「先輩さようなら、もう授業覗き見とかはやめてくださいねw」 
「じゃあねジミー、絶対今度ラーメンおごってゆ」 
「はいはい、2人ともまたね」 

曲がり角で愛理ちゃんと菅谷と別れた俺は2人が見えなくなったのを見計らってカバンを開ける。 
そこにある紛うことなき包みの感触を確かめた。 
「ふふふふふ…ははははは……チョコだ…チョコだ…!」 
やばい、ニヤニヤが止まらない。 
去年までは母親からしかチョコをもらったことがない俺がですよ? 
手作りチョコを3個もですよ? 
しかも全部本命ときたもんだ。 
チョコをもらった数を萩原みたいに自慢するつもりはないけど、これは俺、自信持ってもいいんじゃないか? 

こうなると調子に乗るのが俺の悪い癖だとは分かっているのだが。 
もしかしたらもっともらえるんじゃないか?と思ってしまう。 
会いたい、チョコをくれそうな子に会いたい! 

1.学校に戻ろう! 
2.あの子の家まで行ってみるんだ! 
 (家を知っている清水先輩・須藤さん・雅ちゃん・梅田先輩・舞ちゃんも選択してください3.どこかをうろついてみようか 
4.希望を持っちゃいけない、大人しく満足して帰ろう 



よしっ!いざ向かわんチョコ収集の旅へ! 
待ってろよ愛しのチョコレートたちよ!! 
俺は思いっきり自転車を漕いでチョコレートの匂いがすると思われる方向へと走り出した。 


数十分後。 


「はぁ…はぁ…はぁ…疲れた…」 
自分の嗅覚に任せて本能のままに走ってやってきたのは清水先輩の家の神社だった。 
おいおい、神社なんてチョコレートとは全く無縁の場所だろうよ、大丈夫か俺? 
そもそも清水先輩が帰ってるかどうかも分からないのに。 
俺のチョコレーダーは起動と同時に既に壊れてしまったのか? 

…いや、あの売店で売り子さんをしてるのは俺の姉ちゃん、清水先輩! 
あの身長は間違いないな。 
久々に見る巫女さん姿…たまんねぇ〜!! 
思わずガッツポーズをしてしまった俺を参拝客の人が不審な目で見ながら通り過ぎていく。 
よく見ると、何気にけっこう参拝客が多いんだよな。 
そういえば受験シーズンだっけ、今。 
俺もそういや受験生ってやつだけども。 
試験はあるけど基本エスカレーターでほぼ上がれるからなぁ。 
よく見ると売店にもお客さんが多そうだ。 
いきなり「チョコください!」なんて言いに行くのはちょっと気まずいよな…。 

1.ここまで来て何を躊躇う!いきなり特攻あるのみ! 
2.一応作法もあるし、まずは参拝して「お客さん」という態度を醸し出しつつ突撃。 
3.いや、そんな度胸はない、次の場所へ(↑の選択肢へ) 



いやでもやっぱここは突撃するしかないよな。 
ここまで来て戸惑う必要なんてどこにもないじゃないか! 
そう思った俺は清水先輩が売り子をしている売店の数人の行列に並んだ。 
数人の売り子さんがいるけど、程なくして清水先輩が売り子をしてる列の最前に行くことができた。 

「ようこそご参拝くださいました…って、ジミー君?」 
「へへ、こんにちは、清水先輩」 
目の前で対面するまで俺には気付いてなかったらしく、いきなり目の前に現れた俺にびっくりしてるみたいだ。 
「そっか、ジミー君ももうすぐ受験だもんね、参拝しに来たんだ?」 
「あ…いや、その…今日はですね…」 
「違うの?ここ並んでるのに?」 
「いや…そうだけど、そうじゃないというか…」 
「はっきりしないなぁ、どうしたの?」 
ダメだ、いざとなったらこの場で「チョコをください」なんて言い出しづらいな…。 
そもそも清水先輩のこの態度、今日がバレンタインデーだって気付いてないとか? 

