クラスメイトとなってからはどこか余所余所しくちぃと対応してしまう 
あんな事があれば、やっぱり今までどおりってわけにはいかないとは思っていたが・・・ 
ジミーだけに地味にウジウジ悩む俺に対し、ちぃは吹っ切れたとばかりに皆と明るくやっている 
無理のない明るさをみると、どうやらもう悩んでいる気配はなさそうだ 
ちょっとだけ羨ましい 

「お〜い、浮気少年。聞いてるか?あたしと今日は日直だよ」 
「ん?あぁ、わかってるわかってる」 
「その上の空なとこ、マイナス。また好感度さがっちゃうぞ、いいのか?」 
「いやいや、これ以上は勘弁してください」 
「ま、それはいいですけど。忘れないで残ってね、帰ったらまた茉麻からパンチがいくから」 
「本人からじゃなくて須藤さんからかいw」 

俺に気を遣わせまいとちぃは今までどおりに接してくれている 
はぁ・・・俺も頑張らねばな 

「おい、ジミー。ちょっと顔かせ」 
「あぁ」 

萩原の奴からいきなり呼び出しをくらった 
はて、最近はあいつとも特にこれといった問題などなさそうなのだが 

「聞いたぞ、お前徳永さんと別れたんだってな」 
「あぁ、その通り」 
「その通りじゃねぇ。舞には何もいってないが、お前みたいな奴とはもう会わせないって決めたぞ」 

1 そりゃないよ、兄さん 
2 お前にそんな権限などない 
3 まったくもってそのとおりだな 



まったくもってそのとおりですよ、ええ 
俺みたいな害虫が舞ちゃんみたいな美少女といたら、きっといい事ないだろうしな 
それをいったら、他の女の子たちにも同じことがいえるんだけど 
あぁ〜俺はどうすりゃいいんだ 

「まったくそのとおりだよ。俺みたいな奴が舞ちゃんといていいわけないもんな」 
「あぁ、ったく舞もこんな馬鹿のどこがいいんだかな。毎日毎日、ジミーちゃんジミーちゃんってよぉ。 
お兄ちゃんはあれだけやめろと注意をして・・・って、今なんていった?」 
「俺、空みてると雲数えちゃうんだよ。いや、最近の話なんだけどな」 
「・・・どうした、お前なら『お前みたいなシスコンに口出しされたくねぇ』とでもいわれるかと思ってたのに」 
「どうしたらみんなを傷つけずにすむんだ、萩原。俺はあと何人の女の子を泣かせばいいんだ」 
「ジミー・・・あぁ〜そんなお前みたらこっちが何もいえねぇじゃねぇか。元気だせよ」 

元気だせか、萩原にまでそんな言葉かけられるとはな 
俺は1人屋上に残って、寝転がって空を眺めていた 
しばらくして、空の色がオレンジ色に変わっているのをみて、自分がとんでもないことをしているのに気づいた 
ちぃと日直なんだった 

1 今すぐいく 
2 ゆっくりいく 
3 サボってもいいかな 



涎たらして寝てる場合じゃなかったんだ 
やばっ、授業終わって放課後じゃねぇかよ・・・ 
急げ、大切にしてやれることはできなくても日直くらいできなくてどうする 
俺は全身のバネを使ってこれでもかって勢いで学校中を駆け抜けていった 
先生の注意も耳に入っても無視して全力で走った 

「ジミーっち、またもや減点です。ちみ、何と5分遅れてます」 
「ご、ごめん・・・屋上で寝てた」 
「まぁいいかな。ちみに浮気されたことを考えれば、これくらいちょよう範囲です」 

・・・無理に難しい言葉使おうとして間違ってるぞ、ちぃ 
そこは許容範囲でちょようじゃないよ 

「忘れたかと思ってたけど、忘れたわけじゃなかったのね」 
「あったりまえです。ちみ、女の子は根にもたないようで何気にもつよ」 
「それはすみませんでした。で、俺は何すればいいかな」 
「ちぃが日誌書くから黒板掃除と忘れ物がないかチェックをお願いします」 
「OK。ちぃは休んでたっていいぞ。俺がここはやるからな」 
「だといいのですが。ジミーっちはよく約束を破るので、ちぃが日誌はやります」 

やっぱりちぃって一緒にいて楽しかったよな 
日誌書く横顔みつめていると普段はみせない真剣そうな顔してるし 
ちょっと惹かれるものがあったな 

「あ、人の顔何いおうとしてんの?」 

1 べ、べつに・・・ 
2 可愛いなぁって 
3 別れてよかったかなってw 



素直に可愛いといっておきたいところだが、それはやめておこう 
白々しいにもほどがある 
今更俺が可愛いといったところで、ちぃには何の効力ももたなさそうだしな 

「べ、べつに・・・」 
「あ、浮気相手の子のほうが可愛いとか思ったんでしょ〜」 
「ち、ちがうわい。ただ・・・」 
「ただ?」 
「ただ・・・頑張ってるなぁと思ってだな」 
「そりゃ〜あなた、私は日直ですから。遅刻しちゃうような人は大違いですw」 

