よく晴れたオフの日 
最近寒いかったのに今日はぽかぽかしてあったかいし、今日は絶好の睡眠日和だ 
布団から出る気がしない、出たくない 

…のに、玄関でチャイムが連打されてるぞ? 

1.やっぱり出たくないから布団をかぶって知らないふり 
2.仕方ないから出る 



あったかいといっても、布団から出たら寒いに決まってる 
知らないふりを決め込んでもう一度深く布団にもぐりこむと何やら玄関が開く音が 
次にドタドタと廊下を走る音、次いで抵抗する暇もなく布団をはぎ取られた 

…さ、さむい! 
なんだよ誰だよ、不法侵入じゃないか! 

体を思いきり縮めながら見上げる 
カーテンの隙間からこぼれる光の逆光でよく見えないが、このシルエットは… 

1.…み、雅ちゃん? 
2.茉麻じゃないか! 
3.…あれ?なんで舞ちゃんがここに? 



「…茉麻?」 
「まったく、いつまで寝てるの」 
「なんで?」 
「遊びに来たんだけど。それ以外に理由がいる?」 
「鍵は…」 
「これ」 

目の前にちらつく合鍵 
あーそうか。前、栞菜もそんなので入ってきてたな 
俺に合鍵を見せながらもテキパキと布団をたたんでいく茉麻 
さすが母さんと感心しつつ、俺はぼーっとその光景を眺めている 
オフの日に誰かが押し掛けてくることは珍しくないけど…こんなことするのは茉麻くらいだ 

「ふぅ、終わった終わった」 
「お疲れ様。ありがとう母さん」 
「ふふっ。いえいえ…ねぇ、今日もあなたの昔の話、聞かせてほしいんだけど…」 

1.いいよ。須藤さんとお弁当の話でも… 
2.ここは同じクラスの雅ちゃんと体育の時… 
3.まさかの舞ちゃんにジュース… 



それじゃ、今でも鮮明に覚えてる雅ちゃんと体育の時にあった話でもしようかな 
ちょうど須藤さんも出てくるし… 


うちの中学はちょうどこの時期に体育で陸上競技があったんだよな 
寒いのに邪魔だからという理由で下ジャージは着用禁止なんて決まりがあったり 
…まぁ、それが俺ら男からすれば未だブルマを貫くうちの学校に敬意を表する場でもあったんだけど 
男の視線はいかつい体育の先生なんかより、ブルマから覗く女子の生足!!! 

そんな女子の生足をこっそり見続ける夢のような時間なんてすぐに終わっちゃう訳で 
もう片付けだ…目の前には砲丸やらメジャーやらがちらばってる 
…面倒くさいな 

1.片付けなんて萩原任せって相場が決まってるだろ! 
2.仕方ないから片付けるかぁ… 
3.…あれ?誰か一人でハードル抱えてるけど… 



あれ?雅ちゃんだ 

片付けようと砲丸に手をかけようとした矢先、少し前に雅ちゃんが見えた 
一人で一気にハードル3つも片づけてる 
そういえば女子は今日はハードルやってたな 
あんなに足露出してたらあのハードル飛ぶのは寒かっただろう。膝が赤くなってる 
それに何か肩で息してる。重そうだし…よし! 

1.影ながらひっそりと応援しよう! 
2.颯爽と手伝いに行こう! 
3.面倒だから放置しよう! 



ここは手伝うしかないよな、放っておけないし 
思い立ったら吉でっせ!ということで、後ろからダッシュで近づいて声をかけた 

「雅ちゃん!」 
「…」 

…聞こえなかったのか? 
いやでもこの距離だったらいやでも聞こえるだろ、普通に 
不審に思いながら、今度は雅ちゃんの前に回って声をかけた 

「雅ちゃんってば!」 
「…何?」 

眉間にしわをよせて、思いっきり俺を睨む雅ちゃん 
そういえば、あのプールの一件以来まともに話すの初めてだ 
この表情を見るとまだ怒ってる…よな 

「用ないならいくけど」 
「待ってよ!ハードル持つの手伝うって」 
「別にいいし。このくらいアンタに持ってもらわなくても持てるから」 
「あ、雅ちゃん!」 

俺の言葉を無視するように、ハードルを抱えなおすと歩き始めた雅ちゃん 
やっぱりよたよたしてるし辛そうだろ、明らかに 

1.こうなったら後ろからでも強引にハードルを奪う 
2.呆然として何もできない… 
3.もう一度雅ちゃんを呼ぶ 



辛そうなのは放っておけない。でも俺は無視される 
…だったら少し無理矢理にでもいくしかないか 

意を決して雅ちゃんに追いついて横に並び、抜き去る時に両手で持ってたハードルを全部奪い取った 
予想外に重くてがくんと地面にダイブしそうになったのをぐっとこらえる 
ここでそれをやらかしたらさすがに格好悪すぎだろ、俺 
ここが頑張り所だ! 

