえっぱなしの情けない姿だったけど…。 
まずはどうしようか? 

1.いきなり、入試形式の模擬テストを解いてみる 
2.とりあえず、成績表を先輩方に提出 
3.先輩たちの得意教科を聞いてみる 



高等部に上がるための試験は正直、ここの学生である限りは難しいものじゃない。 
外来の生徒が受けるのよりもけっこう簡単だって話しだし。 
とはいっても今の俺にとってはそれほど易しいものでもないわけで…。 
とりあえず、ついこないだあった期末テストの成績表を先輩方に提出してみた。 

「…これはなかなか……」 
「うん…」 
「思ったよりは酷くはないけど…」 
「高等部の試験、ってなると、微妙なセン、かな?」 
ちょっと、ちょっとちょっと! 
何で4人が4人ともそんな微妙な顔するんですか!怖いじゃないですか! 
「でもこれ、暗記物は意外と何とかなりそうだし…」 
「数学も基本できてるから、あとは応用でしょ?」 
「何とか…いけるかな?」 
「何とか…ね…」 
ほ、ホントに大丈夫ですよね? 

「私は英語なら少しは…理科とか社会とかは苦手だけど…」 
「佐紀ちゃんすごいね、私英語とかさっぱりだもん、完了形とか全然分かんないし」 
清水先輩は英語、と…。 
「私はけっこうどれでもいけるかな。こう見えてもクラスで6番取ったことあるし」 
「えー!?舞美羨ましいんだけど!脚も早いし勉強もできるし…代えてよ頭!」 
舞美先輩は失礼ながらそんな勉強できるイメージなかったんだけどなぁ。これは頼りになるぞ。 
「うー…うちは実技専門だから自信ないなぁ…」 
「でもたまに中学の授業受けてるでショ?中学なら大丈夫でしょ」 
確かに、梅田先輩は相変わらず中等部でもよく見かけるからなぁ。 
「えーどうしよう、もぉホントにないんだけど!計算…なら少しはできるけど舞美とかに負けそうだし」 
「確かに、こないだ桃子真っ青な顔して職員室に呼び出されてたんだよ」 
「うるさいよえり!今回は赤点はなかったんだから!」 
これは…色んな意味で不安材料かもしれないけども、桃子先輩w 
まずはどこから勉強する? 

1.国語(舞美先生・梅田先生) 
2.社会(梅田先生) 
3.数学(桃子先生) 
4.理科(舞美先生) 
5.英語(清水先生) 
6.それ以外の組み合わせ 



「…よろしくお願いします」 
「うん、私も英語しか教えれないけど」 
そう言って俺の隣にちょこんと座ったのは清水先輩。 
舞美先輩や桃子先輩はほんの少し落胆した目を見せたけど、すぐに自分の勉強を始めたみたいだ。 

「…でね、have 過去分詞だと現在完了で『現在までナニナニし続けている』だけど、 
 had 過去分詞だと、『過去のイツイツまでナニナニし続けていた』になるの」 
「じゃあこの場合は…『3年前までし続けていた』だから、過去完了でthree years ago?」 
「そうそう、やればできるじゃん!」 
清水先輩が笑顔で褒めてくれた。 
清水先輩は教え方が丁寧だからすごく分かりやすいな。 
普段は制服とか巫女さん姿しか見てなかったから、今日のカッコは少年っぽいけど、 
だけど真面目な顔つきがすごい才女、って感じで、ギャップがなんかカワイイかも。 
なんかサクサク進むな。 
英語がこんなに楽しいって思うことなかなかなかったなぁ。 

「ねぇ佐紀ちゃん、今のそれ、違ってない?」 
「え、ウソ!?合ってると思うけど…」 
「ジミーはどう思う?その問題の答え、合ってるか、間違ってるか?」 
なんか桃子先輩がちょっかい?を入れてきたぞ。 
清水先輩はホントに間違ってないか考え込んで問題と睨めっこしてるし。 
桃子先輩はニヤニヤしてる。間違いを指摘したのか、それとも俺をからかってる? 
っていうか桃子先輩、ホントに分かってます? 
…どうやら自分で考えなきゃいけなさそうな感じだけど…。 

1.清水先輩が合ってると思う 
2.桃子先輩が合ってると思う 
3.舞美先輩と梅田先輩はどう思いますか? 



