あの舞美が簡単に捕まるわけもなく、走って逃げてついた先は何故か俺の家 
俺が中学時代の思い出話を散々してきたが、舞美に舞美先輩との思い出を話したことはなかったな 
そのせいか、俺にアルバムを差し出してきて、「舞美先輩も私と誕生日一緒なんでしょ?だから、ね」と催促された 

「勘がいいな。察しの通り誕生日まで一緒だよ。ほら、この写真まるで今の俺たちみたいだろ」 
「うんうん、日付みないと全然わかんない。マネージャーさん、それで思い出聞かせて」 

舞美が聞きたがった彼女瓜二つの先輩と舞ちゃんの誕生日 
その日の思い出を語るには数日前に遡らないといけない 

「頼む、この通りだ。どうかどうか、舞の誕生日祝ってやってくれないか」 

深々と頭を下げ、俺に頼み事をするのはお尻あいになってから疎遠だった萩原 
俺はこいつをみるとしばらくの間、尻の穴がむず痒くなる 
結構トラウマみたいで自然と尻の穴をガードしていた 
何か起こらないようにと屋上のドアの向こうにはちぃたちが待機中だ 

「…」 
「頼む、ジミーこの通りだ」 

頭下げるだけではなく、今では土下座までしている 
どうするか 

1 お前みてると胸くそ悪いと断る 
2 誠意の証として尻向けろw 
3 舞ちゃんに免じて引き受ける 



「ジミーちゃん、ありがとう」 

俺が誕生日を祝い喜ぶ舞ちゃんの姿がぱっと頭に浮かんだ 
進学も控えていることだし、丁度お祝いするにはいい機会だろう 

「わかった。舞ちゃんに免じてあのこともなかったことにしてやるよ」 
「ありがとう。ありがとう。引き受けてくれるんだな」 

感極まった萩原は俺に抱きつき、嗚咽をもらしながら感謝した 
こいつも妙な性癖なけりゃ悪い奴じゃないからな 

「舞には俺から頼んだことは内緒な。あいつにはお前から言い出したことにしてくれ」 
「あぁ、わかった。だから離れろ。お前、須藤さんに殴られるぞ」 

殴られると聞くと、萩原はさっと身を引いた 
須藤さん、こいつにまで恐怖心植え付けることしたっけかw 
まぁいい薬だな 

「ジミー君、何かされたりしなかった?」 

あの事件以来、すっかり丸くなった須藤さんは俺の心配をしてくれた 

「平気、ただ頼み事されただけ。舞ちゃんの誕生日祝ってくれってさ」 
「そう、ならよかった」 

須藤さんの心配をよそに何の事か不思議がるちぃと雅ちゃん 
二人にはあの時間は口が裂けても言えないな 
舞ちゃんのお祝いをやるのはいいが何か大事なことを忘れてる? 

1 ふとグラウンドに目を向けてみる 
2 考えてもわからないな…忘れよう 
3 あれ、梅田先輩? 



あれ、俺たちの教室の前にどこかでみかけたイラン人美女が・・・じゃなかった・・・梅田先輩だ 

「先輩、こんなところでどうしたんです?」 
「やぁ〜ジミー君。ちょっと用事があるんだよ」 

表面的にはいつもの笑顔だが、目がてんで笑ってない 
いつもの梅さんじゃない、なんて冗談も通用しそうにないし、何かしたっけ 

「さっきの話をちょいと聞いちゃったんだよ。誕生日のお祝いのこと」 
「それって舞ちゃんの誕生日のことですか?」 
「そう、あの子は梅さん調べによると舞美と誕生日が一緒なんだよ」 
「ちょwまさか、屋上に先輩もいたんですか?」 
「うちはどこにでもいるんだよw」 

ピースサインして勝ち誇ったような顔をみせる梅田先輩 
何で昼休みに中等部に先輩がいるんだ、ってツッコミは今更なしか 

「つまり舞美先輩の誕生日も何かしろと?」 
「ピンポーン。舞美にもお祝いしてあげてね。しばらく会ってないんでしょ?」 

確かに新学期になってからはほとんど顔をあわせてないな 
誕生日が舞ちゃんと一緒なのも何かの縁だ、祝ってあげよう 
だけど、2人いっぺんにやったりしたら悪いんじゃないか? 