ぐっ・・・別れてから後、ちぃは何気に前よりもズバズバと物をいうようになった 
要は俺っていう人間がどんなものかより知れたので、下手にオブラートに包むってのはやめたんだろう 
おかげで傷つけられることもあるが、今までよりもある意味ではナチュラルなつきあいだ 

「で、ジミーっち、そっちは作業終わった?」 
「あぁ、これで終わり。ちぃは?」 
「ちぃはもうとっくに終了〜」 

そうか、もう作業もなくなったことだし、空は暗いともなるとちぃはどうしようか 

1 先に帰す 
2 話がしたいし一緒に帰ろうと誘う 
3 手伝ってもらう 



話がしたいな、何でもいい 
俺はまたちぃといっぱい話がしたいんだ、他愛ないことで笑いあいたい 
ほんの出来心、いや、熊井ちゃんに傾いたのは事実だ 
だが、それでも俺はちぃと幸せに歩んでいきたかったんだ 

「ちぃ、今日は一緒に帰ろう」 
「うぅ〜ん、どうしようっかな〜」 
「そこを何とかお願いします。この通り」 
「よし、わかった。ちみがそんなに言うなら帰ってあげましょう」 

ここでちぃはニヤっと笑い、ただしと付け加えた 

「たこ焼き買ってね」 
「了解。たこ焼きならいくらでもいいよ」 
「いったね〜ちぃだって案外食べるかもよ?」 
「今日は運よく福沢諭吉が1人味方にいるから平気」 
「じゃあもっといいものおごってっていうべきかな」 
「たこ焼きでお願いw」 

こうして俺とちぃは日直の仕事を追えて下校することになった 
12月ともなれば、外はもう4時を過ぎれば薄暗く、女の子だけだと心細い 
だとしたら、俺と帰るのはちぃにとってはガードマン兼お財布として一石二鳥になる 

「ジミーっち、茉麻がいってたよ。ちぃと別れてかなり悩んだみたいって」 
「うん、そりゃまぁね。まだ須藤さんには色々と許してもらえてない気はする」 
「だろうな、茉麻って意外と頑固だからね」 
「そっか・・・」 
「ジミーっちさ、最近は女の子に手出したりしてないよね?」 

1 あ、桃子先輩と 
2 潔白だよ 
3 唾かけてるだけなら・・・ 



これはどう応えたらいいんだろうな 
別れる前だって色々あったが、別れた後はあの人とちょっとしただけだしな 
つうか、本音いうなら嫁候補はいくらでもいるんだ 
舞美先輩に梅田先輩に愛理ちゃんに舞ちゃんに岡井ちゃんに・・・ 
清水先輩に熊井ちゃん、あと菅谷とか・・・ 
絞りきれないくらいの女の子たちの名前が一瞬にして挙がってしまった俺ってダメだな 

「え、いやいや〜ははははは」 
「何、その不気味な笑い・・・あ〜いるんだ、いるんだね」 
「そ、そ、それはねぇ〜あはははははは、だって浮気少年だよ」 
「うん、そのとおりだって納得いくわけないじゃん。たこ焼きは大盛りね」 
「う・・・」 

ちぃに押されるがまま、俺は大盛りのたこ焼きをおごる破目になった 
しかし、たこ焼きで機嫌をちょっとでも直してくれるならこんなにありがたいことはない 
俺たちは商店街で買ったたこ焼きをもって、別の場所で食べようということになり、 
久々にあの土手にいってみることにした 

「ここ来るの久しぶりだね。って、あの時はいい男だと思ってたけど」 
「今では悪い男ですね」 
「悪すぎてちぃは慰謝料とりたいよ。泣けてきちゃう〜ええん」 

ええんって口にして、たこ焼きぱくついてるとギャグにしかならんぞ 
こういう男と女のやり取りっていうよりも友達同士の延長みたいな仲って絶対にちぃだけだな 

1 悔いがあるんだよって正直いいたい 
2 ここでまたやる?w 
3 やっぱちぃといる時って楽しかったんだな 



「やっぱ、ちぃといるときって楽しかったんだな」 
「ほへ?どったのさ、いきなし。ジミーっち、今日はやけに大人しいよ」 
「気を使わなくても一緒にいられたのってちぃだし、たまに女の子らしい面とのギャップですげぇ惚れたのもちぃ」 
「うんうん、そいつはどうも。って、あんた一緒にいたときに気使ってなかったんだね」 
「ごめん」 
「いいっていいって、ちぃだって一緒にいたときにあんまし気を使った覚えないし、おあいこ」 

