「急すぎだよ。何でもっと早めに連絡してくれないかな?」 
「ええやないの。母さん、あんたを驚かせようと思って」 

うちの母親が何年ぶりかに上京すると突然言い出した 
それも前日にいうのだから、何の準備もしていない 
何でも親戚の結婚式らしい 

「あんた、東京にいってから随分たつけど彼女は出来た?wそれともまだ付き合ってるの?」 

要は未来の花嫁候補をみたいというわけか 
やれやれ、気が早い親だこと 

1 本妻の雅ちゃんを紹介 
2 やっぱり母さんこと茉麻を紹介 
3 中学時代のちぃを期待してるみたいだし千奈美 

4 一応結婚できるトシってことでキャプテン 



自分の母親相手に嘘はつきたくないし、本命の雅ちゃんを紹介しないとな 

「うん、彼女いるよ。どうせ紹介しろってうるさいんだし、彼女にも言っておくよ」 
「急なんだから別にいいのよ。母さんと会うなんて言ったら相手に悪いし」 

悪いし、と遠慮がちな言葉を述べはするものの、口調は会いたくて仕方ないと語っている 
さて、雅ちゃんにはどうやって切り出そうか… 
レッスン室を覗きこみ、ダンスする雅ちゃんの姿を追うも、気軽に言い出せることではないし迷っていると 

「何してるんですか?」 
「うわっっっ〜」 

背後からかけられた声に驚き振り返ると、物語には久方ぶりに登場する〇〇さんの姿が 

「レッスンが気になるなら入って見学すればいいじゃないですか」 
「いやいや、俺は別に気になってなんかないですから。平気ですから」 
「そうですか。さっきから雅ちゃんばかり見てるようでしたが」 

しっかり俺の様子みてたのね… 
雅ちゃんに声をかけたいのは山々だけど、明日うちの母親に会ってくれと言い出しにくいしな 

1 騙すのは悪いがデートと偽って会うことに 
2 母親とは偶然を装ってたまたま会ったことにしよう 
3 雅ちゃんに会わせたい人がいると正直にいくか 



俺が緊張してどうするんだ、雅ちゃんが緊張するならいざ知らず 
腹をくくってきちんと紹介しよう 
レッスンが終わるのを待って俺はレッスン室に入って、雅ちゃん一直線に進んだ 

「ちょっと何よ…そんな怖い顔しちゃってさ。文句でもある?」 

珍しく真面目な顔してみりゃこれか、よっぽど俺は不真面目な印象しかないようだ 
まぁ生まれついてのちゃらんぽらんだけど、今だけは真面目で通さないと 

「雅ちゃん、会わせたい人がいる。明日、急で悪いけど会ってほしい」 
「会わせたい人?」 
「ここまできたらわかるだろ。俺に最後まで言わせなくても」 
「?」 

本気でわからないというように首を傾げ、真面目に何言ってるんだと雅ちゃん 
それに引き換え、耳ざとく?反応したのは私はわかったという表情の茉麻 

「みや、あんた鈍すぎ。マネージャーは自分の親に会わせたいって言ってるの。ねぇ」 

ねぇ、って同意を求める表情がどこか険しい茉麻 
たぶん自分じゃないのが嫌なんだろうな 
本当なら皆が嫁候補といいたいが、それは無理だろう 

「えっ…普通はけ、結婚する前とかにするんじゃないの?」 

テンパってどうしたらいいのかわからないとばかりに顔を紅くさせている 

結婚の言葉に雅ちゃんも女の子らしい反応みせてくれるとは 
こちらも言った甲斐があるというものだ、たまにはこういう雅ちゃんみたいしね 

「あんた、本気で言ってるの?」 
「そりゃ… 

1 嘘だよ〜んwといってからかった後、抱き締め本気だ 
2 お前がEカップってプロフに書くのと同じくらいの嘘だよ 
3 明日全てがわかるから、今は俺を信じて 



空気読めない俺にもこの場の異様さははっきりとわかった 
俺と雅ちゃんを取り巻くメンバーは般若と化しており、下手なことはいえない 
言おうものなら、色んなものが音をたてて崩壊しそうな気がする 

