「ジミーっち、ハンカチ持った?お金ちゃんと足りる?」 
「大丈夫だって、ほら、ちゃんと持ってるし」 
「使い捨てカメラは?」 
「ちゃんと持ってるよ、まぁ、中でフラッシュ焚けるか分かんないけど」 
「よろしい。ちゃんと岡井ちゃんエスコートするんだよ」 
「任しといてよ」 

水族館の入り口がよく見えるベンチに腰掛けて、ちぃが色々と俺の世話を焼いてくる。 
いよいよ岡井ちゃんとのデート当日になって、俺はちぃに岡井ちゃんとの待ち合わせよりも 
早い時間に呼び出された。 
開園時間前だから入場待ちをしてるお客さんもあまりいないし、寒いんだけどな…。 
順路だとか、持って行く荷物だとか、ちぃに入念にチェックと確認されているわけだけど。 
ちぃがデートの場所を水族館って決めて、今日まで散々水族館の情報やら、魚の知識やらを叩き込まれてきた。 
いよいよデート本番だっていうのに心配性だな、と思ってた俺だったが、次のちぃの台詞でそんな思いは吹き飛んだ。 

「ちぃもついてくけどさ、不安なんだって、色んな意味で」 
上目遣いで俺のことを見てくるちぃ、その目は不安げに揺れてる。 
考えてみたら、自分が許可したとはいえ…他の子とデートするんだもんな。 
ちぃにとっては不安で不安で仕方ないはずだ。 

1.「大丈夫だって、ちゃんと岡井ちゃんエスコートするから」とウインク 
2.「この指輪に誓って、浮気なんかしないって」と抱き締める 
3.「そんなに不安だったら、やっぱり3人で行こうか?w」 



「大丈夫だって、ちゃんと岡井ちゃんエスコートするからさ」 
俺はわざと明るく言ってちぃにウインクしてみた。 
「そ、そう?ならいいけどさ…」 
ちぃの表情は晴れないままだ。 
他の子とデートするってことで、ちぃを不安にさせてるのは分かるけど、 
このデート失敗したら、それはそれで岡井ちゃんを悲しませるし、ちぃの顔を潰すことにもなる。 
そう思ってわざと明るく言ったつもりだったけど、やっぱまずかったかな…。 
「ほら、そんな顔されると行けないよ。あとでまた、な?」 
「うぅ…ジミーっちのバカぁ…」 
「あとでいくらでも苦情は聞くし、埋め合わせもする、だから 
機嫌直してよ…」 
「…わかった、絶対だよ?」 

ちぃとけっこう長くしゃべってたから気付かなかったけど、岡井ちゃんとの待ち合わせの時間に近づいていた。 
水族館の入り口のほうを見ると、もう岡井ちゃんいるじゃん! 
「じゃあ…行ってくるから」 
「行って来い浮気少年!」 
無理矢理笑顔を作ったちぃにばちーんと背中を叩かれ、 
そのままの勢いで俺は岡井ちゃんに向かって駆け出した。 
後ろは…振り向けなかった。 
ちぃがどんな顔をしてるか、振り向いたら岡井ちゃんの前でも表情に出そうだったから。 
ちぃ許せ、俺は岡井ちゃんに頭を切り替える。 
さて、どうやって声を掛けようかな。 

1.「お待たせ!待った!?」 
2.「だーれだ?」と背後から目隠し 
3.「だーれだ?」と後ろから両手で胸を鷲掴みパート2w ,



「お待たせ!待った!?」 
手を振りながら岡井ちゃんほうに走っていくと、岡井ちゃんの顔がパッと笑顔になった。 
「いえいえ全然〜!ホントに今来たトコなんですよ」 
うん、実は影からずっと見てたから知ってるんだけどねw 
見上げてくる表情が本当に嬉しそうだな。 
「もうすっごい楽しみにしてたんですよ〜」 
そういって上目遣いで見上げてくる岡井ちゃんの目は本当に嬉しそうだな。 
「この水族館、1回来てみたかったんですよ!」 
「あれ?楽しみだったのは水族館のほう?w 俺とのデートじゃなくて?」 
「いやいやどっちも楽しみですってw ジミー先輩、今日はありがとうございます」 
岡井ちゃんが頭を下げてきた。 
この子は困ったような顔で笑顔をするから、ちょっとからかうと楽しいんだよなw 