「ここ売店だよ、買い物に来たんじゃないの?」 
ううう…どうしよう 

1.「清水先輩の顔が見たくて」 
2.「清水先輩のバレンタインチョコ、1つください」 
3.「…その、合格祈願のお守り1つください(泣」 



「その…清水先輩のバレンタインチョコをひとつください…なんて…ハハハ…」 
冗談っぽく言ってみたつもりだったけど、清水先輩は固まってしまった。 
いや、清水先輩だけじゃなくて、他の売り子さんも、お客さんも。 
あれ?もしかして、スベった?俺? 

「ちょ、ちょっと君こっちおいで、すいません、ちょっとだけ、失礼します」 
数秒後、我に返った清水先輩は周りの巫女さんたちに断りを入れて俺を連れ出した。 
これはもしかして、もしかして…って思ったんだけど…。 


「何を考えてるの君は!あんなことあんな場所で言うもんじゃないでしょ!」 
「す、すみません…」 
「もう、恥かくし最悪なんだけど!」 
「反省してます…」 
「大体ね、そんなこと考えてるヒマがあったら勉強しなさい、勉強!」 
「はい…」 
神社の裏まで引っ張り出されて、みっちりお説教を食らってしまった。 
うぅ…まさかこんなことになるなんて…。 

「…でもまぁ、あんなところであんなこと言うなんてね、度胸は認めるけど」 
うな垂れていた顔を上げると、少し顔を赤くした清水先輩が俺から視線を外してそっぽを向いていた。 
「ホントはね、チョコ、作ってないんだ。今の時期見ての通り忙しくてさ」 
清水先輩は袖を掴むと、自分の巫女姿を見下ろして見せた。 
「だからさ、学校でも友チョコとかもらったんだけど私は渡せなくて。 
 友達にも約束したんだけど、ホワイトデーとかでもいいかな?正直、そこでも渡せるか分かんないんだけど」 
ちょっと寂しそうだな、清水先輩。 

1.じゃあそれで我慢します 
2.絶対今がいいです!と駄々をこねる 
3.いきなり唇を奪って「これでいいですよ」 



あんまりワガママ言っても申し訳ないよな。 
「分かりました、すいませんいきなり来てこんなこと言っちゃって」 
「分かればよろしい。じゃあまた今度…ね」 
「はい、先輩もお仕事頑張ってくださいね」 
「うん。あ…そうだ」 
帰ろうとした俺を清水先輩が呼び止める。 
振り返った俺に近づいてきた先輩が…。 

「高校、ちゃんと受かんなよ。後輩になるの、待ってるから」 
「…はいっ!」 
ドン!と軽く裏拳で俺の胸をノックするみたいに叩くと、売店に走って戻っていった。 

気合は入ったけど、チョコは今日はもらえなかった。 
気付くともう夕方だ、少し暗くなり始めてる。 
まだチョコを求めて旅立とうか、どうしようか…。 

1.まだまだ、俺は諦めが悪いんだ 
 (学校・桃子先輩のコンビニ・須藤さんの家・雅ちゃんの家・梅田先輩の家・舞ちゃんの家2.諦めて帰ろう 



いや、まだチョコは貰えるに違いない! 
俺のチョコレーダー(暫定故障中)がこっちだと叫んでいる!! 
そうだ!学校に戻ろう! 
まだ残ってる生徒がいるに違いないぞ。 
そう思った俺は学校に向けて自転車を漕ぎ出した。 


・・・またまた俺は数十分かけて学校へ戻ってきた。 
けっこう清水先輩の家は遠いからな…思ったよりも時間をロスしてしまった。 
もう部活の生徒ぐらいしか残ってないんじゃないかな。 
念のため、下駄箱を探ってみたけど、当然ながらチョコなんて入ってるはずもなく。 
…今のところ、釣果は未だゼロ。 