「そりゃ・・・嘘だよ〜んw」 

一呼吸おいて、さっきまでとは違う赤みが雅ちゃんの頬をさし・・・ 

「やっぱりね。あんたが真剣な顔してる時っていっつもそうだから」 
「グホッ」 

顔に来るかと思われたパンチは、まさかの鳩尾にクリーンヒット!! 
床を這いずる俺に軽蔑の目を向け、うちの本妻はレッスン室を後にした 
馬鹿野郎、せっかく後で本当のこと言うつもりだったのに 
俺は何とか立ち上がると、メンバーがシャワーを浴びに退室した隙にロッカールームに忍び込んだ 

「何よ、今日だけは本当のこといってると思って信じてたのに・・・」 

ロッカーに向かって、人知れず本音を呟く雅ちゃんの後姿は何とも切なかった 
そんな場面をみていたら、本気で抱きしめたくなった 

「きゃ・・・って、そんなことしたからってさっきのは許さないんだからね。だから離しなさいよ」 
「馬鹿だなぁ〜あれは皆でいたから言ったんだ。明日会わせたい人がいるのは本当だよ」 
「そうやってまた騙す気なんだ。私が何でも許すと思って・・・」 

うな垂れて今にもなきそうな弱々しい雅ちゃんは、最近俺が構ってあげてないせいなのかな 

1 騙すつもりなんてないから安心してよ 
2 あれれ、胸がまた大きくなっちゃった?w俺が揉んでるおかげだねって空気じゃねぇよな 
3 幸せになる嘘だったら騙されてもいいだろ?な 



「騙すつもりなんてないから安心してよ」 
「・・・」 

俺は後ろから抱きしめていた雅ちゃんを自分に向かいあわせ、真剣な眼差しをみせた 
言葉ではもう効力すらないのだし、それならば意思だけでも伝えたい 
そう思っての行動だった 

「本気ぃ?」 
「本気だよ。明日、うちの親が来るのは本当。で、彼女に会いたいってうるさかったからさ」 

いつもの強気な雅ちゃんも最近の放置で内面が曝け出されていた 
ホントの自分は誰よりも繊細な子だからな 

「いつもみたいに俺に言いたいこと言っていいんだぞ。馬鹿野郎とか」 
「散々いって言い飽きちゃった。それよりももっと言いたいことあるから」 

言いたいことって何だよ、気になるじゃないか 
雅ちゃんは俺の胸に顔をうずめるとしばらくの間、そのままじっとしていた 
そして、顔をあげてにっこりと微笑んだ 

「涙はもうおしまい。せっかく会うんだから笑顔で会わないとね」 
「うん、明日はよろしく」 

さて、雅ちゃんは今夜どうしよう 

1 今日は泊まってもらってすぐ会えるようにしよう 
2 泊めると緊張させてしまうだろうし、今日は帰そう 
3 エロ本とかAVの片付けしたいし、うまく泊まりはなしの方向で 



「今日はうちに泊まっていかない?そうすれば、すぐに親を迎えにいけるしさ」 
「どうしようかな・・・いいよ、泊まる」 

レッスン後で汗臭い雅ちゃんを助手席に乗せ、俺はネオン輝く夜の街を走りだした 
窓ガラスにおでこをつけて、過ぎ行く町並みを眺める雅ちゃん 
何だか急に大人びてきたよな、本当にさ 
汗もまた香ばしい〜とか言ったら、いい雰囲気が台無しになっちまうな 

「どうした?そんな顔して」 
「マネのお母さんにどんな顔して会えばいいのかなって思って。私って、やっぱりまだ子供だしさ」 
「そんなことないよ。中学3年だなんてとてもじゃないが、見えないから安心して」 
「そういうことじゃなくて。年考えてみたの。マネが23で、私が15・・・」 

俺が最近23になり、雅ちゃんは今度の8月で16だ 
結婚期待しているうちの親は、雅ちゃんがいくら大人っぽいとはいえどんな反応示すだろう 
しかもここのところ、未成年への犯罪も増えていることだし 

「年齢なんて、そんなの関係ねぇ。そんなの関係ねぇ」 
「関係あるよ・・・だって、お母さんは結婚相手を見たいんでしょ?」 

空気も読まずに俺はふざけてそんなの関係ねぇと言ってみたが、効果なし 
むしろ、よりきまづい空気にした? 