「でも…ホントに今日、よかったんですか?徳永センパイとか…」 
いざ水族館に入ろうとしたところで、岡井ちゃんがこんなことを言い出した。 
この子も気ぃ遣いぃだなホントに。 
いや、多分そうさせてるのは俺のせいでもあるんだけどw 

1.「岡井ちゃんは気にしなくてもいいんだよ」と微笑む 
2.「実は今日もいたりするんだけどね」とあらぬ方向を指差してからかう 
3.「じゃあデート、やめよっか?w」と冗談を 



「じゃあデート、やめよっか?wちぃに悪いし」 
そう言いながら一歩二歩と帰りかけようとすると、慌てて岡井ちゃんが腕を掴んできた。 
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!行かないなんて言ってないじゃないですか!」 
流石に今日はコートを着て厚着をしてるから外からは見えないけど、 
かすかに胸の膨らみを感じる。相変わらずご立派なモノをお持ちでw 
思わずにやけそうになる顔をこらえて、岡井ちゃんに向き直った。 
「ごめんごめん、冗談冗談。ちゃんとちぃにも了解とってあるしね」 
「ホントですか?」 
「ホントホント、あとで俺がガツーンと殴られるってことでw」 
「えっ、えっ、ほ、ホントですか!?」 
「ウソw」 
「もぉ〜、ジミー先輩!」 
困り顔が可愛いからからかうのがだんだん楽しくなってきたけど、そろそろ怒るな、この辺にしとこう。 
「ほら、いこっか」と手を引っ張って歩き出した。 
まず何を見に行こうかな? 

1.入り口近くで人だかりができてる、ペンギン 
2.海底トンネル型にくり抜いた通路がある大水槽 
3.普通の魚のいる水槽を順番に 



「まずはあっちに行ってみよっか」 
と、俺が連れてきたのは、海水魚の大水槽エリアだ。 
ここの水族館の水槽エリアの目玉らしくて、通路型にくり抜かれたところから外を眺める、360度パノラマの水槽だ。 
ここの水族館の目玉らしい、っていうのもちぃの受け売りなんだけどなw 

そういえば、そんなちぃはどうした?ちゃんと入ってついてきてるかな? 
何気なく後ろを振り向いてみた。 
「!!」 
ちょwwwおまwwwww 
水槽の陰から俺たちを伺うのはニット帽に薄い色のサングラスと露骨に怪しいカッコの徳永さんw 
今日のカッコは大人っぽいから中学生に見えないけど、これでマスクしてたら不審者ですよw 
「? どうかしました?ジミー先輩」 
「いや、何でもないよ、ちょっと変わった魚がいてさw」 
…見なかったことにしよう。今だけは。 

「それにしてもすごいですねここ!どこ見ても水の中なんですもん!」 
岡井ちゃんが目をキラキラさせてあちこちを見回している。 
たしかに、ずっと大水槽をぐるぐる回ってる魚、上のほうをゆらゆら泳いでる魚、海底で穴から出入りする魚。 
これは見てて飽きないなぁ。 
「ほら見てくださいよジミー先輩!あそこ!あれ!」 
岡井ちゃんが俺の手を引っ張ってきた。 
よし、ここはその魚の雑学(ちぃの受け売り)でカッコいいところ見せてやろうかな。 

1.真上を漂っていったエイ 
2.まっすぐこっちに突っ込んでくるサメ 
3.…なんだあの魚?あんな魚の情報は知らないぞ(汗) 



岡井ちゃんは真上を指差している。 
その上をゆらゆらと漂っていったのはエイ、だな。 
真っ白な裏側が人間の顔に見えないこともないなw 
エイ、エイ…エイに関する雑学…ジミーコンピュータ検索開始! 

「岡井ちゃん、知ってる?エイってサメの仲間なんだよ」 
「えぇ!?そうなんですか!?」 
「ちょっとだけ近い種類なんだってさ。骨格とか少し似てたりして、 
 サメの種類から進化したんじゃないかって言われてたりするんだって」 
「へぇぇ…」 
「普段は貝とか食べてるけど、肉食のエイもいるんだって」 
「へぇぇ…ジミー先輩って物知りですね」 
「いやぁ、それほどでも、あはは…」 
岡井ちゃんが尊敬の眼差しで俺を見上げてきた。これはちぃに感謝だな。 
「でも、こういう色んな魚がいる水槽って、共食いとかしないんですかね?」 
うぇぇ!?そんなことは俺も知らないぞ!? 
ジミーコンピュータにも、ちぃの教えてくれた知識にもない。 
「え…えーっと…どうなんだろう?ちゃんと飼育員さんとかエサあげてると思うし」 
「ふぅん…」 
岡井ちゃんは何とか納得してくれたみたいだけど、俺は冷や汗かいてきたぞ。 
そろそろ次の場所に行こうかな。 

1.そろそろイルカショーの時間だ 
2.イソギンチャクやら珊瑚やら、海底の水槽だな 
3.何か変な音がする水槽があるぞ。電気ウナギ? 