おあいこといってちぃはケンケンって犬のキャラみたいに笑った 
それがかえって俺には辛く、またもや涙が溢れてきた 
泣いてばっかりの涙腺は緩すぎるな、今度締めておかないと 

「・・・本当にごめんな」 
「もぉ〜終わったことじゃん。今からまた新しくちぃや茉麻たちと仲良くしていけばいいじゃん。 
ちぃだって本当に嫌いならあんたと一緒には今だっていないよ」 
「うん、うん」 

俺たちはしんみりともう日が傾いて暮れた川原で話し合っていた 
ここへ、ギャル男風の数人がこちらを指差して笑っていることに俺は気づいた 

「みろよ、あそこのチビ。ちょ〜だっさくねぇ。女になぐさめられてやんの」 
「ちぃ、ごめんなだってよ」 
「プゲラ」 

ここはちぃもいるし、穏便にしておきたい 
そんな俺の思惑とは別にちぃが動き出していた 

「ちょっと〜ジミーっち、悪くいうなよ。あんたたちとは関係ないじゃん」 
「んだと、こらぁ!!」 

1 ちぃを助けに 
2 誰か呼ばないと 
3 警察警察、って携帯もってたっけ 



「ジミーっちはあんたたちみたいなチャラチャラした男たちとは・・・似てるような気もするけど、やっぱ違うんだから」 
「俺らのこと見下してくれちゃってません?チャラチャラしてるってことないよな?」 
「ああ、俺らは進学校に通うエリートだぜ。お前らの制服知ってるぞ、あの学校だろ。たいしたことねぇよ」 

ヤバイぞ、すげぇヤバイ雰囲気だ 
ちぃが男3人に絡まれてるぞ 
あんなに喧嘩売ったら相手はもう引くことはないだろうな 
1人の金髪は血管浮き出てるし、1人は面白そうに蛇みたく舌だして笑ってやがる 
俺が3人相手にして勝てることないのはわかってる 
須藤さんにも腕相撲で負ける下級戦士なんだ 
それでも好きな女の子が危険なときくらい、命かけられなくてどうするよ 

「まてぇい!!その子に指1本でも触れてみろ。ただじゃおかないぞ」 
「ただじゃないならいくらですかぁ〜wwww」 
「お前みたいなのが勝てるわけないだろう。なぁ、押尾さん」 
「おい、俺は暴走族の頭やってるような男だぜ。お前、勝てると思ってるのか。 
痛い目みたくないなら今のうちに土下座して謝れよ」 

飛び出していってちぃの盾になったが、以前ピンチに変わりない 
真ん中のでかい奴は暴走族の頭だっていうし、不味いぞ 

1 土下座する 
2 お金やるならさってくれ 
3 誰がこんな奴らなんかに 



「誰がお前らみたいな奴に頭さげるか」 
「おいおい、こいつビッグな発言してくれちゃってません?ね、押尾さん」 
「俺はな、ガキの頃から格闘技もやっててちょっとは強いって自信あるんだよな。最近なまってたしちょうどいいか」 

押尾さんと呼ばれた真ん中の奴が首を傾け、2人に合図を送る 
すると、俺を両側で取り囲み逃げられないようにしてきた 
向かいにはあの180はゆうに有る押尾さん 
唾を飲み込んだ音がはっきりと聞こえる 
もう音なんてほとんど耳に入らない、ただちぃの「ジミーっち」って声だけは聞こえた 

「さぁて、押尾さんの攻撃に何秒たえられるでしょうか?」 
「10秒かけとくわ」 
「俺は3秒」 
「早っw」 

押尾の巨体は思った以上にすばやく動き、俺がちぃを後ろに突き飛ばしたときには一瞬で目の前にきていた 

「謝ってても許しはしなかったけどな」 

ぐはっ・・・痛い、とてつもなく重い一撃が何度も俺に繰り出される 
よける暇もなく打ち出される拳は、俺が倒れる方向を追って反対から殴られ、また倒れそうになるとが続いた 
須藤さんの愛情ある叱りの一撃とは威力が違う 
痛い、でもここでちぃを守らないでどうする 

「ジミーっちぃぃぃぃぃ!!!今、助け呼びにいくよ」 

ちぃはそういって声がきこえなくなった 

1 手下がちぃを 
2 押尾を倒すのが先だ 
3 火事場のクソ力 



人間誰だってやろうと思えば、できないことはないんだったよな 
なら、今俺がするべきことをするのに必要な力は自分の中に眠っているはずだ 
だが、俺がいくらいきがっても勝てる相手ではないのは確かだ 
ここは頭を使うしかない 