1 うぅ〜ん、俺の東京での生活ぶりが気になる延長だからあんまりだよ 
2 気になるだろうなぁ〜だからって雅ちゃん以外を紹介するなんて考えられないから 
3 会う前から結婚なんて気にするな、会えばわかるよ 



取り繕った話なんか聞かされるよりは正直に話してあげるほうがいいか 
雅ちゃんだってませてるから、妙に親が年齢気にするとか知ってるしな 

「結婚相手見たいとは言わなくても、気になってると思う。だからって俺は雅ちゃん以外を紹介するなんて考えられないから」 

俺が言った言葉を聴き、しばらく彼女はぽかんと口をあけて俺をみつめていた 
言葉がようやく自分で理解できるまでいくと、彼女は再び窓ガラスにおでこをつけてそっぽ向いてしまった 

「べ、別に私じゃなくてもよかったんじゃないの。茉麻だって梨沙子でも」 
「こういう時くらい素直にありがとうって言ってもいいんじゃねぇの」 

小声でぼそっと俺の素直な気持ちを洩らしてみた 

「ありがと・・・」 

ややあって、微かに聞こえる程度の大きさでそう聞こえた 
もしかしたら、俺の空耳かもしれない 
だから、こんなのカウントに入れてなんかやらない 

「こういう時くらいさぁ〜素直になってもぉ〜いいんじゃないかな〜俺は正直にいったぞ」 

わざと車内に響き渡るよう大きい声で同じことを繰り返してみた 
いつもの雅ちゃんならきっと反発する台詞を言ってくるはず 
だけど、最近大人っぽく見た目も中身も変わった彼女なら何て言うだろう 

「ありがとうって言ったの。聞こえてたくせに」 
「聞こえなかった。耳には入っても心までは聞こえてこなかった。でも、今聞こえたから」 
「馬鹿」 

馬鹿、今日ほど愛のある馬鹿って言葉は聞いたことがなかった 
こんな馬鹿なら何度だって聞いていたい 
そう俺が思っていると、我が家はすぐそばまで来ていたことに気づく 
家も近いし、夕飯はどうしようか? 

1 スーパーで買い物して雅ちゃんに作ってもらおう 
2 ありあわせでも作れるのか、雅ちゃんの腕前をチェックって俺が姑みたいだw 
3 いい気分だし、美味しいもの食べにつれていこう 



うちに幸いまだ野菜や肉、程よくありあわで作れるだけの材料はあるから、俺が姑となって雅ちゃんの料理の腕前をチェックしようじゃないか 

「うちにまだ食料ならあるし、悪いけどありあわせで作ってくれないかな」 
「いいよ、それくらいお安い御用だから」 

やけに自信満々に答えるんだな、雅ちゃん 
確かに料理の腕前があるのは認めるが、それでも無理だろう 
無理だ、そう高をくくる俺の目こそ節穴だったと後々気づかされることになる 
雅ちゃんは冷蔵庫を開けるや、逆にやる気を起こして調理にかかった 

「自炊はちゃんとしてる?こんなんでよく生活してたね」 
「生きる分には困らないよ。栄養つけようと思ったら難しいけど」 

冷蔵庫には買っても手をつけていない食材がわんさかある 
ここんとこ、夜に帰るとビール飲んでそのままベッドにおやすみって生活だったからな 

「じゃあ、ちょっとの間はお腹減っても我慢ね。さ、始めますか」 

エプロン姿の雅ちゃんもまたそそるよな 
あんな美人がうちの安っぽいキッチンに立つ自体、奇跡的なのに嫁候補なんだもんな 
毎日見てても飽きないかも 

「もぉ〜そんないやらしい目でみるな。そんな目でみられたんじゃ集中できないでしょ」 
「そういってもな〜みてて楽しいんだもん。雅ちゃんの料理してるとこ」 
「はいはい、だったら何か手伝ってよね」 

たまには料理の手伝いでもしてあげようかな、俺もいつも食べる係りじゃ悪いし 

1 包丁もった雅ちゃんの背後から俺まな板洗う係〜と胸を揉む 
2 とれたて新鮮のこの大根磨くか、と生足を舐める 
3 つぐなが産の桃には負けるがいい桃だ、と尻を揉む 
4 普通に手伝いしようよ、ね 