ババッ…バババッ…と変な音を立てている水槽があったので、 
ちょっと興味があって行ってみることにした。 

これは…電気ウナギ、かな? 
独特の音といっしょに、水槽の横についた赤いメーターが上下している。 
どうやらこれは電気ウナギが発電してる電力量らしいな。 
何百ボルトっていうから、感電したら相当やばいんだろうな。 
『絶対に水槽に触ったり叩いたりしないでください』って書いてある。 
でも…するなって言われるとしたくなっちゃうのが人間のサガってやつですよねぇ?w 

「すごいですねぇ、全然普通のウナギと違いますよ」 
岡井ちゃんはここでも興味を持ったみたいだな、ホント動物好きなんだな。 
実際、電気ウナギは1メートル以上あって全然普通のウナギと違う。 
「ねぇ岡井ちゃん、これ、触ってみたくない?」 
「えぇ!?ダメですよ!触っちゃダメって書いてあるじゃないですか!」 
慌てたような困ったようなこの顔!こういう顔が俺岡井ちゃんで一番好きかもしれないw 

1.いいからいいから、ジミーを信じて 
2.まず俺が触ってみるから、さ 
3.冗談だよ、冗談、さ、次行こうか 



「いいからいいから、ジミーを信じて」 
「ホントですか?し、死んだりしませんよね?」 
思いっきり困り顔になってる岡井ちゃんが恐る恐るといった感じで水槽を触る。 
正直、感電しない根拠はないんだけさw流石に感電で事故になるような魚は置いてないでしょw 
「うぅ…怖いよぉ…」 

ババババッ! 

「いった!痛いじゃないですか先輩!!」 
「マジで!?ごめんね!?」 
慌てて手を引っ込めた岡井ちゃんだったが、電気は少しだけど水槽のこちらまで来ていたらしい。 
「なんか静電気が来たみたいな感じで…酷いですジミー先輩」 
「ごめんごめん…そんなに痛かった?」 
慌てて水槽から離れて、両手で岡井ちゃんの手を包みながらさすってあげる。 
あとで知ったことだけど、電気ウナギの電気は直接身体に触ったら心臓麻痺とかもありえるくらい 
危険で、同じ水に触る程度だと軽い感電する程度らしい。 
水槽に触ってもあんまり感電することはないらしいけど、良い子は真似しちゃいけないなw 
って、俺は誰に解説してるんだw 

「あ、あの…も、もう大丈夫ですから…ジミー先輩…」 
気付くと、岡井ちゃんの手をずっとさすり続けていたらしい。 
水族館の薄暗い照明の中でも分かるくらい、岡井ちゃんの少し 
色黒の顔が赤くなっている。 
「あぁ、大丈夫ならいいんだ、ごめんね」 
「あの、手…」 
「いいじゃん、繋ごうよ」 
「…はい」 
さて、次はどこ行こうかなぁ 

1.イルカショー 
2.ラッコの水槽 
3.ちょっとトイレに行ってきたいかもw 



ふと時計を見ると、イルカショーの時間が近づいていた。 
これは見に行かない手はないでしょ! 
「ほら!行くよ岡井ちゃん!イルカショーが始まっちゃう!」 
「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ!」 
岡井ちゃんの手を引っ張って慌てて駆け出した。 

イルカショーをやる、野外の大きなプール。 
プールには大きな輪っかやバスケットボールのゴールが飾られている。 
多分アレで曲芸をやるんだろうなぁ。 
でも、プールの前の客席は家族連れやらカップルやらでもうほとんど埋まってしまっている。 
1日に何回かしかやらないこの水族館のメインイベントだからねぇ…。 
「いっぱいですね…」 
「うーん…どっか空いてないかな…」 
岡井ちゃんと2人、客席の中の階段を下りながら、あちこちを見て回る。 
2席並んで空いてるところ、っていうとなかなかない。 
「あ!ジミー先輩、あそこ!空いてます!」 
岡井ちゃんが指差したのはなんと最前列だ。 
確かに空いてるし、メチャメチャ見やすそうで、荷物とかで場所取りしてる様子もない。 
けど、何であんないい席が空いてるんだろう… 