1.部活といえばのあの先輩がいるじゃないか!陸上部へ 
2.ダンス部のあの子はまだいるかな? 
3.夢は捨てずにもう一度教室へ 



グラウンドに目をやると、野球部やサッカー部に混じってトラックを走っている陸上部員の姿が見えた。 
もちろん舞美先輩もいるみたいだ。 
そういえば桃子先輩が舞美先輩にチョコ作りを教えてもらう、って言ってたな。 
ってことはもしかして舞美先輩もチョコは手作りだったりして…。 
だとしたらもしかして・・・ぐふふふ。 
見た感じ、トラックを走るのもだいぶ流してるみたいだからもうダウンに入ってるのかも。 
部室で待ってれば戻ってくるかな。 
そう思った俺は陸上部の部室に行くことにした。 


「あれ?ジミー君はまだ帰ってなかったんだ?」 

部室の前で意外な人に会った。 
いや、大親友だからある意味で当然なのかもしれないけど…。 
「帰ってないといいますか…あははw 梅田先輩こそ」 
そう、部室前のベンチでボーっと座っていたのは梅田先輩だった。 

「活終わったら舞美とハンバーガーでも食べに行こうかって思ってね」 
梅田先輩みたいなお嬢様がハンバーガーですと!? 
それよりもその組んだ脚がセクシーで気になるんですけども… 

1.もうすぐ戻ってくると思いますよ 
2.そうだ、梅田先輩もチョコくださいよw 
3.とりあえず飛びついてみようか 



うぅ…そのセクシーな脚、もう少しで見えそうなその脚の付け根、たまりません! 

「梅田せんぱ…いぃっ!?」 
飛び掛ろうとした俺は何故か何もないところで躓いた。 
しかも、梅田先輩はそうなることを予想していたように脚を横にずらして… 

ドサッ!と俺は梅田先輩の脚ではなく、脚のあった先の地面に見事にキスをかますことになった。 
ちなみに、そんな俺のすぐ横には何もなかったかのように梅田先輩のローファーと、そこから伸びる綺麗な脚が… 

「全く君は懲りないね。でも何度やっても君の行動はお見通しなんだよ」 
立ち上がった梅田先輩が手を貸してくれて起き上がった。 
いたたた…ほっぺたちょっと擦り剥いたな。 

「ほら、これ分けてあげるから今日はこれで我慢するんだよ」 
と、梅田先輩がカバンから小さな箱を取り出して、開いて俺に差し出してきた。 
中身はトリュフ。こ、これってチョコレートじゃないですか!! 
「友チョコに教室で配ったからあんまりないけど。舞美の分は何個か残しといてね」 
いや、何個か残しといてって…既に5粒くらいしか残ってないんですけど… 

1.とりあえず1粒だけいただきます 
2.俺はいいですよ、舞美先輩にあげてください 
3.空気を読まずに全部一気食い 



せっかく梅田先輩がいいよって言ってくれてるんだし、せっかくだから… 
「ん!すっごい美味しいです」 
「よかった、教室でもけっこう評判良かったからさ」 
このまま2つ3つ4つ5つと食べたい衝動に駆られたけど、我慢することにした。 
「もういいの?もう1個ぐらい食べてもいいんだよ」 
「いやいやもう先輩の気持ちだけで。あとは舞美先輩にあげてください」 
ホントは食べたかったんだけど、このまま食べて舞美先輩の分がなくなると、後が怖い気がしたんだけどw 
「そういう謙虚な気持ちは大事だぞ」 
梅田先輩も笑顔を見せてくれたし。 

「えりお待たせ〜!あー!ジミーも居るし!」 
遠くから舞美先輩が走ってきた。 
この寒いのに汗で張り付いた前髪がかなり色っぽい。 
「舞美お疲れ。はいこれ、チョコ」 
「あ〜ありがと〜えり〜!疲れてたから甘いもの食べたかったんだ〜!」 
舞美先輩は梅田先輩の差し出したトリュフをあっという間に平らげてしまった。 
こりゃ全部食べるとかしなくて正解だったなw 