1 先に舞ちゃんの誕生日が予定に入っていたんだからそっち優先 
2 先輩とは久々だし先輩を優先させてあげたいな 
3 ねぇ梅田先輩、こんな時どうしたらいい? 
4 2人いっぺんに祝ってあげればいいんじゃないか 



舞ちゃんは妹みたいにかわいがってるから絶対に祝ってあげたい 
舞美先輩も大事な人で祝ってあげなければいけない 
やっぱり一人を選ぶなんて無理だ、俺は欲張りだからどっちも祝ってあげたい 

「ねぇ梅田先輩、こんな時どうしたらいいかな?」 
「うぅ〜ん、そんな時だけ先輩に振るのはムチャブリなんだよ」 

さすがの梅田先輩もどこか彼方を眺め、しばらく思案にふけっていた 
そんな先輩の横顔も素敵だなぁ〜先輩の考え盗作したいなぁ〜 

「舞ちゃんと舞美の誕生日のお祝いを一緒にやっちぇばいいんじゃない?」 
「その考え素敵だなぁ〜いただきますw」 
「・・・ちょっといってみただけなんだよ・・・」 
「ありがとう〜先輩は女神様だ。素敵だぁ」 
「こちらこそありがとう・・・だけど、女の子なんだしちゃんと別々に祝ってあげる・・・って、いっちゃった」 

俺は先輩のお礼も途中で走りだし、さっそく舞美先輩のいそうな所へと向かった 

1 やっぱりグラウンドかな 
2 先輩のいる教室に乗りこむか 
3 陸上部の部室かな 



昼休みといえど、先輩は部活熱心だったし部室にいるんじゃないかって気がする 
俺もつくづく衝動的な人間だな、ホント 
部室前に行くと、中に入るまでもなく肝心の人物に出会えてしまった 

「あっ、先輩。そんな格好でどうしたんですか?」 
「ジミーじゃん。そっちこそ何してるの?」 
「先輩に会いにきたんです。話したいことがあったんで」 
「え?わ、私に?な、なな、何よ・・・」 

何故か顔を赤く染め、屈伸運動していた動きをピタッとやめて固まってしまった 
俺が先輩の顔を覗き込もうとすると、先輩はそれを素早くかわして決してみせてはくれない 

「先輩の誕生日って7日でしたよね?」 
「そ、それがどうかしたの?」 
「せっかくなんで俺にお祝いさせてもらえませんか?」 
「え、えぇぇ〜〜〜」 

俺は自分でも照れないようにとさらっといったつもりだったんだけどな 
先輩はあまりにも突然のことで驚いて、部室前を行ったり着たりと繰り返している 

「そんなに大したことはできないと思うんですけどね」 
「どうしようぉ〜すっごい嬉しいんだけど♪えぇぇぇ〜〜〜」 

さっきからえぇ〜ばっかり叫びっぱなしだよ、先輩 

「それって2人だけででかけようってことでしょ?」 

え、いやぁ〜それが・・・舞ちゃんとブッキングなんですとか言い出しにくくなったな 

1 2人どころか3人ですが、いいですよね?wあははははは 
2 舞ちゃんって友達の妹も誕生日が一緒なんで2人とも祝いたいんです 
3 まぁ勢いで言っちゃったけどいいよな、2人ででかけるって・・・ 



「ま、まぁそんなところです」 
「そっか〜誕生日楽しみにしてるね。きゃあ〜そうとわかったらガーッて走りたくなっちゃった」 

先輩は今まで見たこともないくらい顔をほころばせて、グラウンドに向かっていった 
冬の寒空の下でも汗を飛び散らせて走る舞美先輩はとても綺麗だ 
いつまでも見ていたいなぁ、先輩のその爽快に走る姿 
誕生日が楽しみになったのは俺もだぜ 