普通に手伝いをしてみようかな、たまには・・・ね 

「俺、そこのじゃがいも剥くのでいい?」 
「芽はちゃんと取ってね。あぁ〜違う違う。こう」 

とても中学生とは思えない包丁さばきで俺から取り上げたじゃがいもを綺麗に剥いていく 
本当に御見それしました、雅ちゃん 
これなら自信もって未来の嫁候補です、とかって紹介できるかもな 

「今度は何?ニヤけちゃったりしてさ。はい、自分でやるっていったんだから自分でやる」 
「はぁ〜い」 

将来、俺が雅ちゃんの隣でこうやっていられたら幸せだな 
以前には子供は男か、女かとかで言い合ったりしたし 

「はい、出来ました」 
「おぉ〜すげぇ〜」 
「すげぇ〜ってただのカレーだよ。あんた、どんだけ1人じゃ何もできないの」 

溜息交じりに1人暮らし歴早5年の社会人に視線を送る中学3年生と、とてもおかしな構図だ 

「普通は逆でしょ。あと、簡単だけどサラダもつけておいたからちゃんと食べなよね」 
「雅ちゃん、大好き」 
「はいはい、わかったからさっさと食べて」 

こうして、俺はまたも雅ちゃんの料理を堪能した 
美味しくて舌がとろけそうだったな、今回も 
食べ終わると後片付けだが、これくらいは俺がしてもいいかな 

1 俺が片付けするから風呂いってきなよ 
2 雅ちゃ〜ん、後片付けお願い 
3 食欲満たされて、今度は性欲満たすかな 



何でも雅ちゃんまかせはよくないし、後片付けくらい俺がやってもいいか 

「雅ちゃんはお風呂でのんびりして、汗を洗い落としてきなよ。ここは俺がやるからさ」 
「あんたが?まかせていいんだね?」 
「おう、俺だって皿くらいは洗えるよ。人並みに」 

雅ちゃんは納得いかなそうな顔だったが、何とかお風呂にいってくれた 
皿なんかちゃっちゃと洗って、俺もお風呂を一緒に入りたいな〜 
今頃、どこを洗ってるかな〜やっぱり腕からかな〜それとも頭? 

「あんたは何て顔してるのよ」 
「うわああああああ!!!」 

おい、もう出ちゃったの? 
俺はまだお風呂に入る準備すらしていないのに、それどころか皿すら洗い終わってないよ 

「どんだけ皿荒いに時間かかるんだか」 

妄想していたのがいけなかったのか? 
俺が自分の幸せな未来を夢見ちゃいけないのかよぉ〜 

「じゃあ今日は疲れたからもう寝るね。明日も早いんだし、早く寝なよ」 

完全に追いてけぼりじゃないかよぉ〜 
くそぉ〜不完全燃焼だ 

1 汚いし、お風呂入っておこう 
2 そんなの関係ねぇ、とりあえずベッドに侵入 
3 明日自分の親も来るんだし、エッチどころじゃないか 



不完全燃焼な俺をよそにすやすやと寝息をたてる雅ちゃんは、とても気持ちよさそう 
明日親がこようが、槍が降ろうが、そんなの関係ねぇそんなの関係ねぇ 
やるなら、とりあえず綺麗にしてからでないと失礼にあたるからしてまずはお風呂だ 
雅ちゃんの入った形跡がたっぷりとあるお風呂に浸かった 

「極楽、極楽。雅ちゃんのお毛毛を大量に発見と。これ、どうみてもアソコの毛だよな」 

お風呂って楽しいなぁ、こうして入るのも 
蒐集が趣味な俺としては雅ちゃんグッズが仕入れられて一石二鳥だ 
浴槽からあがると、体の隅々まで綺麗に洗ってさっぱりした 

「うぅ〜ん、我ながら最高だわ。ふぅ〜あとはベッドにいくだけ♪」 

ベッドに近寄り、毛布をめくると可愛い寝顔をした雅ちゃんを発見 
何やら寝言をいってるらしく、俺は耳を近寄せた 

「マネ、だぁい好き」 

耳にかかる息と不意をつかれた告白に思わずドキッと心臓が高鳴った 
どうしよう、さっきまでエッチする気だったのにエッチどころじゃなくなりそう 
あどけない表情を無防備に曝け出してくれる彼女を無理やり襲っていいはずがない 
とはいえ、俺もお返しをあげなくては 

「雅ちゃん、俺も大好きだよ」 
「知ってるよ。それくらい」 

お、起きていたのかよ・・・じゃあ、さっきの告白も狙ってたのか? 