うーん…見た感じ、ふつうに過去完了形の文章だし、間違ってないと思うんだけど…。 
確かに清水先輩は考え込んでるけど、でもこれは合ってる!清水先輩が正しい! 
「俺も合ってると思いますけど、清水先輩が教えてくれたので」 
「あーホントだ!間違ってる!」 
って、えっ!俺が合ってると思ったのに、間違ってるんですか、清水先輩!? 
「ほら、ここのスペル、これはもう一つk足さなきゃダメだったよ」 
「え、そっちぃ!?もぉこっちかと思ってた、過去分詞だとlaidじゃないの?」 
「違うよ!laidはlayの過去分詞でしょ?lieだからlainでいいんだよ」 
「うっそー!?」 
「…ほら、lie-lay-lainで、lay-laid-laidでしょ?」 
「ホントだ、ごっちゃになるんだよね、『横たわる』と『嘘をつく』って」 
…あの、俺にはさっぱり何を仰ってるのか分からないのですが。 
とりあえず、2人とも間違ってた、ってことですか? 
どっちが合ってるとか考えた俺がバカみたいじゃないですか。 

「ちぇーっ、やっぱ英語は苦手だなぁ」 
桃子先輩はブツブツ言いながら自分の参考書にまた目を落とし始めた。 
「あ、ごめんね?まずこっちのスペルがこう…間違ってたのね。桃子に言われるまで気付かなかったけど。 
 で、ここは完了形ってこれで合ってるんだけど、紛らわしいんだよね」 
清水先輩が続けて勉強を教えてくれるようになった。 
これで現在完了・過去完了・現在完了進行形・過去完了進行形は完璧だな。 
しかし文法一つでこれだけ変わるのは難しいな…。 

1.もう英語は十分、勉強してる舞美先生、出番です! 
2.もう英語は十分、漫画読んでる梅田先生、お願いします! 
3.桃子先生、拗ねないでくださいよ、数学教えてください! 
4.英語をもっと清水先生に教わりたいです 



「うん、これだけ分かってれば完了形はバッチリだよ、あとは過去形と区別つけれればね」 
「はいっ!なんかすごい自信がつきました!」 
「なんかジミー君けっこう飲み込み早いから教えるのやりがいあるね」 
「そうですか?また教えてくださいw」 
これで英語はバッチリだな。清水先輩はもっと教えたそうだったけど…。 

「梅田せんぱーい、漫画読んでないで社会教えてくださいよー」 
「えー、せっかくいいところだったのに…」 
軽くふくれっ面になりながら、でも机のほうに戻ってきてくれた梅田先輩。 
っていうか、散々エッチだなんだ言いながら読み耽ってたんですかw 


「だからさ、三角州がこんな感じで、扇状地ってのはこう…こんな感じなんだよ」 
「こう…ですか」 
「そうそう」 
ノートにイラストで書いて分かりやすく地理の地形を教えてくれる梅田先輩。 
「多摩川なんかは扇状地だよね、こう…ほら、流域面積けっこう広いでしょ」 
「そうですね」 
清水先輩とはまたタイプが違うけど、分かりやすい。何度授業受けてるんですかw 
そんな梅田先輩のイラストを見ながら、ある一点で俺の目が留まった。 
なんかこう…三角州、ってエロいな、カタチ的に、女のアソコみたいで。 
そう思っちゃったらいけない。リアルにカタチが想像されて… 
いかんいかん、今は勉強中だっていうのに、先輩たちが教えてくれてるのに。 

「こら、何かいま、勉強じゃないこと考えてただろ、分かるんだよ」 
こつん、と軽くゲンコツが落ちた。 
「か、考えてないですよ」 
「ふーん…勉強中だっていうのに、そんなこと考えてるとはいけないね…」 
ま、舞美先輩!?勉強してたはずじゃ、ってか何で柿の種を!?常時持ち歩いてるんですか!? 
「さ、さっきもちゃんと聞いてくれてたし、えりかちゃんの考えすぎじゃないデスか?」 
清水先輩ぃ〜、やっぱり俺の姉ちゃんだよ〜。 

