うちの親から福引で当たった遊園地のチケットをもらえることになった 「あんたじゃ行く相手もいないだろうし、よかったら萩原君にでもあげんしゃい」 などと息子が実は隠れモテだってことを知らないらしい 隠れモテって言葉があるのかどうかは不明だが、とにかく俺は何故か最近モテている 俺は親からもらったチケットをベッドの上に広げ、誰と行きたいか決め兼ねていた 1 彼女だし当然ちぃとだ 2 お詫びがまだだった舞美先輩とだ 3 最近親密になってる熊井ちゃんとだ 4 和解したことだし菅谷とだ あんな可愛い子を誘えるなら嬉しいだろうな、こりゃ ちょっと軽く妄想してみるとしよう、シミュレーションは大事だからな 「あ、ジミーたん。口にアイスがついてるゆ〜とってあげるね」 「うん、りぃたんお願い」 「ジミーたん、このワンちゃん可愛いね。これがジミント?」 「そうそう、うちの愛犬だよ」 ぐへへへへ、楽しそう な、わけないw これは痛い2人だ 俺に菅谷を制御できればいいのだが、できないとなると愛理ちゃんもセットだよな うん、悩むな とりあえず声をかけられるだけかけてみるか そして、すっかり有名人となった俺は菅谷のクラスにいくと、「おい、お前の相方きてるぞ」 と菅谷が声をかけられていた 「何の用だゆ?」 1 お前とデートしたいんだ 2 ジミントにあわせてやるぞ 3 食い物いっぱい食えるとこつれてってやる 「お前とデートしたいんだ。俺と今度遊園地にいかないか?」 「ん〜いきなりどうしたゆ?」 「そりゃだって、お前と仲良くなりたいと思ってだな・・・」 「ジミー、彼女いるのにそんなことしちゃダメ。りぃ誘うなら別れてからだゆ」 意外とこいつ真面目なのな そりゃ特待生クラスにいるくらいだもんな、当たり前か まんまと振られた格好になるのか、ったく一瞬でもこいつ誘おうと気の迷いおかした自分が情けないぜ 俺は渋々特待生クラスを後にして、廊下をトボトボと歩いていると後ろから声をかけられた 「ちょっと待つゆ〜やっぱり、りぃは行くことに決めたよぉ」 「マジで?よっしゃ〜ありがと」 こうして俺は菅谷とのデートを無事にとりつけることができた それにしてもいきなり行きたくなったのは何でだ?まぁいいか そんな浮かれた顔で教室に俺が戻ってきたのをみると、ちぃは物凄く嬉しそうに近づいてきた 「ジミーっち、どったの?あっ、それ遊園地のチケットじゃん。もぉら〜い」 げ、それは菅谷と約束していたものだ 今更お前とは行けないといえないしな 1 ちぃと行こうと思ってというしかない 2 まだ断れるぞ 3 そうだ、元々はちぃと行くはずだったんだ ちぃと行く 俺は心を鬼にして先に約束をとりつけた菅谷を優先させた 「ごめんな、先に一緒に行く約束してるやつがいてさ」 「あぁ〜ひっど〜い、最近全然構ってくれないくせに他のとこで浮気してたんだ」 チケットをぎゅっと握りしめたまま、ちぃは自分の机につくと泣き出してしまった ちょ・・・これはヤバい展開じゃねぇか・・・クラス中が俺らのこと知ってるだけに冷たい視線がぐさっと刺さる 参ったな、これはどう考えても行くしかないだろう 雅ちゃんは俺にこの間のこともあって同情的というか、相手って私?みたいな顔してるし 須藤さんはため息交じりにやれやれといった表情だ 「ジミー君、ちょっと」 須藤さんに呼びだれた 「千奈美、あの子あれで繊細だからあなたがそういうことしてるとかわいそうじゃない?」 「そ、それは確かに・・・面目ない・・・俺が間違ってました」 「そうよね、それはそうだと思う。でね、その先約って人のとこに断りにいきましょう。 