せっかくの休日だったのに俺は今日行列のできるラーメン店にわざわざ並んでいたりする それもこれも須藤さんが菅谷相手にあんなことをいったことに始まる が、原因は俺のほうにあるのだから文句はいえない身でもある 「ねぇ、あとどれくらい?」 「ジミーは短気だゆ。人気店なんだから並んで当然だゆ」 「そうですよ、ジミーさん。ここって美味しいって評判なんですから」 年下の2人にそう諭され、俺はちょっとずつしか進まない列にイライラを募らせていた たかだかラーメンじゃねぇかと思いつつも、されどラーメンかなとも思う 帰っていくお客さんの満足そうな顔をみているとすげぇうまいのかな、と 「ジミー君、お金はちゃんともってきたんでしょうね?」 須藤さんが今日1番気になっていることを口にした ちぃとデートして、なっきぃにはポテトおごったりして、実は・・・ 1 ぶっちゃけないという 2 へそくり用意してるんだったな 3 救世主が現れることを期待 ないものはないのだ 約束を守って来たのは来ただけのことだし、正直にいうかな 「え〜はっきり申し上げますと、ないw」 「そうくると思った。はぁ・・・あんたね、誰のおかげであの窮地を脱したと思ってるの?」 「そ、そ、それは須藤茉麻さんのおかげっす」 「でしょ。なのにあんたの財布はすっからかん」 やれやれといった顔でお疲れ気味の茉麻お母さん 中3組が問題抱えてるとは露知らずに楽しそうに話す中1組 「面目ないです。でね、ここは俺の家でラーメン食べるってのはどうよ?」 「はぁ?今、おかしなこといったかしら」 「だからさ、俺の家で俺が作ったラーメン食べないっていったの」 「もう30分も並んでからおかしなこといったのはこの口かしらねぇ〜ジミー君」 「ほづはるdjふぁうっら」 あの馬鹿力に任せて俺の口を潰そうと握る須藤さん あ、やばい・・・僕の大事なマウスが顎が外れちゃう・・・ 1 今からお金とってくるから許して 2 あ、ちょっとこの痛みも気持ちいいかもぉ 3 愛理ちゃん、菅谷助けて おごおご、このままではラーメンを本当に流し込む状態にされちまう 今、顎の関節あたりからいやぁ〜な響きがあったぞ コリコリっていってないか、コリコリって 「冗談はやめて本当のこといったらどう?じゃないと逆三角形になるわよ」 「ほうfはいうrじゃhる・・・あいふぃしゃ〜ん、ひゃすけて」 俺は必死になって愛理ちゃんに救いを求めた なのにちゃんと発音しきれないせいで全然伝わっていない・・・ その間も俺の顎は悲鳴をあげている 「さぁそろそろまずいわよ」 「すぎゃやしゃ〜ん、ひゃすけて〜」 今度は助けになるかわからない須藤さんの娘にも一応助けを求めてみる やっぱりな、こいつもダメだ 全然聞こえてない あ、それとですね〜須藤さん、顎から手どけてくれないと本当のことも話せないですよw 「ねぇ梨沙子、あんたってこの男に前恨みもってなかった?」 「ん、何だゆ?」 おいおい、そのフリはねぇべさ その菅谷は 1 ママと一緒になってあそぶゆ〜 2 ママ、死んじゃうゆ〜 3 ママ、もっと力入れてゆ〜 「ママ、それ以上やると死んじゃうゆ〜ジミー泣いてる」 「あら、やだ。ママね、ちょっと力入れてたみたい」 ちょっと? あれでか、どんだけぇ〜だよ 「もぉジミーったら、冗談ばっかり言うんだもの。ほほ、ママ驚いちゃったじゃない」 「何があったんですか?」 愛理ちゃんが様子がおかしいことに気づいて、俺らに質問してきた 「それがね、ジミー君がお金がないって言い出すの。ここに並んでいてよ。冗談にしてもねぇ」 「冗談じゃないってのに・・・」 ちょっと考えるポーズをした後、彼女からこんな提案がなされた 「仕方ないですね。こんなこともあろうかとお金ならもってきてます。ここは私がだしますよ。 