また珍しく朝早く散歩している俺。 
それは…あの子のひたむきに頑張る姿を見たかったからだ。 
ほぼ毎日部活に出て休みの朝は家の配達を手伝っているあの子。 
きっと会えるはずだ。このまま歩いていれば 

しかしただ普通に会うのもつまらないな。 

1 変装できる道具が無いか土手をさがす 
2 待ち伏せしておどろかしちゃえ 
3 いや、やはりあだ名通り普通に会おう 



待ち伏せしておどろかしちゃえ。角に隠れて飛び出してやる 

「ふあぁああ…」 
きたきた。眠そうだな早貴ちゃん。 
自転車のかごはもう空、配達終わったんだ。早いなぁ。よく働くな〜 
そうだ、そのまま近づいてきなさい。飛び出してやる。 

「ばあ!」 
「きゃあああ?!」 
はは、おどろいてる。その顔もなかなか…… 

「うがっ?!」 
ちょ、ちょっと飛び出しすぎたみたい。勢い余って早貴ちゃんの自転車に轢かれてしまった。 
情けなくふっとぶ俺。 
「せ、先輩?!大丈夫ですか?!」 

痛いといえば痛い。痛くないといえば、やっぱり痛い。ああ、朝っぱらから不幸すぎるぞ。 

1 死んだふりして人工呼吸してくれるまで待つ 
2 当たり屋としての才能が開花する 
3 大丈夫なふりして早貴ちゃんと散歩する 



「ああこりゃいかんわ〜!折れちゃって歩けないわ〜」 
俺に芽生えたイタズラ心。一回やってみたかったんだよな。 
大げさに足をかかえて転がり回る。我ながら近所迷惑だと思うくらい大きな声で 
「……………」 

早貴ちゃん固まってる。そりゃそうだよな、こんな事されたらなぁ。 
「だ…大丈夫ですか?先輩!どうしよう、歩けないですか?」 
…これはいい反応ですね。普通は引っ掛からないと思うのに。 
「どうしよう、私たいへんなことしちゃった!どうしよう!」 
そんなに騒がなくても、と思ったがかなりいい反応だ。 
これはもう少しのあいだ楽しめそうだぞ… 

1 責任取って家まで送ってください 
2 肩貸してくれ、と言って体を密着させる 
3 さ、さ、早貴ミルク飲めば治るよ。だから飲ませろやぁあ! 



「肩貸してくれ、早貴ちゃん」 
「はい!」 
おお、意外としっかり筋肉があるんだな早貴ちゃんの腕。俺よりあるかもしれない 
それより早貴ちゃんいいにおいだなァ…♪どんなシャンプー使ってんだろ。む、胸が当たってる、意外とあるんだよね… 
「…なんでにやけてるんですか?」 
「え?!あ、いや、いたたたた!あー痛い痛い、痛いわー!」 

う、やめろ。なんでそんな冷たい目で俺を見るのだ。 
「ホントに痛いんですか先輩?普通、足が折れたら立てないはずですよ」 
まずい、見抜かれたぞ。どうしよう?! 

1 もっと痛がるふりをする 
2 素直に謝ろう… 
3 キスして口をふさぐ 



いかん、ここは素直に謝ろう 
「早貴ちゃんすまない。実は折れてないのよ、痛かっただけで」 
「やっぱり。もう!心配したんですよ!」 
「普通に会うのもつまらないって思っちゃってさ」 
「普通でいいです! 

早貴ちゃんは怒ってたがそんなには怒ってない様子だった。 
「配達頑張ってるんだ。えらいなあ俺のひとつ下なのに」 
「好きでやってますから」 
あ…その笑い声、好きなんだよ。早貴ちゃんてほんとまっすぐな子だな。 
平気でうそつく俺とは違って汚れてないくて、なんだかまぶしいよ。 
「早貴ちゃん…あの」 

1 ちょっと散歩しない? 
2 あっ!車がくる、危ない 
3 寒いでしょ、と抱き寄せる 



「ちょっと散歩しない?配達もう終わりでしょ」 
「えっ、せ…先輩とお散歩ですか?」 
あら。いやなのかしら? 
「どうしよう…ドキドキしちゃう〜」 
俺の手をぎゅっと握り締めながらはしゃいでる。なーんだ嬉しいんじゃないか、安心したぜ 
早貴ちゃんといると…なんだか心があったかくなるよ 
「先輩の手って熱いですね」 
「そう?」 