「先輩お疲れ様でした」 
「何々?ジミーもいっしょに行くの、ハンバーガー?」 
あ、そういえばハンバーガー食べに行くって言ってたっけ。 

1.ご一緒してもいいんですか? 
2.舞美先輩に逢いたくて 
3.先輩、何か俺に渡すものがあるんじゃないですか?w 



この2人といっしょにゴハンなんてなかなか行けるもんじゃない。 
これは行かない手はないだろう。 
「え、行ってもいいんですか?邪魔だったりとかしません?」 
「全然!いいよね、えり?」 
「別にかまわないんだよ。もちろんおごったりはしないし、お金出せとか言わないし」 
くぅーっ!やった!!前のときは舞美先輩といっしょのときに偶然梅田先輩いたけど気づかなかったからなぁw 
「そうと決まったらすぐ着替えてくるね!」 
言うや否や、舞美先輩は部室に駆け込んで行ってしまった。 
「…ま、舞美が嬉しそうだからいいんだけどね」 
梅田先輩はが呆れたように呟くのが聞こえてしまった。 

そんなわけで、俺は舞美先輩・梅田先輩といっしょにファーストフード店にやってきた。 
俺は普通にセットを、梅田先輩はハンバーガーとコーヒーだけだったけど、 
舞美先輩はセットにサブメニューでチキンナゲットまでつけて食べていた。 
練習終わりだってのもあるだろうけどすごい食欲だな…。 
伊達にウチの釜を空にする伝説は残してないw 

「ところでジミーは試験大丈夫なわけ?」 
「うちも思った。なんか全然試験勉強とかしてなさそうだよね」 
おしゃべりに盛り上がっていたら、期末試験の話題から、唐突に入試の話題を振られた。 
清水先輩といい、俺はそんなに不安に見られてるのか。 
勉強は良くも悪くも普通なんだけどな。ジミーなだけに。 

「うちらで勉強教えたりしたほうがいいんじゃない?」 
「あー、それいいかも!絶対ジミー勉強してないし!」 
「佐紀ちゃんとか誘ってさ!桃子は…あんま成績よくないんだっけ?」 
…桃子先輩……。 
「ジミーはホントに大丈夫なわけ?勉強さ」 

1.全然大丈夫ですよ、余裕ですって 
2.実はちょっと不安かも…教えてください! 
3.この2人の先輩となら違った勉強がしたいかもw 



「んー…実はちょっと不安なところがあって…先輩たちがいいなら、教えてください!」 
「そうこなくっちゃ!うちらももう少しで期末だしさ、勉強会しようよ!」 
「場所はうち使っていいんだよ。みんなが空いてる日だったらね」 
「さっすがえり!えりんち広いもんねー!」 
俺が答えると、トントン拍子で話が進んでいった。 
先輩たちと勉強会かぁ…そういうのもドキドキするな。 
本当のことを言うと、入試で自信がない部分があったのも事実だし。 
そんな調子でおしゃべりをしていたら、あっという間に時間が経っていた。 

「ちょっとトイレに行ってくるんだよ。待ってて」 
帰り際になってコートを着たところで梅田先輩がトイレに行ってしまった。 
「あー…あのさジミー、甘いものとか、好き?」 
「え?普通に好きですけど…何でですか?」 
「えーっと…何ていうか…良かったら、なんだけどさ、これ食べてくれる?」 
唐突に舞美先輩がカバンから出した袋。 
「これって…チョコですか?」 
「ん…まぁ…そんなとこ。一応…手作りだけど、要らなかったら捨てていいから」 
「要らないなんてそんなこと!ありがたくいただきます」 
「そ、そう?あ、味の保障はしないよ?」 
「舞美先輩のなら美味しいに決まってるじゃないですか!こないだ桃子先輩も言ってたし」 
「そ、そうだっけ?」 
真っ赤になった舞美先輩が可愛いかった。 
「ほら、早くしまってよ、えりが戻ってくるから」 
「はい、先輩、ありがとうございます」 
舞美先輩からもらった袋の中身は丁寧にラッピングしてあるのが見えた。 