1.でも最前なんてラッキー、あそこにしようよ 
2.何か裏がありそう、別なところに 
3.敢えての後ろで立ち見 



細かいことは気にしちゃいけないな。 
「よし、それじゃああそこにしようか。よく見えそうだし」 
「はいっ!」 
岡井ちゃんは最前列で見れるって事で大はしゃぎで階段を下りていった。 
俺も慌ててついていく。ってか俺もけっこう楽しみだったりするしねw 

ベンチに腰掛けて、使い捨てカメラを取り出したりパンフレットを眺めているうちに 
あっという間に開演時間になったらしく、飼育係のお姉さんがプールの向こう側で挨拶を始めた。 
プールの中を見ると2匹の黒い影が海底を泳ぎ回っている。準備万端、って感じだな。 
と、飼育係のお姉さんが指で天高く指差した。 
バシャーン!!と、派手な音を立てて2匹のイルカがジャンプした。 
客席から歓声と拍手が沸き起こる。もちろん俺たちもだ。 
さらにもう1回イルカがジャンプ、もう1回。 
「さぁ、今度はもっと近くでイルカ君たちを見てもらいますよ!」 
と飼育係のお姉さんがマイクで喋ってからイルカに合図をする。 
それに併せてこちらに向かってくる黒い影。これはもしかして… 

バッシャーン!!!! 

と、まさに間近、というか目の前でイルカが飛び上がった。 
「うわぁぁっ!!」 
「キャー!!」 
冷てぇぇ!! 
飛び上がったときの水しぶきがモロに俺と岡井ちゃんに降りかかった。 
なるほど、この席が空いてたのはこのせいか… 
「冷たぁーい!」 
濡れ鼠とまではいかないけど、2人ともずぶ濡れだ。 
あ、岡井ちゃん、前髪がおでこに張り付いちゃってる。 

1.岡井ちゃんにハンカチを貸す 
2.「大丈夫?別な席行こう」と岡井ちゃんと連れ出す 
3.これはシャッターチャンスw使い捨てカメラをパチリ 



「大丈夫?これ使っていいから」 
「あ、ありがとうございます…」 
俺はハンカチを取り出して岡井ちゃんに渡すと、自分の顔と髪を手で撫でつけ、応急処置をする。 
「大丈夫?服とか濡れてない?」 
「何とかコートだけで済んだみたいです」 
言われてみれば、俺もそうだな。けっこう派手に濡れはしたけど、コートだけで済んでる。 

「すいませんでした、大丈夫ですか?これ良かったら使ってください」 
と慌てて階段を駆け下りてきた別の飼育係さんがタオルを置いていった。 
「イルカのプールの水だからちょっと生臭いねw」 
「このコートお気に入りだったのに…」 
岡井ちゃんはコートを脱ぐと、受け取ったタオルでコートを丁寧に拭いている。 
コートに隠されてたけど、やっぱ岡井ちゃんの胸っていいなぁ…こないだ触ったけどw 

「あ、このハンカチ、洗って返すんで、借りててもいいですか?」 
「分かった、返すのいつでもいいからさ」 
そう言うと、岡井ちゃんは俺のハンカチを両手で持って胸元に置いたまま視線をプールに戻す。 
ちょ、ハンカチ、羨ましいぞ!俺と代われ!! 

俺たちがそうやって水の処理に追われてる間もショーは進んで、イルカが色々なパフォーマンスを見せている。 
と、飼育係のお姉さんが客席から協力者を募ってイルカに芸をさせるみたいだ。 
ちらほらと参加希望の手を上げる人がいるみたいだな。 
「あの、ジミー先輩、僕もやってみたいんですけどいいですか…?」 
岡井ちゃんが俺の顔色を伺ってくる。 