「って、ああああああ!!舞ちゃんの誕生日を祝う約束もしてたんだ・・・」 

って、勢いで言っちゃったんだけどいいよな、2人ででかけるって・・・ 
でも、萩原のことを考えると言ったことを激しく後悔してきた 
舞美先輩には2人でと言ってしまったし、今更取り消しにいくのもな 
誕生日、どうしようか・・・ 

1 仕方ない、ここは掘られるの覚悟で舞美先輩とデートだ 
2 舞ちゃんにも一応声かけておくかな 
3 そ、そうだ・・・2人と会う時間ずらせばいいじゃんかw 



俺は途方にくれながら廊下を歩き、名案が浮かばないものか考えていた 
そこへ、すれ違い様に聞こえた会話が俺に名案をもたらしてくれた 

「聞いた?英語の先生かつら疑惑があるらしいよ。何でも風でずれてしまったとかで」 
「そいつは災難だな、その先生も・・・」 

ずれる?ずらす?ずらす、これだ!! 
2人と会う時間をずらしてデートすれば同じ日にお祝いしてあげられるかもしれない 
そうだ、何で思いつかなかったんだろう 
俺はこの時間ずらす作戦を決行することにし、舞ちゃんに誕生日のデートのことで話した 

「ジミーちゃん、ありがとう。よく私の誕生日知ってたね」 
「そりゃもちろん。大事な妹の為だから」 
「そういう時は義理でも大事な女性っていうもんだよ。はい、やり直し」 
「大事な妹がいって後から?オホン、大事な女性だから」 
「はい、ジミーちゃんよくできました」 

小学生の舞ちゃん相手にこんな調子で扱われつつ、デートを誘うことには何とかこぎつけた 
俺としてもここまではうまくやっているが、いつ危険なことになるかわからない 
それだけに油断は禁物だ 

そして、2月7日となり2人の誕生日がきた 
2人には最後までバレませんように・・・ 
さて、どっちから誘ったんだっけな 

1 まずは舞ちゃんから誘う 
2 いや、舞美先輩と先に会うんだったな 



そう、舞ちゃんから誘ったんだったな 
舞ちゃんも中学生になるんだし、下手なデートコースだと怒られそうだな 
俺は当日までデートコースを2人分練るという大変な目にあった 
1人分だけでも大変なのに 

「おはよう。昨日はよく寝れた?」 
「うん、バッチリ。だってデート中に寝たら楽しめないでしょ」 

舞ちゃん、今日は普段とは違って大人っぽい装いで気合入ってるな 
俺も負けてはいられないな、ちゃんとエスコートするんだ 

「今日はどんなところへ連れていってくれるの?」 
「それはね〜 

1 舞ちゃんに好きな物買ってあげるとデパートへ 
2 まずは落ち着いたところへ ちょっと高めの喫茶店 
3 ここで1つマジックでもみせようかな 



舞ちゃんの好きな物買ってあげるからデパート行こう」 

そうそう、案を練るばかりでプレゼントなんて買えなかったしな 
本人に好きな物選んでもらった方がよさそうだしね 
その提案に舞ちゃんはちょっとムスッとした顔で返事をしてきた 

「ちょっとぉ〜それってプレゼント買ってないってことでしょ。普通は先に買っておくもんだよ」 

あちゃ〜先読みされてる・・・さすがに舞ちゃんは騙せないな 

「ご、ごめん・・・」 
「まぁ、いいよ。ジミーちゃんがデートに誘ってくれるなんて初めてだしね」 

ふぅ〜納得はしてもらえはしたが、手厳しいお嬢さんだことで・・・ 
この先もうまく行くかな 
デパートについた俺たちは、舞ちゃんが見たいといっていたアクセサリー店にきていた 
ショーケースに並んだ品はどれもこれも手が届かなそうな品物ばかりだ 