1.すいません、エッチなことを考えました 
2.ちゃんと勉強してましたって! 
3.それより梅田先輩、ここ教えてください!と誤魔化す 



ここで罪を認めるわけにはいかない。認めたら久々の柿の種の刑が待ってる! 
ここは誤魔化すしかない! 
「そ、そんなことよりも梅田先輩、ここ教えてくださいよ」 
「ん?どれどれ?」 
「ここ、この海流の流れ、ですか?」 
慌てて俺は適当な図を指すと、梅田先輩に熱心に話を聞き始める(振りをした)。 
「ちゃんと勉強してるみたいだね…」と舞美先輩はため息をつきつつ、勉強の続きを。 
「そうだよね」、と安堵した表情を見せつつ清水先輩は若干寂しそうな顔で勉強してる。 

「暖流と寒流のぶつかるところっていうのは、けっこう漁業が盛んなんだよ。 
 あったかいところの魚も寒いところの魚も取れるからさ。ここの焼津とか、日本海側の石川とか富山とか」 
「ふんふん…確かにスーパーのパックのラベルとか見てもそうですよね」 
「あとさ…意外とこれは知られてないことなんだけど」 
グッ、と肩に手を回して、耳元に口を近づけてくる梅田先輩。 
え、え!?そんな秘密にするようなこと!?な、何ですか? 

「嘘はよくないんだよ。今日はみんなに免じて許してあげるけど。 
 エッチなことはまた今度…いつか、ね。フッ」 
「ひゃ!」 
い、いきなり耳に息を吹きかけられるから変な声が出てしまった。 
「ちょっとえり!勉強教えるのにそんなくっつかなくてもいいじゃん!」 
「確かに、それもそうなんだよw」 
桃子先輩が食ってかかるのにしれっと答えて離れる梅田先輩。 
バレてた…あの人はエスパーじゃないのか? 
っていうか、かなりドキドキしてる、俺、今。 

1.なんかドキドキして手につかない、舞美先生、代わってください 
2.桃子先生!そんな割り込んできて急になんて! 
3.しゃ、社会は地理のほかに歴史と公民もある、まだ梅田先生 
4.あえてもう1回清水先生に英語を 



なんかこんなドキドキしてたら勉強が手につかないよ。 
「も、もう社会は大丈夫ですから!また何かあったら教えてください!」 
「そう?まだ歴史も公民もあるから教えたいことたくさんあったんだけど…」 
普段ならドンと来いなんだけど、今の調子じゃいつか雑念がバレて柿の種の刑が来そうなんだもん。 
梅田先輩はどこまで俺の心を読んでるのか、飄々としながらまた漫画を読み始めた。 
先輩、ウチに勉強しに来たんじゃないんですか…。 

「冬の星座っていったらオリオン座なんだけど、地球が自転してるから時間によっても見え方違うのね 
 ここから、こう…1時間に15度位の角度で回転するんだけど」 
舞美先輩が教えてくれてるのは天体。 
なんか夜空を見上げて星座を見る、っていうのもロマンチックでいいよなぁ。 
今度いつかやってみよ。 
「今の時期だとおとめ座流星群とか見えるかもね、個数少ないけど」 
「星とかいいよねー、天体観測とか1回してみたーい」 
「夏休みとかいいかもね、春休みでもいいけど」 
「いいねいいね、やりたーい」 
「ウチとか、神社だから周りに電灯少ないから見るのにいいカモ…」 
いつの間にやら天体観測で話しが盛り上がってるけど…。 
「いつかみんなでやろうよ、絶対!」 
なんかいつの間にやら盛り上がって、4人一致で決まってしまった。 
俺の勉強は…? 