心配ないわ、私もいってあげるから」 げげげげ 1 自分でいくからいいと伝える 2 信頼ないし仕方ない 一緒に行くか 俺は連行される形で須藤さんに連れられて、特待生クラスへと向かった 進む方向が特待生クラスとわかると、またも溜息をついているな 「よりによって、あんた梨沙子とはね。はぁ・・・あの子を釣っちゃうとは思わなかったわ」 「あの子を釣っちゃうってどういう意味?」 「ジミー君は知らないんだ・・・あの子ね、あの顔でしょ。すんごいモテるのよ。その度に 『ママ〜また告白されちゃったゆ〜』なんて相談くるでしょ。もう大変なんだから」 すっかり須藤さんの口調が中学生から保護者のものに変わっていた 菅谷のやつ、案外顔が広いのな 「あの子、もっとカッコイイのと付き合うとか思ってたのにね、世の中何がおこるかわからないわ」 俺たちは菅谷の教室までいくと、菅谷をまたしても呼び出した 「何何?ママまでいるし、何かあったゆ?」 「梨沙子、ごめんねぇ〜さっきこのお馬鹿さんがいった件ね、ラーメン屋さんに変わったわよ」 「へ?遊園地じゃなくなったのぉ」 「そう、代わりにラーメン屋さんで私とあなた、ついでに愛理ちゃんもおごってくれるらしいわ」 ちょっとまてまて いつそんな話になったんだよ・・・しかも、おごることになってるしな 須藤さんの睨みは有無を言わせぬ大迫力があり、俺は了承するしかなかった 「これでよかったと思いなさい。この後の千奈美へのフォローは私がしてあげるから」 この人にこのまま任せていいのかな 1 頼むしかないな 2 それくらいは自分でします 3 雅ちゃんにフォローを頼む 「よろしくお願いします」 「簡単な話しよ、私のいうことに口裏あわせるのよ。何があってもね、そうしたら千奈美もバッチリ」 自信満々な須藤さんは、教室へ戻るとちぃのところに駆け寄り、再び廊下へでた まだ泣き止まないちぃはメソメソと俯いて廊下へとでてきた その姿といったら、普段とは天と地の差があり、みているこっちが痛々しい気持ちになった あ、原因は俺だ・・・すまん 「さっきのチケットあるでしょ〜千奈美ぃ。それね、私がジミー君に頼んでおいたものなの」 「これ?」 「そうよ、私が萩原君を誘おうと思って、ジミー君に相談して手に入れておいてもらったの。 でもね、それも今からあなたたちのものよ」 「ぐすん・・・どうして?だって茉麻たちが行くんじゃないの?」 「あ、それなら萩原の奴が急用できたんで無理になったんだ。で、俺とちぃに譲ってくれるってさ」 「本当?」 俯き加減に上目遣いのちぃ、これは可愛すぎるよ ほっといてごめんな、俺のお姫様 「本当よ、ねぇジミー君?」 「あ、あぁ」 須藤さんの恐るべき手腕によって、痛手を被りながらもこの場を丸く収めることができた よかった、本当によかった 「ジミーっち、一緒にいっぱい遊ぼうね〜やった〜」 こうしてちぃに何とか笑顔が戻ってくれた 俺は須藤さんに感謝しつつ、ラーメン屋の件ではちょっぴり恨んでたりもする おごるのは勘弁だからな・・・今日、これからどれだけ使うかわからないんだし 「ジミーっち、おまたせ〜ごめんねぇ遅くなってさ」 ちぃはよほどはりきっているとみえ、勝負服の装いでここに現れた 秋が深くなって寒さもこたえるっていうのに、ちぃは生足全開だ 「でさ〜ジミーっち、最初はどこにいく?」 1 まずは定番のジェットコースター 2 ちぃと親密さを増すおばけ屋敷 3 2人きりの空間を 観覧車 「まずは定番だよな、ジェットコースターいこうよ」 「うん!!ちぃもね、ジミーっちと同じこと考えてたとこ。いしし、通じてるね」 俺の腕に腕を絡ませて、俺に寄りかかるように歩くちぃ うっとりした表情でいるときの可愛さは俺の中じゃダントツだな 可愛いやつめ 「ねぇねぇ、ジミーっちはデートでこういうとこ初めて?」 「ちぃが初めての彼女だし、初めてだな」 「そっか〜ワクワクするね。