「ちょっと!なにするのよ!」 
「体育倉庫まででしょ?」 
「別にいいっていったじゃない!」 
「重そうに運んでるの、ほっとけないから」 

有無を聞かずに雅ちゃんの少し前を歩く 
雅ちゃんがついてきてるか心配だったけど、足音とオーラを感じるからいるっちゃいるんだろう 


内心必死な思いをして体育倉庫につくと、すぐにハードルを片付ける 
…お、重かった… 
窓がないから光も入ってこない 
昔ながらの木で出来た古い体育倉庫なので頼りは隙間から漏れる光のみだ 

…よ、よく考えるととんでもないところで雅ちゃんと二人きりだよな。俺… 
暗がりの密室だぞ?ブルマだぞ? 

1.ドキドキドキュー!してきたからがーっと外まで走る 
2.雅ちゃんの太ももにムラムラして不覚にもあそこが… 
3.落ち着け、俺には千奈美がいるんだぞ 



お、落ち着け俺。いくらこんな暗がりにこんな可愛い子と二人だからってそんな…千奈美がいるだろ! 
変に意識してドキドキしてきた 

「…あ、ありがと」 
「へっ?」 
「運んでくれたから、一応ね。頼んでないけど」 

別な方に意識が集中してたから不意打ちだった 
雅ちゃんが俺に目を合わせないように感謝の言葉を述べてるぞ 
暗がりでもわかるくらいに頬が赤い…って、雅ちゃん照れてるのか 
そんな顔されるとこっちも照れるな 

「早く外出ようよ。ここ臭いし何かやだ」 
「あぁ、うん…」 

俺には千奈美が俺には千奈美が…と念仏のように心の中で唱えながら外に出ようとすると 

「きゃあぁあ!」 

1.雅ちゃんがハードルにつまづいて俺の方に倒れこんできた! 
2.俺がつまづいて雅ちゃんを押し倒し(ry 
3.ぎゃー!そこの隙間からだれか見てるー! 



振り向いて扉を開けようとした瞬間、雅ちゃんの声にびっくりしてまた振り返った 
どうやらハードルにつまづいたらしい。突然だった 
千奈美とは違う匂い、柔らかさが俺の胸に舞い込んでくる 

「わぁ!ごごごごめん!ででででも離れて!」 
「えええええっと」 

あまりにびっくりしたらしい雅ちゃんが俺のそばで暴れて、また距離が近くなった 
俺もテンパってうまく身動きが取れない 
その拍子に雅ちゃんのむちっとした太ももが俺のちょうどアソコ付近を撫でる 
柔らかな中に餅みたいな弾力性…コレ、トテモ、ヤバイ 
こりゃ、あのプールでの出来事の二の舞になりそうだぞ 

ドアを開きたいけど…こういう時に限って建てつけが悪くてうまくあかないんだよな 

1.うまい具合に雅ちゃんをずらしてドアを開けて脱出! 
2.せっかくだし、お互い落ち着くためにももうちょっとこのままおしゃべり 
3.ダメ人間でごめんなさい。耐え切れずに抱きしめる 「雅ちゃん落ち着いて!落ち着こう!」 



「こここここんな状態でどうやって…!」 
「この状態じゃドア開けられないし、とりあえず落ち着こう」 
「…う、うん」 

俺は、依然として下半身の欲望と格闘しつつ雅ちゃんと会話を楽しむことにした 
チビな俺だけど、幾分か雅ちゃんよりかは背が高い訳で…その、上目づかいを自然にされる 
きらきら光るガラス玉みたいな目が俺を覗き込む 
ちぃ…ごめん、一瞬素で雅ちゃんにぐらっときたよ 

「ねぇ、ちぃとはどんな感じなの?」 
「どんな感じって?」 
「………シたんでしょ?ちぃと…」 

やっぱり広まってましたか 
そうだよな、なんてったって…ちぃだもんな 

「シた、けど」 
「…ふーん」 

視線を外し、自分から話振っといて勝手に流す雅ちゃん 
これじゃ会話にならないけど、何を話したらいいのかもわからずに無言になる 
俺は緊張でまた汗がだらだらと止まらない 
この沈黙を破ったのは雅ちゃんだった 