ただし、ジミー先輩にバイトを依頼したいんですが・・・」 1 バイトの内容にもよるぜ 2 おっしゃ〜のった〜 3 か、体が目当てなの? ば、バイトぉ〜マジでぇ 愛理ちゃんが俺をみる目がどうもな 目を線にして笑ってるとこみるといやらしい想像しかできないぞ げ、愛理ちゃん・・・君って子は・・・ 「か、か、体が目当てなのね」 「あらあら、またつまらないこといったのはこの口だったかしら?」 「そんなことないですわよ〜須藤さん。今、ちょっと身の危険感じましたわ」 菩薩観音が阿修羅になっていく幻をみたぞ、今 「先輩、体といってしまえば体なんですけどぉ・・・実は・・・うちってゴルフ場経営してるのでそのお手伝いを」 「え?そんだけでいいの?」 恥ずかしそうに俺に手伝いの内容をいう愛理ちゃん だが、それだけのことで顔をちょっと赤らめる必要あるのかな 「愛理〜それともう1つのこともいうんだゆ〜」 「梨沙子、そ、それは・・・いいのかな・・・だって、先輩に嫌がられたりしないかな」 「いいんだゆ。こいつはおごるっていってもってきてないお馬鹿ちゃんだゆ」 「いいのかな・・・じゃあいっちゃいますね。先輩、女装してもらえませんか?」 な、な、なんで女装を? ゴルフ場の手伝いだけじゃダメなんかいw 1 愛理ちゃ〜ん、先輩の女装にメロメロにされたいの? 2 いやよ、私そんなこと と拒否 3 何で女装しなきゃなのかが知りたい とにかく理由を知らないことには女装なんてごめんだぜ 「何で女装を?」 「えぇと私、文芸部に所属してるんです。部で発行してる同人誌にイラストと小説を載せるんですけど、 そのイラストのモデルになってほしいんです」 愛理ちゃんが文芸部とな、初耳だ つうか、普通に女の子をモデルにすればいいじゃん 「それって女の子じゃダメなの?」 「私の求めてる理想にぴったりなのは先輩しかいません。もう頭の中ではできあがってるんです」 いつになく力説する愛理ちゃんの意思の強さが伝わってくる が、おごってもらう身だし了解するしかないかな いや、しかし 「で、あんたには選択権はないわけだし拒否したらこれよ、これ」 何度も開いては握る動作を繰り返すアシュラガールの須藤さん 1 おごってもらうんだし仕方ない 2 いや、家に金をとりに帰ってなかったことにしよう 3 条件をかえてもらう おごってもらう身なんだってことを忘れるなよ もう自分たちが最前だ 仕方ない、またも女装するのは面倒だが引き受けよう 「わかった、私でよければ茉麻ちゃんとなってモデルになっちゃうわよ」 「あら〜あんたも茉麻ちゃんなのね〜偶然ね〜私もよ〜」 ゴリゴリって音が・・・顎が・・・顎が・・・ 「ありがとうございます!!これで同人誌が完成します。やった〜」 喜びを体いっぱい使って表現する愛理ちゃんはさっきまでのしっかりした子から年相応に変わっていた こうしてみると、やっぱり13歳なんだな 可愛いな 「何、いやらしい目で愛理のことみてるの?あんたは」 「いえいえ、滅相もない。可愛いなって思ってただけです」 「本当に?」 「え、えぇ」 俺はこうしてラーメン屋でおごる約束を守った・・・のか? 結果的にみればな 「で、モデルの話はどうなったんですか?」 「あぁ、それか。それはね・・・」 今は俺の家に愛理ちゃんが珍しく訪ねてきていた Bouno!のマネして以来、ちょっとずつだが彼女もこうして来てくれるようになった 前よりは親密になってるって証なんだろうけどな 「また今度にしようよ」 「今聞きたいなぁ〜だってその鈴木さんも私と似てるんだもん」 「そうはいってもな・・・」 彼女にはとてもじゃないが、いえやしないよ あの後、俺は愛理ちゃんとまぁごにょごにょしちゃったわけで 「とにかくまた話すよ」 「絶対ですよ」 話す前にこの約束も忘れてくれるといいんだけどな