顔の熱が、手にまで流れてきたかな。やべ熱くなってきた 
手をつなぐとなんだか照れ臭いよ。初めてってわけじゃないのに 

1 顔を見るのが恥ずかしくなってきた。黙って歩く 
2 土手の方を歩こう 
3 町の方に行ってみよう 



「先輩速いですよぉ」 
「そ…そうかな?」 
なんだか照れ臭くなって勢いをつけて歩いてたら注意されちゃったよ。 
しばらく歩いてたら土手の方まで来てたみたい 
「さむーい…!こっちの方はもっと寒いですね」 
羽織る上着をさらにぎゅ〜っとする仕草もかわいらしい。 
「川はきれいだけどね」 
「ホントだぁ!川…!」 
その澄んだ瞳をさらにきらきらさせる早貴ちゃん。 
俺は君を見てるだけでなんだか幸せなんだよ… 

1 空も綺麗だね、と二人で見上げて寝転がる 
2 早貴ちゃんの仕草をもっと見たいな 
3 寒そうだから自分の上着も着せる 



「せんぱーいありましたよ!川ありましたー!」 
川を見つけて大はしゃぎしてる…なぜ嬉しいのかは知らないが見てると俺まで嬉しくなるぜ。 
「きゃ、危ない!ガラスとか捨ててありますから転ばない様に気を付けてくださいね」 
「走り回ってる早貴ちゃんの方が危ないんじゃないかな…」 

あの子ってあんなに走り回ったりする子だったっけ?朝からテンション高いな〜 
「きゃあ!いったーい」 
ほらいわんこっちゃない。大丈夫かな、派手にいったが… 

「う……」 

早貴ちゃんうずくまってるぞ…あの様子普通じゃない! 

1 すぐに駆け寄る 
2 助けを呼ぶ 
3 どうしたらいいんだ?!落ち着け、落ち着いて… 



どうしたらいいんだ?!落ち着け、落ち着いて… 
「あわわわ、早貴ちゃん、だ、大丈夫?」 
「…いたぁい…」 
だめだ…うずくまったまま動かないぞ。 
なにをしたらいいのかわからないが心配なので早貴ちゃんのもとに駆け寄った。 
「うう……ああ…」 
お腹をおさえたままうずくまっている。まさかガラスでお腹を切っちゃったとか…?! 
辺りにガラスらしきゴミは無いが違う場所で切ったのかもしれない。 
「先輩、痛いですぅ…」 

早貴ちゃん…苦しそうだ 

1 お腹を見せてほしい 
2 今すぐ手当てしなきゃ!病院までおんぶしていくぞ! 



「早貴ちゃんお腹を見せて」 
「…え?」 
「ケガしてるんでしょ。もし切ってたら危ないから」 
「い、いえ、いいです…」 
どうしてだよ早貴ちゃん、なんで傷を見せてくれないんだ? 
まさか見せられないくらいのひどいケガとか 

それじゃやばい!やばいじゃないか?! 
ああああどうしよう、早貴ちゃんの家族になんて言ったらいいんだ! 
俺がしっかり見てないからこんなことになったんだ!! 

1 無理やり傷を見る 
2 病院が先だ!早く運ばなくちゃ! 
3 …あれ?早貴ちゃん、笑ってない? 



こうなったら傷を見るしかない。例え早貴ちゃんが嫌がっても 
それか早貴ちゃんのためになるなら嫌われたってしかたない! 
「きゃ、先輩、やめてください!」 
「いいから見せて傷!」 

…あれ?いったいどこにあるんだ?傷。 
あんなにいたがってたのに傷なんか体のどこを見ても見当たらないぞ… 

「…ぷ…くすくす、くく…」 
なんで笑ってんだよ早貴ちゃん。まさかうそだったのか? 
「あーあばれちゃった。もう少し隠せると思ったのに」 

いったいどういうつもりだ? 

「先輩だってさっき私をだましたでしょ?折れてないのに足が折れたって」 

う、は…はい、言いました。 
あわよくばいけないことをしようとしました。 
「ホントに心配だったんですからね。もう」 
「ごめんよ早貴ちゃん」 

キュフフフ、と笑う早貴ちゃん。 
「だから今のでおあいこです!先輩かなり動揺してたでしょ」 
「してたよ!当たり前じゃん!!」 
「すぐばれちゃうかなぁなんて思ったのに、意外とだまされやすいんですね」 
あ、またキュフフフって笑った。そうやって笑われると許しちゃうんだよもう… 

「今日は先輩に会えてうれしかったです!それじゃっ」 

…何か、忘れてた気持ちを思い出せた気がするよ。 
俺も早貴ちゃんに会えてよかったなぁ。 

次は、ちゃんと素直に話せたらいいな 
昇る太陽を見ているとそれができそうな気がしてきた。