「お待たせ、ちゃんと渡せた舞美?」 
「ちょっ…!何言ってるのえり!」 
「舞美さっきジミー君に会えなかったらこのあとジミー君ち行ってポストに入れてくるつもりだったんだから」 
「わーわーわー!えりやめて!言わないで!!」 
梅田先輩にからかわれて真っ赤になってる舞美先輩。 
その表情は照れ笑いしてるようにも見えた。 

「じゃあ先輩たち、さようなら」 
「じゃあねジミー」 
「しっかり勉強するんだよ受験生」 
舞美先輩、梅田先輩と別れて時計を見るとすっかり遅くなっていた。 
もう家に帰ったら夕食の時間だな。 
流石にもう帰ったほうがいいかな…でもまだチョコレーダー(暫定稼動中)は反応する気がするけど…。 

1.もう少しだけ粘ってみる、けど流石にこの時間だとどうだろう? 
 (桃子先輩のコンビニ・須藤さんの家・雅ちゃんの家・舞ちゃんの家2.5人に貰えたしもう満足 



じゃあ最後にもう1軒だけ! 
雅ちゃんの家に行ってみようかな。 
流石に夕食時に家まで押しかけるのは若干気が引けるけど。 
ましてや雅ちゃんちは大豪邸だからな。 
でもパーティとかでお呼ばれしたこともあるし、大丈夫だろう。 
そう思った俺は自転車で雅ちゃんの家まで行ってみることにした。 

「雅お嬢様は今日はまだお帰りになっておりませんが」 
雅ちゃんの家まで行ってインターホンを押してみると、こんな返事が返ってきた。 
こんな時間なのにまだ帰ってないだって? 
学校帰りは運転手さんが迎えに来てくれてるのに? 
「…分かりました、俺…いや、僕が来たことだけ、雅ちゃ…雅さんにお伝えください。 
 急ぎの用事ではないんで、明日また学校で、と」 
「かしこまりました」 
インターホンが切れて、静寂の寒空に俺は取り残された。 
ここまで来たけど無駄足か…。 
っていうか、こんな時間まで帰ってないって、雅ちゃん大丈夫かな。 
「ジミー君じゃない!?」 
そうそう、こんな声で…って、え!? 

「み、雅ちゃん!?」 
ちょうど横を通りがかった車から雅ちゃんが声を掛けてきた。 
車が止まって、慌てて雅ちゃんが駆け下りてきた。 
「ちょっと何してるのよこんなところで!」 
「雅ちゃんこそ!さっき玄関で帰ってないって言われたから心配してたのに」 
とりあえず無事でよかった。 
あでも雅ちゃん、昼間教室で友チョコ配ってたよな、ちぃと須藤さんといっしょに。 
あの3人でいっしょに作ってたってことは…もしかして、もう、ない? 

1.雅ちゃんに急に会いたくなって、とごまかす 
2.チョコ、食べたいな 
3.お邪魔しても、いい?w 



「雅ちゃんに急に会いたくなっちゃってさ、あはは、あは」 
うぐ…我ながら苦しい言い訳だ…。 
「もう…悪いけど、もううちも晩ご飯の時間なんだ。だからちょっと今は無理かな」 
「あ…そうだよね…ごめん」 

「あのさ、ジミー君これから家に帰るよね?」 
「そりゃもちろん。何で?」 
「できるだけ急いで帰って。で、帰ったら、郵便受け見て」 
「え?え?どうして?」 
雅ちゃんの話が見えてこない。うちの郵便受け? 

