とりあえず出た外は、死ぬほど寒かった。 
学校も休みの土曜日に雪道を歩く俺。まだ空からは真っ白い雪がパラついていた。 
昨日学校で配布された受験の資料を忘れたのがそもそもの原因である。 
この糞寒い学校に向かって歩くとか。しかも手袋忘れて傘を持つ手が痛いくらいだし。 
…最悪だなぁ。 
はぁっと吐いた息も白い。嫌になるよ、全く。 

なんとか学校には着いたけど、当然の如く門はしっかり施錠されている。 
でもこれを越えなきゃ学校には入れないし…越えるしかないよな。 
またため息をつくと門に積もった雪を少しだけ落として手をかける。 

「あれ?」 

後ろから聞き覚えのある声がするぞ? 
こんな日に…この声は、 


1.雅ちゃん 
2.舞美先輩 
3.熊井ちゃん 



「…あれ?熊井ちゃんじゃないか」 
「あー!やっぱり先輩だ!こんな日に会えるなんて!」 

にこにこと笑顔を携えながら俺の方に歩いてくる熊井ちゃん。俺に会えたのがうれしいのかな?なんて自惚れてみる 
学校の制服を着てる所を見ると… 

「先輩はどうして学校に?」 
「ちょっと忘れ物を…ね。熊井ちゃんは?」 
「あ、はい…ちょっと教科書、忘れちゃったんで」 

照れてるように頭をかいて笑う。こうみると全然、年下なんだけどな。 
やっぱり身長差から見ると…大人っぽい。俺の方が全然年下に見えるんだろうな、この状態。はぁ。 

「やっぱり閉まってますよね、門。どうしよう…」 
「俺は今から越えようと思うけど…熊井ちゃんはきついかもね」 

なんたって熊井ちゃんはこの寒いのにスカートである。雪がじかに触れたら寒いだろ、さすがに。 
いつもだったらスカートにニヤつくところだけど、今日の寒さからは可哀そうな思いしか出てこない。 
女の子って大変だなぁ。 
熊井ちゃんのスラリと伸びた足が不憫に思えた。 

それにしても…どうしよう。 


1.だったら俺が先に行って、開けてあげればいいんじゃね?名案だろ 
2.俺が熊井ちゃんを持ち上げて向こうに行かせてあげればいいのか!迷案だ 
3.やっぱり二人一緒に門に上るしかないよな… 



「俺がこれ上って、むこうから門開けるよ」 
「えっ!?でもそうしたら先輩が寒い…」 
「大丈夫、俺一応男だから」 

一応ね、そうつけたら熊井ちゃんは笑ってくれた。 
彼女が笑ってくれるとなぜか心があったかくなるのはなんでなんだろう。 
寒さも和らいだ気がする。雪は、止まない。 

「んじゃ、頑張るかぁ…」 

はぁっと素手に息を吹きかける。手袋を忘れたことを少し後悔した。 
よっと、勢いをつけて門によじ登る。熊井ちゃんがいる手前、失敗したくはないな。 
いかにも滑りそうな鉄の上に足をかけて、慎重にもう片方の足をあげる。 
熊井ちゃんもじっと俺を見てるみたいだな、なんか恥ずかしいけど。 

お約束のようにこけて雪に顔を埋める羽目になるかとも思ったけど、なんか無事にやり遂げてしまって。 
あんまり面白くはないけど、普通に門を開ける。 

「先輩、ありがとうございます」 
「いーえ。なんか普通にできてよかったよ」 
「先輩なら何かしら面白いことやっちゃうかもって思いましたよ」 

笑いながら案外失礼なことをいう熊井ちゃん。そんな彼女も可愛いけど… 


1.普通な俺は嫌い?と可愛く熊井ちゃんを覗き込む 
2.ごめんね、普通で。と、ちょっとイジけてみる 
3.…ん?何か背後から気配が… 



「ごめんね、俺普通で。面白くなくて」 

少しだけイジけてみる。俺の全部がいいって言ってくれなくてもいいけどさ、別に。 
そばにあった雪を小さく足でまとめてみる。 
誰も触れることのなかった新雪だからふわふわと綺麗に集まった。 

「あ、あの、別に先輩が面白くないとかじゃなくて!そんな先輩も、その…」 

ふいっと目を逸らした俺を必死に覗き込んでくる熊井ちゃん。 
何か可愛いなぁ、一生懸命になってくれてる。 
俺はますます熊井ちゃんから顔を遠ざけると、こっそりさっき集めた雪を手にとる。 

「先輩、すいません…謝るんでこっちむいてくださいよぉ…」 
「やだよー」 

「だって熊井ちゃんは普通で面白くないやつと一緒にいても嫌でしょー?」 
「そんなことないです、先輩といると楽しいし…」 

何か健気な熊井ちゃん。もうちょっといじめたくなるのがジミー様ってところかな? 
手の中で雪を玉にしていく。もうちょっとだ。 

「せんぱぁい、怒らないでくださ…きゃっ」 

熊井ちゃんがもっと寄ってきたところを見計らって、ゆるく握った雪玉を投げつけてみた。 
もちろん顔じゃなくてお腹に。Pコートの上ならまだ寒くないだろう。 

「へへっ、ひっかかっかたー」 
「もう、先輩ひどい!本当に怒っちゃったかと思ったのに!」 
「ごめんごめん、なんか困ってる熊井ちゃん…かわいくてさ、つい」 
「…もう!」 