1.ま、地学少し聞けたし、最後は桃子先輩でしょ 
2.舞美先輩にはあと生物も聞いときたい、特に生殖とかw 
3.天体観測、春休みに合格したら、と話しを広げる 



そのまま天体観測で話しが盛り上がっていきそうだったので、理科を早めに切り上げた。 
舞美先輩は若干不満そうだったけど、理科で一番分かんなかったところが 
分かった、って伝えると、満足してくれたみたいだ。 
他にもいくつか教えてもらったけど、基本脱線していってたからなぁw 

「3角形の相似条件は言える?ジミー」 
「当たり前じゃないですか、『対応する3組の辺の比がすべて等しい』、 
 『対応する2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい』『対応する2組の角がそれぞれ等しい』」 
「よーし、じゃあさ、この3角形の相似を証明してみようか」 
「えっ…とぉ……」 
最後は桃子先輩が数学を教えてくれてる。 
2つの角の角度が同じっていえればいいんだから…あれ? 
「え、すいません桃子先輩、これ…こう、ですか?」 
「え、ち、違うって!それじゃ同じにならないもん」 
「じゃあこう…?」 
「んー…違う、と思、や、違う、違うよ!」 
なんか今、『思う』って聞こえたんだけど。 
「ね、ねぇジミー、この問題集、答えとかないわけ?」 
「ないですよ、授業で回収されちゃってますから」 
「そ、そっか、い、一応合ってるか確認してみようと思ったんだけど…」 
もしかして桃子先輩も分かってない…? 

1.何とか自分だけで考えてみる 
2.桃子先輩、分かってないでしょ、と突っ込む 
3.他の先輩方、教えてください! 



「桃子先輩…もしかして、桃子先輩も分かってないんじゃないですか?」 
「な、何言ってんの!?そ、そんなワケないじゃん!」 
ものすごく露骨に挙動不審になったw 
こりゃホントに分かってない感じだな。 
「だったら教えてくださいよ、このままじゃ俺、分かんなくて入試落ちちゃいますよ」 
「う…だから、それは、その……」 
さっきから目が泳ぎっぱなしな桃子先輩。 
舞美先輩たちには絶対頼りたくないんだろうな、意外とプライドが高いから。 
オロオロしてる桃子先輩を見るのも可愛いんだけどw 
とはいえ、このままじゃ埒が明かない。 

…ん? 
もしかして、ここにこう、1本垂線を引いてやると… 
「も、桃子先輩!もしかして、こうですか!?」 
「え…ぁ…そ、そうそう!そうなのよ!」 
偶然閃いた解き方を出してみると、桃子先輩の目に光が戻った。 
「何だよジミー、やりゃぁできんじゃん!」 
バンバン俺の背中を叩いてくる桃子先輩。 
「桃子先輩…ホントに分かってました?」 
「あ、当たり前じゃん!こんなの、中学の問題なんて、簡単だし…!」 
また目が少し泳いだぞ。バイトのときはあんなにプロなのに、なんかからかいたくなるなぁw 
「だってさっきあんなに動揺してたじゃないですか。分かってなかったんじゃないですか?」 
「そんなことないって言ってんじゃん!ジミー、もぉをバカにしてんの!?」 
やばっ、怒らせちゃった! 

「桃子もジミーも落ち着くんだよ、休憩しようよ」 
どうしようか焦っていると、梅田先輩がドアを開けて入ってきた。 
ってかいつの間に出て行ったのか気付かなかったぞw 
「え?何これ?」 
「ちょっと遅くなっちゃったけど、誕生日おめでとう桃」 
梅田先輩が持ってきたのはもちろん冷蔵庫に入ってた特製ケーキ。誕生日祝いだ。 
「ウソ!?」 
「みんな集まるから今日いっしょに誕生会やろう、ってみんなで話してたンだ」 
「え、え、え〜〜〜!?」 
目を白黒させてる桃子先輩。 
ホントにドッキリだったらしく、舞美先輩と梅田先輩と清水先輩はニヤニヤしてる。 
ってかナイスタイミングです!危うく桃子先輩怒らせるところだった…。 

1.みんなでハッピーバースデー歌いますか! 
2.まずはジュースで乾杯でしょ 
3.プレゼント渡すのが1番でしょ 



嬉しいドッキリに軽く目を潤ませかけてる桃子先輩を前に、テーブルをの上を片付ける。 
4人で手分けしてケーキを出し、ロウソクを立てて火をつけた。 

「ほら桃子、何いつまでもボーっとしてるのよ」 
「え、うん…」 
「今から歌うから、ちゃんと終わったら火を消すんだよ」 
「わ、分かってるよ!」 
「それじゃいくよ、せーの!」 

