「だから!なんでアンタがいるのよ!」 
「あーなんでお前が来るんだよ!」 
雪深いとある民宿の軒先で言い争うのがまさか紅白出場歌手とそのマネージャーとは 
誰も思わないだろうな 

俺は中野公演が終わったつかの間の休みを利用して里帰りした。 
まあたまには都会を離れて雪深い実家でのんびり正月でも・・・なんてさ 
民宿ってもここまで鄙びてると早々来るもんでもないし。 
温泉まであるんだからいい身分だよなぁ・・・ 

「おかえり〜」と親族が迎えてくれる。いいもんだなぁ。子供の頃正月が楽しみだったしなぁ。 
「どう?ばっちゃん元気?」 
「ああ、よくきたなぁ。今日はお客さん一人しかいないもんでゆっくりしてけ」 
「へぇお客いるんだ。手伝おうか?」 
「まだ着いてないから、軒の雪かきでも頼もうかね・・・」 
お安い御用ってスコップ持って30分。するとタクシーがすぅーっと止まって一人の客を降ろした。 

そしてさっきのやり取り。 
「せっかく一人でこっそりスノボー練習しようと思ったのに・・・」 
「雅ちゃん?だったらもっと賑やかな場所で練習したらいいと思うんだけど・・・」 
「だって転ぶの見られたらかっこ悪いじゃん!」 
「まあそうだねぇ」 
「とにかく!ぜったいにゲレンデまで来ないでよ!ぜったいだから!」 
そう言って彼女は俺んちに入っていった。 

さて・・・ 
1.さっそくゲレンデ行く? 
2.今日は疲れたろうから風呂どうです? 
3.どう雪合戦でもするか? 



なんだよ。ったく人が心配してんのになぁ・・・と思ってたら、今度は近所の赤帽の車がウチの前に横付けされた 
「えーっと、夏・・や?なんて読むの?」 
「はいはい。確かにウチの客です」 
「はぁ。よかった。じゃコレよろしく。」 

どうも本気らしい。まだ新しいボードだわ。これ。 
ていうか、本気で一人で練習する気か? 
そう思うと居ても立っても居られなくなった。これは危ない・・・ 
玄関をくぐるとなかなかかわいいウェアに身を包んだ彼女がブーツを履いていた。 
やっぱり心配だな。 
「お客様?」 
「え?」 
「お客様はスノーボードがご所望ですね」 
「何言ってんのよ」 
「では『う・ち・の』専属運転手がお客様をご案内しますので、今しばらくお待ちくださいね」 
そういうと俺の部屋に駆け込んだ。背中には何か聞こえてたけど。 
防寒着取り出して慌てて駆け下りた。 
見るとよろよろ立っては歩きにくそうに歩いてる彼女発見。 
「はいはいお客さん、ちょっと待ってください。このままゲレンデまで歩くと30分はかかりますよ?」 
「えー、マジ?」 
「だからここ乗った乗った」 
「・・・・」 
すんなりと乗ってきた。 

俺は雪道をそっと走って村のスキー場へとたどり着いた。 
駐車場に止めると、無言で車を降りた雅ちゃん。ボード片手にリフトの方へ歩き出す。 

さて 
1.マネージャーとして一緒についてかなくちゃ 
2.心配だ。リフトの前に教えることあるだろ 
3.外は寒いから食堂でお茶でも飲んで待ってるか 



「じゃあお客様!」 大声で呼びかけると彼女はピクッと動きを止めた。 
「私はあそこのクラブハウスでお待ちしてますので、お帰りの時はお声をおかけくださいね」 
「・・・」 
「では」 そう言って歩き出すとちょっと震えた声で 
「あああ、ああそう。よかった。よかったせいせいした。まさか一緒に滑ったりとか」 そこで息をのんで 
「まさか、教えてくれるみたいなことがなくてほんとよかった!」 
一気に言うと、おニューのボードを抱えて山に向かって歩いていった。 
誰もいない雪原にとぼとぼついてく彼女の足跡が心なしか元気なかったかな。 
まあ仕方ない。一応ここからならゲレンデも見れるからと、クラブハウス「白銀」に入ることにした。 
「あら!久しぶり!」 子供の頃から馴染みのオバちゃんにご挨拶。 
「どう一杯やってく?」 
「いやいいよ。運転あるからお茶で」 
「そうかい?」って大きな急須にたっぷりのお茶と干し柿を持ってきてくれた。 
「で、あの人だれ?」 
「あ、うちの客なんだ」 
「へぇ珍しい・・・なんか苦労してるみたいだねぇ・・・」 
ていうか、どうやって滑るかもよくわかってないのかな・・・ 
「あ、転んだ・・・」 
「ちょっと教えてきてあげたら?」 
「うーん、ちょっとまあいろいろとね」 
「そうかい?」 
そういうとオバちゃんは奥へと引っ込んだ。 
俺はお茶をすすりながら窓からゲレンデを見てた。 