むっとした顔をしたかと思えば、可愛いに反応して少し嬉しそうな顔をする。 
俺なんかの言動で一喜一憂してくれる熊井ちゃんが、愛しい。 
空からぱらぱらと雪が降ってきて、何かいいムードだな。 


1.悪乗りを謝って、抱きしめてみよう 
2.なんか手が痛いな、手袋持ってくるべきだった… 
3.そういえば、誰も踏んでないよな。学校の雪って 



そういえば、雪が降ってからこの学校の敷地に足を踏み入れるのって…俺達が初めてかな。 
降り積もった新雪はきらきらと結晶をつけて光る。 
新しいのも上から降ってきて、もっともっと降り積もっていく。 
ここで積み重ねた俺たちの思い出みたいに。どんどん重なっていく。 
そっと熊井ちゃんを覗き見ると、熊井ちゃんも横目でこっちを見ていて、視線がぶつかると顔を赤くする。 
ばっと、勢いだけで目をそらす。心臓がばくばくと脈打ってる。 
あんまり、熊井ちゃんが可愛かったから。 
いつもはもっとすごいこととか、いっぱいシてるけど。でもなんか…雪の前で、真っ白になったというか。 
純粋な気持ちが先行して、俺の中にあった。 

「せんぱい」 

そっと。熊井ちゃんが俺との隙間を一歩、埋めてくる。 
腕にゆっくりと熊井ちゃんの手が絡みついてきて、そこだけあったかい。 
雪も解けるような、そんな気がした。 

「雪、綺麗ですね」 
「うん…熊井ちゃん、寒くない?大丈夫?」 
「寒くないですよ…先輩と一緒だから」 

はにかんで笑う。さらさらの髪から、雪が滑り落ちていく。 
少し上からの笑顔は俺だけに降り注がれていた。 

「学校なのに。なんか学校じゃないみたいですね」 
「だよね。なんか…俺達しかいないみたいで」 
「せんぱい…」 

きゅっと強まる腕の力。空気を読めというオーラが出てそうだな。 

1.ここはいつかのCMみたいに雪にダイブだろ。二人で 
2.熊井ちゃん、手。あっためてよ… 
3.抱きしめてキス。王道は外せない 



「熊井ちゃん…」 

そっと、名前を呼ぶ。 
最近こんなに落ち着いて熊井ちゃんとの時間を過ごすことって、そういえば無かった気がする。 
大きくて目立つ彼女は人一倍優しくて、繊細で。 
だからこそ空気を読んであげようと思った。俺でも出来るって、優しくしてやりたい。 

熊井ちゃんの腕を解いて、すっと手を握る。 
冷たかったのか、熊井ちゃんの体がびくんと跳ねた。 
でもそんなの気にしないふりをして、そのままゆっくりと引きよせた。 

「先輩の手、冷たい」 
「ごめん、さっき雪触ってたから…」 
「いいよ、別に。私があっためてあげるから」 

きゅっと、俺が握らなかった方の手も握られる。熊井ちゃんの手も冷たかったけど、触れ合うと暖かく感じる。 

「ありがとう。あったかいよ」 
「えへへ…」 

照れ笑いを浮かべる熊井ちゃん。俺を見つめる目が寒さからか、潤んで見える。 
それがまた、なんか守ってやりたくなる要素になって俺の中に溶け込んでいく。 
ちょっとだけ体を離して、そっと触れるだけのキスをして。 
そしてまた、二人で隙間なくくっついた。熊井ちゃんは俺の首筋に顔を埋める。 

「先輩、だいすき」 

笑うようにそういう熊井ちゃんに思い切り惹かれる自分がいる。 


「結局、遅くなっちゃいましたね」 
「うーん、ちょっと学校にいすぎたよね」 

あの後、しばらくひっついてたら用務員のおっさんに現場を目撃されてダッシュで逃げた。 
若いっていいねぇとつぶやかれた一言が火を噴くほど恥ずかしかった。くそ。 
繋がれたままの手が走ったせいでほんのりと汗ばむ。それも何か暖かかった。 

「しかも忘れ物取りに行くの忘れてたし…なんかごめん。熊井ちゃん」 
「いいですよ、全然。私こそすいません。先輩も取りに行けなくて…」 
「いや、いいんだけど」 

二人して謝って、顔を見合せて笑った。 
吐く息は白いままだったけど、今はとても暖かい。 

「私は…先輩と一緒で楽しかったから。だから問題ないです」 

また、こう嬉しいことを。ずるいぞ熊井ちゃん。 

「熊井ちゃんはずるいなぁ…」 
「なんでですか?」 
「…かわいいから」 
「……きっとそれは先輩の前だから、ですよ」 

俺の頭についた雪を払って、ついでのようなキスを頬にしてきた熊井ちゃんは少しだけ大胆だった。 
いつもみたいにくだらない話をする隙もなかったけど、こんな日も雪の日もいいもんだ。 

繋がれた手のぬくもりと、頬をに感じたキスを忘れないように。俺からもおかえしをした。 


ノk|*‘ o‘)<舞美ちゃん… 从*・ゥ・从<なぁに? ノk|*‘ρ‘)<大好きだかんな…(ハァハァ)舞美ちゃーん!!(クンカクンカ) 从;・ゥ・从<いやあー!! リl|*´∀`l|<栞菜やめるんだよ ノk|*‘ρ‘)<やっぱり胸がおおきい方がいいかんなハァハァ リl|*´∀`l|<くすぐったいんだよ、あ、あんっ 从・ゥ・从<栞菜でもえりにそういうことするのは許さない! リl|*´∀`l|<でも嘘なんでしょ? 从・ゥ・从<うん