「みてみて、これなんて綺麗じゃない?」 

ネックレスを手にとり、ネックレス以上に瞳を輝かせながら、これがほしいと訴えかけてくる 
えぇ〜1万以上するじゃん・・・俺の軍資金を考えると手が出しにくい 

「ジミーちゃん、ねぇ綺麗でしょ?」 

1 あっちのお店のほうが舞ちゃん好きそうなのいっぱいあるよ、と誘導 
2 来るな、店員・・・来るなぁ〜 
3 綺麗だね〜ネックレスが・・・ははは 
4 舞ちゃん、試しにつけてごらんよ。似合うなら買ってあげる 



「俺は似合うと思うよ。だけど、こういうのって試しにつけてみないとわからないよ」 
「そうかな〜舞は気に入っちゃったし、これがほしいな」 

そうやっておねだりする時は俺に甘えた声を出してくる 
しかも俺が知ってる女の子の中でも随一を誇る色っぽさだ 
で、声とはミスマッチなあどけなさがある幼い顔 

「ここはつけてみなよ。似合ってるなら買ってあげるからさ」 
「ジミーちゃんのケチぃ。いいよ、どうせ似合うんだから」 

・・・舞ちゃんもコロコロとよく変わるよな、声も表情も 
こういうところみると何故か安心しちゃうな、お兄ちゃんもさ 
まだ子供なんだなって 

「ほら〜似合うじゃん。ね、言ったとおりだったでしょ?」 
「うぅ・・・似合うよ。とっても」 

素直に認めざるをえないな、似合ってることを 
会計を済ませる時に表示された額に泣きそうになったが俺はネックレスを買ってあげた 
すごく嬉しそうな舞ちゃんを連れ、次はどこにしようか 

1 ちょっと早いけど食事にでも 
2 デパート内をもうちょいうろつくか 
3 え、今度は服? 



時間的にまだ余裕はあるけど、予算的都合も考えて食事にいっておこう 

「ちょっと早いけど、食事にいこうか」 
「うん、行こう行こう」 

舞ちゃんは俺の腕に自分の腕を絡ませ、俺を上目遣いに見上げてきた 

「こうして歩いてるとジミーちゃんと私でも恋人にみえるかな?」 
「みえるんじゃないか。だって、こんなにくっついて歩いてる兄妹はないだろうから」 
「そうじゃなくて、雰囲気だよ。雰・囲・気」 

どうなんだろうな、そこらへんは 
客観的な意見はいえないし、俺はぶっちゃけ恋人っていうには早い気もする 

1 もっとイチャイチャすれば見えるかもよw 
2 まだ早いよ、俺たちには。強いていうなら仲のよすぎる兄妹とか? 
3 肩を抱き寄せて、「こうすれば見えるんじゃないかな」 



舞ちゃんが望むなら、俺はそれに出来るだけ応えてあげる義務がある 
恋人同士でいたい、そう見られたいっていうならそうしなきゃなんだ 
だから、俺は舞ちゃんの肩を抱き寄せた 

「きゃ」 
「こうすれば誰がみてもそう見えるんじゃないかな」 
「じ、ジミーちゃん・・・恥ずかしいよ・・・」 

口では大人っぽく振舞っても、こういうのには慣れていない 
さっきまで俺を見上げてくれていたのに今では床ばかり眺めている 

「タイルは何枚あった?」 
「そ、そ、そんなの数えてるわけないじゃん。こんなにくっつくからさ」 
「舞ちゃんはこういうのは嫌い?」 
「嫌いじゃないけどぉ〜何て言うか恥ずかしいんだよね、まだ」 

照れがあるとはいいつつ、体はしっかりと俺に預けてくる 
その辺り、舞ちゃんにはツンデレというか天の邪鬼な要素あるかもな 
俺はちぃをクリスマスに連れてきたお店に舞ちゃんも案内することにした 
ここは値段は張るが、致し方あるまい 
で、何を特別注文したのだっけな 

1 ケーキと蝋燭の定番を あ、名前入りだったな 
2 ピアノを弾いてもらうんだった 
3 店員さん、え?全員でハッピーバースデー歌うの? 