ちぃも初めてだよん」 俺とちぃはこんな会話をしながら待ち時間を潰していった 「ジミーっちってジェットコースターは得意?」 「ん〜俺はね、 1 忘れてた、苦手なんだった 2 ふん、得意中も得意さ 3 やせ我慢 ここは口だけでも平気といっておこう 男にはたとえ嘘でも根性をみせないといけない時があるんだ 俺にだってそれくらいはある、だからちぃの手前かっこよくないとな へ、平気さ〜俺もこういうのは何度も乗ってるからね」 「ジミーっち〜と一緒だし楽しみ楽しみ」 うわ〜すげぇ笑顔 それに引き換え俺はきっとひきつった笑顔だな かっこよくみせようとして失敗しないようにしないとな 本当は苦手です・・・とはいえないよ そして、ちぃだけが待ちに待ったジェットコースターがスタートした 急回転につぐ回転で目をまわしながらも俺は何とかたえた 「楽しかった〜ね、ジミーっち・・・って、あれあれ?どったの」 うぅ・・・おえ〜吐きそうだ やせ我慢したはいいが、降りた途端に地上に戻った安心感から吐きそうになっている まずいな、最後までかっこよくみせるつもりだったのに 「ジミーっち、もしかして弱かった?」 1 本当はね 2 これは吐きそうな人のモノマネ 3 まだまだ我慢してみせる 俺にだって意地がある ちゃんとしたデートは初めてなんだ、かっこよくみせないと・・・ 「へ、平気だよ」 「ならいいんだけど、ちょっと顔が青ざめてるよ。ヤバかったら素直にいっちゃいなよ?」 「うん、ヤバイときは言うよ。今は大丈夫だからさ」 喉元にまできたゲロを飲み込み、俺はギリギリのとこで綱渡りをしていた そう、本当にちょっとどころではなく不味いんだ 「で、次はどうする?」 「あぁ〜次はねぇ〜」 次は軽いのにしてもらおうかな 「ちぃはリストあるんだけど、その中から選んでみて」 1 また乗りたいな ジェットコースター 2 次は大人しいメリーゴーランド 3 ジミーっち、頼りにしてるよ お化け屋敷 「お化け屋敷にしようか」 お化け屋敷なら吐くこともなかろう ちぃも頼りにしてるからなんていってくれてるし、俺としても応えたいところだ ここのお化け屋敷は生身の人間がお化け役になってるところがうりで、人気もかなりのものだ そのため、若いカップルがずらりと列をつくって並んでいる 「ジミーっち、さっきから叫び声が聞こえるね。こわそ〜」 「うん、だけどちぃは俺が守るから安心していいよ」 「あはっ、そんなこといってちぃおいて逃げたりしないでよ?」 「逃げたりなんかするもんか。俺だって男だ。ちぃ守れないでどうするんだよ」 「頼もしい」 少しずつ近づくたびに中から女の子の叫び声が大きくなり、自然と緊張が高まる ちぃの腕を掴む力も若干強くなってきた気がするしな 自分からいこうといったわりにこの怖がりようってことは・・・苦手ってことか そして、いよいよ俺とちぃの番となった 「ジミーっち、本当の病院みたいでここ怖いよぉ。お化けでたら震えちゃうよ」 1 俺が守るとちぃを抱きよせる 2 俺もチビっちゃいそう 一緒に震えちゃえば平気かもよ? 3 一目散に俺は走っちゃうよ ちぃの細い腰に手をまわした俺は彼女をぐっと引き寄せた 頼りがいのあるとこみせて高感度はさらにアップだ 「俺を頼りにするっていってたろ?」 「うん。ジミーっち、何だか顔が凛々しいってやつ?」 「そうかぁ?」 「うん、今までで1番かっこいいよ。ちぃだけの王子様だね」 ちぃに頼りにされているかと思うと心強く、俺は普段あれだけビビりにも関わらず入ってみたら何とかいけた 途中、ドキっとさせられることが何回もあったが、それも気合で耐え切ってみせた それに暗闇の中でくっつかれたおかげでちぃパイを何度も腕で味わったしな 「楽しい時間はあっという間だね〜もう午後だよ。