「あの…渡したいものが、あってさ。ずっとジミー君の家の前で待ってたんだけど、帰ってこないから。 
 郵便受けに入れてきちゃったの。……チョコレート」 
は  い  ? 
「え…えっ!?」 
「教室だとちぃと茉麻がいるから渡しづらかったから。だから放課後に、って思ってたんだけど」 
「えっ…ってことはもしかして、ずっと俺の家の前に?」 
こっくり頷く雅ちゃん。 
うわぁ…なんつーか…申し訳ない。 
俺が神社やら部室やら行ってる間にそんなことになってたとは…。 
「あの…ありがと、大事に食べるよ」 
「ふふ、まだ渡してないけどねw」 

「お嬢様」 
「あっ、ごめん、すぐ行く」 
車から男性が声を掛けてきた。 
「じゃあ…また明日」 
「うん、おやすみ」 
雅ちゃんは名残惜しそうにしながら、車に戻っていってしまった。 
結局、何分かだけしか会えなかったなぁ。 

自転車をぶっ飛ばして家に帰ると、なるほど、郵便受けに雅ちゃんのチョコレートが入っていた。 
舞美先輩と鉢合わせなくてよかった〜!ヘタしたらちょっとした修羅場になってたよ。 
家に入ると、帰りが遅いことで親にはこっぴどく怒られはしたけども。 

部屋に入って包みを開ける。 
ちぃ。 
菅谷。 
愛理ちゃん。 
舞美先輩。 
雅ちゃん。 
それに梅田先輩に清水先輩。 
予想外にバレンタインチョコたくさんもらっちゃったなぁ。 
これだけの気持ちに、俺は応えられるのか、応えていけるのか。 
若干心配にはなったけど…。 
これだけ俺なんかのことを想ってくれてる、みんなの気持ちがとにかく今は、嬉しかった。 



(おまけ) 

翌日、学校に行くと、ほっぺたを腫らしてとんでもなくテンションの落ちた萩原がいた。 
昨日はあんだけチョコレートを貰っていやがったくせに。 
舞ちゃんが手作りチョコを作ってくれるとあんだけ浮かれていやがったくせに。 
とりあえず、ちょっと気になったのでどうしたのか聞いてみた。 

昨日、舞ちゃんには約束どおり手作りチョコをもらったらしい。 
そして、学校に行くときに、どうやら舞ちゃんに俺の分のチョコも預かったらしい。 
小等部はお菓子とか持ってきちゃいけないから、と。 
しかし萩原の野郎はそれを俺には渡さず、自分で食べたらしい。 
そしてそれが舞ちゃんにバレ、怒られたのだという。 


…怒られて当然だ。 


とりあえず、萩原の腫れたのとは反対のほっぺたを思い切り殴っておいた。 

舞ちゃん、もう1回作ってくれないかな… 


リl|*´∀`l|<スケベなマネには体中にチョコを塗った私をあげるんだよ 州*´・ v ・)<マネにチョコを塗ろうかなw 州*´・ v ・)<ケケケケケッ・・・・ 州´・ v ・)つパソコン 州*‘ -‘リつ携帯 ノノl*∂_∂'ルつ紙 州*‘ -‘リ<みや〜ペンがなきゃ書けないゆ〜 州´・ v ・)<それにそれじゃただの妄想小説だよ ノノl∂Д∂'ル<!! ノノl∂_∂'ルつ鉛筆 ノk|‘−‘)<マネージャー朝だかんな (マネ)<ZZZ… ノk|‘−‘)<起きるかんな (マネ)<ううん… ノk|‘−‘)<…… ノk|*‘3‘)ちゅ (*マネ)<キスキターー!待ってたんだよ ノk|‘−‘)<また寝たふり…ずるいかんな ノk|*‘−‘)<もう (*マネ)<で、なんでいるの? ノk|#‘皿‘)<をい、おはスタだかんな (*マネ)<…………あ (;マネ)<ちょ!?えっ、いま何時!? ノk|;‘−‘)<ほらもう時間ないから、早く着替えて (;マネ)<ひぃ〜っ!