「ふん、もうおねんねか。地面が恋しいよな、ジミーっち。ははははは」 

押尾の高笑いが頭上からこれでもかと聞こえてくる 
本当に勝てそうにないや 
でも、諦めることはもっとしたくない・・・ちぃのこと手放したくないのと一緒だ 
冷たいな〜頬に当たるのってなんだ 
石・・・石か、本当は武器なんて使いたくなんかないが 

「押尾、いいこと教えてやる。弁慶の泣き所ってしってるか?」 
「はぁ?しらねぇよ。つうか弁慶ってなんだ。それ、うまいのか_」 

こいつ、進学校どころか中学でてるのかさえ怪しいぜ 
そんな押尾さんには勉強してもらいましょう 

「ここをいうんだよぉ〜」 
「うげぇ!!」 

俺は掴んだ石で思い切り、ありったけの力で押尾のスネを殴ってやった 
ありったけの力で殴ったおかげで、押尾は痛みのあまりに自分も地面にはいつくばった 
ざまぁない 

「お前も地面が恋しいか、押尾」 

1 とどめをさす 
2 それよりもちぃを 
3 元ヤン?いやいや、キレイなお姉さん 



這い蹲る押尾はともかく、手下の奴らはどこいった? 
まさか、ちぃを追って・・・その先はとてもじゃないが考えたくもないぜ 
俺が守りたいものを汚されてたまるか 
いこう、ちぃを助けに・・・ 
あれ、身体が・・・フラフラしてうまく動かせないや 
ははは、何だ重傷なら俺のほうだったんだな 
でも、ちぃを助けにいかないとなんだ、動け動け動けよ、今動かないでどうするんだ 

「ばぁか、てめぇのほうがよっぽど重傷じゃねぇか。こっちからとどめをさしてやるよ」 
「まちな!!!」 
「ハァ・・・って、お前は・・・亜希子」 
「学、あんたガキからかって遊んでたんだって?で、それはなんだい」 
「いや、これは・・・」 
「さっきね、この子に助けを求められてね。そんで来てみりゃこれじゃねぇか。あんたの手下も馬鹿だねぇ。 
あたし、追ってきて、うちのとこの奴にしめておかせたから。ったく、ガキなんだからよ」 

俺が覚えているのはここまでだ 
もう意識なんてものは途中でふっとんでいたも同然だった俺は、助かったのかもと思ったときに気絶したようだ 
次に目が覚めたとき、俺の前には涙目のちぃがいた 

「えぇぇん・・・うぅぅぅ・・・ジミーっち、よかった〜よかったよ〜大丈夫そうでよかったよ」 
「ちぃ。大丈夫じゃないかも」 
「そんなのわかってるよぉ〜でも、起きてよかった。あの女の人がね、ジミーっちの様子みて骨折とか捻挫とか 
傷が残るようなものはないから安心しろって」 

「病院に連れていくべきだったんだけど、男の人が捕まるから勘弁してって。そのかわり、あの学校の生徒には指1本 
触れさせないって。よくわかんないけど、ジミーっちが平気だと思ったらはいって言っちゃってた」 

どうやらあれだけ殴られたわりには残るような怪我はなかったらしい 
しばらくはあざは残るようだし、そこら中が痛むともいっていた 
あの助けてくれた声の主はどうやらここらへんを仕切っているレディースの総長だそうだ 
どおりで、チンピラやってる押尾がビビるわけだ 

「慰謝料ってわけじゃないし、受け取りづらかったけどこれ」 

ちぃがみせてくれたのは福沢さんが3人だった 
押尾たちの有り金を没収して、それを治療費代わりに使ってくれとのこと 
押尾も売り出し中のミュージシャンで、今警察沙汰になると音楽はやっていけない 
なので、ちぃも納得はいかないだろうが、これで勘弁してくれって総長の取り決めでそうなった 

「ジミーっちがね、飛び出してきて助けてくれたとき、ちぃ本当に嬉しかった。嬉しかったよ。 
だからね、うんと見直した。ジミーっちて頼りないから逃げちゃうかもって」 
「それはないって。俺はちぃが大好きなんだぞ」 
「大好きなやつが浮気少年になるかよぉ。本当に心配ばかりかけてさ」 
「ごめんよ、本当に」 
「いいの、ちぃはジミーっちが守ってくれただけで嬉しいから」 
「へへ、俺はちぃの彼氏だからな」 
「元でしょ。でも、でも、今だけはちぃの彼氏でいいよ」 

輝く夜空の星がいつもはきれいに思えるのに、今日はちぃを輝かせるための装飾品にしかみえなかった