財布を苦しめるとは知りつつも、俺は店員さんのとあるサービスが気に入ってここを選んだ 
そのサービスというのがこれ、ハッピーバースデーの合唱だ 
俺と舞ちゃんが席につき、メニューに目を通し出した 
舞ちゃんの目の前でやり取りするとバレる可能性あるし、ここは内密に行いたい 
俺はトイレに立つふりをして、店員さんに声をかけた 

「例のアレ、食後にお願いします。あと追加でケーキお願いします」 
「かりこまりました」 

俺がトイレから戻ると、ちょっとそわそわした舞ちゃんがみられて面白かった 
こういうところってさすがの萩原家でも連れてこないだろうし 

「大人な雰囲気のお店でいいかなって主って選んだんだ。どう?」 
「うん、バッチリ。私ね、こういうところってすっごい楽しみにしてたの」 

緊張して落ち着かないのでそわそわ、というよりも好奇心剥き出しで落ち着かなかったのねw 
何だか、大物の風格あるな・・・俺は何回きても緊張するっていうのに 
とまぁこんな調子で食事は進み、俺と舞ちゃんは食後のデザートまで綺麗に平らげた 
そこで、俺は店員さんを呼びつけ、「例のアレを」と注文した 

「例のアレって?」 
「まぁみてなさい」 

フロアを担当する店員さんがこのときばかりは自分の仕事をやめ、俺達のテーブルに集まってきた 
その光景は初めて見る人には異様に映ったかもしれない 
舞ちゃんも同じだったようで、何で自分が囲まれているのかわからないといった様子だった 
って、あれれ〜店員さん全員きちゃったよ、おいww 

「舞ちゃん誕生日おめでとう!!」 
「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディア舞さん 
 ハッピーバースデートゥーユー」 

俺のおめでとうを合図に店員さん達が歌い出し、舞ちゃんの誕生日を祝福してくれる 
歌い終えるとテーブルに1つのケーキが運ばれてきた 
そこにはHAPPYBIRTHDAY DEAR MAIと書かれいた 
それをみて、舞ちゃんは目をうるっと滲ませたものの微笑みを浮かべた 

「ありがとう、ジミーちゃん・・・本当にありがとう」 
「どういたしまして」 

舞ちゃんに感謝され、最高の誕生日プレゼントをあげられたっぽいな 
よかった、こんなにも感謝してくれるなら俺もやり甲斐があるってもんだ 
で、お次は先輩との約束だったな 

「ジミーちゃん、今日はもうここでお別れなの?」 
「えぇとごめん。この後の予定があってね、そっちも大事な用なんだ」 
「舞はもっと一緒にいたいよ」 

1 舞美先輩との約束を優先しなきゃ 
2 ちょっとだけならいいかな・・・ 
3 キスしてくれたらいいよw 



舞美先輩との約束を守るべきだ 
梅田先輩にも舞美先輩を祝ってあげるっていってしまったしな 

「ごめん、今日はここまでだ。またデートしよう。その時はもっとゆっくりしてさ」 
「絶対だからね、ジミーちゃん・・・」 

店員さんがバースデーソングを歌うときも泣かなかった子がポロッと零した涙 
それはとても俺の心に染みついて消えてはくれなかった 
浮かない顔をして舞美先輩に会うのも嫌だな、顔を洗っておこう 

