昨日の興奮が冷めやらぬ中、キュートのメンバーは紅白のリハーサルに参加していた 
メンバーは疲れをみせずに張り切ってステージを駆けずり回っている 
○○さんからレコード大賞の最優秀新人賞を受賞したと連絡があった時、俺はそれをどう受け取っていいかわからなかった 
が、うちの娘たちは萎えるどころか逆に喜び称え、胸の内にはライバル心が燃えたぎったようだ 
紅白のリハーサルもここまで手を抜かずに臨んでいる 
それでこそベリーズ工房だよ、みんな 

「休憩です」 

紅白のスタッフから声がかかり、ステージからゆっくりと降りてくるメンバーに俺はタオルを手渡す 
たまにはマネージャーの仕事をしないとな 

「みんなお疲れ様。本番までこの調子でいこう」 
「お疲れ様です。あの…いえ、何でもないです」 

愛理ちゃんの様子がおかしかったな、言いかけて急にやめるなんてな 
気になるな 
ちょっと追いかけて話しかけようかな 
しかし、休憩もあっという間だし 

1 ○○さんに任せよう 
2 話すだけなら問題ないさ 
3 2人きりで話せる場所に呼び出そう 



追いかけて話だけでもしてみよう 
俺は走ると愛理ちゃんにすぐに追いつき、彼女をスタジオ内のラウンジに連れ出した 

「コーヒーでいいかい?」 
「はい」 

連れてくる間、愛理ちゃんは黙って何も話してくれなかった 
不安なことを抱えているのが俺でもわかるくらいだ 
それだけの悩みを抱えているんだろうが、受賞した後だけに悩みがどんなものか想像できない 

「お待たせ。愛理ちゃんの表情が暗いのが気になったんだけど、打ち明けられるなら悩み聞くから話してくれないか」 
「それは…マネージャーさんに話して解決することでもないし、私が自分で解決しなきゃいけないんです。だから大丈夫です」 

無理やり笑顔をつくってこの場をやり過ごそうとしてる 
確かに頼りないが俺を頼ってほしいな 

1 解決策がもしかしたらみつかるかもよ? 
2 自分で抱えこまずに誰かに甘えてもいいんだよ 
3 エッチな相談かい?w 



「自分で抱えこまずに誰かに甘えてもいいんだよ」 

俺は愛理ちゃんの顔を覗き込み、真剣な眼差しを向けて呟いた 
いつになく真剣な俺に愛理ちゃんは視線を逸らしてしまう 

「今日はマネージャーさんが大人にみえます。私、真剣聞いてもらえるなら話しますね。実はプレッシャーを感じてて、エースって言われるのが怖いんです」 

急に子供の表情に戻った愛理ちゃんは素直に打ち明けてくれた 
大人が過剰な期待をかけてエースとした愛理ちゃんには不安が増していたのか 
俺たちは愛理ちゃんに期待という名のプレッシャーをかけていたんだな 

「昨日に受賞してからもっと不安が大きくなって…こんな気持ちで紅白に立っていいのかな」 

すごく切なそうな表情で語る愛理ちゃんの不安は本物だろう 
俺に何かできることあるかな 
今日は本番なんだからこんな気持ちでステージに上げたくはない 

1 カッパダンスで乗り切れるよと踊り出す 
2 もうすぐリハーサルだし話聞いたからいいだろう 
3 愛理ちゃんを送り出す時にこっそり抱き締める 



重い雰囲気に包まれながら、俺たちはリハーサル再開の合図を聞いて戻った 
話を聞いただけで、マネージャーとしても1人の大人としても何もしてあげられなかったな 

「マネージャーさん、話したら少しだけどスッキリしました。メンバーには話せるわけないからマネージャーさんが初めてですよ」 

今度は自然と笑いかけてくれた 
さっきよりは元気になってくれたようだからいいかな 

「元気になったならよかった。またリハーサル頑張って」 
「はい、マネージャーさんもがんばれ〜」 

メンバーがステージに上がっていく中、俺は周りを見渡して誰もいないことを確認すると抱きしめた 
急なことでどうしたらいいかわからずに愛理ちゃんは戸惑ってしまう 

「ま、マネージャーさん?人がきたらどうするんですか」 
「そんなの関係ねぇ…ってわけにはいかないね。ごめん」 

顔を真っ赤にさせて俯いた愛理ちゃんはもじもじと落ち着かない 
ステージに行きたくとも行けないといった様子だ 

「マネージャーさん、あのぉお願いがあるんです。私ってBIPですよね。何でも言うこと聞いてもらえますよね?」 

1 奴隷はこりごりだな 
2 雅ちゃんに許可もらってからじゃないとね 
3 う〜ん、どうしようかな 



う〜ん、どうしようかな 
BIPからのご指名となると断りにくいのは確かだ 
愛理ちゃんとキュフフは久しぶりだし、雅ちゃんには悪いがここは俺の独断でよしとするか 

「奴隷からは何も断る理由はないですし、BIPのあなたの望むままに」 
「決まりですね。紅白の後、私と…」 

私と、の後が言えずにもじもじと動く愛理ちゃん 
上目遣いに私にその先を言わせないでと訴えかけてくる 
そんな瞳でみつめないでくれるかな、是が非でも言わせたくなるじゃないか 

「で、その先は?」 
「そ、それは…言わないとダメですか?言わなくてもわかってるくせに」 

わかってるよ、股間に血液が集中して貧血になるくらいにわかってる 
だけどな、ここは焦らすか 
いや、わかってるしな 

1 ステージに行かないとだし遊んでる場合じゃない 
2 言うまでは奴隷じゃないよ 
3 ピンクレンジャーをリハーサル中使いたいの?w違った? 



「言ってくれないと奴隷にはならないけどいいの?」 

たぶん俺は相当意地悪な笑顔で愛理ちゃんをみているはずだ 
自分でも笑いをこらえるのに必死で、焦らすのに興奮を覚える 
愛理ちゃんは口を尖らせて怒りを表現し、かたや目では恥ずかしいんですと語っている 

「そんな…時間だしいかないとなのに。マネージャーさんは意地悪なんですね。本当に言わないとダメなんですか?」 
「出来ればいってほしいかな。マネージャーさんはお馬鹿だから」 
「わかりました、言います。抱きしめて下さい」 

俺の耳元でそれだけ囁くと走り去ってステージにいった 
焦らして悪かったかもな 
だけど、昨日の受賞の件もあるし今日はうんとご褒美あげないとな 
ま、雅ちゃんにはすげぇ嫉妬されそうだけど