1 雅ちゃんに覆いかぶさって、キス 
2 雅ちゃんからの攻めを期待して、待ち伏せ 
3 可愛すぎて何の反応もできない 



俺は毛布をめくり、雅ちゃんの温もりで温かいベッドに入ると覆い被さった 
彼女は今日は妙に大人しく、しゅんとしている 
頬を赤く染める彼女の初々しい面をみると、まだそんな面があったのだと俺はつい嬉しくなった 

「今日は一段と可愛いよ。雅」 

俺はそれだけ告げると、震える彼女の唇を奪った 
彼女もそれを自然と受け入れ、俺の首に腕をまわしてきた 
それを合図に俺たちは舌と舌とを絡めあい、濃厚なキスになっていった 

「俺、雅ちゃん紹介するって決めてよかったと思うよ。こんなに可愛い嫁候補ならうちの親も大喜びだ」 
「嫁候補?そこは候補外して」 

ったく、候補を外して嫁と言えってか 
何ちゅう要求してくるんだよ、うちの本妻は 

「今日、ベッドでも可愛かったら考えておくよ」 
「絶対だよ?」 
「うん、絶対だ」 

こうして、俺と雅ちゃんの熱い一夜は更けていった・・・ 



うちの親との待ち合わせ時間となり、俺と雅ちゃんは駅のホームで今か今かと待ちわびていた 

「早く来るといいね」 
「うちの母親って時間どおりに来た試しないからな・・・」 

俺の不安が的中したか、なかなかホームに現れない 
俺は落ち着きなく腕時計の時間を見て、予定時刻と照らし合わせる 
きていないとおかしいな・・・ 

「時間過ぎちゃったね。マネのお母さんに何かあったのかな?心配だな」 

雅ちゃんは雅ちゃんで遅れている原因が本人にあると知らず、すんごく心配そうに線路の先を眺めている 
本当にうちの母親ったら、何をもたもたしているんだか・・・ 

「あれ?何さ〜今来たんかい?」 

背後から聞き覚えのある声と懐かしい故郷の香りを漂わせた中年女性が近づいてくる 
間違えようもなく、うちの母親だ 

「全く、ついたなら携帯電話に連絡の1つくらいくれてもいいでしょう」 
「新幹線は使用禁止だろ、基本的に。それに遅れてくるとは予想通りすぎだ」 
「早くついて、駅の中見学してたのよ。母さん、東京なんて何十年ぶりだから」 

ここでようやく俺の隣に立つ人物に目がいったらしいわが母親 

「あれ、この人が彼女かい?」 

1 あぁ、未来の嫁だ 
2 顔ちょっと長いだろ、これでも中3なんだぜw 
3 いや、マネージャーやってるんだよ 



「あぁ、未来の嫁さんだ」 
「へぇ〜綺麗な子だね。あんたには勿体ないよ」 

綺麗と言われ、雅ちゃんは顔を照れて伏せてしまった 
母親にしたって去年の紅白みてたら気付いてもよさそうなのだが 

「雅ちゃん、これがうちの母親。それで母さん、こちら夏焼雅さんだ」 
「は、はじめまして。なちゅやき雅です」 

なちゅやきとは随分と緊張してるんだな 
笑ってやりたい気分を押さえつけ、俺は耳元でドンマイと勇気づけた 

「んじゃま〜東京を案内してやるから。荷物を持ってさぁいくよ」 
「楽しみだよ、母さんは」 

東京見学につれまわし、俺は親孝行だけは無事に果たせたかなと思った 
あんなに我を忘れて夢中になるとはうちの母親もまだ若いな 
俺たちは再び家へと戻ってきた 
とびきりうまい夕飯作るから、とすぐに意気投合した雅ちゃんとうちの母親 
彼女たちのキッチンでの賑やかな調理姿を微笑ましく思い、早く雅ちゃんの誕生日が来ないか待ち遠しくなった