「ねぇ、もしちぃじゃなくてうちが…」 

「もう…みや、どこいったのかな?」 
「どこにもいないね…あ、倉庫の鍵まだかかってない!みやかけ忘れてるよ、しょうがないなぁ」 

「…まぁとちぃだ!」 

雅ちゃんの声を遮ったのはよりにもよってちぃの声で、空気が若干気まずくなる 
何を言おうとしたのか、そんなの俺にはわからないけど。何か重要なことのような気がした 

「ね、ねぇ…なんか今、鍵がどうのとかそんな話してなかった?」 
「…あ、」 

時、すでに遅し 
ばっと雅ちゃんから離れてドアを目一杯引いてみるけど…微動だにしない 

「や、やばい…かも」 
「うそぉ…」 

そういえば目が慣れてきたのか全然暗がりという感じがしなくなってきた 
その分雅ちゃんの表情もばっちり見える訳で 
今の雅ちゃん…目に涙が溜まってる!今にも泣きそうだぞ!? 

1.大丈夫だよと優しく頭を撫でる 
2.もう駄目かも…と一緒に泣く 
3.ここで二人きりも悪くないよと肩を抱く 



「大丈夫だよ、雅ちゃん。きっと須藤さんあたりが気付いてくれるって」 
「…うん」 

できるだけそっと、俺にできる最大限の優しさをもって雅ちゃんの頭を撫でてみる 
大人しく頭を撫でられる雅ちゃんってなんだか新鮮だな 
そんなに怖いのか、なんの抵抗もせずにじっと俯いて、唇を噛んでる 
…実は雅ちゃんの柔らかい髪が指の間を通るたびにドキッとしてたのは、誰にも言えそうにない 

「ねぇ…ちぃのこと、好き?」 
「な、なんだよ急に」 
「好きかって聞いてんの!」 
「そりゃ…さぁ。好きだけど」 
「…そっか」 

そっかそっかと繰り返す雅ちゃんの横で、俺は疑問を抱えつつ頭を撫でつづける 
雅ちゃんは一体俺に何が言いたいんだろう 

「雅ちゃん、俺に言いたいことあるなら言ってよ?」 

1.「なんでもなーい。ジミー君にはまだ言ってあげなーい」 
2.「言いたいことなんて別にないし!」 
3.「実は…」 



「実は…」 

雅ちゃんがゆっくりと口を開く 
俺は今度は邪魔が入らないようにドキドキしながらそれを待つ 

「ジミー君…」 

頬の赤い雅ちゃん。俺を馬鹿にしている様子もないから何かマジなことなんだろう 
も、もしかしてこれは… 
とか、俺の脳内はとんでもない妄想が巡って大変残念なことになっていく 

すうっと小さく息を吸い込み、一拍間をおいて雅ちゃんが口を開く 
雅ちゃん… 

瞬間、その空間に響くあまりにもあっけなく木が折れる音 
…光の差し込まなかった体育倉庫に西日が差しました 


「…っと、この話はここまでなんだけど…」 
「えっ、須藤さんがほとんど出てこないじゃない!しかも中途半端だし」 

茉麻が俺をバンバンと勢いよく叩きながら続きをせがむ 
か、母さん痛いよ…なんて思ったけど、茉麻の乙女心ってやつが傷つきそうだから絶対いわない 

「ここで話が終わりなのってさ、須藤さんが助けてくれたからなんだよね」 
「あら、そうなの?」 
「うん。ドア壊して、俺ら出してくれたんだ。だから結局このときは雅ちゃんの言葉、聞けず仕舞いだったな…」 
「さすが須藤さん。やるじゃない」 

なんだか茉麻はご満悦のようだ 

確か壊したドアは次の日には新品で、しかも前のよりも高級になって戻ってたっけ 
あの日はびっくりしっぱなしだったよ 

体育倉庫の外に出た後は雅ちゃんにいくら聞いても話の続きを教えてくれなかったな 
去り際にばかやろーって叫ばれたけど 
そういえばその時須藤さんに一言だけこう言われたっけな 

『みやの気持ちも考えてあげて』って 

その時はなんのことだかさっぱりわからなかったけど、今ならはっきり意味がわかる 
…本当に馬鹿だと思うから。当時の俺 
雅ちゃんには悪いことしっぱなしだったし 

…なんだか雅ちゃんの話したら、無性に雅ちゃんに会いたくなった 
後で連絡いれてみようかなぁ