ステン! 
そんな音が聞こえてきそうなほど見事な転び方だな 
まあこれなら怪我することもないだろ。ちょっと安心してTVへと視線を変えた。 
CMに入ったのでちょっとゲレンデを見ると・・・あれ?いない? 

1.慌てて飛び出す。 
2.窓から様子を伺う 
3.ああお茶が旨い 



あれ?どうした?立ち上がって窓に近づいてみた。確かにあのピンクのスキーウェアが見えないな。 
窓をちょっと押しあけて首を出してみた。 
きょろきょろして見ても姿が見えないな・・・ 

「ちょっとぉ」 
その白い物体は俺の下から現れた。 
慌てて後ろに飛びのいた。 
よく見るとそれは全身雪まみれのピンクのスキーウェアさんでした。 
「おいおい大丈夫か?」 
「大丈夫じゃない」 
「え、もしかしてどっか痛いとか」 
「寒い・・・」 
「え?」 
「寒い!」 
そう言うとゆっくりと玄関へと歩いてきた。 
雪まみれの彼女は玄関先で派手に雪を払うと、ずんずん歩いてきて俺の湯のみからお茶をぐっと飲んだ。 
ぺたんと椅子に腰掛けるとこっちをじっと見てる 

1.どうしたの?もうお帰りですか?お客様。 
2.仕方ないな。教えて差し上げようか?夏焼ちゃーん? 
3.ん?干し柿でも食べる? 



じっとこっちを見てる彼女の目は何か言い足そうなんだけど言い出せないみたいな。 
ほんと素直じゃないんだからなぁ 
「仕方ないな。教えて差し上げようか?夏焼ちゃーん?」 
かくいう俺も素直には言い出せないんだけどな。 
ぐっと唇をかんだ雅ちゃん。湯飲みを持った手がふるふる震えているよ。 
「まあ俺もそれほど上手じゃないけどさぁ。初歩の初歩のそのまた初歩くらいなら」 
「・・・」 
「まずは滑って帰らないとね。」 
「そ、そこまで言うんなら教えてもらってやってもいいから」 
あああ、そんな顔真っ赤にして言う台詞じゃないね。もう。 
奥に顔出してレンタルのウェアとボードを出してもらった。その間に干し柿が2つ3つなくなってた。 

「いいか、こう板の端を意識して・・・」「こう?」 
そうそう。やっぱり筋がいいのかわからないけど、飲みこみが早いね。 
「そうか!そういうことか!」 
「はい、よくできました!」 
「もう一回やってみる!」そういうと板を抱えて歩いて5mほど上ってく。 
そして板をつけて片手をあげるとまずは右へ、向きを変えて左へそしてもっかいターンして俺のとこへ 
戻って見せた。 
「やったー!」 
無事止まった雅ちゃんが俺に飛び込んできた。勢いあまって俺ごと雪の上に。 
ちょっと二人して斜面を滑ったとこで止まった。目を開けると黒いニット帽が鼻の頭に。 
「大丈夫?」 
「最後にリフト乗りたい!」 
がっと立ち上がると薄暗くなってきた白い斜面にたった一つのリフトを指差してる。 
「ね?お願い」 

1.仕方ないな。一回だけに付き合うか。 
2.だめ、そろそろ遅いから。リフトは明日。 
3.じゃ下で待ってるから 



「仕方ないな。一回だけだよ」 
「わかった!」 
たった一つしかないリフトの前で座ってたオジさんがめんどくさそうに切符を受け取った。 
「いいかここで、こう待ってて、こう乗るんだ」ボードをつけて説明する。 
「で降りるときは、こう足をこうして・・」 
先に送り出すと後からついてくる。時々後ろを向いてはVサインしたりとか。まあ機嫌も直ったみたいで 
よかったのかな。 
着いた先は小高い丘の上。ここを一気に下る横綱コースってのがあって、まあ中級だが俺らにはまだ早い。 
こっちの十両コースへそっと誘導してコース説明をする。 
「見て!」 
「え?」 
「夕焼けきれいだよ」 
「ん?」 
おお確かに。 
「あそこがマネの家かな?」 
「いや、もっと向こうだね」 
「そうなんだ。」 
振り返ると薄く紅を引いたような光に照らされた笑顔がとてつもなくきれいに見える。 
やっぱ笑うとかわいいよなぁ。 
「じゃ、じゃあ先行くね」 
じっと見てたら照れたのか先に飛び出していった。 