「「「「ハッピバースデートゥーユー♪ハッピバースデートゥーユー♪ 
    ハッピバースデーディア桃子(せんぱ〜い)〜♪ 
    ハッピバースデートゥーユー♪」」」」 
「みんなありがと〜!!」 
フーッ!と大きく息を吹いてロウソクを消す桃子先輩。 
…あれ、消えないぞ。 
もう一度息を吹く桃子先輩。やっぱり火は消えない。 
よく見ると、笑いをこらえてる舞美先輩・梅田先輩・清水先輩。 
「…ッフフ、桃面白い…!」 
「こんなに上手くいくとは思わなかったんだよw」 
「そのロウソク、偶然お店で見つけたンだけど、消えないんだってw」 
「ちょっとー!!」 
どうやら舞美先輩のイタズラらしい。 
ムキになって火を消そうとする桃子先輩と、それを見て大爆笑な先輩たち、どっちも見てて微笑ましいなぁ。 

「はー、はー、やっと消えた…」 
「お疲れ桃子wはいこれ、私から」 
「同い年になったね、桃子も私たちと」 
「このケーキもうちが作ったんだけど、プレゼントもね」 
「ありがとーみんな〜!」 
一人ずつにプレゼントを貰って、また目を潤ませる桃子先輩。 
ってか、みんなしっかりプレゼント持ってきてるし…。 

「ジミーもプレゼントくれるの?」 
桃子先輩の潤んだ目が眩しい… 
キス、って思って準備しなかったけど、よかったのかな…。 

1.やっぱマズイ、ホワイトデーまで待ってもらう 
2.桃子先輩、目を閉じてください 
3.桃子先輩だけじゃなくて、全員目を閉じてください! 



やっぱり一度決めたこと。ここはやり通すのが筋ってもんでしょ! 
け、決してお金がないとかそういうじゃない!愛だよ愛! 
「プレゼントはありますけど、あの、ちょっと渡すの恥ずかしいんですよ」 
「えー、何それ?」 
「ちょっと目、瞑ってもらえます?」 
「別にいいけど…何?」 
「いいですから。舞美先輩も梅田先輩も清水先輩も目瞑ってください!」 
先輩たちも首を捻りながらも、俺に従って、目を瞑ってくれた。 
…大丈夫だよな、うん、ちゃんと瞑ってるよな、見えてないよな。 

桃子先輩、お誕生日、おめでとうございます。 
俺からの愛をあなたに…。 

そっと抱き締めて囁いて、キスをした。 
いきなり抱き締めたのでビックリしたように肩を震わせたけど、キスを大人しく受けてくれた。 
「先輩たち、もういいですよ」 
「えー、何もないよ、何あげたの?」 
「秘密です、ね、桃子先輩?」 
「う、うん…」 
桃子先輩の頬がピーチ色に染まって、少し口数が少なくなってたけど…。 
俺の愛、きっと伝わってるよね。 

「今日は本当にいろいろありがとうございました!」 
「お礼言うのはもぉのほう。誕生日までしてもらっちゃって、みんなもありがと!」 
「ちゃんとうちらが居なくても勉強するんだよ」 
「絶対受かりなサイよ!受からないと承知しないから!」 
「後輩になるの、待ってるから」 
あのあと、ケーキを食べて、さらに先輩たちに教えてもらいながら勉強して。 
気付いたらけっこうな時間が経っていた。 
お陰で分かんないところいろいろ聞けたし。 
ちょっとは入試に向けて自信もついたかな。 
「はい、頑張ります!ありがとうございました!先輩たちも気をつけて!」 
帰りを見送る俺に、先輩たちは笑顔を見せて帰っていった。 
高校、受からなきゃな…。 



夜になって、携帯に電話がかかった。 
「ちょっとジミー、何桃子にキスしてんのよ!?」 
「ま、舞美先輩!?見てたんですか!?」 
「当たり前じゃない!あんな状況で見ないわけないじゃん!」 
…と、嫉妬混じりでおかんむりな舞美先輩に説教されてしまった。 

やっとのことで電話を切ったと思ったら、立て続けにさらに同じような電話が2本。 
だから、何でみんな見てるんですかぁ〜orz 
これから何かあるたび、目撃されるたびこんな調子で電話がかかる、のか…? 
先輩たちの監視が怖いよぉ…。