「お待たせしました、先輩」 
「おっそいぞ、ジミー。私はもっと前からついてたんだからね」 

先に待ち合わせ場所についていた先輩はちょっと怒り気味 
それも仕方ないよな、泣き顔みられたくないあまりに顔洗いまくってたからな 

「今日はそれでどこに連れていってくれるの?」 

期待に満ちた先輩の顔をみていたら、期待を裏切ることだけはしたくない 

1 天体望遠鏡のある屋内博物館 
2 先輩の好きなスポーツ観戦 
3 ご希望があれば 



数日前だったのにもかかわらず、運良く取れたチケットを出し手渡した 

「どうぞ、これがデート先です」 
「これってチケットじゃない。あ〜すっごいみたいやつだ」 
「そう言うと思ってましたよ。さぁ、開場時間近いしもう行きましょう」 

俺は先輩の前に手を出し、先輩もぎゅっと握り返してきた 
1歩後を歩く形で先輩は俺についてくる 
奥手な先輩らしく、人前でデート姿みられるのは恥ずかしいのかもな 
時折、気遣って振り向くと目があい、お互いにニヤけてしまう 

「もぉ〜笑うな。怒るよ」 
「さっきから怒りっぱなしじゃないですか」 
「原因はあんたでしょ。遅れてくるしさ、私忘れられたのかと思っちゃったじゃん」 
「謝ったじゃないですか。もう機嫌直してくださいよぉ〜ね」 

むくれた顔の先輩も可愛いなぁと思ってしまい、放置して様子がみたくもなった 
そんな俺たちの前に今日の試合の会場がみえてきた 
今日観戦するのはアメフトだ 
屈強な男たちが体と体でぶつかりあう勇ましいスポーツの代名詞 
さぁ楽しもう、今日はいっぱい叫んで応援してやるんだ 

1 アメフトって何?という先輩に一夜漬けの知識で教える 
2 楽しめればいいんだ、それは先輩も同じはず 
3 会場は寒そうだな、先輩にあったかい飲み物とか用意するか 



スポーツはたまには理屈を抜きにめいっぱい楽しむものだ 
だから俺が一夜漬けで覚えたことなんか捨てて、隣で熱狂している先輩と叫ぼう 

「いけぇ〜!!」 

先輩はまるで自分も参加してるみたいに汗だくになって応援している 
かなり熱がこもっている証拠だが無理もない 
会場全体が冬の気温に負けない熱さで覆われている 

「ほら、ジミーも応援しなきゃ。ちなみにどっちのチーム応援してるの?」 
「俺は黒と白のゼブラカラーのチームです」 
「私の真似するなぁ。じゃあ私は相手チーム応援しようっと」 
「一緒に応援すればいいじゃないですか」 
「だって、2人で同じチーム応援したら相手チームが可哀想じゃん。だから、さ」 

やっぱり理屈は抜きなんだな、先輩って 
そこがまた先輩のいいところだよ、俺も見習わなければ 

「賭けしませんか?」 
「何を?」 
「そうだな・・・俺が勝ったら 

1 先輩からキスしてください 
2 この後のコース何も言わずについてきて 
3 先輩の望み1つ叶えてあげます 



先輩の望み1つ叶えてあげますよ」 
「それがごほうびでいいの?だって、私が勝ってもジミーが勝っても一緒だよ?」 
「いいんです。今日はどっちにしろ先輩の誕生日なんですから」 
「やっぱりそれだと納得いかないし、ジミーが勝ったら私からごほうびあげる」 

先輩も頑固だし、ここはそういうことで手を打っておくかな 
先輩からごほうびくれるって数少ないチャンスなわけだし 
試合は先輩が応援すると切り替えてから、一気に形成が逆転した 
何とそれまで負けムード1色だったチームが息を吹き返し、得点を決めてきた 
参った、先輩の力ってすげぇな 

「はい、試合はおしまい。で、賭けに勝ったのは私。ジミーにごほうびあげるからね」 
「先輩、本当にいいんですか?」 
「いいの。私があげたいっていってるんだから、素直に言うこと聞くこと」 