1.ゆっくり後からついていく 
2.後ろから追い抜いてやる 
3.横綱コースで先回り 



まったく手のかかる子だなと思いながら見てるといきなり転んだ。
下の方とは違うから転んでもそうそう止まらない。 
近づいていって、手を取っておこしてやる。 
「大丈夫か?」「うん」 
そういうとまた滑り出す。俺もその後をなぞるようについていった。 
やっぱり何度も転んで、その度に起こしてあげた。「大丈夫?」「まだまだ!」 
俺がクラブハウスの前にたどり着いた時は、やっぱり雪まみれになってる彼女が待ってた。 
「遅いよ!」 
「ごめんごめん」 
「ね。もう一回?だめ?」 
「ダメ」 
「つまんないの・・・」 
「はいはい、白銀入って待ってて」 
「はぁーい」 
二人して板を抱えて歩いていった。 
オバちゃんにお礼を言って、着替えてきた。 
まだ上気した顔でゲレンデを見てる彼女の側にはオバちゃんが出してくれた甘酒。 
「お待たせ」「うん」 
立ち上がるとオバちゃんが出てきた。 
「あ、ご馳走様です」「おあいそなしでゴメンね」 
湯飲みを返すと笑顔で手を振って車のほうへ歩いていった。 
「あの子さぁ・・・」 
「どっかで見た気がするんだけど・・・」 
「そう?気のせいじゃない?」 
「そうかなぁ・・・」 
ということで、俺はマネージャー失格かもね。確かにオバちゃんは見たことあるはずだよ。大晦日にね。 

車では屋根にうっすら着いた雪を一生懸命払ってる雅ちゃん。 
ドアを開けて助手席にのせてあげた。 
「ちょっと寒いね」 
「エンジン暖まるまでちょっと待ってて」 
「あのね・・・」そういうと俺の肩をとんとん叩いた。 
「今日は、ありがと」小さな声でそう言うと、振り向いた俺の口にそっとキスをした。 
照れる雅ちゃんを見てると押し倒したくなる衝動に襲われたが、タイミングよく 
うちへの土産の干し柿を届けにきたオバちゃんのおかげで一線は越えられませんでした。 

オバちゃんにお礼を言って、車をだす。さっそく干し柿をつまんだ雅ちゃんが 
俺の口にも入れてくる。あと缶コーヒーも飲ませてくれたり。 
笑いが絶えないちょっとしたドライブは本日のお宿の前で止まった。 

「そういやマネージャーさんの部屋って・・・」 
「ああ母屋の裏の離れだよ」 
「へぇ・・・」 
「なんで。」 
「うちの部屋は渡り廊下渡った先の部屋だったから」 

「何?夜も一緒に教えてあげればいいの?」 
「ばか・・・」 
そう言って車から降りた彼女の背中を見送ると車庫に車をいれた 


ノノl∂_∂'ル<いつから仕事始まるっけ? (;マネ)<わかんない ノノl∂Д∂'ル=3 ノノl*∂_∂'ル<このまま仕事やめてここで暮らしたいなぁ (*マネ)<雅…… ノノl∂_∂'ル<もう寝ちゃった。まだHしてないのに (マネ)<ZZZ… ノノl∂_∂'ル<よく寝てる。疲れてるんだろうな…いつも頑張ってるから (マネ)<…桃子、梨沙子、いうこときけ。母さん悪い頼む…ZZZ ノノl∂_∂'ル<夢の中でもみんな一緒かぁ ノノl*∂_∂'ル<……私だけしか出ない夢をずっと見てればいいのに… ノノl∂_∂'ル<…なーんて、わがままかな (マネ)<雅… ノノl∂_∂'ル<…ん? (*マネ)<愛してるぞ ノノl*∂_∂'ル<え (;マネ)<がぁーがぁー、ぐがーぐがー ノノl*∂_∂'*ル<……起きてたんだ。普通に言えばいいのに ノノl*∂_∂'ル<素直じゃないんだから…お互い リl|*´∀`l|<うちが言った通りなんだよ! 川*^∇^)||<…… 川*^∇^)||<別に寂しくないです