1.行っておいで、ちゃんと写真に収めてあげるから 
2.俺も行くっ!2人で行こうよ 
3.でも手上げてるのちっちゃい子ばっかりだな、やめたほうが… 



「いいよ、その代わり、2人でね。いっしょに行こうよ」 
「はいっ!」 
満面の笑みになった岡井ちゃんと2人手を上げて、そのまま飼育係のお姉さんの指示に従って、 
通路を抜けてステージに上がる。 
どうやらイルカとキャッチボールをするらしく、ビーチボールを手渡された。 
俺と岡井ちゃんがボールを投げると、しっかりボールを投げ返してくる。 
すごいことに、たまにすっぽ抜けて違った方向に飛んでいってもしっかりキャッチしてくれる。 
「すごーい!可愛いー!!」 
岡井ちゃんははしゃぎながらイルカとキャッチボールを続けている。 
時々わざと遠くに投げてイジワルしてるみたいだけど、そんなボールもしっかり取ってくるイルカのほうが上手だなw 
ショーのお手伝いが終わり、飼育係のお姉さんが持つバケツからご褒美の魚をイルカに投げてから座席に戻ってきた。 

そのあとも輪くぐりやボールをゴールにシュートさせたりとイルカたちは楽しいパフォーマンスを見せてくれた。 
岡井ちゃんはイルカと遊んでテンションが上がったのか、ずっと興奮しっぱなしだ。 
ちょっと濡れたりしてびっくりしたけど、楽しかったなぁ。 

イルカショーが終わって、イルカにご褒美をあげて生臭い手を洗いがてらそれぞれトイレに行って出てきた。 
岡井ちゃんはまだ戻ってきてないみたいだな。 

1.飲み物買いに行ってこようかな 
2.ニット帽にサングラスの追跡者さんのところへ 
3.大人しく待ってようか 



今のうちに何か飲み物でも買いに行ってこようか。 
トイレからそう遠くない自動販売機に行ってあったかいココアを2本買ってきた。 
自動販売機から戻ってくると、岡井ちゃんがキョロキョロしながら俺を探してたみたいだ。 
「あっ!ジミー先輩!どこ行ってたんですかぁ〜!」 
「ごめんごめん、ちょっと飲み物買ってきててさ。はいこれ」 
「あっ、ありがとうございます…」 
2人して近くのベンチに腰掛けて、ココアを飲みながらボーっとしながら雑談する。 

「どう?今日は楽しんでる?」 
「もちろんですよ!もうすっごい楽しくて!ホントジミー先輩ありがとうございます!」 
「ちゃんと岡井ちゃんのしたいって行ってた『大人のデート』になってるかな?」 
「んへへへ…なんかこうやって先輩に連れてってもらったらどこでも嬉しいですよ」 
まぁ…今回はちぃプロデュースでもあるけどな。 
岡井ちゃんもちぃと同じで素直に感情を表に出す子だから、これだけ喜んでもらえると俺も嬉しいよ。 
ちぃに言い訳してでも、デートに誘ってよかった、って思えるしね。 

「ホント今日は楽しかったです!」 
ん? 
楽し『かった』? 
まだまだデートは終わってないよ… 

1.グッズショップで買い物が済んでないしね 
2.もう一つ、見せたい水槽があるんだよね 
3.ゴハン、食べに行こうよ 



「まだデートは終わってないよ。ゴハン食べに行こうよ」 
「は…はいっ!」 
水族館の中にも何ヶ所か食べれるところはあったけど、ファーストフードみたいなところ以外は 
混んでたので、水族館から出てどこかへ食べに行くことにした。 

「岡井ちゃんは何か食べたいものはある?」 
「えー、もうなんでもいいですよ」 
「そうだなぁ…じゃあ、まぁ水族館行ったあとだし、お寿司はやめようかw」 
「そうですねwお寿司好きなんですけどw」 
何ヶ所かお店を回って、結局岡井ちゃんの希望でパスタ屋さんに入ることになった。 

「岡井ちゃんはパスタ好きなの?」 
「はい、家ではけっこうたらこスパゲティとか作って食べるんですよ」 
「けっこう料理するんだ?ごめん、ホントごめんなんだけど、ちょっと意外w」 
「へへ、よく言われますw外で遊んでるイメージしかないってw」 
「今度食べてみたいな、岡井ちゃんの料理」 
「ホントですか!?じゃあ今度ご馳走しますよ!」 
と、パスタを食べながら次の約束までしてしまったw 
今度はちぃには内緒だけどねw 

「ホントに今日はありがとうございました!」 
「いやいや、これくらいお安い御用だよ。楽しんでもらえたならよかった」 
無事にゴハンも食べ終わって帰り道、岡井ちゃんの家の近くまで送ってきた。 
別れ道、岡井ちゃんとはこの角で分かれなきゃいけない。 
「ジミー先輩ってすごいですね。今日1日すごい楽しかったし」 
「あはは、満足してもらえた?」 
「はいっ!」 
「じゃあ今度は岡井ちゃんの手料理だねw」 
「ホントいつか食べに来てくださいよ、約束ですからね!」 
「うん、約束」 
俺が小指を差し出すと、一瞬びっくりして目を丸くした岡井ちゃんが、おずおずと指を絡めてきた。 