試合が終了し、俺たちは会場を後にした 
ごほうびは後であげるってことだったし、次の目的地にいくとしよう 

1 先輩、お腹減ってませんか?と再び食事 
2 その前にプレゼントを買いたい 
3 早く早くとご褒美をせがむ 



俺は数時間前に食事をしたばかりであったが、予約をしてしまったしお店にいくとしよう 

「先輩、あれだけ熱気のこもった応援してたんだからお腹減ってませんか?」 
「うん、もうペコペコ。すんごい減っちゃった」 

先輩は食事にいこうって言葉が出るのを待ってました、とばかりに笑顔が満開になる 
本当に食べるの好きなんだな 
美味しそうに食べてる先輩の可愛いし、それだけでお腹いっぱいになりそうだ 
さっきとは違うお店を予約していた俺は、舞ちゃんの時みたく特別な注文をしていた 
さて、それは・・・ 

1 舞美先輩泣かせの巨大ケーキ 
2 舞美先輩の席に俺からのバースデーカード・・・そして、それを開くと 
3 やっぱり歌だよ、歌 



俺が先輩に会うときに遅刻した理由、それは単に顔を洗っていたからではない 
実はちょっとした仕掛けを席に施しておいたのだ 
席に通され、俺たちは腰掛けるも、カードに気づいてくれない舞美先輩 
思ったとおりの鈍感さだな・・・俺から言わないと一生気づいてくれなさそう 

「先輩、先輩。テーブルにカードあるでしょ。それ開いてみて」 
「カード?あ、あったあった。これね」 

カードには舞ちゃんと同じくハッピーバースデーと名前が書かれているだけだ 
しかし、カードを開くと舞ちゃんのものとは違うが、ネックレスが入っているのだ 
実はでもないが、買うときにもう1つおまけにと舞美先輩のものも買っておいた 

「カードをもちあげてみると、何か音がしませんか?」 
「え?なんだろう・・・ジャラジャラいってるきがする・・・あ!!」 

テーブルの上に落下したネックレスをみて、先輩の口から驚きの声があがる 

「似合うかわからなかったけど、先輩にと思って買っておきました」 
「ありがとう、こんな高そうなのもらっていいのかな」 
「いいんですって、そこまで値が張るものじゃないですし」 
「値段なんて関係なく嬉しいよ」 

だんだん舞美先輩の目に浮かんだ涙が大きくなっていき、零れ落ちていった 
そこまで泣かれると俺も送った甲斐があるってもんだ 
嬉しいな、こんなに感謝されると 
料理が次々と運ばれ、デザートまで食べ尽くすともう満足そうだ 

「で、いよいよ私のごほうびの時間ってわけか。ついてきて」 

1 先輩についてくのが無難か 
2 まだやりたいプランはあったのだが 
3 とりあえずごほうびだけ頂くか 



まだやりたいプランはあったのだけど、スタスタ歩く先輩を追いかけていく 
先輩も何か考えがあるようで、目的地目指して迷わずに進んでいく 

「早いですよぉ〜先輩。待ってください」 
「こらこら、そんなんじゃ高校生にはなれないぞ」 
「体力は関係ないですって。テストに受かれば誰でも高校生なんですから」 
「で、そのあんたはテスト勉強してる?」 

いえ、全くと首を横に振って応えた 
こんな時期でもほとんど手付かずなものが多く、俺は進学があやふやなラインに立っている 
そんな俺の状況を見透かしたか、先輩は神頼みにと神社にやってきた 

「ちょっと待ってて」 

数分後、手に小さなお守りを持って戻ってきた 

「はい、これ。合格祈願のお守り。ジミーがちゃんと受かりますようにって」 
「これがごほうびですか?」 
「そうだよ。何か変なこと期待してたでしょ?w残念でしたぁ」 

してやったりって顔の舞美先輩はいつもやられっぱなしだから嬉しそうだ 
ちょっとエッチなこと期待してないっていったら嘘になるしね 
こんなところで先輩にいっぱい食わされることになるとは・・・ 

「ちゃんとうちの高校に入学して、後輩になるんだぞ。いい?」 
「わかりました。なれるよう頑張ります」 
「よろしい。じゃあこれでここはおしまい」 
「待って下さいよ。絵馬にお願いごと書かせてください」 

絵馬って言葉が出た途端、先輩が目を見開いて驚いた顔を向けてきた 
えぇ〜とそんなにいけない言葉いっちゃいましたか? 