次はどうしようか?」 1 お昼にしますか 2 今度こそ観覧車 3 そろそろ出る? 腹も空いたし頃合かな 「昼食べよっか」 「だねだね〜」 笑顔を絶やさない彼女は、何と今日も実は手にバスケットをもっていた まぁ手作りだ、手作り 運動会のときは何とか食べずにいけたが、今回ばかりはそうもいかない さっきからルンルン♪と鼻歌交じりに準備するちぃを断るわけにはいかん 1 味よりも愛情 ここはがっつり喰う 2 不味かったら指摘も大事 3 食べなくてもいい理由を考えろ ちぃが作ってくれたってことが何よりも大事なんだ どんな味でもがっつり食べておこう 「じゃ〜ん、ちぃちゃんの手作り弁当でぇ〜す。ジミーっち、さぁさどんどん食べちゃって」 「じゃあ、いただきます」 そんなに食べるところをじっとみつめられても困るな、俺も 早く私に感想を聞かせて、とでも言わんばかりじゃないか まずは・・・この卵焼きからいこうかな これがまだ比較的まともな見た目してるから平気だろう 「どう?美味しい」 「うん、ベリーうまいよ」 「よぉし!!これで自信ついたし、またデートのときは手作りするからね」 ・・・めちゃくちゃな味だよ、これは 甘いような塩辛いような・・・ とにかく俺はちぃのお手製弁当を無事に食べきった 何でも本人はみてるだけで幸せとかでちっとも口をつけなかった 「ジミーっち、次こそはこれ乗ろうよ」 そういってちぃが指定してきたのが観覧車だった あっという間に俺たちは番となり、中に乗ることになった 向かい合って座る俺とちぃ 互いに何故か照れがあるのか隣に座れない 1 素直に隣にきたいという 2 景色よさそうだ、と隣にいく 3 向かい合ってたほうが顔よくみれていいかな 「隣に座ってもいい?」 「ほへ?ど、ど、どうぞ」 俺は風に揺られる観覧車をうまく移動してちぃの隣に座った 今までは普通に会話していたはずなのにどこかぎこちない俺ら 観覧車ってシチュエーションがどうも影響してるんだろうけど、隣に座ったら座ったで顔がみられない 気を紛らわそうと「景色いいね」とかどうでもいいこといってやがる 「ジミーっち、今日はすごく楽しかったよ」 「俺こそ今日は一緒に遊べてすごくよかったよ」 「でね、そのぉ」 「あ、あのさ」 同時に何かを伝えようと言葉を発してしまった 気づくと顔をみあわせていた 千奈美、ほっといて他の女の子に目移りしててごめんな 俺、お前のこと好きなのに浮気しようなんて酷いやつだ 「で、で、ジミーっちからどうぞ」 「いやいや、ここはちぃからでいいよ」 「ジミーっちこそ、男なんだしいってよ」 どうしよう、何ていうかな 1 キスしてもいい? 2 忘れちゃったと誤魔化す 3 あ、あそこに知り合いみっけ キス、ちぃの顔みてたらキスしたくなった 俺はこんなときはウブになっちゃうのな 今更照れるような純粋でもないんだよな〜熊井ちゃんやら舞美先輩、桃子先輩、梅田先輩と数こなしてるし だけど、ちぃだとこんなにもウブになってるよ、俺が 「キスしてもいい?」 「え〜とここで?」 「うん・・・」 「ジミーっちがしたいならいいよ」 「じゃあ遠慮なく」 恐る恐る手を伸ばし、ちぃの肩に手を置いて顔を引き寄せた 緊張してきたぞ、俺 久しぶりだもんな、ちぃとキスするのだって 「寂しかったんだかんね、ちぃは。それなのにずっと構ってくれなかったじゃん。ひどいひどい」 キスした途端、ちぃはダムが決壊したみたいに泣き出した そうだ、すっかりほったらかしだったもんな ごめんよ、本当に 夕日に照らされてちぃの顔が眩しくてよくみえなかったが、このときのことは今でもはっきりと思い出せる この後も何度もちぃを泣かしたけど、泣いてる姿がこんなにもキレイだったのはこれが初めてだったから