そもそも何で俺はジミーと呼ばれていたのか。地味だからジミーのはずだったんだ。 
しかしその頃は千奈美という彼女も出来、桃子先輩やら梅田先輩やら有原さんやら熊井さんやらといやらしいことをし… 
当時の俺は、それまでの俺からは信じられないぐらいの体験をしていた。 

「疲れてきたんだよな。楽しかったけど。」 

そんな時に仲良くなったのが中島さんだった。 
普段は大人しい、でもしゃべると愛嬌のある声で楽しそうに話す背の小さな女の子だった。 

下校中、中庭から声が聞こえてきた。 

「ワン、トゥー、スリー、ってちょっと!そこステップ左だから!」 

あの声は…確か中2の中島さんだっけ。 

「もうみんな疲れちゃったよね、とりあえず休憩!」 

そう言いながらも当の本人は練習を続けてる。熱心だなぁ。 
お、ダンス部の他の女子達が水道のあるこっちの方に近付いてきたぞ。 

「中島さぁ、最近ちょっとかわいくなったからって調子乗りすぎじゃね?」 
「ねぇ、何かあのやる気が逆にウザいよね」 
「昔はブースカみたいだったのにねw」 
「マジ『中島のくせに…』って感じだよねw」 
「ねぇねぇ、このまま練習サボって帰らない」 
「あ、いいねぇ〜カラオケ行こーよ♪」 

うわ…ひでぇ… 

1.「おい、あんまりじゃないか!中島さんがあんなに頑張ってるのに!」と女子達に忠告 
2.「みんなが帰るとか言ってるけど?」と中島さんに告げ口 
3.もうちょっと様子を見てみる 



もうちょっと様子を見てみるか… 
練習を続けてる中島さん。もうカバンとか取りに行っちゃってる他の女の子達。 

「よーし、そろそろキリがいいかも!みんなー!練習始めるよー!…って、あれ?」 

きょろきょろしてる。でももうみんなはいないんだ… 
俺は中島さんを不憫に思った。 

「みんななら帰っちゃったよ。サボってカラオケに行くってさ」 
「えっ…!?っていうか何でジミー先輩が!?…っていうかジミー先輩で合ってましたっけ?」 

しばらく会わない間に名前まで忘れられてたか… 
「ん?まぁ一生懸命頑張ってるなぁと思って見てたんだよ」 
「そうですか…」 
「中島さん、すっげぇダンスうまかったよ」 
「でも、みんながついてきてくれないなら意味ないですよ…」 

がっつりヘコんでるなぁ…何とかして元気にしてあげたい… 

1.これから一緒に帰らない? 
2.俺らもカラオケ行っちゃわない? 
3.俺にもう一度ダンスを見せてくれないか? 



「俺にもう一度ダンスを見せてくれない?」 
「えっ…?」 
「中島さんのダンスが見たいんだ。何かこう、すごく見惚れちゃったんだ」 
「えっ…えっと…じゃあ、踊り…ますよ?」 

と言ってラジカセを再生ボタンを押した。 
さっきの悲しそうな顔とは違って、ダンスしてる時の中島さんはイキイキしてるなぁ… 
キレがある動き…俺には到底真似できるものじゃない。 

パチパチパチ 
「いやーすごかったよ!」 
「みんなに負けたくないんです。だから一生懸命練習したんです!でもさっきのBメロのとこがちょっと…」 

お、ヤバい。また練習し始めた。こりゃ下校時間過ぎちゃうぞ… 

1.それでも練習に付き合う 
2.送って行ってあげる 
3.遊びに誘う 



「中島さん、そろそろ下校時間だよ!暗いし、送ってくよ」 
「え?もうそんな時間ですか?!ちょっと着替えてきます!」 

そう言うと中島さんはそそくさと更衣室に入り、着替えて出てきた。 

「お待たせしました〜」 
「いえいえ。じゃ帰ろうか」 

・・・・・ 

駅への道中、千奈美と来た河川敷に差し掛かったぐらいのところで、中島さんが言った。 

「ジミー先輩がうらやましいです」 
「へ?」 

何のことかわからなかった。 

「私、1学期までは確かに地味だったんですよ…。でも何か夏休みが明けたらいきなり男子にちやほやされるようになって…。最初はからかわれてると思ったんですけど、下駄箱とか机の中とかに…」 
「ラブレターとか?」 
「はい…」 
「俺は中島さんがうらやましいけどなぁw」 
「いや…でも…今度は女子に嫌われるようになったんです…」 

妬みってヤツだな。そういえば中2の男子が「中島は急にかわいくなった」とか言ってたし… 

「私は別に何かしたわけじゃないのに…今話せる女子は友理奈ちゃんと栞菜ぐらいになっちゃって…」 

あ、やべっ、泣き出した! 

1.頭を撫でる 
2.言葉で慰める 
3.♪この場で即 抱きしめて〜 



「ちょっと座ろうか」 
そう言って二人並んで河川敷に座った。 
隣には小さな体を震わせてないている中島さん。 

…千奈美、ごめん!俺は中島さんの頭を撫でてあげた。 

「ひっく…ひっく…ジミーさぁーん…」 

うおっ!肩にもたれかかってきたぞ…これは… 
いや、平静を装うんだ。 

「俺と中島さんは似てるのかもね」 
「…ひっく…なんで…ですかぁ…?」 
「最初は地味だったのに、周りが騒ぎ初めて、いつの間にか目立っちゃってるでしょ?俺はいじめにこそ遭ってないけど、今まで平和にのんびり暮らしてた分、今は疲れるね」 

中島さんはしっかり聞いてくれてるみたいだ。 

「でも中島さんにはダンスがある。ダンスをやってる間の中島さんは雑念がないっていうか、とにかく楽しんでるよ。俺もそんな打ち込めるものが欲しいなぁ…」 

「そんな…ひっく…こと…ないです…けどぉ」 

でもちょっと嬉しそう。この子の笑顔はやっぱかわいいな。 

「くしゅん!」 
「あれ、やっぱここ寒かったよね…」 

1.上着貸すよ 
2.缶コーヒーおごるよ 
3.手…つながない? 



「上着、貸すよ」 

俺は着ていた制服の上着(学ランかブレザーかはご想像にお任せしますw)を中島さんにかけてあげた。 

「これで少しは寒くない?」 
「寒くない…むしろ温かいです」 
「そろそろ駅行こっか。風邪引いちゃうもんね」「はい!あの…ジミー先輩…?」 
「ん?」 
「手…」 
「手?」 
「て…手伝ってくれて、練習を手伝ってくれた上に話まで聞いてくれてありがとうございました!」 
「俺でよければいつでも言いなよ」 

駅の近くのコンビニで肉まんをおごった。 
大したものじゃないのにすごく喜んでたなぁ、中島さん。 
中島さんは俺とは方向が違う電車に乗るので改札で別れた。 

中島さんとまともにカラんだのは多分それが初めてだと思う。 


・・・・・ 


「マネージャーさん、肉まん食べたいですぅキュフフ」 
「はいはい…」 

早貴ちゃんは中島さんみたいな子だ。普段はあまりカラまないけど、たまに、ふと、無性に会いたくなる人… 

「早貴ちゃん?」 
「何ですかぁ?」 
「手、つないでもいいかな?」 
「いいですよー♪」 

その手は小さく、柔らかかった。 

肉まんは、なんとなくいつもより温かく感じた。 



ノノl∂_∂'ル<はぁ・・・ ノノl∂_∂'ル<最近ちっとも相手してくれないな… ノノl#∂д∂'ル<いつになったら私のところにくるんじゃい!!!!!