「だめぇ〜今日はこれで神社はおしまいなの。いくよ、ほら」 
「そんなこといっても気になるじゃないですか。来たんだし書きましょう」 
「だめったらだめ。みちゃいけないものあるからさ、はは」 

みてはいけないもの? たぶん絵馬の内容に何かあるに違いない 
何だかすごぉ〜く気になりますな 
先輩がちっとも教えてくれない絵馬に書かれたことがみたいな 

1 あっ有原さん、といつもの手を使って出し抜く 
2 おみくじやっていきませんか?と誘って目的の場所に近づく 
3 人のプライベートなことだしみないほうがいいよな、ニヒヒ 



先輩は俺の背中を押して神社から少しでも遠ざけようとしてくる 
チラッとでも後ろを振り向こうものなら、先輩から奇声が浴びせられる 

「だめだめ。後ろも振り向いたらだめ」 
「そんな反応されたらいやがおうにも気になりますから。何があるんですか?」 
「乙女にそういうことは聞くなぁ」 
「いやいや、エッチな質問じゃないですから。先輩、いい加減しゃべって楽になりましょうよ」 
「絶対にイヤ!!いいからいくよ」 

仕方ない、ここは使い古した手ではあったがこれでいくか 

「あっ、あんなところに有原さん」 
「え?どこどこ?」 

先輩がキョロキョロと辺りを確認している間に、俺は全速力で走った 
逃げられる確証はなかったが、絵馬のある場所まで休む間もなく走った 

先輩の後ろから叫ぶ声が聞こえてはきたが、そんなの関係ねぇ 
俺はみたいんじゃ、何が何でも 

「ジミー、まちなさい!!そっちは行っちゃだめぇ」 
「今日くらい見逃してくださいよ。俺は何書いたのか気になるんです」 
「だめだめだめ」 

駄目だと叫ぶ先輩の声が少しずつ大きくなり、振り向いてみるとさっきよりも距離がなくなっていた 
本当に足の速さが並じゃないな、この人は 

「みえた!!あそこだ」 
「きゃああああああ!!」 

俺は絵馬が吊り下げられている木までつくと、先輩が到着するまでの間探してみた 
時間がかかるかと思われたが、達筆な字を発見してすぐに確信した 
どれどれ、先輩は何て書いたのかな? 

「いやああああ!!」 

先輩はあっという間に追いつき、絵馬をみようとしていた俺を突き飛ばした 

「みちゃ駄目だっていったじゃん。みちゃった?」 
「先輩が突き飛ばすから見るも何もないですよ。みてませんったら」 
「なら、よかった・・・ここまで全速で走っちゃったじゃん」 
「それでも息を切ってないのはさすが陸上部ですね」 

「こんな時に誉められてもぜんぜん嬉しくない」 
「まぁそう怒らないで。みてないんだから」 
「でも、見ようとしたでしょ〜」 

俺と舞美先輩はかくして神社を後にした 
舞美先輩にはああ言ったが、実は俺はしっかりと確認していた 
絵馬には『ジミーが一個飛ばして同じクラスにならないかなぁ』と書かれていた 
それを俺は微笑ましく思い、1人こっそりとニヤけていた 
先輩にもらったお守りを握り締め、受験は絶対に合格すると固く誓った 

「ジミー、勉強わかんなかったら先輩が教えてあげるからね」 
「舞美先輩、大丈夫なんですか?かなりの天然じゃないですか」 
「何いってるの、これでも学校の成績はいいの。人は見かけによらないってこと」 
「じゃあ、見た目馬鹿っぽいって自分で思ってるんですか?w」 
「なわけないでしょ〜見た目と中身が一緒なのはあんたくらいですぅ〜」 

4月、先輩と同じ校舎でこんなやり取りができたらいいな、そう思った