「「指きりげんまん嘘ついたら針千本のーますっ!指切ったっ 
!」」 

『指切った』とは言ったけど、何となく、手を離すことができなかった。 
そのまま何秒かお互いに固まったまま、どちらからともなく俺たちはプッと噴き出して笑いあっていた。 
「じゃあ、また」 
「はい、おやすみなさい、ジミー先輩!」 
手を振って、何度も振り返りながら家に歩いていく岡井ちゃんを見えなくなるまで見送った。 
さて、と… 

1.ニット帽にサングラスの追跡者を待ち受ける 
2.こっちから攻める。隠れているであろう電信柱に特攻 
3.一目散でダッシュで帰宅w 



今日1日ずっとヤキモキ寂しい思いさせちゃったし、ここは俺から行くべきだよな。 
そう思った俺は後ろを振り返る。 
隠れられそうなところなんてそういくつもない。だとすると…あの電信柱! 
狙いを定めた電信柱に向かって俺は駆け出した。 
そのまま、電信柱に隠れていた人物を抱き締める。 

「ちーぃ、お待たせ」 
「…知らない。ジミーっちのバカぁ…」 
あらら、すっかり拗ねちゃってるな。顔を背けられてしまった。 
「ごめんって、ちぃのお陰で岡井ちゃんにも満足してもらえたんだから」 
「………」 
岡井ちゃんの名前を出すと、ますます顔を背けてしまった。 

「ねぇ…ちぃ、機嫌直してよ。俺が悪かったって」 
そっとサングラスを外して、顔をこっちに向けさせる。 
「ごめん、ちぃを不安にさせたこと、本当にごめん」 
「…ホントに寂しかったんだからね。ずーっと2人を見てて…」 
自分で言い出したとはいえ、多分ずっとヤキモキしてたんだろうな。 
「ごめんね。この埋め合わせは絶対するから」 
「ホントに?」 
「うん」 
「じゃあさ…今度はちぃともあの水族館行ってくれる?」 
「また!?」 
「だってちぃジミーっちと岡井ちゃん2人ばっかりで全然魚見てないんだもん」 
「分かったよ、また行こう、今度は2人でね」 
約束だよ、とようやくちぃは笑顔になってくれた。 

「よしっ、じゃあ帰ろうか!」 
「あ、ちょっと待って、これ、お土産」 
俺は慌ててカバンから小さな紙包みを取り出してちぃに手渡す。 
「何これ? …わぁ…キレイ…」 
ちぃが袋を開けると、そこには星の砂の小瓶が入っている。 
岡井ちゃんがいっしょだったからなかなか買えなかったけど、スキをついて買ったものだ。 
ちぃは多分追跡だけでお土産買ったりはしてないだろうな、と思って買ってみたけど、正解だったな。 
「ありがと、ジミーっち」 
「今日はそれで機嫌直していただけますか?お姫様?」 
「しょうがないなぁ、岡井ちゃんに免じて許してあげるとしようか」 
照れ隠しで偉そうに言ってくるちぃを軽く小突いて、2人並んで歩き始めた。 
ホントはここでキスでもしたら完璧なんだろうけど、流石に岡井ちゃんに悪い気がしたので、 
今日はやめておくことにした。 

「楽しかったならよかったけどさ、やっぱデートとか考えるの難しいね、ジミーっちすごいわ」 
「だろ?」 
「毎回すごいドキドキするもん。またどっかいっしょに行こうね」 
やっぱり何となく岡井ちゃんに悪くて、ちぃと今日だけは手を繋がなかったけど、 
気持ちだけは岡井ちゃんともちぃとも繋がってる。 
調子いいけど、何となくそんな気がして、吐く息は白い冬なのに心があったかくなった。 


ノk|‘−‘)<あれですか?マネージャーは中学生の有原さんを一度抱いてポイッしたんですか? ノk|‘−‘)<………… ノk|ノ−‘)<かわいそうな有原さん ノk|*‘ρ‘)<栞菜だったら慰めてやるかんな (;マネ)<す、捨ててなんかいないよ ノk|‘−‘)<…………… (;マネ)<そんな目で見るな! ノk|‘−‘)<じゃあ聞かせて。その後の話